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夜空さくら
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状態変化スーツ歴史館 立体化スーツ

■ その世界のあらゆるところで活用されている「状態変化スーツ」。人体を圧縮し、コンパクトなサイズになることで、この時代の人間たちはあらゆる恩恵を受けていた。そんな状態変化スーツがすっかり一般にも浸透した時代。とある五人の少女たちは、学びの一環でスーツを取り扱う歴史館を訪れ、そのスーツの歴史を学んでいく。

■ 立体化スーツもいまや懐かしい道具ですなぁーw-ウム


■ この作品には状態変化・圧縮などの描写が含まれます。苦手な人は回避をお願いします。

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 次に五人が案内された展示室は『圧縮立体化スーツ』というタイトルが掲げられていた。

 そのタイトルを見て、奈那は首を傾げる。

「圧縮立体化、スーツ……?」

 平面化スーツで人体を平たくすることが出来たのに、なぜ立体化する必要があるのか、そもそも立体というのなら平面化スーツも厳密には立体ではないのか――。

 そんな純粋な疑問が呟きとなっていた。

 それを受け、五人を案内している職員が口を開く。

「平面化スーツの目的は、人体の質量を小さくし、輸送などにおける占有スペースを小型化することによって、小さなスペースでより多くの人員を運ぶことを目的とした技術である――ということは、先ほどの展示室で見ていただいた通りです」

 その目的自体は、平面化スーツでも十分に達成することが出来る。

「しかし平面化スーツには、輸送に伴う大きな問題があったのです」

 職員の話を聞いていたひかるが、ぼそりと口を開く。

「受ける感覚が大きくなりすぎる……一定数以上、積み上げることができない……って書いてあった」

「その通りです。カーペットレベルの厚みにすることは出来たのですが、その状態で単純に積み重ねると、最下層に置かれた者に多大な負荷がかかり、長時間の輸送が出来なかったのです」

 対策のために様々な方法が考案されたが、上手くいかなかったと職員は言う。

「特殊なハンガーに挟んで吊るして輸送する案もあったそうですが、人型状のものを吊るして輸送するにはそれだけ大きなスペースが必要になってしまいます」

「それではせっかく圧縮したのに勿体ないな……」

「輸送中は休眠状態にする、という方法は不可能だったのでしょうか?」

 最新式の状態変化スーツには、あらゆる感覚を停止させ、目的地に着くまで意識を眠らせる休眠モードが搭載されている。

 時差ボケなどへの懸念から、よほどの長時間でない限り、あまり使われることのない機能だ。

 だが、輸送問題を解決するだけなら、そういった機能があれば、仮にどれほど強烈な感覚が生じようと問題ないはずであった。

 いい質問ですね、と職員はいう。

「解決策としては悪くないのですが、当時の技術力では、安全に意識を休眠状態に持っていくのは難しかったようです。実際、最新式のものに搭載されている休眠機能は、極最近になって搭載された機能ですし」

 職員はそう答え、五人もその答えに納得したが――真相は違った。

 実のところ、当時からそういった機能をつけようと思えばつけられたのだ。

 しかし、状態変化スーツの開発者は出来る限り『圧縮される感覚を堪能したい』という考えの持ち主だった。

 休眠させて意識を飛ばしてしまってはその目的は果たせなくなってしまう。

 だからそういう対処が有効だと分かっていても、休眠機能を導入しなかったのだ。

 開発者は天才であったが、それと同じくらいの変態性も兼ね備えていたのである。

 最近になって、その天才の開発者の技術に、一般の科学者たちが追いつき、状態変化スーツを弄ることが出来るようになってようやく、休眠機能が搭載されるようになった――というのが真相であった。

 開発者が重度の圧縮フェチであるという事実は、知る人ぞ知る秘密であり、あまり公にはされていないのである。

 閑話休題。

 当時、休眠モード以外の対策として考え出されたのが、立体化するという方法だった。

「こちらをご覧ください」

 五人を案内しながら職員が示したのは、カラフルな積み木のようなものが置かれている机だった。

 積み木は単純な立方体から、U字型のものや、T字型のものもあり、色と同様様々なものがあった。

 それが何なのか、五人もすぐに察する。

「なるほど……これが、圧縮立体化というわけか」

「色はかなり特殊ですが……これもスーツで圧縮された人間、なのですね?」

「はい。どうぞお手に取ってみてください。少し重いですので、取り落とさないようにご注意くださいね。ちなみに色に関しては区別を付けやすいようにしているだけで、特に特別な機能というわけではありません」

 職員から許可を受け、おかっぱのゆかりが複数ある積み木のうちのひとつを両手で持ち上げる。

「暖かい……それに、弾力があって、思ったより重いですね……」

「……少し震えているようにも感じるな。平面化でもそうだったが、それより少し大きく震えている、ます、か?」

 ボーイッシュな幸世が職員に確認すると、彼女は頷く。

「その通りです。自力で動けるほどではありませんが、平面化よりも厚みがある分、少しだけ震える範囲が広がっているのです」

 そう言いながら、職員は積み木のひとつを手に取り、T字型のものとU字型のものを組み合わせるようにして置いた。

 U字型の凹みに、T字型の突き出した部分がすっぽりとはまり、長方形を形作る。

 それを見たひかるは、なるほど、と頷いた。

「そうやって組み合わせて、下になる人の負担を減らす……のが、目的なんだ……」

「ご明察です。組み合わせを考えるのが多少手間のかかるところではあるんですが、これによって個々にかかる負担は十分の一になるとされています」

 そう言いつつ、職員は木で出来た箱を机の上に置いた。

「では、体験学習として、簡単なゲームをしてみましょう。この箱の中に、机の上にある立体化された者たちを納めてみてください」

 積み木パズルを立体に圧縮された人間で行おうという話だ。

 状態変化スーツが一般化する前であれば、どんなサイコパスかという話だが、現代の女学生である彼女たちは平然と受け入れている。

「なるべく負荷がかからないよう、完全に下になってしまう者が出ないようにしてみてください。詰め方は何通りかあります。もっとも負荷のかからない状態で納めることが出来れば、記念館に併設されたカフェで提供されているケーキが無料になる引き換え券をお渡しします」

 その話に、甘い物に目がない五人の女学生たちは盛り上がる。

 各々が机の上に置かれた、立体化した人間を手に取り、あーでもない、こーでもないと言いながら木の箱に納める方法を模索する。

「まずはこの長いIの字型の人の納め方から考えようよ」

「普通に立てて置いたらダメかな……?」

「箱の高さが少し足りないな。最後に横向きに置くしかないんじゃないか?」

「でもそれだとその人だけ楽過ぎないですか?」

「いっそ、一番下に寝ていただいて、その御方を基準にするのはいかがでしょう?」

「えー、それは逆にその人がキツ過ぎない?」

「いえ、十字の方をこのように隣に立てておけば……ほら、この方に負担はほぼかからないでしょう」

「なるほど、確かに……さすがはゆかりだ。その発想はなかった」

「うふふ♡ 幸世ちゃんに褒められちゃいました♡」

「はいはい。いつも幸せそうだねバカップルは……」

 姦しくおしゃべりをしながら、五人はあーでもないこーでもないと、立体に圧縮された人間を手に持って詰め方を模索し続ける。

 その際、立体化されている者たちは表面を撫でられ、箱に納められて位置をずらされてはまた持ち上げられるなど、五人の女学生たちの手で弄ばれる。

 取り扱いは乱暴ではなかったものの、様々な刺激を受け続けることになった。

 彼女たちがどんな風にそれを感じているかは、外からは知ることが出来なかったが。

 時折女学生たちの手の中で大きく震えていたことから、職員にはどんな風に感じているかを想像するのは簡単だった。そもそも、彼女も今日は案内役を務めているが、日によっては実演側に回ることもある。

 やがて、こういったパズルが得意である、気弱なひかるがここぞとばかりにその真価を発揮し、木箱の中にすべての立体化した者たちを見事綺麗に納めた。

「やった! さっすがぴかっち!」

「お見事です、ひかるさん」

「えへ、へ……」

 葵とゆかりが手放しで褒めると、ひかるはその頬を朱に染めて照れるのだった。

 全ての立体化した収まった箱の蓋を締めると、箱の上部に立体映像で文字が浮かび上がり、『最小負荷達成!』と示され、ファンファーレが鳴り響く。

「おお、おめでとうございます! 完全クリアは久しぶりですよ! 引換券をお渡ししますね」

 職員の称賛に盛り上がる五人。

 引換券を渡した後、職員は楽し気に告げた。

「もう一つ体験型のゲームがあるのですが……それにも挑戦してみますか?」

「します!」

 周りに褒められて嬉しかったのだろう、ひかるは勢いよく手を挙げた。

 気弱な性根の彼女は普段そんな風に主張することが少ないため、他の四人は少し驚いたが、すぐに微笑ましい者を見る目になるのだった。

 職員はそのゲームの説明を行う。

「内容自体は至ってシンプルです。違う箱で同じことをしてもらうのですが……今度は、ピースを複数本増やします」

 そしてその追加するピースは,五人の中から補充されるという内容だった。

 詰められる側も体験することになる。

「それは、私たちもその圧縮立体化スーツを着る、ということですか?」

「いえ、さすがにそれは時間がかかりすぎますので、特殊な権限を用いて皆さんの身に着けている最新型のスーツに立体化モードを学習させます。一度しか変化できませんので、特に問題にはなりません」

「追加ピースの数は?」

「一つから四つまでの範囲で自由に決めてください。多ければ多いほど、パズルとしては簡単になるような作りになっています」

「それなら、ひかるさんを除いた全員をピースにするのが良いのではないでしょうか?」

「…………んー。そうとも、限らない。パズルは閃きが大事な時もある……あたしだけだと、時間内に思いつかない、かも……」

 パズルが得意であっても、ひとりで完璧にこなせると思うほど、彼女は自惚れてはいなかった。

 そんなひかるの様子を見て、幸世がちらりとゆかりを見る。ゆかりは何も言わず、幸世のアイコンタクトに頷いた。

「ならば私とゆかりがピースとなろう。正直、私とゆかりはこの手のゲームに馴染みがないしな……」

「あらあら」

 幸世の言葉に、ゆかりは特に反論せず、微笑むだけだった。

 この二人はお互いのことをよく理解しているのである。

 他の三人もある程度は二人のことを知っているため、特に反対意見はあがらなかった。

 五人の中で同意が取れたのを見た職員が、さっそく彼女たちのスーツに立体化モードをインストールするための装置を持ってくる。スマートフォンサイズの端末だ。

「しかし、最新型のスーツに新しいモードをインストールすることが出来たとは……」

「普通に使うだけであれば、最新型はほぼ完成形ですからね。あまり利用されていない機能ではあります」

 職員はそう言いつつ、幸世とゆかりのスーツに立体化モードをインストールする。

 インストール自体は一瞬で済んだ。元々スーツは様々な機能を追加される形で開発されてきたため、基礎となる技術を応用するだけで、過去のスーツの機能の再現は比較的容易に可能なのだ。

「それでは心の準備が整いましたら『圧縮立体化・開始』とおっしゃってください」

 幸世とゆかりは顔を見合わせて、頷き合ったのち、その合言葉を口にする。

「「『圧縮立体化・開始』」」

 その言葉と共に、二人の全身を状態変化スーツが覆う。



 ゆかりと共にその合言葉を口にした瞬間、頭頂部までの全ての体がスーツに包まれた。

 全身がぎゅっと引き絞られ、体が自然と直立不動の体勢を取らされる。

「ん……っ」

 その感覚自体は、通常の状態変化スーツで変化するときとそう変わりのない感覚だったので、特に何を思うことでもない。

 隣でゆかりも同じように全身をスーツに覆われ、小さく呻く声が聞こえてくる。

 程なくして、私とゆかりの体が圧縮され始める。

――ぎゅうううううう……

 ラバーに締め付けられ、体の輪郭が徐々に歪んでいくのがわかる。

 感覚自体はほぼそのまま存在するため、頭が胴体に重なり、手足が短く圧縮されるにつれて、全身の感覚が混ざりあっていく。

(ん……これは……っ、なかなか、新鮮な感覚……だな……)

 普段最新のスーツで圧縮される際は、まず体の厚みを失うところから始まる。

 そのあと自動的に折りたたまれるなどして、指定の形に収まるわけだ。

 私はゆかりと一緒に変化することが多く、彼女の存在を誰よりも近くに感じながら変化するため、私にとって変化の感覚とはゆかりの感覚が傍にあるという安堵感が大きいものだった。

 一人で変化することがないわけではないので、今回のように一人で変化することに抵抗があるわけではなかったが、慣れ親しんだゆかりの感触が傍にない、というのは若干寂しくも感じる。

(その点を差し引いても……この変化は……いや、圧縮は……かなり、変わったもの、だな……っ)

 普段が厚みを失う感覚だとするなら、これは一定の形の型に押し込められる感覚だ。

 私の体はどうやらH型に変化しているようだった。そういう体勢を取らされているわけではないのだが、万歳をしてM字開脚をしているような感覚になる。普通に取るとしたら恥ずかしい格好だ。

(ゆかりはどんな形になっているのだろうか――ぅ、んふっ!?)

 つらつらと取り留めもないことを考えていた私は、体にいきなり強い刺激を受け、思わず心の中で呻いていた。

 どうやら誰かが変化した私の体を掴んで持ち上げたようだった。

 股間と頭頂部を丸ごと握り締められたような、普通ならば絶対にありえない感覚を覚えてしまう。

 スーツ越しとはいえ、秘部に誰かの指が触れていて、ぞくぞくとした。

 ゆかりと『仲良く』する際に触れることも触れられることも多いのだが、その時とは全く違う感覚だった。

 誰が私に触れているのかはわからなかったが、H型となった私は、机の上に置かれ、パズルへの挑戦をひかるたちが始めたようだった。

 先ほど私たちがしたように、あーでもないこーでもないという声が聞こえてきそうなほどに、色んな方向を向けさせられ、箱の中でずらされ、しきりに刺激が与えられる。

(くぅ……! あぁ……っ、これは……結構、きつくないか……っ!?)

 思った以上に圧縮された状態で触られるのは強烈な感覚だった。

 普段の変化によって与えられる感覚も結構強烈なものだと感じていたが、あれで最新型の物は感覚がかなり調整されたものだったらしい。

 普段の変化なら、どちらかというと密着しているゆかりを強く感じるのだが、いまは一人であることも相成って、自身の体がH字型に押し固められ、その全身を弄られているという感覚を非常に強く感じる。

(それに、加え……っ、さっきから当たっている他の人の体の感覚が……っ)

 先ほど自分たちがパズルをやったときのように、他の圧縮された人と体と体が擦れ合っている。

 こうして自分がされる方になると、思った以上に擦れる時の感覚は鋭く、圧縮された体が勝手に震えるのが止められない。

(ふあっ……んあっ……! む、昔の人はよく、こんな感覚を耐えていたもの、だぁっ!?♡)

 H字型となった私の隙間を埋めるように、別の誰かの体が入り込んでくる。まるでそれはゆかりが私の穴に指を入れてくるときのようで――

(い、いや待て……!? この、擦れ合う感覚……! まさか……!?)

 私はその場所に入り込んできた誰かが、なぜかゆかりだと直感していた。

 感覚的にはほとんど変化はなかったが、なんというか本能というべき何かがそれを察したのだ。

 それを肯定するかのように、その場所に接しているその『誰か』は、私と触れ合うと感極まったようにぶるぶると震えだす。

 その反応は、まさに私がゆかりに体を許したときの反応と同じだった。

(ひかるが気を使ってくれたのか……? 全く、余計な気を回す……ぅっ!?♡)

 反射的にそう思いかけたのだが、その私のつい強がってしまう意地のようなものを吹き飛ばす勢いで、H字型の私の隙間を埋めているゆかりが震え始めた。

 ゆかりは基本的にはいつも穏やかで友人にも敬語で接する、おしとやかな大和撫子なのだが、どうも私が関わることになると若干はしたないほど暴走しがちになることがあった。

(ゆ、ゆかりぃ……っ! おまえ、ちょっとおとなしく……! ひぁっ!?♡)

 伝わらないことは理解しつつも、そう心の中で声を上げてしまう。

 結局私もゆかりと同じように、体をぶるぶると震わせてしまうのだった。

 その後、ようやく綺麗に納めることが出来たのか、全方位に圧縮された人の気配を感じるようになって、刺激は少し落ち着いた。

 けれども、相変わらず私の隙間を埋めているゆかりが私の凹んだ分に刺激を与えてくるので、変な気持ちになってしまう。

 体験学習中に変な気分になってはいけない――と理性が少し抵抗していたのだが、すぐに全身から与えられる気持ちのいい快感に理性が負け、気持ちいい記憶だけになった。



 幸世とゆかりを含めた全員が、完全に箱に収まった。

 その箱の上部に『ゲームクリア』の文字が踊り、外に残った三人が喜びに沸く。

「やったじゃん! ぴかっち!」

「やりましたね! ひかるさん!」

「ふ、二人の助言もあったから……っ」

 ひとしきり盛り上がった後、ふと三人は同時に冷静になる。

「それにしても……ゆかりんの執着心って、すごいよねぇ」

「見えても聞こえてもないはずなのに、幸世さんと触れ合った瞬間、明らかに反応して震え始めましたからね」

「……愛の力?」

 何とも言い難い表情で笑い合う三人。

 職員は幸世とゆかりの関係を知らないが、三人の会話からなんとなく事情を察し、苦笑するのであった。


つづく





Comments

この時代の人間は、倫理観がおかしいようですーw-;

夜空さくら

綺麗に収まっても消えたりしないので安心です!0w0←せやろか

夜空さくら

tetris kusa

実用化される際は、たぶんある程度形を決め込んで置いて、いちいちパズルを解くようにすることはなく、端から順に詰めていく形にしてたでしょうね~^w^ まあ、立体化スーツが実用化されていたかどうかは微妙ですがw

夜空さくら

人間テトリス

c933103

これもまた懐かしいですね~ 平面化の次はパズル式に立体化させてたくさん箱の中に負荷を少なくして詰め込んでましたね。

ミズチェチェ


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