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夜空さくら
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全身触手スーツを作った悪の科学者 成り代わりの章 後編

■ 悪の科学者である僕は、自分で作った『全身触手スーツ』を用いて、僕を捕まえようとする捜査員を屈服させ、性奴隷にするはずが、スーツの暴走によって心臓を貫かれ、あえなくその悪の華を散らした――わけがないだろうが! 悪の科学者はしつこいものなのだ。これは悪の科学者である僕が、再び起つまでの物語。

■ 構成を変更し、章立てでここまで公開したシリーズを『成り代わり編』としました。少し間をおいて次の章も書く予定です。不幸少女の立場を乗っ取った悪の科学者は、果たして彼女の環境をどう変えてしまうのか。次回の更新をご期待くださいーw-ペコリ


■ この作品には触手服・皮物・軽微なグロテスク表現・乗っ取りなどの描写が含まれます。苦手な人は回避をお願いします。

■ 続きは支援者様向けと、全体向けの交互に書いていく予定です。ある意味バッドエンドで、ある意味ハッピーエンドな結末になる予定なので、完全無欠にハッピーエンド以外はダメだという方はご遠慮ください。

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 学校の敷地内。誰も進んではやってはこないだろう体育倉庫の裏手。

 じめじめとした湿気といい、木蔭というには濃すぎる影を落とす梢が生い茂っている環境といい、普通は人が集まるような場所ではない。

 そんな場所で、無駄に発育のいい裸の女子学生と、脂ぎった中年太りで小汚い作業着を身に着けた用務員らしき男が、顔を見合わせていた。

 普通の良識のある大人であれば、何があったのかと裸の女子を心配するだろう。

 だがその用務員は、状況を飲み込むや否や、むしろそれが当然とばかりに笑みを浮かべた。

 にちゃぁ、と音がしそうなほど、下品な笑い方に、同じ男であるはずの僕でさえ嫌悪感を抱いた。

 まして多感な年頃の学生たちが、この男にどのような感情を向けているのか、聞かなくともわかる。

 その男は悠々と近づいてきながら、不遜な態度で口を開いた。

「ほう。俺が来る前から裸になってるとは、だいぶ自分の立場を理解出来てきたみたいじゃねえか」

 その男の物言いから、そいつがどんな風にこの女子を扱っていたのかは想像がつく。

(ふうん……中々の屑、というわけか……)

 そもそもこの女子がなんでこんなじめじめとした薄暗い場所で昼飯を摂っていたのか不思議だったが、この男の登場で大体理解できた。

 おそらくこの女子は用務員らしきこの男に弱みを握られ、体の関係を強制されているのだろう。

 こんな目立たない場所にわざわざ呼びつけているのも、犯しているところを他人にみられないため。

 実に小物めいた悪事というわけだ。僕に比べれば所詮は取るに足らない、どこにでもいるような小悪党だ。

 その小物である男は僕の近くまでやってくると、いきなりこちらの乳房を鷲掴みにしてきた。もぎ取ろうと思っているんじゃないかと思うほど力を込めて来ていた。

「……っ」

 もちろん、人間よりはるかに優れた生命体になった僕は、痛覚や快感も含めたすべての感覚を任意に制御することが出来る。

 だからもぎ取られる勢いで乳房を掴まれて引っ張られようが、特に大した反応はせずに済んだ。

 ただ、僕が覆っている女子の方はそういうわけにもいかず、僕に覆われたまま、乳房が引き千切れそうな激痛に悶えていた。

 女子の表面は僕がすべて覆っているため、表には彼女の痛みや苦しみは表されない。

 表面上は無反応な僕の姿を見て、男はつまらなさそうに吐き捨てる。

「なんだよ、マグロなのは変わらずか……少しは可愛げが出てきたかと思ったが……まあいい」

 男はいきなりズボンのベルトを緩め、下着ごとずり下げてその粗末な男性器を露わにする。

 その男性器は女子の裸を見たためか、大きく膨らんでいた。

 あまり綺麗にしている様子はなく、息が苦しくなるほどの濃厚な臭いが周囲に漂った。

「おら、何してんだ。俺はこのままぶっ刺しても構わねえんだぞ。痛いのはお前だけどな」

 フェラチオをしろ、といいたいらしい。

 そうやって唾液を塗布させて、それからこっちの穴に突き入れるつもりなのだろう。

 僕は、さてどうしたものかと考える。

 そもそもこの女子を乗っ取った理由は、ひと時身を隠す仮の宿として利用するためだ。

 資源は有限であるため、無為に消費されるべきではないが、自分が存在し続けることが第一であり、ここで騒ぎを起こすのは賢い選択ではない。

 ゆえにここでは一端この男に従い、やり過ごすのが最善なのだろう。このような不潔な男に体を弄られるなど、実に不愉快だが、優れた生命体となった僕はそういう感覚を任意で遮断できるのだから、男のなすがままになっておけば問題はない。

 僕は賢いのだ。

 だから。


 僕は男のペニスを掴み、指先から出した細い触手をその中へと滑り込ませた。


 一瞬、男は何が起きているのかわかっていない様子だったが、尿道に突き刺した触手の表面をささくれ立たせて軽く引く。

「ぐげぇっ!?」

 激痛が走ったのだろう。男は潰れた蛙みたいな悲鳴をあげると、慌てて手で自分のものを僕の手から庇った。もう遅い。

 僕の体から分離した触手は、そのまま男の体内に入り込んでいく。

「ひゃにっ、ひゃひっ、いぎぁゃっ!?」

 内股になって、少しでも痛みを和らげるためか、ぴょんぴょんと飛び上がっている様は、実に滑稽で無様だった。

 そんな無様で取るに足らない小悪党に僕が傅くなど。

 必要があっても、演技であっても、あってはならない。

 それは僕の矜持が許さない。

 合理的に考えるのであれば、なるべく騒ぎを起こさない方がいいが、自分が不快になってまで我慢する必要はない。

(それに……やり方次第ではあるしね)

 僕は悠々と男から離れつつ、剥ぎ取った女子の衣服を身に着けていく。

 それと同時に、より深く体を動かすのを試してみた。

「ん……っ、あー、あー……よし、声帯も動かせるようになったかな」

 女子への体への浸食はずっと続いていた。ほとんどの神経細胞に触手が侵食し、こちらの意志で彼女の体を自由自在に動かせるようになってきていた。

 一方、悶絶している用務員は、ボロボロと大粒の涙を流し、汚い鼻水を垂らしながらこちらに向かってこようとする。

「おま”っ、なにをしだ――ぁあ”があ”っ!?」

 汚い濁声で詰め寄ろうとしてきたその男は、ひと際強い激痛を感じたのか、その場に崩れ落ちた。

 内側から睾丸の方へと伸ばした極細の触手が、男の睾丸を内部から締め付けたのだ。

 外から打ち付けるだけで声も上げられない激痛を発するというのに、内部からぶちぶちと千切られるような激痛を受ければどうなるかは、目の前の男の状態が示している。

 あまりの激痛に漏らしそうになっていたが、尿道は触手が塞いでおり、膀胱の中まで触手が入り込んでいる。いくら出そうとしても出せるわけがない。

 用務員の男の悲痛な叫びを聞き流しながら、僕は女子の服を身に着けていく。

(……ん……前にホックがあるタイプは、自分で着るときは見ながら付けられるからやりやすいね)

 精神的には女装しているのとあまり変わらなかったが、体が女子のものを形作っているのだから、女子の衣服を身に着けるのは自然なことだろう。

 さすがにまだ多少の違和感はあるが、すぐに適応できそうだ。

 僕が悠々と服を身に着けている間に、男には激痛を味わい続けてもらう。地面を七転八倒している様は、道化のようで楽しませてもらった。

 僕が制服をきちんと着直した頃には、男は息も絶え絶えになって地面に転がっていた。

 靴を履いた足で、僕はその男の頭を踏みつける。

「さて、と。お前には何も言わずに協力してもらいたいことがあるんだが」

「な、なにを言って……っ、んぐっ、んぅっ!?」

 抵抗しようとした男の力を、力で踏み躙る。男は気付いたはずだ。

 目の前の僕は女子の姿をしているが、女子が決して発揮しえない怪力を発揮していると。

 男にとっては良く知るであろうこの女子は、いままでとは全く違う怪物になっていると。

「このまま地面深くまで埋めてしまってもいいんだけど……そうされたいかい?」

 少しだけ足に力を込める。地面と僕の足にサンドイッチにされた男の頭が、みしっと不穏な音を立てた。

「ひぎゃっ……! わ、わかった! きょ、協力する!」

 僕はその男の言葉を聞き、足から力を抜いて、男の頭を解放する。

「聞き分けが良くて何よりだよ。一応言っておくけれど、逃げようとしたらもぎ取るからそのつもりでね」

 言いながら男の性器に仕込んだ触手を軽く振動させる。

 男はびくびくっ、と体を震わせながら、何度も頷いた。

 僕はそんな男の前で膝を屈め、話をする体勢になる。その際、正面で地面に這い蹲っている男からはこちらの下着が見える状態になったらしく、こんな状況であるというのに男の視線がそちらに向いていた。

 その性欲に正直すぎる反応に、僕は軽く呆れてしまう。

「全く……その反応にはある意味感動するよ。お前のことは猿一号とでも呼ぼうか。いや、それは猿に失礼かな」

 僕の物言いはそれまでの女子にはありえないものだったのだろう。

 男は自分を侮蔑するような内容に憤るより先に、僕のことを気味悪く感じているようだった。

「お、おまえ……なんなんだ……? エロガリ子……じゃないよな」

 酷い呼び名もあったものである。まさかそれが本名というわけはないだろう。

「この女子のことをそんな風に呼んでいるのか? ……これの本名は知ってるのかな」

「……えーと、鼻……じゃなくて……トロ子だか、ハナ子だか、なんだかだったような」

「なんだそれ」

 この男は本名も定かでない相手を、日常的に犯していたらしい。

 猿程度の知能や感性しかないのだろう。

 僕はひとまずこの女子の名前は後回しにして、用務員の男に尋ねる。

「それで、これとお前はどういう関係なんだい? まさか恋人というわけじゃないだろ」

「あー、えーと……」

 自分のやっていることが悪事に分類されるものだという自覚はあるようで、男は言いよどむ。

 僕はそんな彼に向けて、にっこりと笑顔を浮かべて見せた。

「どうせ弱みでも握って犯してたんだろ? さっさと話すことを全部話せ。そんなにもっともがき苦しみたいのか?」

 言いながら、僕は男に向けて手を翳す。別に手の仕草で示す必要はないのだけど、見えるようにした効果は覿面だった。

 男は大慌てで脂汗を滲ませながら話始める。

「そっ、そいつは、他のガキどもに虐められてるんで! 一人で飯を食う場所を探してたから、ここを教えてやったんだよ! そんで、人気がない場所だし、写真でも撮って脅せば好きに出来ると思って……出来ちまって……それで……ここ数か月、昼休みはずっと……」

 大体予想した通りだった。それにしても毎日とは。

 やはりこの用務員は猿と呼んで差し支えなさそうだ。

(それにしても、虐められているのか……)

 僕は悪の科学者だ。

 正義の味方などではないのだから、誰が虐められていようがなにしようが、はっきり言って興味もない。

 だが、この女子の体を仮宿として使う以上、それを攻撃されるのはとても不愉快だ。

(いますぐ乗っ取り先を変えることはできなくはないが……あまり短期間に移動を繰り返すのは僕の負担になるしなぁ)

 人間より圧倒的に優れた生命体になったからといって、体力や生命力が無限になったわけではない。

 体の移動は大きな負担になるし、衰弱すればそれすらできなくなる。

 このままこの体を使い続けるか、それとももっと都合のいい立場の体を探して、そちらを乗っ取るか。

 その結論は、割とすぐに導き出せた。

(この女子が虐げられているというのであれば、かえって好都合な面もある。その状況を利用してやればいい)

 虐めてくる者がいるのなら、猿の用務員のように僕の力で逆に屈服させてしまえばいい。

 触手の力を使えば、比較的容易に実現することが出来るだろう。

 苛めの首謀者を大人しくしてしまえば、あとは普通の人間よりも楽に過ごせる可能性は高い。

 虐められているような者に好き好んで話しかける者はいないだろうし、無理にこの女子として振る舞わなくていいというのは、魅力的な話だ。

 そうと決まれば、やることは決まっている。

 僕はこちらの顔色を窺っている様子の用務員に、笑みを向けて見せた。

「お前、僕に協力する気はあるかい? お察しの通り、僕はこの女子とは別の存在だ。お前とは比べ物にならない悪人、とだけ言っておこうか」

 まずは協力者を、否、顎で使える下僕を手に入れる。

「僕に従うのであれば、多少はいい思いをさせてやってもいい。何か月もこの女子ばかり抱いていたら飽きも来てるだろう? ――新しい女を抱きたくはないか?」

 我ながらあくどい取引を持ち掛けている。

 普通の善良な大人であれば、断固として拒否すべき申し出だろう。

 だが猿の用務員は当然違った。

 最初は何を言われているか理解していなかったようだが、理解すると同時に――例の『にちゃあ』という音が聞こえてくる下品な笑みを浮かべた。

「も、もちろん! 俺に出来ることならなんだってやるぜ! いえ、やりますぜ!」

 即座に下手に出る華麗なすり寄りっぷりだった。

 性器を抑えられている以上、とりあえずは言うことを聞かざるを得ない状況ではあるのだが、この分だとたとえそうでなくとも、僕の申し出に頷いていたかもしれない。

 僕がいうのは、本当に「お前が言うな」的な話ではあるのだが――人間というのは実に罪深い存在だった。



 猿の用務員と一端別れ、僕は教室へと向かっていた。

 そろそろ昼休みが終わる時間らしい。この女子は授業には必ず出るようにしていたらしく、成り済ますのであれば授業には出る必要があった。

(猿のが所属するクラスだけは覚えていたのは行幸だったな……問題は席がわからないということだけれど)

 触手の感覚器を使えば、目星くらいはつくだろうと僕は考えていた。

 廊下を歩いていたら、ふと感覚器に引っかかるものを捉える。

(ふむ……)

 誰が何をしようとしているのか、大体わかったが構わず直進。

 廊下の角を曲がろうとした瞬間、ある女子が手に持っていたものをこちらに向けて降り被っていた。

 やたら派手な格好をした女子だ。制服をだらしなく着崩し、ケバケバしいメイクを施している。にやにやと軽薄な笑みを浮かべており、これから起きることを楽しもうとしている。

 僕はすかさず細い触手を目にもとまらぬ速さで閃かせ、その女子が振りかぶっていたものを砕いた。

「トロ子、くら――ぶへぁっ!?」

 女子が振りかぶっていたのは、水の入った陶器の花瓶だった。

 おそらくその水でこちらをずぶ濡れにする算段だったのだろう。ぐちゃぐちゃになった姿を笑いものにするつもりだったのだ。

 だが僕が花瓶を振りかぶったところで砕いたため、その女子は自分で水を被ることになった。

 その女子の向こう側には何人かの観客がいて、ずぶぬれになった僕を笑おうとしていたようだったが、予想外の出来事に固まっている。

 ただ、僕が触手を使って花瓶を割ったことには気づいていない様子だ。

「な、なによこれぇ! うぇっ、最悪っ!」

 水をかけようとしていた女子がそう悲鳴をあげたことで、ようやく『水をかけようとした女子が自爆した』ことに気付いたらしく、観客たちがどっと笑いだす。

「だっさぁ、自分にかけちゃってるじゃん!」

「ぷ、ぷぷっ。……みなみん、だいじょうぶー?」

「あっはっはっ! ケッサクやん!」

 笑えればなんでもいいのだろう。彼女の仲間と思われる観客たちは、みなみんと呼ばれた女子の醜態をげらげらと茶化して笑う。

 その女子――みなみんは羞恥ゆえか、顔を真っ赤にしながら、僕の肩を結構な力で殴ってきた。

「あんたのせいであたしが笑われたじゃんか! トロ子の癖に!」

 彼女視点では僕が花瓶を砕いたことはわかっていないだろうに、ずいぶんな責任転嫁だった。

 僕はあえて何も言わず、みなみんの拳を受け止める。

「あー、もう! メイク崩れちゃったじゃんか……! トロ子! あたしの化粧バッグもってついてきなさい!」

 顔を手で覆いながら、みなみんは僕にバッグを押し付けて駆けだしていった。

「みなみん、授業始まるよー?」

「うっさい! こんな顔で教室に戻れるわけないでしょ!」

 そういってヅカヅカと走り去るみなみん。観客たちは授業に出る気はあるのか、教室の方面に歩いて行っていた。

 僕は言われた通りにバッグを持ってみなみんの後を追いかけながら、実に理想通りな展開に心の中で喝采を上げざるを得なかった。

(授業中なら、邪魔も入るまい)

 にやりと悪い笑みが零れてしまう。


 その口元からは、舌の代わりに触手が覗いていた。



第一章 成り代わりの章 終わり

第二章 順番に浸食の章 につづく

Comments

とりあえず痛い思いをすることはなくなったので、ハッピーです(せやろか) あとは悪の科学者が将来的に再び体を乗り換えるかどうかですねぇーw-ウム 再び捜査員の手が伸びてきた時、次の体を乗っ取りに行くのか、この体のまま逃避行を始めるのか、そのあたりでも変わってくると思われます0w0ニヤリ

夜空さくら

たぶん想像通りなのかな? 悪の研究員は自分のためにハナ子を虐める連中を片っ端から排除していくんですね。 本来なら嬉しい出来事なのに、肝心の身体は乗っ取られているから素直に喜べない状況。 ハナ子ちゃん内心複雑だろうな~

ミズチェチェ


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