全身触手スーツを作った悪の科学者 成り代わりの章 前編
Added 2021-05-17 13:59:36 +0000 UTC■ 悪の科学者である僕は、自分で作った『全身触手スーツ』を用いて、僕を捕まえようとする捜査員を屈服させ、性奴隷にするはずが、スーツの暴走によって心臓を貫かれ、あえなくその悪の華を散らした――わけがないだろうが! 悪の科学者はしつこいものなのだ。これは悪の科学者である僕が、再び起つまでの物語。
■ 約6年前に書いた『全身触手スーツ』(https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=4599297)の続編というか、番外編のようなものです。以前の話を読んでいなくても楽しめますが、まだ前作を読んでいない方にはぜひ前作も読んでいただきたいですーw-ペコリ
■ この作品には触手服・皮物・軽微なグロテスク表現・乗っ取りなどの描写が含まれます。苦手な人は回避をお願いします。
■ 続きは支援者様向けと、全体向けの交互に書いていく予定です。ある意味バッドエンドで、ある意味ハッピーエンドな結末になる予定なので、完全無欠にハッピーエンド以外はダメだという方はご遠慮ください。
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僕は悪の科学者である。
若干昭和の香りのする名乗りではあるけれど、実際そうとしか言えない存在なのだから仕方ない。
科学の発展を目指して、単に実験をしているだけなのに、悪だのマッドサイエンティストだの言われるのは正直業腹なところもある。まあ、自分の楽しみのためにその研究成果を使っていることを否定はしないが、科学の水準を何百年も何千年も進めていると考えれば、それくらいの特権は許容して然るべきだと思う。僕の研究にはそれだけの価値がある。
だけど、残念ながら僕は自分の行いを客観視できない愚か者ではなかった。
自分の行動が世間一般的な善悪の基準に照らし合わせた時、悪事に該当するということは誠に遺憾ながら理解できていた。
僕の主な研究は、自分が作り出した最高の生物にして道具である、「触手」をどう活用するかということだ。
その中でも『全身触手スーツ』は、僕の数多存在する研究成果の中でも最高傑作と言っていい。
全身触手スーツは、人に身につけさせるとその者の全身の神経を侵食し、その者を性的に際限なく責め続ける。
その結果、たとえどんな強固な意思を持っている人間であろうと関係なく、性奴隷に堕とすことが可能だった。
男でも問題はないが、女の方が効果は抜群だ。何度か適当な女を攫って実験したが、誰一人として僕の奴隷にならないままでいられる女はいなかった。
スーツは全自動で動き、自発的にせよ強制的にせよ身につけさせさえすれば、後は自動的に責めて追い詰めてくれるので、これ以上のない優秀な発明であると言えるだろう。
だから僕は僕のことを悪の科学者として敵視し、付け狙ってくる忌々しい捜査官を捕らえたとき、そのスーツを使った。
僕のような存在を追ってくるような捜査員なのだから、恐らく拷問や尋問に対する訓練も受けていたはずだけど、全身触手スーツの力に抗うことなどできるはずもなく、その捜査員はあっさり僕の奴隷になる道を選んだ。
あまりに上手くいきすぎて、自分の才能が怖くなってしまったくらいだ。
だが、しかし。
全身触手スーツはあまりに優秀すぎた。
ただの道具として調整したはずだったのに、僕の想像を遥かに超える進化を遂げていた。
自我とでもいうべきものが芽生えており、その触手スーツはあろうことか、その捜査員に執着するようになってしまっていた。
これはあくまで予測の域を出ないけれど、人間でも男女の間に相性があるように、たまたまその捜査員の体とスーツに使用した触手の相性がとてもよかったのだろう。
触手にも好みに該当する感覚があるということはわかっていたのだが、それがまさか創造主たる僕に反旗を翻すほどのものとなるとは、認識が甘かったと言わざるを得ない。
結果、女から引き離されることを拒んだ触手は、包み込んだ捜査員の女の体を使って、僕の体を一突きにした。
比喩的な意味ではもちろんなく、物理的に心臓を抉り取られた。
油断もあったが、これに関しては見事としか言いようがない。僕が停止を命じる前に一撃で仕留めに来た点も素晴らしい。
古今東西、創造物が造物主を超えていく物語は鉄板のものではあるが、まさか自分がその越えられていく側になるとは夢にも思わなかった。
こうして、悪の科学者である僕は、その華々しい悪の花をあっけなく散らしたのだった……
――って、そんなわけがないだろう!!
悪の科学者はしつこいものだ。
やられた、と言ってそう簡単にやられないのが御約束、という物だろう。
確かに僕は胸を貫かれ、心臓を抉り取られた。
普通に考えれば即死だ。心臓を失って生きていられる人間などいるはずがない。
だがそれはあくまでも普通の人間なら、という前提があり、僕は凡人とは全く違う、天才科学者なのだ。
自分の死が人類にとっての大損失である以上、死なないで済むような対策は取っていて当然だった。
研究者として一番優先すべき、脳の機能のバックアップはしっかり取れていた。元々の体にある脳は死んでしまったが、触手にその中身をコピーできているので、今までと変わらない――触手側の脳機能の方が優れているので、元々そっちで思考していたようなものだし――人格と記憶を有している。
全ての触手が同時に焼き払われでもしない限りは、僕は僕であり続けることができるため、実質不死の存在となっていた。
とはいえ、まだ本当の不死には程遠い。滅する方法はあるからだ。
(今の状態では、攻撃されるとひとたまりもない……!)
幸い全身触手スーツは捜査員の女の体を貪ることに忙しいようで、こちらには見向きもしていない。
僕は部屋から出て、研究所内を移動し始める。
(さて……どちらにせよ、この研究所は放棄しないとな……)
研究設備などを失うのは惜しいが、どちらにしても捜査員が来た以上、遅かれ早かれ増援なりなんなりがくるだろう。
首尾良く捜査員を奴隷化出来ていれば、いくらでも隠蔽の手はあったが、あの触手スーツに飲み込まれてしまった以上、どうすることもできない。研究所は放棄するしかなかった。
皮とその内側の触手だけになった僕は、研究所内を這って進みながら、今後のことを考える。
(さて、どうしたものか……まずは誰か適当な人間を襲って、その体を軸にする必要があるな……)
皮と触手だけの状態ではあまりに制限が多すぎる。
実験体として攫ってきた人間が数人いるものの、それが見つからないとなると僕がまだ生きていることに気付かれかねない。
乗り変えているとは思わなくとも、あの部屋に転がっている死体が偽装によるものだと思われてしまいかねないからだ。
そう、この体は人の体を覆い、その人間に擬態することができるのだ。
ただまだ記憶まで吸い上げられるようにはなっておらず、完全になり替わることができるかといえばそうではない。
(厳しい実験の結果記憶喪失になったことにすれば……いや、僕にそういう腹芸は無理だしな……)
天才の僕ではあるが、得意なことと苦手なことくらいは自覚している。
この研究所にいるのは女ばかりだし、しっかり調べられたら、乗っ取っていることがバレかねない。
(やはりここは、これまでとは全く関係のない者を乗っ取るべきだろう)
それならばそうそう簡単なことではバレないはずだ。
問題は、この体は強いわけではないため、下手な相手に襲い掛かると逆に引き千切られてしまいかねないということだろうか。
(と、なると……狙うべきは僕よりも小さく、非力な存在……)
研究所から這い出した僕は、そのまま住宅地の方へと向かった。
時刻はすでに日中になっていたため、なるべく目立たない場所をこっそりと進む。
この僕が排水溝の暗がりを這いまわることになるなんて業腹だが、いま誰かに見つかるわけにはいかない。
(とはいえ、幼児や子供はさすがに体が耐えられないだろうし、異変にも気づかれやすいだろうから……)
這い進んでいた僕は、とある学校の前を通りがかった。
ここだ。ここならばそこそこ体が出来上がっている、非力な人間がいるだろう。
僕は誰も見ていないことを確認して、フェンスの下を潜り、敷地内へと侵入した。
そして早速――体育倉庫らしき建物の裏手、目立たないところで一人孤独に弁当を食べている女子生徒を発見した。
容姿はまあそこそこ整っている、のかもしれない。髪の毛は普通に黒色で、顔立ちからしても外人ではないだろう。眼の色も肌の色も普通。学校の制服を着崩さず身に着けている姿からすると、真面目な生徒なのだろうか。地味な身だしなみの割に発育はいい方のようで、凹凸のはっきりしたスタイルが服の上からでもわかる。手足は細く、いかにも貧弱な現代っ子という感じだろうか。これならばこの体で襲い掛かっても勝てるだろう。
あまりにも好都合な存在に、思わず目を瞬いてしまう。この体に目はないが、そういう感覚だった。この体の感覚器は触手に依存しているので、人間のそれよりはるかに優れているところが多々あるのだが、僕の認識が追いついていないせいでまだそれを完全に活かせているとは言い難い。
(……湿気でじめじめしているし、日当たりがいいわけでもない……人の気配もないし、校舎からは離れている……なんでこんなところに?)
不思議に思いはしたものの、好都合であることに違いはない。
おまけにその女子は背中を丸めて俯きながら食べているので、周囲を気にする様子もない。
襲ってください、と全身で主張しているようなものだった。
(交友関係が広いようにも見えないし、体を乗っ取るのにこれ以上ない逸材だな!)
僕は幼い頃から天才で、人とは違う人生を歩んできた。
だからその少女が世間一般的に見て、どういう存在なのかすぐには察することができなかったし、その必要も感じなかった。
ただ都合のいい獲物を見つけたという認識でしかなかった。
気づかれる様子もなかったので安心しつつ、僕はひっそりと体育倉庫の上へと昇る。
その女子の頭上に回り込んだ僕は、改めてその女子の様子を伺ってみた。相変わらず、俯いて食事に集中しているようだ。いままさに人生を終わらせようとしている僕が真上に迫っているのに、気付く様子もない。
(くっくっく……この僕の礎になれるんだ。光栄に思うんだね)
慎重に狙いを定める。彼女の食べている弁当は、あまり美味しそうに見えなかった。もちろんこの体になっている以上、普通の食物は必要としないのだけれど、その感覚の変化を差し引いて考えても、その弁当は非常にまずそうだ。まるで適当な残飯を無理矢理調理して押し込んだ、という感じさえする。まあそんなことはどうでもいい。
(君の体……! いただくよ!)
僕は体育倉庫の上から、体を広げつつ、その女子へと向かって飛び降りた。
さすがに頭上で傘が開けば異変に気付いたのか、女子が上を向く。眼を見開き、固まった。
まあそれはそうだろう。触手がびっしり生えた傘が落ちて来ていたら、誰だってびっくりする。
まん丸に見開いた眼が滑稽で、とてもいい表情だった。
そして僕の体が――触手がびっしり生えた僕の皮が、彼女の体へと覆いかぶさった。
つづく
Comments
当時から見てくださって、本当にありがとうございます! あのエンディングはいまでも我ながら珍しいエンディングだったな、と(笑) 続編と言いつつ、前作がほとんど関係なくて申し訳ないですーw-;
夜空さくら
2021-05-26 11:49:14 +0000 UTC全身触手スーツ当時は本当にびっくりしたエンディングです、続編がありますので、本当に嬉しい。
Ainaru
2021-05-25 05:06:07 +0000 UTCこれは確実にやっただろう、という爆発に巻き込まれても平然と次も出てくるのが悪役の御約束ですからねぇーw-ウム 女の子の境遇については、その通りでしてどう考えても虐められているフラグです。果たしてそれがどう活かされるかは……次回以降をお楽しみに!0w0クワッ
夜空さくら
2021-05-18 05:34:26 +0000 UTC中々どうしてそそる題材ですね~ 前作も見てきましたけど、この悪の科学者しぶといですねw それにしても体育倉庫の裏手で弁当って、どう考えても虐められている女の子のフラグが。 なんかすごく意外な結末になりそうで楽しみです♪
ミズチェチェ
2021-05-17 14:25:26 +0000 UTC