軟体怪盗リィンツリーの受難 金属フレーム拘束①
Added 2021-06-11 13:40:22 +0000 UTC■ 怪盗リィンツリー(本名:鈴木志保)はあくどい商売をして私服を肥やす資産家から、そのお宝や情報を盗みだすことで懲らしめる現代の義賊。持ち前の軟体の身体を活かし、誰にも捕まらずに盗み続けていた彼女だったが、ある時盗みに入った資産家・渡部亜希子に捕まってしまう。観念するリィンツリーだったが、亜希子は彼女にとって予想外の提案をしてくるのだった。
■ 怪盗リィンツリーはあまり特殊な性癖持ちではない、ごく普通の女性なので(普通の女性がぴっちりスーツを着て平然と走り回るかどうかはさておき)渡部亜希子の特殊な性癖にドン引きですーw-ウム
■ この作品には拘束・軟体・調教などの描写が含まれます。苦手な人は回避をお願いします。
■ 続きは支援者様向けと、全体向けの交互に書いていく予定です。今回の作品は紛れもなくハッピーエンドになる予定ですので、ご安心いただける構成となっておりますーw-ペコリ
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
渡部亜希子が取りだしてきたのは、二つの腕輪が金属の棒で連結された不思議な拘束具でした。
(手枷……でしょうか? それにしては鍵穴も見当たりませんが……)
脱出するためには、少しでも多くの情報が必要です。
私がじっとその手枷の構造を探っていると、渡部亜希子がその手枷に触れ、その枷を二つに分解してしまいました。連結が解除されたわけではなく、文字通り真っ二つに割れてしまったのです。
その割れた断面を見る限り、かなり複雑な構造になっています。
二つの部品を綺麗に合わせるとその断面にある機械が動き、真っ二つに分かれたそれが、自動的に元の連結された腕輪の状態に戻る仕組みのようでした。
(機械仕掛けの枷……というわけですか。意地の悪い……)
鍵穴がある枷であれば、うまく弄って外すことが出来るかもしれませんが、合わせることで機構が動くようなタイプは、弄りようがありません。
確実を期す、という渡部亜希子の言葉は本気であるようです。
しかし。
(『指先で弄れなければどうにもならない』……というのは、ずいぶん楽観的な考えですね……!)
怪盗リィンツリーとして、ここまで捕まらずに活動を続けてきたのは伊達ではありません。
指先が封じられた程度で何もできなくなるような、脱出マジックの素人と同じに思われては怪盗の名が廃るというものです。
私がそう敵愾心を燃やしている間に、その二つに分かれた輪っかを持って、渡部亜希子が近づいてきます。
「いまから降ろすが、暴れないように。私の執事には手を出さないように言ってあるが、私が攻撃されれば黙ってはいられないからな」
その執事とやらは、道具の準備を手伝うだけで、こちらには全く目線すら向けて来ていませんでした。まさか女性に耐性がないというわけではないでしょう。
(そういう配慮はしている……ということですかね? いまさら……な気もしますが)
なんとなく配慮するところを間違えているような気もしました。
それはさておき。
確かに、渡部亜希子を強引に組み伏せ、人質にするという選択肢はあるのでしょう。怪盗として鍛えた身体能力があれば、いかにも非戦闘員である渡部亜希子を暴力で組み伏せることは出来るでしょう。
ですがそれは、あまりにも怪盗のやることから外れた行いです。泥棒や強盗であれば、そうすることを躊躇いはしないのでしょうが、私は怪盗です。
ですから、私はこうとだけ応えることにしました。
「私は怪盗リィンツリーです」
力で強引に道を切り開くことはしない。
あくまで華麗な技術を持って事を成す怪盗である、と。
そういう気持ちを込めて宣言しました。
すると渡部亜希子は、とても妖艶な笑みを浮かべました。
「そうこなくてはね♡」
若干背筋に寒気が走ったような気もしましたが、私はあえて彼女を真っ向から睨みつけます。
そんな私たちのやり取りを唯一聞ける範囲にいたのは執事だけでした。その執事が盛大に溜息を吐いたことに、私は気付きませんでした。
私を吊るしていた鎖が緩められ、私はあげていた両手をやっと降ろすことができました。両手を引き上げられていたのはそう長い時間ではありませんでしたが、流れにくくなっていた血が腕に流れ込んでいくのを明確に感じ、私は思わず安堵の息を吐いてしまいます。指先の痺れがゆっくりと解けていき、暖かい血が浸透していくのを感じました。
手に取り付けられていた手枷が取り外され、私はひと時自由の身になりました。いま逃げだす気はありませんでしたが、反射的に逃げ道である扉の方を見ると、ちょうどその扉と私の間に執事が立ち塞がります。
視線を読まれたのでしょうか。
素っ気ない態度でやはり視線はこちらに向けてきませんでしたが、逃げようとすれば迎撃する、と態度で示しています。
(ルートががら空きだったら、反射的に逃げていたかもしれませんし、むしろちゃんと警戒していることがわかってよかった、というべきでしょうね……)
労せずして相手の力量が窺えたと思いましょう。
今回で脱出するのは諦めて、渡部亜希子の御遊びに付き合ってあげることにします。
その彼女は、私の背後へと回り込んできました。
両手を後ろに回し、まっすぐ揃えて伸ばすように導かれます。
大人しく私がそれに従うと。
――ガチャ、ウィン、ギュム……
そんな音がして、私の二の腕に渡部亜希子の持っていた輪っかが嵌められていました。
「……っ、そっち、ですか……っ」
てっきり前腕部、さっきの手枷と同じく、手首あたりに嵌められると思っていたので、少し意表を突かれた形です。
左右の二の腕に嵌められた輪っか同士が、金属の棒で繋がっています。腕を前に戻そうとすると、その棒が背中に当たって、少し食い込んできました。
下手な棒であれば梃子の原理でへし曲がりそうな状態ですが、どんな金属を使っているのか、その棒はびくともしそうにありませんでした。もっと屈強な人間であればどうかはわかりませんが、少なくとも私の力では無理そうです。
(んっ……それにしても……思った以上に、ぴったりサイズ……ですね……?)
輪っかと腕の間に、全然隙間らしい隙間がありません。
まるで血圧を測る機械がそうであるように、腕の太さに合わせて締め付けてきているようにさえ感じます。
実際、二の腕に力こぶを作るつもりで力を込めていたのですが、力を緩めても隙間らしい隙間は生まれていないようでした。
太さに合わせて締め付けてきている、というのが気のせいではないのがわかったのは、再び腕に力を込めてみても、輪っかが腕を締め付けてくることがなかったためです。
力の入れ具合で腕の太さは変わっているはずなのに、感じる輪っかの締め付けが一定であるということは、締め付ける力が確実に変わってきている、ということです。
枷一つにどれだけハイテクな機構を採用しているのかわかりませんが、私を逃がさない自信は相当なもののようです。
私が渡部亜希子の方を見ると、彼女はニヤリと得意げに笑いました。
「ふふふ。その枷の力は、まだまだこんなものではないぞ。……その片鱗を味わってみるといい」
そう彼女が合図すると同時に、私はその言葉の意味を頭ではなく体で理解させられることになりました。
「ん、ぎっ……!? ぅ、あぁ……っ!?」
左右の輪っかを繋げている、金属の棒――その長さが変化し、短くなることによって、私の左右の腕がさらに後ろに引き寄せられたのです。
「……っ!」
肘と肘が背中でくっつくほどに金属の棒は短くなり、私は自然と胸を大きく逸らして、半ば仰け反るような姿勢を取らざるを得なくなってしまいました。
(な、なんて、むちゃを……っ!)
体が特別柔らかい私でなければ、肩が脱臼しててもおかしくないレベルでした。私でさえ、体がギシギシと悲鳴をあげているのを感じます。
「ふー……っ、ふー……っ、ふー……っ」
息も自然と荒くなります。深く深呼吸をしたら肩が抜けてしまいそうなほどでした。
そんな私の様子を見て、渡部亜希子はとても悪趣味に微笑みます。
「うん……いいぞ! 期待通りだ! さすがは怪盗、というべきかな」
「なに、が……っ、こんなの……っ、別に怪盗じゃなくても……っ」
ある程度体が柔らかい人であれば、取れなくはないポーズのはずです。
それを持って怪盗であることを称えられても、正直受け取りに困るという思いでした。
そんな私の言葉をどう受け止めたのか、渡部亜希子は次の道具を手に取っていました。
「ふふっ、まあそうだな。あとで纏めて褒めさせてもらおうか」
そういいながら、渡部亜希子は私の両手を掴んで合わせさせると、手首をテープのようなもので纏めて止めてしまいました。さらに指の一本一本を左右の同じ指同士で纏めてテープを巻き付け、さらにまとめられた五種類の指にそれぞれの太さに合わせた金属の輪っかをはめ込み、その金属の輪っか同士をまた別の棒で等間隔に繋いでしまいました。
私は両手の指を大きく開いた状態で、全く動かせないよう、固定されてしまったのです。
テープはかなりしっかりとした強度を持っていて、関節を曲げることもできません。ほんのわずかに、指先が動かせるかどうか、という状態で、とても脱出のために鍵穴を弄ったり何かをしたりすることはできませんでした。
「……っ」
なんて回りくどい拘束なのでしょうか。指先までの自由を奪うだけなら、それこそテープでぐるぐる巻きにしてもいいはずですそれだけで確実に動かせなくなったことでしょう。
「ずいぶんと……無駄な手間をかけるんですね……っ」
揶揄するつもりでそう口にすると、渡部亜希子は心外だと言わんばかりの顔でこう答えました。
「無駄ではないさ。確かに、指の自由を奪うのであれば、指の分かれてない分厚い皮の手袋でも被せるのが手っ取り早いし確実だが――芸術的ではないだろう?」
「……芸術、的?」
突然そんなことを言い出した彼女を、思わず見つめてしまいます。
渡部亜希子はいかにも自信に溢れた堂々とした様子で、続けます。
「ああ、そういえばこのゲームを行うことで達される『私の目標』をきちんと話していなかったか」
「……『私の物になってもらおう』とかいう妄言のことですか?」
皮肉のつもりでそういうと、彼女は悪びれもせず頷いてみせました。
「そう。私は君を所有したいのだ」
だが、と彼女は続けます。
「ただその肉体を手に入れたいわけじゃない。現代の怪盗リィンツリー。可愛らしくも美しい存在をそのまま手に入れたい。だから、麻袋を被せて縛るような、無粋な捕らえ方はしたくないわけだ」
「……だから、の意味がよくわかりませんが、つまり結局どうしたいんですか?」
埒が明かないのでそう問いかけると、彼女はその目的をはっきりと口にしました。
「『怪盗リィンツリー』という芸術品として――君を飾りたいのだ」
人間を飾りたい、とかいうサイコパスなことを言い始めました。
さすがに私がドン引きしていると、それが伝わったのか、少し慌てた様子で彼女は言い訳を始めます。
「いや、待て。聞いてくれ。別に樹脂でコーティングして飾るというわけでは……でもないのだが……そういうのもいいなとは正直思ってはいるが」
言い訳がとんでもない方向に逸れました。
「貴女、頭大丈夫ですか?」
思わず素で聞いてしまいました。
「違う。違うんだ。君の死体を飾りたいわけではない。そこは安心してくれ。私は死体愛好家ではないから。うん。さすがにそこまで悪趣味じゃない。要するに私は――ちゃんと鑑賞できる形で、君を所有したいのだ」
「結局何も変わってなくないですか」
これはもう一刻も早く逃げることを考えなければならないかもしれません。
私は思わず最終手段も視野に入れかけてしまいましたが、渡部亜希子は重ねて言い繕ってきました。
「いや、違うんだ。本当に君を傷つけたり、殺したりする気はないんだ。それは私も望んでいない」
慌てふためく主人のことを哀れに感じたのか、それまで何も言わずにいた執事の人が口を挟んできました。
「会長は『怪盗リィンツリー』として活動する貴女を所有したい……要するに、貴女自身というよりは、リィンツリーという怪盗が欲しいとおっしゃっているのですよ」
ですから、と執事は続ける。
「顔も体も完全に覆ってしまうような完全拘束では意味がなく、貴女が貴女とわかるように、貴女に対してしか出来ない、かつ芸術的な拘束方法を選んでいる、というわけです」
わかるようなわからないような。
「まあ端的に、無粋なまでに縮めていうと……『貴女の身も心も全部欲しい』ということですよ、お嬢さん」
あまりにざっくりすぎますが、わかりやすくはありました。
彼女が必死に頷いているところを見ると、それで間違いないようではありますが。
「……それでこの拘束方法、ですか?」
腕に意識を向けると、全く緩む気配もなく、ギシギシと音を立てていました。
話が拘束方法に移って安心したのか、渡部亜希子は得意げに頷きます。
「アームバインダーはあれはあれで美しい拘束方法だとは思っているんだが。やはり君を綺麗に魅せるのなら、金属フレームによる拘束はいい選択肢だと思うのだよ」
思うのだよ、と言われても困りますが。
ともあれ、まだ腕の拘束だけです。
逃げなければ、という気持ちはより強くなりましたが、全ての拘束を確認しないと逃げようもありません。
嬉々として次の拘束の準備を始める渡部亜希子を観察しつつ、私は脱出の機会を探り続けました。
私の『身も心も全部欲しい』という言葉が、何を意味しているのか、この時私はまだ気づいていなかったのです。
つづく
Comments
くそ痛いですw 指先まで完全拘束された場合、とても抜け出せないはずですが……どうするかはわかりません0w0; 今回は半ばあきらめている感じもします。毎日拘束方法は変わる予定なので、抜け出せるときに抜け出す感じですかねぇーw-ウム 亜希子は若干ポンコツです(身もふたもない)
夜空さくら
2021-06-11 14:25:35 +0000 UTCいでででででで!!! 試しに軽くやったら超痛い!こんなん脱臼するわ! 相当関節が柔軟じゃないとキツイことはわかったけど、さらに指先まで完全に拘束とか、どうあがいても脱出無理じゃないかな(;^ω^) しかしこの亜希子さん、ちょっと軽いポンコツ臭を感じるのは果たして気のせいなのかな? そんでリィンツリーはこんな拘束をされてもまだ脱出を諦めないとかよっぽど柔軟に自信があるのか。 次回楽しみにしてます!
ミズチェチェ
2021-06-11 13:57:37 +0000 UTC