流刑少女 壱の国 4
Added 2018-07-07 13:13:24 +0000 UTC長官の指示の元、次の責め苦の準備が進められていた。 壁際に立ち、その様子を眺めていた司令官が、どこか楽しげな長官に対して尋ねる。 「それで、次はどういう罰を与えるんだ?」 「我が国特産の『あれ』を用います。本来は尋問する時に使うものですが……性質上、拷問にも使えますからね」 その話を聞いて、司令官は何をするつもりなのか悟ったようだ。 なんとも言いがたい渋面を作る。 「ああ、あれか……あれはキツいな」 その実感の籠もった言葉に、長官は不思議そうな顔をする。 「貴女も体験したことがあるのですか?」 長官だけではなく、見物に集まっているその他の上層部たちも驚いていた。 誤解を生んでいることに気づいたのか、司令官が言う。 「無論、尋問の対象者としてではないぞ? 掌で試しただけだ。上に立つ者がその性能を把握しないわけにもいかんだろう?」 その弁明に、上層部たちは納得したようだ。中には深く頷いている者もおり、同じようなことを行った者もいるようだった。 「ああ、なるほど。……でしたら想像しているより、よほど悲惨なのでお覚悟くださいね」 さらりと脅すようなことをいう長官。 「ふむ……君が悲惨というからには、相当なのだろうな……」 「ちょっと……それじゃあまるで私が極悪非道な鬼畜野郎みたいじゃないですか」 「事実だろう?」 その司令官の言葉に、その場にいる面々から一切の反論が出ない辺りで、推して知るべしである。 なお、同じ部屋の中であり、ふたりは声量に気を遣っているわけでもなかったため、その会話は囚人の女性にもはっきり聞こえていた。 どんなことをされるのかと、明らかに怯えの感情が顔に浮かんでいる。 その様子を満足げに眺めつつ、長官の指示通り準備は進められていた。 彼の命令に従い、尋問官たちの手によって準備されたものが部屋に運び込まれる。運んできた尋問官は、いずれも小柄な女性であり、彼女たちは皆一様に顔をマスクで隠していた。 正式な尋問官として中央管理塔に務めている彼女らだが、容赦なく罪人を責め立てる手助けをする彼女たちは忌み嫌われる存在でもある。 そのため、個人がわからないように顔を隠し、身体の特徴もわからないよう、ゆったりと身体の線がでないような服を身につけていた。 それがなんとも不気味な様相を呈しており、人によっては彼女らの姿を見るだけで恐れ戦き、自白を始めるものもいるくらいだ。 囚人の女性も感じる恐怖に差はないのか、その不気味な者たちを怯えに満ちた目で見つめている。 彼女が普通の罪人と違って憐れなのは、たとえ心底その存在に怯えても、課せられる責め苦を回避する方法がないということだった。 尋問官の女性達が運んできたのは、一抱えほどもある大きなツボ、動物の毛をふんだんに使った太い筆、そして、折り畳まれた大きく分厚い革袋だった。 「人」の字型に拘束された女性の両手の拘束が一端解かれ、今度は「大」の字型になるように拘束され直す。首輪と口枷しか身に付けていない状態で、身体を開かされた彼女は羞恥に身体を朱に染めた。 「口枷はいかがいたしましょうか」 尋問官のひとりが長官に淡々と尋ねる。 「口を割らせることが目的ではありませんから、外さなくていいですよ。むしろ、舌を噛んで怪我をされても困るので、そのままにしておいてください」 その言葉の意味は、舌を噛みたくなるような状態にされるということだ。 長官の言葉に頷き、尋問官の彼女たちがその細い手に皮の手袋を嵌める。何かの動物の皮をなめして作られたものなのか、怪しげな光沢を放っていた。 その手袋は腕の付け根くらいまで覆う長いもので、彼女たちの腕の輪郭をしっかりと浮き上がらせるほどにぴっちりと張り付いていた。 「では、始めてください」 準備が整ったことを見てか、長官が開始の指示を出す。 尋問官たちは揃って頷き、運んできたツボの蓋を開いた。途端、部屋に甘い香りが漂い始める。それを嗅いだ司令官は、腕を組んで苦笑いを浮かべた。 「まったく。匂いは悪くないんだがな……」 「最近は匂い成文だけ抽出して、香料として活用できるようになったようですよ。まだ実験段階ではあるようですが。……香水として完成したら、お贈りしましょうか?」 長官の言葉に、司令官は純粋に嫌な顔をする。 「やめてくれ。良い匂いであることは確かだが、尋問の光景が連想されてしまうだろうが」 「……それもそうですね」 「第一、私に香水など似合うものか」 「決して、そんなことはありませんよ。……まあ、貴女は元々いい匂、ぐッ!」 司令官の拳が、長官の脇腹に突き刺さった。力加減は調節されていたようだが、的確にツボを突かれた長官は蹲って悶絶した。 耳の先が赤くなった司令官が、苛立ち混じりに吐き捨てる。 「ばかもの。場所を考えろ、場所を」 この場にいるのは司令官と長官のふたりだけではない。 国の重鎮たちが、なんとも面映ゆい様子で、わざとらしく視線を逸らしたり、口笛を吹いたりしている。 「ふ-。尋問室は熱いのぅ」 将軍などは、そんな風に呟きながら、わざとらしく手で扇いで見せていた。 司令官がそんな彼らを睨みつけると、これまた露骨に顔を逸らす。 そんな重鎮たちのやりとりを丸っと無視して、尋問官の女性たちが太い筆をツボの中に突き入れる。そして持ち上げると、筆の毛にどろりとした白い液体がこびりついていた。人によって表現の仕方は様々だろうが、有り体に言って白濁液のそれがもっとも近い。 男性器から分泌されるそれよりは、色的に純粋な白に近かったが。 「どこから始めましょうか?」 「そうですね……まずは二の腕あたりで、その液体の効果を実感させてあげなさい」 長官の指示に従い、尋問官が囚人の女性の左の二の腕に筆を走らせる。 「ウゥ……ゥッ……」 拘束されて逃げられない彼女は、その筆を避ける術がない。二の腕に白い線が引かれた。 待つ、というほどの時間もなく、その効果が表れ始める。囚人の女性が身体を震わせ、腕をしきりに揺すり動かし始める。 「ムゥ……ッ! ウー! ウウゥッ!!」 まるで腕を振り千切らんばかりに身体を揺すり、暴れる囚人。 その動きに合わせて豊かな乳房が波打ち、淫らな踊りのようにも見えた。 彼女の全身から汗が噴き出し、その肢体をより魅力的に彩っていく。それだけではなく、血行が良くなっているのか、彼女の全身がほんのり赤く染まっていた。 それはまるで性的に感じているかのようで、二の腕に液体を塗布されただけのはずの彼女が理解不能な自分の状態に困惑しているのがわかる。 「……二の腕でこれか」 司令官は苦虫を噛み潰したような渋面を作る。 「ふふふ……掌と違って、二の腕は心臓に近いですからね。成分が回る早さと強さが違います」 尋問官たちが塗っている液体、いわゆる塗り薬であるが、その効能は性的感覚の開発と増幅だった。 この国で取れる果実を搾り、特別な方法で熟成させ、長期間保管することで完成する。 幹部に濡ればどのような体質であろうと性感帯として開発され、そこに軽く触れるだけで絶頂するようになる。さらに身体に浸透した成分は血流に乗って全身に回り、全身の開発まで徐々に進行するというのだから恐ろしい。 本来は不感症の治療などに使われるれっきとした薬であるが、場合によっては媚薬として用いられることもある。 あまりに強力すぎるため、普通は原液を何倍にも薄めて使われるものだ。 尋問においてはそんな塗り薬を原液のまま塗布する。当然効果は絶大であり、時には喋るだけ、呼吸するだけで絶頂するようになってしまった罪人がそのまま絶頂死したこともあったとされる。 一応解毒剤のようなものもあり、また死なずに生き続けることができれば、効能は徐々に後遺症なく抜けていく。それゆえに、尋問のための道具として活用されているのだ。 ただ、尋問の道具として使用されることからもわかるように、ただ気持ちよいだけの薬ではない。 適切に使えば薬となる液体も、原液をそのまま身体に塗るというようなことをすれば、それは効き過ぎる毒となる。性的な快楽を得られるだけでは済まなくなるのだ。 「……自分で試した時はすぐ拭ってしまったからな。だがとても意思の力で抑えられるほどの感覚ではなかった」 「原液は強力なものですからねぇ。大抵の場合、かぶれます」 鋭敏になったところに、かゆみを生み出す。それはえげつないほどの効果を発揮する。 もし彼女の手が自由であったなら、彼女は液体を塗られたところに爪を立てて思いっきり掻き毟っていただろう。血が滲み、肉が抉れてもかゆみは治まることなく、彼女は自分自身を傷つけ続けたはずだ。 当然、感覚が鋭敏になっている以上、痛みも凄まじいものになるのだが、それでも止めることは出来なかったに違いない。 罪の重さによっては、それを刑罰とすることもあるのだから、その威力は実証されていた。 「さて……そろそろいいでしょう。他の部位にも塗って差し上げなさい。ああ、暴れるでしょうから、もう少し拘束をキツくしましょうか」 嫌がって首を左右に振る彼女の四肢が、それぞれの方向に鎖を持って強く引かれる。 脚も腕も限界近く引き延ばされている。 四肢にそれぞれ牛を繋いだ縄を結び、牛を走らせる『牛裂きの拷問』を受けているような状態だ。その拷問と違い、彼女の四肢を引いているのは歯車で引く強さを調節出来る機械であるため、千切れることはなかったが、あるいはそうなっていた方が幸せだったかもしれない。 尋問官の女性達が、囚人の女性の身体をキャンパスに液体を塗りつけていく。 背中、太股、首筋、鎖骨付近、お腹。 一塗りされるごとに女性は身体を震わせ、悲鳴とも嬌声とも付かない唸り声を力の限りあげる。身体を暴れさせる範囲は狭くなったが、わずかな範囲で身体を揺り動かし、身体の中で暴れる感覚を少しでも外に逃がしたいという考えが伝わってくる。 やがて身体を暴れさせる体力が尽きて来たのか、口枷ごしに荒い呼吸を繰り返す以外に、動きがなくなってくる。 彼女の口元からは涎が際限なく滴り落ちていたが、それは下の口も同様であった。涎と愛液が混じり合った物が、彼女の足下に水たまりを作り出すほどに零れ落ちていた。 「……すさまじいな。これは」 同じ女性であっても――あるいはだからこそ――その感じ方は異様だったのか、さしもの司令官も怯み、唸らざるを得ない。 「いまの彼女は全身が性感帯になったようなものです。身体を揺すり、呼吸をする。それだけでも気持ち良く絶頂出来ることでしょう」 ただし、と長官は笑う。 「ここから先は――気持ちいいとは言ってはいられなくなるでしょうけど」 尋問官の女性達が、筆を置いた。 そしてその特殊な皮に覆われた腕を、直接ツボの中の液体に浸す。 液体に浸かった腕を持ち上げ、囚人の女性へと近付いた。何をするつもりなのか悟ったのだろう。囚人の女性が悲鳴とはっきりわかる高い声を振り絞る。 当然、それで尋問官たちが止まることなどなく。 液体に浸った尋問官達の腕が、女性の乳房を背後から無造作に鷲づかみにした。 「ンギイイイイイイイイイイイイッッッッッ!!!!!」 どこにそんな力が残っていたのか疑問なほど、女性が大きな悲鳴を上げて身体を跳ねさせる。鎖が軋み、彼女の身体自身も軋んだが、そんなことには構わず、女は白目を剥いて痙攣していた。 「あれでよく関節が外れないな……肩くらいあっさり外れてしまいそうだが」 「大国の者は丈夫ですからねぇ。うちの国の囚人だったら、今頃全身脱臼して刑罰を執行するどころじゃないかもしれません」 そんな風に司令官と長官がのほほんと会話する間にも、尋問官の行動は続いている。今度は、女性の股間に狙いが定められた。股間を丸ごと尋問官の掌が覆い、揉みしだくようにして液体を染みこませていく。 表面にそうやって塗られるだけでも相当な責め苦となるが、当然それだけで済ませられるわけもない。 尋問官の女性は液体に濡れた指先を束ねると、先ほど司令官がローターを強引に取り出したときのように、無理矢理彼女の女の穴にその指先を突き入れていった。 手首を回転させながら、徐々に奥へ。絞り出されるように手に付着した液体がこそぎ落とされ、愛液と混じって垂れ落ちていく。 「~~~~~~ッッッッ!!!!!」 声もあげられない彼女が、何度も失神と覚醒を繰り返す。並の人間なら発狂していてもおかしくない状態だ。 それでも尋問官は指先を押し込むのを止めない。すでに彼女の指の付け根辺りまで穴に入り込んでいた。女性の細い指であっても、四本束ねた太さは相当なもので、ましてやそれに特別な液体が塗されているとなれば、囚人の彼女にかかる負担はどれほどのものか。 さらに尋問官が奥へと押し込もうとしたところを、長官が止める。 「そこはそれくらいでいいでしょう。後ろの穴にも塗しておいてください」 その言葉を受け、尋問官が女性の秘部から指を抜く。彼女の穴は先ほど司令官が同じようなことをやったことがあって、ぽっかりと穴を覗かせるようになっていた。 「子宮口まで塗りつけるかと思えば……長官殿はお優しいのだな」 そんな司令官のセリフに、その場にいる上層部のほぼ全員が「どこがだ」と内心ツッコミを入れていたが、長官は気にせず自然体で受ける。 「いくら丈夫とはいえ、人体は人体ですからね。限度を超えて千切れてしまっても面倒ですし」 もし膣が裂けて重傷を負ってしまえば、今後はそこを責められなくなる。 「大国の人たちはそう簡単に死にませんし、治癒力も段違いらしいのですがね。普通なら死ぬような重傷も、数日寝てれば治るとか……」 「とんでもない話だな」 一方、そんなとんでもない大国の囚人は、尋問官のひとりによって肛門にまで液体を塗りつけられ、ますます悶絶の度合いを激しくしていた。 もはや全身のどこからどういう感覚がしているかもわかっていないだろう。暴力的な感覚の渦の中に放り込まれているような状態だった。 やがて一通りの塗りつけが終わる頃には、囚人の彼女は息も絶え絶えで、半ば気絶している状態だった。 「では、ひとまず、今日の責めはこれくらいにしておきましょうか」 長官はそう言ったものの、責めがまだ終わっていないのは皆わかっていた。 なぜなら、尋問官たちが運び込んできた道具の中で、まだ使われていないものがあったからだ。 一端囚人の彼女の足の拘束が解かれたかと思うと、脚を揃えた状態で再び固定される。それどことか、微塵も足を動かすことができないよう、太い縄でしっかりと縛りつけられた。 正座した状態から微塵も動かせないに違いない。 さらに、今度は両手の拘束が外され、後ろ手に揃えた状態で固定される。手の先は拳を握った状態で小さな袋が被せられ、指先を使った動きも出来ないようにされていた。 さらにさらに、背骨に沿う形で金属の棒が通され、正座した脚の膝あたりの結び目を通して、上半身を縄で縛られてその棒に固定される。囚人の彼女は正座した状態から上体を後ろに倒した姿勢となり、起き上がれなくなくなった。 金属の棒は彼女の頭側で天井からぶら下がったフックにぶら下げられるようになっており、彼女の身体はそれによって空中に浮かんだ。 そこで、大きな皮袋の出番だった。 膝から被せるようにして、彼女の全身が袋に詰められていく。袋の大きさはギリギリで、かなり無理をしながら押し込んでいるような気配もあった。 袋をある程度のところまで被せると、一端膝が床に着く辺りまで降ろされ、さらに袋の口が引き上げられた。首のあたりまで囚人は袋に覆われたことになる。 「袋詰めか」 「少々窮屈ですが、今日はこのまま寝てもらいましょう。明日のための仕込みをしておいて……ね」 長官が指示を出すと、尋問官たちが袋の口を引っ張りつつ、隙間目がけて先ほど囚人の全身に塗りたくった液体を注いでいく。 容赦のない量が袋の中に注がれ、袋の中は凄まじいことになっているだろう。 しかし無情にも袋の口が閉じられ、頭だけを覗かせた囚人の女は、不意にその意識を覚醒させる。 「ゥ……ウゥ……? ウ、ゥッ!?」 自分の状態に気づいたのだろう。慌てて体を動かそうとするが、縛られた上にギリギリサイズの袋に詰め込まれた彼女の身体は一ミリも動かない。 その状態のまま、彼女の身体は引き上げられ、空中にぶらんと浮かんだ。彼女が体を暴れさせると、わずかに振り子のように揺れる。 「あまり暴れない方がいいですよ。揺れすぎるとかなり苦しいでしょうから」 そんなことが無理なのは承知な上で、長官が楽しげに忠告する。 無論、浸された液体の効力によって全身が燃えるようなかゆみに襲われた彼女は、しきりに呻き、わめき、涙を流していた。 「見張りも立てておきますし、時間ごとの水分補給くらいはさせてあげますから、がんばって耐えてくださいね」 そういって長官は司令官および上層部たちをつれ、尋問室を去っていく。 あとには、ミノムシのようにされた囚人の彼女だけが、治まらない体の疼きに嬲られながら、揺れていた。 (次回:2018年7月14日 22:00頃更新予定)