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夜空さくら
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状態変化スーツ歴史館 プロローグ

■ その世界のあらゆるところで活用されている「状態変化スーツ」。人体を圧縮し、コンパクトなサイズになることで、この時代の人間たちはあらゆる恩恵を受けていた。そんな状態変化スーツがすっかり一般にも浸透した時代。とある五人の少女たちは、学びの一環でスーツを取り扱う歴史館を訪れ、そのスーツの歴史を学んでいく。

■ 『状態変化なふたり』シリーズの一部の設定を用いた新作です。そのシリーズを読んでいなくても、このシリーズ単体で読んでも大丈夫です。


■ この作品には状態変化・圧縮などの描写が含まれます。苦手な人は回避をお願いします。

■ 続きは支援者様向けに書いていく予定です。ご了承ください。

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 その日、状態変化スーツ歴史館に、大型のドローンが舞い降りた。

 程よい広さの発着場にドローンが着陸すると、それが運んでいた荷物をその場に降ろし、再び空へと舞いあがっていく。

 ドローンが離陸してすぐ、歴史館の中から一人の職員が顔を出し、発着場に放置された荷物を取りに向かった。

 荷物の内容物を確認すると、彼女は一抱えほどもあるそれを抱え上げ、歴史館の中へと戻っていく。

 そして、小さな個室へと向かった。その個室はさほど広くはないが、四、五人くらいが着替えることは出来そうなスペースになっていた。複数の洗面台や姿見も置いてあった。

 ただし、椅子や机などはなく、ロッカーもなかったので、いまは更衣室として使われているわけではなさそうだ。

 その殺風景な部屋の中で、職員は荷物を開封した。

 彼女が念のため、開ける前に再度確認した内容物の欄には「平汰衣学園3-C 三班 五名」と書かれていた。

 蓋が開かれると、薄い板のようなラバー製の何かが中には詰め込まれていた。板は一枚五センチあるかないかくらいの厚みで、幅三十センチくらいの大きさの正方形だ。

 職員は箱に詰まっているそれらを、一枚一枚取り出して床に等間隔で並べていく。

「えーと、一人、二人、三人……あれ? 四人しかいない? ……ああ、そういうことね」

 最後に取り出した一枚は、他の板に比べてかなり分厚くなっていた。

 それを見て何かに納得したらしい職員は、最後の一枚を床に置くと、立ち上がって数歩後ろに下がった。

 そして、かつては想像もしえなかった現象が、並べられた板たちに起こり始める。


 一枚目。

 四角形の板の表面が波打ったかと思うと、いままではぴっちり綺麗に折り重なっていて見えていなかった切れ目が板に生じる。

 四角形の中央に楕円形の模様が浮かび上がったかと思うと、その楕円形がさらに厚みを増し、ゆっくりと立ち上がっていく。

 それはすぐに人間の頭部であることがわかる造形として膨らみ切ると、さらに全体が膨らんで人の形へと変わっていった。

 厚みが増せば増すほど、人の形がはっきりしていき、どんな体制を取っているかもすぐわかるようになった。

 その人型は、膝を抱えて体育座りをし、出来る限り体を丸めているような姿勢を取っていた。

 厚みが完全に戻ると、黒い人影が蹲っているような状態になる。


 二枚目。

 その板は最初の板と違い、表面に楕円の形がかなり丸に近かった。

 その厚みが徐々に戻り始めると、先ほどの板と同じように人間の頭部の造形だとわかるようになったが、その明らかになりようが先ほどとは違った。

 膨らんで形になりつつあったのは、頭頂部だったのだ。

 まるで真上からハンマー化なにかで潰されたフィギュアが、逆再生されているかの如く、板から人間の体が頭頂部から生えているかの如く、元の形を取り戻していく。

 全身のっぺらぼうの姿ではあったが、メリハリの利いた女性の体型が明らかになり、まるで黒く塗られたマネキンのようであった。

 気が付けば、黒い人型が「気を付け」の姿勢で立っていた。


 三枚目。

 それはまず浮かび上がった模様からして、それまでの二枚とは全く別ものだった。

 四つの線が不均等な形に浮かび上がったかと思うと、二本の棒のような膨らみが生まれ始める。

 それは人間の太腿と同じ形をしており、同時に浮かび上がってきた人型は非常に奇妙な体勢で折りたたまれていた。

 逆エビ反りの形で、地面についている両足の間に頭部が収まっている。

 軟体芸に詳しい者であれば、それが『キングアラジン』と呼ばれる体勢であることがわかっただろう。


 四枚目。

 複雑な形の模様が浮かび上がったかと思うと、二つの頭部が膨らみを取り戻していった。

 膨らんでいくにつれ、その二つの人型が正面から抱き締め合っているような状態にあることがわかる。

 相手の背中にお互いの腕を回し、そこそこの膨らみがある胸がぴったりと密着している。

 足はお互いの足に絡みつき合い、膨らみを取り戻すと同時に、ぎゅむぎゅむとラバー同士が擦れ合う音が響きだした。

 二人の女性が絡み合った状態で平たくなっていたのだ。


 それぞれ、四角形の板から、人間大のサイズになった黒い人型たち。

 まるでそういうフィギュアであるかのような状態だったが、唐突にそのうちの一人の真っ黒な頭部に亀裂が走った。

 それは『気を付け』の姿勢を取っていた人型の頭部で、縦に一直線に走った亀裂が左右に開く。

 卵の殻が綺麗に剥けるように、黒い外皮の内側から、美少女の顔が露わになる。抑え込まれていたらしい黒髪がばさりと広がる。

 本人も肌の感覚で解放されたことに気付いたのか、眉をぴくりと動かした。

「ん……っ、着いたん、ですね」

 光に慣れるように、ぱちぱち、と瞬きをしている間に、彼女の体を覆っている黒いボディスーツが変化していく。

 瞬く間に学校の制服のような――ひと昔前に激減したあと、再びスタンダードになったセーラー服と呼ばれるものだ――服装になった。

 ただ昔一般的だった頃とは、全体的な質感が全く異なっている。上着やひざ丈のスカートはラバーのような素材で作られており、かなり重厚感がある。

 スカートから伸びる足はタイツのようなものに覆われていたが、それも布ではなくラバーのような素材だったため、かなり印象が違う。

 靴も一見普通の革靴に見えるが、よく見るとラバーで出来ている。

 彼女はスカートのポケットの中から、綺麗に折り畳まれた一枚の布を取り出すと、それを大きく広げ、素早くセーラー服の襟に通した。

 全身真っ黒な服の中で、そのスカーフの赤はかなり浮いて、目立っていた。

 最後に髪をまとめ、体裁を整えた彼女は、周囲を見渡して、いまだ黒い人型のままの四人と、部屋の隅に立って待っている職員を確認し、苦い顔をした。

「みんなまだ戻ってないんですか……? すみません、お待たせします」

 職員に対し、礼儀正しく頭を下げるその少女に、職員は笑顔で答える。

「皆さんをお迎えし、案内するのが私の仕事ですので、お気遣いなく。ゆっくりで大丈夫ですよ」

 最後の言葉は動き出した少女に対してではなく、他の四人に向かって言っていた。

 しかし、その職員の対応に、その少女は首を横に振った。

「大変ありがたいんですけど、そんなこというとこの子たちはいつまでもだらだらするので……ほら、早く戻りなさい」

 そう言いながら彼女が手を触れたのは、三角座りで蹲っている人型だった。

 彼女がその肩を叩くと、その黒い人型はびくり、と肩を震わせ、その頭部を覆っていた部分のスーツが解除される。

 中から現れたのは、気弱そうに眉と両目を垂れさせた少女だった。

「もう着いたのぉ……?」

 声も小さく、いまにも消え入りそうな様子だ。そんな彼女に向け、最初に元に戻った少女は大きく頷いて見せる。

「ついてるから圧縮が解除されてるんです。ほら、ボディスーツ状態を解いて。制服モードに切り替えなさい」

「うぅ……はぁい……」

 渋々、という様子で立ち上がる気弱な彼女。その際、ラバースーツに覆われたとんでもなく大きな乳房が、動きに合わせてゆさりと揺れた。

 彼女が立ちあがると、その体を覆っていたラバースーツが、最初の少女と同様に、セーラー服のスタイルへ変化する。

 元々ピッタリだったラバースーツだったが、制服スタイルになると、少し彼女の体は締め付けられるような感触を覚えるらしく、少し苦し気に身を捩っていた。

「うぅ……制服スタイル、きらい……くるしい……」

「仕方ないでしょう。あなたの胸が大きすぎるのが問題なんですから……ほら、ちゃんとスカーフもつけて」

 溜息を吐きながら、最初の少女は胸の大きな少女のポケットからはみ出していたスカーフを抜き取り、手早く彼女に取り付けてあげていた。

「ありがとぉ、イワナちゃん」

 嬉しそうにお礼を言う巨乳少女だったが、イワナと呼ばれた少女は顔を盛大に顰めた。

「私の名前は岩神音奈那です。せめて奈那ちゃんにしなさいって何度いえば……」

 ぶつくさイワナ――改め奈那が言っている間に、三人目の少女の頭部のスーツが解除された。

「ん……っ、んぅ……っ、もう、着いちゃったの?」

 不自然な体勢のまま元に戻ったその少女は、自分の体勢には何の感傷もない様子で、不満げにそう呟くのだった。

 体制を崩そうともしないその少女に対し、奈那は溜息を吐いた。

「葵さん……いつまでそのはしたない格好でいるつもりですか? 早く普通に立ってください」

「えー、この体勢、気持ちいいのに? なっちもやってみたらわかるよ?」

「誰がなっちですか。圧縮体勢をそんな変態的なものにしているのは、貴女くらいですよ」

「ひどっ。傷つくわー。ぴかっちなら理解してくれるよね?」

 ぴかっちと呼ばれた気弱少女が、びくりと身を竦める。

「うぅ……その体勢は、胸が苦しくなるからやだ……」

 胸を床にぴたりとくっつける姿勢であるため、確かに巨乳な彼女には辛そうな姿勢ではある。

「誰が貧乳か!」

 軽薄そうな少女は、言いながら背中で折りたたんでいた手を、腕立て伏せをするときのように地面に突くと、体全体を跳ね上げるようにして飛び上がった。

 身軽に体を反転させながら、新体操の選手のように空中で体を直立状態に持っていく葵。

 空中でその体を覆っていた服がセーラー服スタイルに変わる。

 一瞬で制服姿になった葵は、奈那の背中に隠れようとした巨乳少女につかつかと歩み寄り、その頬をぐいと軽く摘まんだ。

「ひたひひたひ! イワナちゃんたすけてぇ!」

「……葵さん、ひかるさんからは、そういう答えが返ってくるのはわかっていたことでしょう?」

「なによぅ! なっちだって大きいからって!」

 そう指摘された奈那は、思わず胸を腕で庇う。

「セクハラです。訴えますよ」

「上等よ! 法廷で会おうじゃないの!」

「ひひかげんはなひてぇ~」

 きゃんきゃんと姦しく騒ぐ三人。

 職員が苦笑しながらも見守っていると、いつの間に元に戻ったのか、残り二人が仲睦まじげに寄り添いながら立っていた。

「やれやれ……あの三人は毎度飽きずに元気だな」

「うふふ。そうですねぇ。胸の大きさは特に重要ではないですのに、ね♡」

 ボーイッシュな髪型で、少し男っぽい話し方をする少女。

 その胸は決して絶壁ではなかったが、大きいとも言い難いサイズだ。その胸を、もう一人のおしとやかな様子のおかっぱ女子が軽く突く。

 すでに二人の体を覆っているラバースーツはセーラー服スタイルになっている。

 その部分はぴっちりと体のラインが出るような覆われ方をしていなかったが、おかっぱ少女は正確にボーイッシュ少女の乳首を突いていた。

「ひゃっ! や、やめないか! ゆかり!」

「いやです♡ 幸世ちゃんの反応が可愛いので♡」

 顔を真っ赤にする幸世を、ゆかりと呼ばれたおかっぱ少女は揶揄うように、胸を弄るのをやめようとはしなかった。

 年相応に姦しく騒ぐ三人。

 無駄に甘い雰囲気を醸し出す二人。

 合わせて五人の様子を見ていた職員は、また賑やかな子たちが来たなぁ、と大人の余裕で暖かく見守っていた。

 しばらく思い思いに騒いだ後、落ち着いた五人が職員に向かって頭を下げる。

「お待たせして申し訳ありません。本日はよろしくお願いします」

「もう遅くないかなぁ……あいたっ」

 五人を代表して頭を下げた奈那の横で、不要なことを呟いた葵は頭を叩かれた。

 気の置けない様子に、職員はくすくすと笑う。

「いえいえ、ちゃんと自主的に落ち着いてくださる分、皆さんはちゃんとしておられる方ですよ」

 この施設にはその性質上、たくさんの来場者がある。その中にはいまの五人など比ではないほど劣悪な態度の者もいるのだ。

 とはいえ、そう言われても問題を起こしていると考えている奈那の表情はあまり晴れなかった。

 その話を続けることは得策ではないと考えた職員は、話を前に進める。

「改めまして……本日は当歴史館にようこそお越しくださいました」

 ぺこりと一礼した職員はその施設の説明を始める。

「現代の流通、移動――その他ありとあらゆる文化の基幹技術となった状態変化スーツ……皆さんも現在身に着けておられる、そのスーツですね。いまでは自由自在に圧縮される体勢を選べたり、そちらのお二人がやっておられたように、二人一緒に圧縮されるということも可能になっています」

 人体圧縮技術が確立して、流通している時代。

 現代社会にとって、なくてはならないものとなっている技術だ。

 五人はその技術を取り扱っている歴史館に、修学旅行の一環でやってきていた。

 普通に歴史を学ぶだけなら座学でも変わらないが、この歴史館では特別な『学び』が出来る要素があった。


「当歴史館では、その成り立ちと、その技術の進化の歴史について――実演を通して、学んでいただきます」



つづく

Comments

シリーズまで読んでくださり、ありがとうございます^w^ 状態変化は色々楽なんでついつい多用しがちになっちゃいます0w0;好きなんでいいんですけども。 今回も色々楽しんで状態変化しまくる子たちを書ければいいなと思っています!0w0クワッ!

夜空さくら

どんな感じだったかなとシリーズを一気読みしてきました!エロい!そしてやはり天才か! 普通の人間には思いつかない状態変化ならではエッチは最高ですね♪ この歴史館シリーズでどのように状態変化が行われるのか楽しみです♪

ミズチェチェ


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