SamSuka
夜空さくら
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露出アプリversionアップ

 アプリを使って刺激的な露出を楽しんでいたある日。  突然、アプリのアップデートの通知が来た。  いまでも十分オーバーテクノロジーだったアプリがさらにアップデートされるという。どんな機能が追加されるのかはわからないけれど――さらに露出プレイが捗るのだけは間違いなかった。  いままでの露出アプリができたことは、基本的にはアプリに登録した人物の服装の変更・そしてその体をタッチパネル内で『弄る』ことだった。  これだけでも十分すごいし、私は露出アプリとして使っていたけど、本来の使い方はたぶん違うのだと思う。たとえばこれが鬼畜な性的趣向を持つ男性の手にあったら、結構酷いことになっていたかもしれない。そういう方向性の機能だった。  けれど、アップデートによって追加された機能はまるで私のためにあるような、そんな機能だった。  もしかするとアプリの使い方を学習して、使用者にあった機能を追加しているのかもしれない。ないとは思うけど、そうかもしれないと思えるだけのテクノロジーがこのアプリには詰まっていた。  そんなアプリが追加した機能は、やはりオーバーテクノロジーとしか思えないものだった。  ある休みの日。  一日中ショッピングで町を歩き回った私は、充実した疲れと共に自分の家に帰ってきた。 「はー。疲れた~。マリは元気だなー」  一緒に遊んだ友達はまだ遊び足りなかったらしく、私と別れた後は別の友達とカラオケに行くというのだから、本当に元気な友人だった。  私もカラオケに誘われはしたけど、歩き回って疲れていたのと、もうひとつの目的のために断って家に帰ってきていた。  とりあえず、ささっと買ってきた服の整理と、夕食と、入浴と、明日の用意も手早く済ませ、あとはもう寝るだけという状況になる。  さあ、ここからが本番だ。  お風呂上がりとは少し違う理由で火照る体で、ベッドに横になる。  寝転がる前に服はすべて脱ぎ去っていた。ベッドに敷いておいた柔らかなバスタオルが、肌を優しく包み込んでくれる。  人が見たら、これからオナニーでもするのかと思うだろう。ある意味それは正しいのだけど、私はもっとすごいことをするつもりだった。  寝転がったまま、携帯を手に取り、例のアプリを起動する。アプリの起動画面には、いままでになかったアイコンがあり、そのアイコンの上に新規を示す赤丸の数字が踊っていた。その数字を見て、私は少しだけ顔をしかめる。 「あー、今日は7件かー。結構、歩き回ったつもりなんだけどなー」  やっぱり、同じような場所を巡るだけでは、効率的な収集はできないみたいだ。今度の休みは遠方まで出かけてみようかなという気分になる。  新しくアプリについた機能。  その名は「すれ違い通信」とあった。  その機能は簡単にまとめると、使用者が設定したのと似た性的趣向を持つ人物の、「経験した記憶」を自動的に収集するものだった。  画面には今日すれ違っただけの名前も知らないはずの人の、顔写真と詳細なプロフィール、そしてどのような経験かを表すタイトルが並んでいる。  たとえば一番上には、「源遙花 24歳 OL 公園での野外プレイ」というデータがある。詳細を開いてみると、「彼氏とのデート中、気分が盛り上がって、公園内で性交に及ぶ」というようなことが書いてあった。このように、人が経験した野外露出プレイをデータとして自動収集してくれるのだ。  もちろんただ収集するだけじゃない。データをタップすると、「この記憶を体験しますか?」という文章が表示され、そのポップアップには「対象の記憶のまま体験する/対象を自分に置き換えて体験する/体験しない」という選択肢があった。  記憶のままだと、実際にこの経験をした人の記憶のまま、この記憶を経験することができる。要はその人になって経験するか、自分として経験するかということ。  同じ女性とはいえ、背の高さも違えば、体つきも年齢も違う。人が関わるなら、呼ばれる名前だって。そういったことを自分として体験するか、人として体験するか。  いままで何度かこの機能を使用したけど、どっちがいいかは人と場合による。  例えばこの源遙花さんの野外セックスの経験なら、自分に置き換えてやった方がいいかもしれない。私にはいないからあれだけど、もし恋人がいたら、お相手はその人になるはずだ。セックスしながら別の人の名前を呼ばれるよりは、置き換えた方がいいと思う。  とりあえず、いまはセックスしたい気分ではなかったので、その記憶はいったん保留にしておいた。他にいまの気分に合う経験が収集されていないかを見る。 「あ……これなんかいいかも」  私はわくわくした気持ちのまま、一つの経験を選び、「対象の記憶のまま体験する」を選択する。  その瞬間、一瞬の浮遊感があって、体の感覚が一時消失する。最初にやったときは驚いたけど、いまはもう慣れた。  ほんの少し間があって、視界と体の感覚が戻ってきた。  思わず閉じていた瞼を開けると、そこは燦々と太陽光の輝くビーチだった。 「ふわぁ……っ」  思わずそんな声がでたのは、いろんな感動から。  部屋の中にいたはずなのに急に外にでたのとまるで変わらない状態になった。  精密なVRが実現したらこんな感じなんだろうか。どこまでも広がる海も、浜辺の白い砂も、私自身は見たことのない輝きを見せていて、他の人が確かに現地に行って見てきた経験なんだと確信する。  もちろん、本来の目的。露出的な意味での感動もひとしおだった。  いまの私は何も身につけていない。強い太陽光の日差しを全身で感じる。じりじりと焼けるような、そんな刺激が正確に全身で感じられる。  それだけで私のあそこはじっとり濡れ始めたし、乳首は触らなくてもわかるほど硬く立って自己主張を始めていた。  白昼堂々裸を晒した経験なんてほとんどない。露出アプリを使って電車内とか街中で裸になったことはあるけど、それだって日陰だったり、周りに人が溢れて逆に見られることのない場所だったりした。  けれど今は、白昼堂々、何にはばかることなく、全開の状態。  しかも。  周りに人がいないわけでもなく、結構な数の人がいた。日本じゃ大きな銭湯の露天風呂でもない限り考えられない、この上ない開放感と、周辺から感じる人の気配。  そしてなにより、この場所には男の人もいる。それが最大の興奮材料だった。  私は、海外のヌーディストビーチに立っていた。  金銭的な意味でも、立場的な意味でも、こんなところに堂々と立つことなんて、自分じゃまずできない。  人の経験を体験できるアプリの新機能様々だった。 (う、うわ……すごい、見られてる……?)  日本人が珍しいのか、ヌーディストビーチとはいえ、若い女性がこれほど堂々と裸を晒しているのが珍しいのか、とにかく色んな方向から視線が向けられている気がする。  基本的に他人の経験ではあるから、その行動はその人のそれに準拠したものになる。強制的に体が動くのとはちょっと違って、自然とその行動をなぞるように体と心が動くというのだろうか。  とにかく、深いことは考えず、無理に行動しようとせず、流れに身を任せれば勝手に経験は進んでいくので、私は露出の感覚を味わうことに集中することができた。  足は自然とビーチの中を縫うように、身体を一切隠すことはせずに歩いていく。歩いて揺れる乳房の感覚も、足裏の砂の感覚も、肌を刺すお日様の感覚も、すべてが私にとって新鮮で、開放感もありながら羞恥心も程良く刺激されて。私は身体を震わせていた。  私はこの人の経験をもっと堪能しようと、歩を進める。  ビーチを歩くこと数分。私は今度は波打ち際にいた。  海に入ると、明らかに日本の海とは違う感覚で、海外のビーチというのがどういうものなのかという単純な点も中々興味深かった。  あるいは露出プレイに一切関係なく、こういう体験をしてみるというのも、おもしろいのかもしれない。けれど、今回の目的はそれではない。だからとりあえずそれは保留にして、まずはこの露出プレイとしての体験の記憶を最後まで楽しむことにする。  程良く波打ち際で遊んだあと、私はビーチに戻り、自分が使用しているのだと思われるパラソルのところまで戻ってきた。  そこにあったタオルでさらっと体を拭く。滴っていた海水を拭き取ると、少し和らいでいた裸の感覚がまた強くなってくる。ここからが露出としては醍醐味なのだから、興奮するのも無理はない。  私はフェイスタオルを一枚手に取ると、それを持ってチェアーに腰掛けた。  そしチェアーはかなり広く作られているもので、寝転がっても十分スペースがある。これは肌を焼くための椅子なのだろう。  その上に寝転がると、私は顔の上にフェイスタオルをかぶせ、いかにも肌を焼いてますよ、いう風を演出する。  ここからは誰にどう見られるかもわからないまま、無防備な裸をひたすら外気に晒し続けることになる。私は日本なら絶対にできない体験に心臓が破裂しそうなほどの興奮を覚えていた。日本でこんなことをしようものなら、即警察を呼ばれてしまうことだろう。  けれど、ここは外国で、ヌーディストビーチだ。誰にはばかることなく、合法的に開放感のある露出プレイに興じられる。私はそんな楽しみに身を浸していた。  ざわざわと周りからは絶え間ない喧噪が聞こえてくる。時には、すぐそばを人が歩いて通り過ぎる音もする。私は肌を焼く振りをしているから、手で体を隠すなんてこともできない。いかにも「肌を焼いていますよ」という顔で乗り切らなければならない。  私は思わず体を動かしそうになるのをこらえないといけなかった。いくら性に奔放な外国とはいえ、こんなところでオナニーなんか初めてしまったらさすがにそれは普通に通報される案件だ。許してもらえるとは思うけど、それでも恥ずかしいことに代わりはない。だから私は、じっとすることを自分に貸し、ただひたすらに耐えなければならなかった。  それでも、体は正直だ。まるで周囲から視線が次々刺さってくるように感じただけで、じっとりと肌に汗をかく。  もうすっかりあそこは濡れてきてしまっていたし、胸の方に関してはわずかな光の加減さえもわかるほど、硬く、鋭く、感覚が研ぎ澄まされていた。  思わず声が出てしまいそうになるのを、必死に意志の力で押さえつけ、私は露出プレイに興じる。  そんな私のそばに、誰かが立つ気配がした。  どくん。と心臓が跳ねる。  気のせいかと思って注意を張り巡らせてみると、やっぱりすぐ近くに人が立っている気配がする。この人は誰なのか、私にはわからない。  もしかしたらこの人は知り合いと一緒に来ていて、あとで合流する予定があったのかもしれないけど、体験しているだけの私にそこまでの知識は流れてこない。  だから、さらにドキドキとした気持ちを抑えることしかできなかった。  何か話しているような気もするけど、私にはよく理解できない。あくまでこの経験をした人が聴いた内容をそのまま聴かされているだけだから仕方ないといえば仕方ない。  いくら本人がわかっていても、相手が誰かと話しているのだとしても、私にはそれが何の意味かはわからない。何を話しているのかわからない恐怖というのも、中々にスリリングだった。  ふと、その人の声がしなくなった。  そして同時にカメラのシャッター音が響いた。写真に撮られた。そう思った瞬間、思わずびくんと体が跳ねてしまった。  それは驚いたからではもちろんない。写真に撮られ、それが拡散した時のことを思って、思わず感じてしまったのだ。  自分の裸が見ず知らずの人の端末に記録され、しかもそれがどう扱われるかもわからない。その恐怖と、それ以上の興奮。  私は思わず絶頂してしまっていた。  傍目からも明らかな反応をしてしまったら、もうこの場にいることなんてできない。  目を見開いて、起きあがる。  けれど、そうして見えてきたのは、予想していたような男性による視姦ではなく、非常に豊満なバストを持つ、女性の笑顔だった。当然、その人も水着を身につけてはいない。  その人を見たとき、私の胸に去来した感情は、大きな安堵感と少しの肩すかし感だった。その女性が手にしているカメラを見せつけながら朗らかに笑う。 「ーーーー」  きっとそれはこの体の人の名前だったんだろう。とてもやさしく甘い声で、その名前は呼ばれた。  体験をさせてもらっている私には全く意味がわからない言葉を、勝手に口が喋る。相手の人が朗らかに笑っているところを見ると、やはり知り合いであることは間違いないようだ。  話しているとその人が私の座っている椅子に腰掛けてきて、その腕が私の腰に回される。そして大胆にも私の秘部に指先を入れてきた。もちろん私は仰天するのだけど、それは経験でもそうだったようで、私にもわかる小さな悲鳴が上がった。  慌てて口を抑えて周りを窺う。幸い近くに人はおらず、こちらを気にしている様子の人はいない。早口で抗議する私に対し、その人は気にせずさらに刺激を加えてきた。露出行為によって敏感になっていた身体が反応してしまう。  女の人は指を抜き取り、べとべとになって糸を引く指先を見せ付けてくる。私は顔に熱が集中し、羞恥心を感じつつも、刺激を加えられたことにより興奮がさらに高まるのを自覚した。それは女の人にはお見通しのようで、今度は胸に触れてきた。  この身体の乳房は日本人としては結構大きめだと思うけど、相手の外国サイズのそれには敵わない。女の人は身体をすりつけるようにしてこちらの身体を抱いているので、その規格外のサイズの乳房が押しつけられて、柔らかさが伝わってきていた。  敏感な尖端を指先で押しつぶされ、指の腹でこねくり回されると、頭の中で火花が飛び散るほど感じてしまう。  なんとか声をあげないようにと堪えていたけど、そうでなくとも女性の二人組は目立つ。遠くでちらちらとこちらを見ている人の視線が身体に突き刺さってきていた。その視線が私をさらに昂ぶらせ、より強い快感を生じさせる。  女の人が私の顎を捕まえ、自分の方に向けさせたかと思うと、その口で私の口を塞いで来た。まさかそんなことまでされると私は思っていなかったので驚いた。私は驚いたけど、本来はそうではなかったようで、むしろ自分から舌を絡めに行く。  濃密なディープキスの時間はそう長くは続かなかった。というのも、相手のテクニックがすごすぎて、絡めにいったことを後悔するほどに翻弄されてしまったからだ。  呼吸すらままならなくなった私は、身体も同時に弄られ続け、やがて再び絶頂が訪れて、視界が真っ暗に暗転する。  かろうじて映った最後の視界で、女の人が優しく微笑んでいた。  そして、不意に私の意識が元の自分の部屋に戻る。  投げ出された携帯、布団に横たわる身体。鼓動が早く、全身が汗だくになっていた。  オナニーで達した時のような、身体の気怠さはなかったけど、心は相応に疲れを感じている。時間はほとんど経っていないとはいえ、あまり連続で体験しすぎると心の方が悲鳴をあげそうなので注意しなければならない。  それにしても、すごい経験だった。  あんな堂々と公然とプレイして大丈夫だったのだろうか。いくら外国のヌーディストビーチとはいえ、性行為を見せ付けるようなことは許されないはずだ。  実際にあったことなのかと少し疑問に思うけど、そうでなければアプリで収集されるわけもない。そんな経験を持つ人と偶然にも行き会ったということに感謝すべきだろう。  それにしたって、ものすごく特殊な経験だとは思うけども。  あんな経験をしていたくらいだ。もっと特殊な経験もしているに違いない。  もっと深く、経験の持ち主のことを調べてみるべきかもしれない。名前はわかっているのだし、探しようはあるはずだった。  私はそう思い、いまの経験の持ち主を「お気に入り」としてアプリに登録する。  すると、さらに詳細なデータがアプリ内に溢れた。  なんとも至れり尽くせりなアプリだ。改めて調べる必要がなくなってしまった。  追加された内容に興味を惹かれたけど、先に自分の体の問題を片付けないといけない。  実体験に等しいレベルで、露出の感覚を体験してしまったので、現実の私の体は激しく興奮していた。ちゃんとバスタオルを敷いておいたからよかったものの、そうでなければ溢れた愛液でシーツを汚してしまっていたことだろう。  私はその後片付けに動きつつ、どんな人なのか思いを巡らせるのだった。 露出アプリversionアップ ~すれ違い通信~ 終わり


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