SamSuka
夜空さくら
夜空さくら

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改変された世界の片隅で ~親友はこの世界に順応しているようです~

 美夜はとても人懐っこい子で、寝起きの悪い私を起こしに来てくれる。  子供っぽいところも多々あるけど、弁えるところは弁えられる空気を読むのが上手い子だった。  そんな美夜が、ぴっちりスーツに全身を覆われ、腕を後ろで固定され、首や胸やあそこを金属で覆われたエッチな格好で、私の前に立っている。  美夜は私に会えて嬉しいのか、目元だけでニコニコ笑いながら私に近付いてきた。 「ウー♪」  おはよう、とでも言っているつもりなのだろう。その様子からはこの状況に対する困惑や恐怖は見て取れない。いくら美夜が天然気味と言っても、私同様に突然この状態にされたのであれば、そんなにおちついてはいられないはずだ。 (やっぱりこの変化に気づいているのは私だけ……? でもどうし……ひゃあ!?)  巡らせようとした考えは、美夜が急激に接近してきたことで打ち消される。  美夜は私の目の前まで来ると、背丈が私より少しだけ低いから背伸びをして、私の口に自分の口を合わせて来たのだ。  もちろん、私も美夜も頭まで妙な服に覆われているから、その服越しではあったけど。  間に変なものが挟まっているとはいえ、口と口を合わせるキスなんていうのは、外国でも恋人同士くらいでしかしない。そして私と美夜は仲が良い親友ではあったけど、そういうことをする恋人ではなかった。 (ちょ、美夜……く、ぁっ!?)  嫌悪感とかそういうものを感じる前に、それどころじゃなくなった。  口と口を合わせて数秒後、身体の中で何かが動く感じがしたからだ。  痛みとかはなかったけど、私にとってその場所の奥から生じた感覚は、未知の物だった。  いままでもそこにそれはあったはずだけど、あまりに自然に存在していて、気づけなかった。でも一度ある、と気づいてしまうと急にそれを意識してしまうようになる。 (う、うそ……でしょ……?)  男性と交際したことはなく、当然ながらセックスの経験もない私は、処女のはず。  そこに異物が入り込んでいるという状態はおかしいはずだった。  けれど、現実としてそこに何かがある。  突然判明した事実に呆然としている間、同じように身体の中をかき回されたはずの、私と同じように処女のはずの美夜は、とろんと気持ちよさそうに目を細めていた。  気持ちよくなんてなれないはずだ。  私が感じているように、異様な感覚に戸惑うのが普通。なのに美夜は気持ちよくなっているらしい。 (実は美夜は経験豊富だった……とか、そんなわけないわよね……)  確認したわけじゃないし、もしかすると美夜は元々処女じゃなかったのかもしれない。  けれどいつもの美夜の様子を見る限りでは、その可能性を考えるよりは、何か不思議な力によってこの状態が普通に改変されたと考える方がまだあり得そうだ。  身体の中で動いた器具はすぐに止まった。どうやら、キスをすることで器具が動く仕組みになっているらしい。  止まったことに安堵する私とは対照的に、残念そうにしつつ、美夜は私に背を向け、軽快な足取りで歩きだした。  少し行ったところで振り替えり、同じ場所から動いていない私を見てか首を傾げる。 「ウウ?」  どうやら待ってくれているようだ。慌ててその背を追いかける。  美夜は本来の彼女なら一度も履いたことのないだろう踵の高い靴でも、危なげなく軽快に歩いていた。それは私も同じことだけど。 (やっぱり、何もかもがおかしい……)  大がかりなドッキリとか、とんでもない規模の犯罪とか、そういうことを考えないでもなかった。  けど、私の身体の慣れ具合まで変わっているとなると、これはもう人智を越えた何かが働いているとしか思えない。  とにかくまずは状況を見極めるために、私は美夜のあとについて行った。  美夜がたどり着いた先は、予想通り食堂だった。  それはいいし、半ば予想していた状況ではあったのだけど、美夜についてきた私は、異様な光景に気が遠くなってしまう。  食堂には、私や美夜と同じ姿をした子達がぞろぞろといたのだから。  ここにたどり着くまでの過程で、何人もの同じ姿をした子たちとは出会った。けれど、食堂という大きな空間に、何十人も集まっている光景は、もはや異様というにも飛び抜けている。  ちなみに美夜とやったような「挨拶」は、特別仲良い子だけとするものらしく、すれ違うだけの子に対しては軽く頭を下げ合っただけだった。あの「挨拶」を皆とやっていたら消耗してしまうだろうし、助かった。  食堂の大まかな内装はほとんど変わっていなかったけど、変わっているところもあった。  その内のひとつが、いつも注文をするためにカウンターの前に皆が列を作るのだけど、いまはそのカウンターは封鎖されている。  それに、並べられている机はそのままだったけど、その椅子が変わっていた。昨日までの食堂の椅子は、どこにでも良くある、軽くて動かしやすい丸型のパイプ椅子だった。いまの椅子は床に固定されていて、妙にメカメカしい。なんというか、機械で出来た切り株みたいだ。 (どこで注文するんだろう……? というか、どうやって食べればいいの?)  私たちより前に来ている子たちの様子を見ても、拘束を解いてもらっているような様子はなかった。なにやら座る席に一台ずつ設置されているタブレットのようなものを一生懸命覗き込んでいるようだけど。  見渡していると、不意に腰を突かれる。美夜が不自由な腕で私を軽く突いたのだとわかった。  美夜が空いている席を見つけてくれたみたいだ。ふたつ並びで空いた席に座る。  それと同時にお尻から、かちり、という音がした。 (ん……? なにいまの音……って、あれ?)  お尻が動かない。どういう仕組みかよくわからないけど、どうやらお尻の機械と椅子が連動して外れなくなってしまったようだ。  立ち上がれなくなってしまった。焦りつつ美夜の方を見てみると、美夜は何事もないかのように目の前にあるタブレットをじっと見ている。  何が表示されているのだろう、と私も自分の前のタブレットを見てみた。  そこには美味しそうな料理が映し出されていた。それが何秒かごとに切り替わっていく。定番の朝の朝食から、ちょっとどっしり重そうな丼物も表示されていた。それは昨日まで私たちが食堂で食べていたメニューの写真だった。 (まさかこれが食事ってわけじゃないでしょうね……?)  絵に描いた餅を食べろと言われているのかと一瞬思ってしまった。  けれど、不意に美夜が身体を曲げ、タブレットに鼻で触れたのを見て、そうではないことに気づく。小さな電子音がして美夜の前のタブレットの写真の切り替わりが止まる。みれば、美夜が朝にいつも食べている和風定食が表示されている。  美夜は満足したように身体を起こし、じっと動かなくなる。ふと、私が見ているのに気づくと、目で笑いかけてきつつも不思議そうに首を傾げた。 (……とりあえず、選べばいいのかな)  考えていても仕方ない。  私は自分の前のタブレットに向き直り、美味しそうな料理の写真が流れていくのを見つめる。 (たぶん、注文したら持ってきてくれるのよね……そしたら拘束も外してもらえるかも!)  先に来ていた人たちがそうではないというのに、私は希望的観測でそう思っていた。  適当な写真を鼻先でタッチする。 (あ、ちょっと朝から重いかな……)  切り替わるタイミングを見極めるのを失敗して、ちょっと量が多めの物を選んでしまった。まあ、無理そうなら残せばいいし。  美夜が少し驚きを持って私を見ているのに気づいて、「間違えちゃった」という意図を込めて苦笑を浮かべて見せる。目元だけで伝わるのかは微妙だったけど。  不意に、突き上げられるような衝撃が走った。 「ムグゥ!?」  思わず呻き、跳び上がりかけたけど、お尻は椅子に張り付いてしまったように動かない。何が起きたかもわからない中、お腹の中が熱い感覚に満たされていく。 (まさ、か……お尻にも、何か刺さってるの?)  それを通して、身体の中に液体が注がれているのだということを嫌でも理解する。 (もしかして、選んだ料理をお尻に入れられてる……? そんな!)  そうだとしたら、とんでもないことだ。流動食みたいにドロドロにしているのかもしれないけど、とても身体にいいとは思えない。  実際、料理そのものを液体状にしているわけではなく、栄養素を再現したものを入れているだけなのだけど、そんなことは私にはわからない。  なんとか外せないかとお尻を揺すって見るけど、全くびくともしなかった。  そうこうしているうちに、違う問題が生じ始める。 (うぐぅ……おなか……さけちゃう……!)  注ぎ込まれる液体の量はかなり多かった。自分のお腹が徐々に膨らんでいくのが見える。  貞操帯が抑えてくれるかと思ったけど、お腹が膨らむのに連れて徐々に形を変えているらしく、膨らむのを抑えてはくれなかった。 「ウウゥ……ッ!」  膨らんでいくお腹が苦しくて、背筋を反り返らせる。ただでさえ腕が固定されて胸を張る姿勢になっていたけど、それ以上に突き出すようにせざるを得ない。  死んじゃう、と思った瞬間、注入が止まった。私のお腹はぱんぱんで、かなりの重量があるのか、少し身体を捩るだけでずっしりとした重みが感じられる。  身体を捩った拍子に、椅子に座っているお尻の位置がずれ、固定が外れているのを知る。 (動けるようになったけど……く、くるしい……)  さらに、注がれた物が吸収され始めたのか、全身がカッと熱くなっていた。ご飯をたくさん食べたときのようだ。汗がにじみ出ているのがわかる。  いまは全身をラバースーツが覆っているため、汗でよりそれが張り付くような感じがして、気持ち悪かった。  しばらく椅子の上で悶えていると、すでに立ち上がった美夜が心配そうに私を見ていた。  私は心配させないようにと笑顔を浮かべようとしたけど、少し身体を動かそうとする度に苦しみが襲ってきて失敗する。  そんな私の様子を見て何を考えたのか、美夜が肩を使って私の肩を軽く押す。  身体の向きを変えるように言われているとなぜか悟った私は、椅子に座ったまま美夜の方に向き直る。背もたれがないから簡単だった。 (いったい、何を……み、美夜?)  向き直った私の膝の上に、美夜が乗ってくる。真正面から向かい合うような姿勢で、角に膨れた私のお腹と、普通程度に膨らんだ美夜のお腹が擦れ合う。  まるで仲睦まじいカップルが人目もはばからず抱き合っているようだ。まあ、私も美夜も両手を後ろに拘束されているから、抱き合っているわけじゃないけど。  なんのつもりかわからない私に、美夜はその顔を近付けてきて、「挨拶」の時のように口と口とを重ね合わせようとしてきた。  反射的に逃げようとしたけど、座っている私に逃げる自由なんてない。ささやかな抵抗虚しく、口同士が重なる。 「ムゥ、ウウゥッ!」  すると当然、身体の中の物が震え出す。「挨拶」の時は一瞬重ね合わせるだけだったけど、今回は中々離れてくれない。逃げようと試みる私を巧みに追って、重ね続ける美夜。美夜の中の物も動いているのが触れている太股から伝わってくる。  周りに沢山の人がいるのに、快感を与え合っている私たち。周りの人はそんな私たちを見ても何も反応しなかった。平然とそれぞれの行動を取っている。 (み、美夜……これ以上は……っ、ああっ!?)  身体の中で震えていたものが、急にその動きを変える。はっきりとそれの形がわかってしまうほど、ぐねぐねと蠢き始めたのだ。  目が眩むほどの快感が生じて、身体が跳ねそうになるけど、膝の上に美夜が乗っているから動けない。 「ウゥ、クゥッ、アッ」  足が跳ねる。それは膝の上に乗っている美夜のあそこを突き上げるのと同じことだった。 「ウゥッ! アウッ」  相当大きな刺激になってしまったのか、美夜が苦しげな声を上げる。  思わず心配してしまったけど、苦しげな声をあげた割に、美夜は気持ちよさそうだった。明らかに目が蕩けている。  なんでこんなことをするのかと思ったけど、快感に振り回されていると、お腹の苦しみを忘れることが出来ていた。そして、快感で誤魔化している間に、少しお腹の苦しみが落ち着いて来た気がする。 (よほど吸収がいいのかしら……でも、そんなのってあり得る……?)  不思議ではあったけど、とにかく苦しみが和らいだのは助かる。  そのことを私の目から悟ったのか、美夜の目元がにっこりと笑った。 「フゥッ、ウウウッ!」  美夜の身体がびくんと震え、彼女は絶頂を迎えたようだった。  私はといえば、気持ちよくはなれたけど、絶頂までは行っていなかったので、少しだけ不満が燻る。  美夜は私から離れると、困ったような目で壁に掛けられた時計を見る。 (ああ、そっか……授業があるのよね…………この格好で?)  反射的に授業のことを思って、この状態で受けられるのかどうかが気になった。  美夜についていくべくなんとか立ち上がる。中途半端に高められた身体が疼いていたけど、これ以上ここで時間を浪費するわけにはいかない。 (あ……まずい……)  食堂から出たところで、私は衝撃のあまり忘れていたことを思い出した。  お腹に大量に注がれた物が吸収されたことも関係しているのかもしれないけど。  おトイレに、行きたかった。 つづく  


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