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夜空さくら
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感覚共有魔法 カゴノヒト side ②

■ 感覚共有魔法という、本来は味方同士の連携を高めるための魔法。それを悪用し、冒険者を狩るサキュバス――の話に出てきた冒険者パーティ・カゴノヒトsideのお話です。

■ もっとも、正確にいうなら、その中の『ヒトウマ』拘束の話です。カゴノヒトでは感覚共有魔法を正しく?活用していますーw-ウム

■ カゴノヒトシリーズの番外編的な位置づけです。カゴノヒトシリーズを知っていなくても読めると思いますが、読んでいるとよりいっそう楽しめます。


■ 『サキュバス side』は全体公開しています。『カゴノヒト side』(①以降)は支援者様限定公開となります。ご了承ください。

■ この作品には拘束・連結・ヒトウマ描写などが含まれます。苦手な人は回避をお願いします。

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 あたし――ファレンが双子のファリンと共に訪れたカゴノヒトは、概ね期待通りの冒険者パーティだった。

 あたしたちが元々いた町まで流れて来た噂では、相当変わった加護の人がリーダーを務めているパーティだという。

 加入できるのは女性限定ではあったけど、ほぼ出自を問われることがない。

 その上、強力な装備を提供してもらえるため、特殊技能を身に着けて居なくとも、素人同然の新人でも実績をあげることが出来る。

 そんな耳を疑うような内容だった。

 正直、その噂を本当に信じていいのか、そもそもそんなパーティが実在しているのか、疑っていた。

 だけど、あたしたちは双子である以上、普通の冒険者パーティには雇ってもらえない可能性が高かった。

 そんな変なパーティなら受け入れてもらえるかもしれない――そんな、藁にもすがるおも位だった。

 万が一、カゴノヒトもダメだった時は、強制的に離れ離れになってしまう前に心中しよう、と二人で決めていた。

 だから何のためらいもなく、あたしたちを受け入れてくれたカゴメさんは、命の恩人だ。

 その上、ファリンと物理的に『一つの存在として行動できる』方法まで提示してくれるとは思わなかった。

 双子は引き離した方がいいと言われることの方が多いのに、あえて一緒にする提案をしてくれるとは思っていなかった。

 そういう意味でも、カゴメさんには感謝してもしきれない。相当変わった人であることは間違いないけれど。


 その一つになる方法というのは――『ヒトウマ』と呼ばれる拘束だった。


 二人で一頭の馬を模した形になるその拘束は、拘束具が特殊な加護を持っており、馬として活動できるようになる。

 あたしたちはそのヒトウマ状態になった人たちの姿を見て、強い憧れを抱いた。

 正しくそれこそがあたしたちが求めていた姿だと、自然と確信していた。

 ヒトウマ拘束は結局のところ、人間二人が一つになっているだけなので、本来は別に厩舎は必要がない。

 でも厩舎という『場所』に『拘束』されることによって、ヒトウマ状態での能力も向上するらしい。

 実は厩舎自体、カゴメさんの力で作ったと言われて驚いたものだ。

 本人曰く、彼女の力は『拘束具を生み出す』ものなのだけど、解釈次第で建物まで作れてしまえるのだとか。

 常識で考えれば、めちゃくちゃな話だった。

 ともあれ、そういう利点があるので、基本的にヒトウマ拘束をされる者は厩舎に収まることになる。

 専属でヒトウマとなるあたしたちは、これから厩舎で暮らしていくことになるわけだ。

 普通の人ならとても耐えられないだろう。別に獣臭いわけではないけれど、自由に出来る部屋で余暇を過ごしたいという人が大半のはず。

 でもあたしたちにとっては、どこであれお互いの傍にいられれば満足だったので、全く問題なかった。

 あたしたち以外のヒトウマは、カゴノヒトに所属している非戦闘員の人が、必要に応じてなっているようだ。

 普段は控えの人員として、拠点や街で働いている。

 そんなに人員を抱えていて、パーティの運営は大丈夫なのか心配になるけれど、問題なく回せているらしい。

 カゴメさん曰く、カゴノヒトは街を守護した功績によって、様々な優遇措置を正当に受けているからだ。

 普段自由にしている非戦闘員の働き口も、いつでも離脱出来るようなものを街の方から割り振られているのだとか。

 奇抜な格好で時たま世間を騒がせるのはおいておいて――カゴノヒトは依頼の達成率も高く、功績の大きさもあって、街にちゃんと受け入れられている冒険者パーティだった。





 厩舎の中、あたしたちがこれから長い時を過ごすことになる場所は、とても小さな空間だった。

 立って縦に並んだら、三人で一杯になるくらいのごくごく小さな空間。

 普通の厩舎と同じように、手前と左右は柵状になっているから、見た目の圧迫感はないけれど、かなり狭いことは狭い。

 柵を形成している太い棒のようなものにも、なにやら物々しい金具や枷のようなものがついている。

 それはこの場所にただ入るだけじゃなく、そこでさらに拘束されることを示していた。

 徹底して拘束感を覚えさせるその光景は、さすが拘束愛好家のカゴメさんが作った厩舎、といった感じだった。

 あたしとファリンは厩舎の中を見て回りながら、思わずごくりと息を呑み込んだ。

 それは恐怖ではなく、興奮による緊張。ファリンも同じ気持ちであることは手に取るようにわかった。

 ここでヒトウマとなって拘束されている自分たちの姿を想像してしまったのだ。

「楽しみね、ファリン」

「本当にね、ファレン」

 口に出さずともわかっていたけれど、あたしたちはそう実際に声に出して改めて実感する。

 カゴメさんは、薄い板のようなもの――モニターというらしい――の中から、非常に楽しそうに話してくれた。

『ヒトウマ専門で常に待機してくださるのは、パーティとしてもありがたいので助かります。ちょっと早馬を出したい時などに、一人……いや、一頭いてくださるとすぐ出せますから。それに、基本的に私の作る装備は拘束具なので、能力は優秀でも機動力が著しく低下してしまっておられる方もいらっしゃいます。そういう方の機動力を補い、他の機動力の高い方々と一緒に行動させることが出来るのも、非常にありがたいですしね』

 カゴメさんは終始とても楽しそうだった。生き生きとした気配がモニター越しにも伝わってくる。

 実際、このモニターというものは非常に不思議なマジックアイテムだった。

 遠くの映像を映し出すマジックアイテムは全く存在しないわけではないものの、どれも映像は荒めで、映し出されている映像だと一目でわかるものばかりだった。

 その点、このモニターは『本当はこの枠の向こう側に人がいるんじゃないか』と思えるくらいに鮮明な映像が映し出されている。

 加護の力によるものだから、当たり前なのかもしれない。

 そうやってさりげなく発揮している効果でさえ、はっきりと一般離れしているあたり、カゴノヒトというパーティがいかに常識外れな存在か分かるというものだった。


 これから、あたしたちもその一員となるのだ。


 現在、カゴメさんが加護を付与した装備を作る際は申請式で、ギルドがその管理をしているらしい。その申請数は膨大な数になっているそうだ。

 だから本来はあたしたち用の装備が用意されるのは何ヶ月も後になるはずだったけれど、カゴメさんがマスター権限で即座に作ってくれた。

 そんな横暴を振るわせていいものかちょっと悩んだけれど、本人曰く問題ないそうだ。

 カゴメさんの要望は基本的にどんなことでも優先される。それが拘束具に関することであれば、本当に何よりも優先されるのいだという。

 ただ、あくまでも本人が本当に琴線に触れたことでなければそういったことはしないらしい。

 そういう柔軟な、というか言ってしまえば無茶苦茶な要望が普通に受け入れられている程度には、カゴメさんには信頼があるわけだ。

『とはいえ、私も敵を作りたいわけではないので、なるべく我儘は言わないようにしてはいます。前回お二人のような対応をした人は……冒険者になったばかりの方でしたが、大いに素養を感じたからです』

「「素養?」」

 何の素質なのか。

 カゴメさんはとても楽しそうな笑顔で、お二人と同じですよ、と前置きして続けた。

『私と同じ意味で、拘束を楽しんでくれそうな方だったんです』

 拘束を楽しめる人――そういう風にあたしたちは思われているようだ。

 その認識が正しいのかどうか、あたしたちは今の段階ではなんとも言えない。

 カゴメさんは活き活きとして言葉を続ける。

「お二人が専属のヒトウマになってくださったので、あまり会う機会はないかもしれませんが……もし会った時は、ぜひ仲良くしてあげてください」

 彼女にとっては冒険者パーティは仲間というより、友達の意識が強いのかもしれない。

 そんな風に楽しく雑談をしていると、一人の女性が厩舎の中に入って来た。

「カゴメちゃん。ギルドの方が新しく作った装備を届けてくださったわよ」

 穏やかな雰囲気の女性だった。

 年嵩には見えないけれど、何十人もの子供を育てた母親のような、大きな包容力と懐の深さを感じさせる。

 ただ、その体に纏っている服はぴっちりと肌に張り付くラバースーツで、その上から家庭的なエプロンを身に着けているため、ギャップがすごかった。

『マリエッタさん。ありがとうございます』

「これが私の仕事だから……あら、そちらの二人が新人さんたち?」

『ええ。ファレンさんとファリンさんです』

 カゴメさんは次にあたしたちに向けて言う。

『お二人はこの方によくお世話になるでしょうから覚えておいてください。マリエッタさんはカゴノヒトの料理、洗濯、掃除……その他、様々な日常業務を担ってくださっています』

「シャーティさんに可愛らしい双子ちゃんだって聞いていたけれど、本当に可愛らしい子たちね。よろしくね」

 ふわりと笑うマリエッタさん。

 その笑顔はとても自然で、あたしたちを不思議と柔らかい気持ちにする。

 なんとなくだけど、この人は見た目で区別できないとされてきたあたしとファリンを見分けて来そうな――そんな気がした。

 それはあたしたちにとってあまり歓迎することではないのだけど、それがそう嫌なことに感じない。

 この人の奇妙な包容力がそう思わせているのかもしれない。

「「よろしくお願いします、マリエッタさん」」

 表情の硬いあたしたちの挨拶を、マリエッタさんは母性を感じさせる微笑みで受け止めてくれた。

 それからマリエッタさんは、あたしが抱えていたモニターを受け取り、あたしたちの入る場所の前の壁に設置した。

 モニターの中のカゴメさんはとても嬉しそうに笑顔を浮かべている。

 よほど自分と同じ趣向と思われるあたしたちの存在が嬉しいらしい。

『では……早速お二人にヒトウマ装備を身に着けていってもらいましょうか。二人だけでは装着できないものもありますので、マリエッタさんも手伝ってください』

「ええ、もちろん」

『まずはマリエッタさんも身に着けていらっしゃる、ラバースーツを着ていただきます』

 そうカゴメさんがいうと、マリエッタさんは抱えてきた荷物の中から、黒く染め上げられた人の皮のような、抜け殻のような服を取り出して、あたしたちにそれぞれ渡してくれた。

 ラバースーツがどんなものかは、マリエッタさんやシャーティさんを見てわかっていた。

 けれど、実際にこうして手に持ってみると、想像していたよりも遥かに重くて、存在感がある。

 どうやって着るものなのか、一瞬悩んだけれど、広げてみるとすぐにわかった。

 背中部分に切れ目が走っており、ここから手足を通せばいいようだ。

 ごくりと息を吞みながらラバースーツに手を入れようとして、カゴメさんに止められた。

『着るときには、いま着ている服は全部脱いでくださいね。下着なども身に着ける必要はありません体表面の汚れはラバースーツが自動的に処理してくれますし、排泄に関しても後でご説明しますが、ほぼしなくてもいい状態にすることが出来ますので』

 カゴメさんはさりげない調子で、何でもないことのように言ったけれど、とんでもないことだった。

 生物としてどうしても必要になる発汗や排泄などを無視できるようになるのは、冒険者の活動において、とても優位性の高い話だ。

 常識的に見えるマリエッタさんですら特に反応していないところを見ると、ここではそれくらいのことは『普通』のことであるらしい。

 改めてとんでもないパーティに来てしまったものだとは思ったけど――それでこそ、遥々来た甲斐があると言うもの。

 あたしはファリンと視線を交わし、意を決して頷き合い、服を脱ぎ始めた。

 旅をしやすい軽装だったから、あたしたちはすぐに裸になる。

 ファリンはともかく、他の人の目もあるところで脱ぐのは少し恥ずかしかった。

 ただ、その相手がモニター越しのカゴメさん、母親のような視線のマリエッタさん、そして、ヒトウマ状態の方々――という特殊極まる人たちばかりだったので、そこまで恥ずかしく感じなくて済んだ。

 それにこれからある意味裸よりも特殊な格好をすると思えば、裸くらい晒したところで、という気持ちもある。

 あたしとファリンは服を着ていても鏡写しのようにそっくりだけど、裸になってもそれは変わらない。

 むしろ意図的に揃えられる服が無くなった分、天然の同一感がより増したと言える。

『お二人とも、お綺麗ですね』

 カゴメさんはニコニコしながらそう言ってくれる。直接的過ぎる好意だ。

 マリエッタさんも「本当ねぇ」と邪気なく褒めてくれるので、そっちの方が恥ずかしかった。

 その気恥ずかしさを誤魔化すように、あたしたちはラバースーツに体を通していく。

 ラバースーツは、奇妙な材質で出来ていた。

 外側は摩擦力が強く、手や指がほとんど滑らないけれど、内側は少し滑りがある。

 潤滑油をあらかじめ垂らしていた様子もないので、ラバースーツの特性の内だろう。

 後から、それがラバースーツに宿った加護の力だと知った。

 着やすいように、かつ着た後の着心地も良いように、常に滑りのある状態が維持されているという。

 常に濡れているだけなら皮膚がふやけてしまいかねないけれど、加護の力によるものなのでその心配はない。

 全身にラバースーツを纏う。あとは背中のジッパーを引き上げれば完了だ。

 あたしたちは特に言葉を交わすこともなく、正面から抱き締め合うような形で、お互いの背中のジッパーを引き上げていった。

 ぴちぴち、ミチミチ、と音を立てながらラバースーツがあたしたちの体に張り付き、程よい力で締め付けてくる。

「「……ッ、ふ、ぁ……!」」

 思わずお互いにお互いの体に回した腕に力が入り、ぎゅう、と抱き締め合ってしまう。

 ラバースーツを着た体の前面同士が擦れ合うと、裸で抱き合うのとはまた違う感覚がそれぞれに走り、あたしたちは身を震わせた。

 カゴメさんとマリエッタさんはニコニコと笑顔でそんなあたしたちを見守ってくれている。

 そしてとうとう、ラバースーツのジッパーをうなじあたりまで引き上げた。

 あたしたちの体は、首から下が完全にラバースーツによって覆われている。

 ラバースーツはとても不思議な素材で出来ていた。

 いくら伸縮性がある素材であっても、きちんと細かく採寸していなければ、多少身体に合わないところが出てくるはず。

 けれど、そのラバースーツはあたしたちの身体にぴったり沿って、第二の皮膚のような張り付き具合を見せていた。

 今現実に着てみたところでなければ、服ではなく塗料でも塗されたのではないかと思うくらい。

「「これは……すごい」」

 あたしたちは正直にそう思った。

 加護のある装備なのだから、ある程度使用者の身体に沿って変化することはありうることだったけれど、ここまでぴったりになることは中々ない。

 少し身体を動かしてみる。

――ギュ、ギュム、ギュ……ッ

 身体を捩る度に、全身とラバースーツが擦れて気持ちいい感覚が生じる。

「「ふわぁ……」」

 二人して、その絶妙な感覚に陶酔していた。

 お互いの感覚も感じ取れるあたしたちは、お互いが感じた感覚をお互いが感じ、相乗効果でさらに気持ちよくなっていける。

 目の前では、ふぁりんが荒い呼吸をしながら体を摩っていた。

 あたしも同じような顔をしているのだろう。

 少し気恥ずかしく、けれどそれ以上に感覚を共有出来ていることが嬉しい。

 ファリンと同じ気持ちでいられることは、あたしにとって何よりも至福に感じることだった。

 そんなあたしたちの様子を見ているカゴメさんもまた、とても嬉しそうだった。

『期待通りの、とてもよい反応ですね……ふふふ』

 ラバースーツを着た時の反応がお気に召したようだ。

『次は……そうですね、まずはお二人の共通するところから行きましょうか』

 そう言ってカゴメさんが次に示したのは、シンプルな形状の貞操帯だった。


つづく

Comments

ラバースーツだけでも十分気持ちよくなれちゃう素養の持ち主たちなので、もうずぶずぶですね~^w^ 拘束具のない生活には戻れないし戻りたくないでしょうねぇ……ーw-業が深い

夜空さくら

ラバースーツの気持ちよさを初体験からのヒトウマ拘束開始! もう元の生活には戻れなくなっちゃうんだろうな~ 拘束具の無い生活という意味で。

ミズチェチェ


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