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夜空さくら
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記者、ヒトイヌ拘束を施される 笛吹ちぐさside①

■ あらすじ:知る人ぞ知るヒトイヌ拘束が気軽に楽しめる有料公園『ヒトイヌ公園』。資産家による惜しみのない投資で成り立つその公園に、後ろ暗い裏があると睨んだ女記者・笛吹ちぐさ。後輩カメラマン・田中照正を連れて公園を訪れた彼女だったが、高額な一般入場料に手が出なかった。そこで彼女は自らヒトイヌとなり、照正をパートナーとして、公園内に侵入し、特ダネを掴もうとするのだが……。

■ 『ヒトイヌ公園』シリーズです。単体で読んでも、一応問題はないように書いています。なし崩しにヒトイヌになった彼女を待ち受ける、数々の試練をお楽しみください^w^ 笛吹ちぐさは無事特ダネを掴めるのか。それともヒトイヌ公園に飲み込まれてしまうのか! きっと今回もハッピーエンドですーw-ウム


■ 笛吹ちぐさsideは支援者様向けに公開、田中照正sideは全体向けに公開します。片方だけ読んでも楽しめるようになっています。

■ 本日11月1日は『ヒトイヌの日』、ということで笛吹ちぐさsideですが全体公開にしています^w^ 今後もシーンによっては全体公開にするかもしれません。

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 ヒトイヌ公園という、名だたる資産家たちが惜しみなく多額の出資をして、運営されているという有料公園。

 そもそも『ヒトイヌ』とは何なのかについては、私は事前の調査でちゃんと把握していた。

 SMプレイの一種で、端的に言って特殊な性癖だ。

 基本は犬のように四つん這いで行動し、ご主人様として存在するパートナーの言うことを聞く。

 奴隷のようにご主人様に性的に奉仕することもあれば、本物の犬のように単純にパートナーに愛でられる場合もある。

 そんなペットプレイが公然と、広々とした敷地内で行われているところ。

 公園内にはパートナーを持たない『野良のヒトイヌ』も存在し、ヒトイヌのパートナーがいない人も楽しめる。

 逆にヒトイヌになりたくてもパートナーがいない人も、公園側のサポートを受けてフリーのヒトイヌになることが出来る。

 滅多にいないヒトイヌ希望者同士が仲良くなることも出来る『ヒトイヌ』としての交流の場所。

 それが『ヒトイヌ公園』だ。

 だけど、特殊性癖なだけに、そんな規模で施設が成り立つほど、ヒトイヌ希望者が多いわけがない。強制的に働かされているヒトイヌが、相当な人数いるはずだ。

 そしてヒトイヌ拘束というのは、強制的にさせられる拘束としては、ほとんど拷問のような厳しい拘束だ。極めて劣悪で、違法な労働環境が透けて見える。

 資産家たちのスキャンダルの匂いを、記者の勧で感じ取った私は、助手でありカメラマンでもある田中照正と共に潜入を試みた。

 ヒトイヌに興味を持つ一般人として入場する予定だったけど、その入場料はとんでもない高額で、私個人のポケットマネーではどうしようもなかった。

 そこで一般入場よりは遥かに格安で入れる「ヒトイヌ」と「パートナー」として、公園内に入場することになったのだけど。


 そのためには、私が『ヒトイヌ』に扮しなければならなかった。





 私、笛吹ちぐさは、美人記者として有名だ。

 決してナルシストな自惚れではなく、社内でも社外でもそのように扱われている。

 モデルのよう、というには少々身長が足りないけど、顔やプロポーションに関してはそんじょそこらのアイドルには劣らない自負がある。

 色々と不摂生になりがちな記者の仕事をしていても、食べるものや運動量に気を配り、美しい外見を常に維持しているのだ。

 だから、顔や体を魅せるということに対しては特に忌避感がない。

 磨き上げたそれを見せつけ、仕事にも利用しないでどうする、という気持ちさえある。


 そんな私でも、体のラインを殊更に強調するラバースーツを着るのは正直――恥ずかしかった。


 ヒトイヌの衣装は様々な形がある。

 ほぼ裸に近い格好から、頭の先から爪先まで肌がほとんど見えない格好もある。

 ただ、ヒトイヌ公園では野外での活動が多いためか、基本的には皆全身をしっかり覆った格好になっているようだ。

(顔や髪形も全部隠してしまうことで、個性を覆い隠してしまうわけね……)

 それは一般利用者のプライバシーへの配慮という意味では正しいのだろう。

 ヒトイヌ愛好家の中にも、それを周囲に明らかにしたいわけではない、という者は多いはず。

 それを考えれば、全身が覆われて個人の特定が出来なくなるのは都合がいい。

 ただ、本当にプライバシーだけを考慮してのことなのかと、私は疑っていた。

 全身を覆ってしまえば、それこそその内側でどんな風になっているかはわからない。

 暴力的な行為で無理やり言うことを利かせているのだとしたら、体は傷だらけになるだろう。

 それを覆い隠してしまうのに、全身を覆う衣装は非常に都合のいいものであるように思える。

(できれば、ヒトイヌ拘束を施しているところか、外すところを見たいけど……)

 私とカメラマンの田中は、受付で契約書にサインを済ませ――しっかりと全文を確認したけれど、スカイダイビングやラフティングみたいな、危険なアクティビティの前に書く契約書とそう大差はなかった――更衣室にやってきていた。

 施設の傾向を考えれば当然ではあるけれど、銭湯やプールなどと違って他の人と更衣室を共有することはないようだ。

(むぅ……ここで他の利用者を見られたら、わかりやすかったんだけどな……)

 そう思いはするものの、逆に人がいたら着替えるところを見られてしまうわけで、いなくてよかったとも思う。

 複雑な気持ちのまま、私は職員の人がこれから私の着る装備品を用意してくれるのを見つめていた。

 そうしていたら、ふと田中が後ろから私にこそこそと耳打ちしてくる。

「せ、先輩。僕は出てた方がいいんじゃ……?」

 そういう配慮ができるところは、朴訥ながら実直な性格の田中らしくていいところだ。

 だけど、時と場合を考えろと言いたい。

 私は田中に囁き返す。

「いいから居なさい。恋人なんだから、着替え程度でおろおろしないの!」

 学生の甘酸っぱい交際ならともかく、私も田中もいい歳の大人だ。

 そんな大人の恋人同士が、着替え程度で狼狽えるわけがないのだから。

 田中はもごもごとまだ何か言いたそうだったけれど、結局言葉を飲み込んで私の斜め後ろに戻る。

 とはいえ、今回に限っては彼のいうこともわからないでもない。

 普通に服を着替えるならともかく――これから私が着ようとしているのは、ラバースーツであり、ヒトイヌ拘束の基本となる、四肢を縛る拘束具なのだから。

 正直死ぬほど恥ずかしい。

(基本的な装備だけにしてほしい……とは言ったけれど)

 机の上に並べられている道具を改めて確認する。

 まず全身を覆うラバースーツ。

 結構厚手のものらしく、ダイビングスーツのような印象が強いものだけど、それと比べると外観が明らかに性的になりそうな予感がする。

 両手と両足の先までしっかり覆われる全身タイプのスーツだけど、よく見ると両手と両足の先は共に丸くなっていて、指先を使った行動が出来なさそうな状態になっていた。

(ヒトイヌ拘束なのだから、当然ではあるけど……ね)

 次に用意されているのは四肢を縛る拘束具。

 それぞれ手足に被せて使う袋状の拘束具だ。革のベルトのようなもので口を縛るようになっている。

 底の方は分厚いゴムで出来たクッションが取り付けられている。地面につく肘や膝をガードするためのものだろう。

(クッションは厚みに二種類あるみたいね……高さを合わせるためかしら……?)

 さらに頭全体を覆う全頭マスク。

 目と口の部分が空いている全頭マスク、というと銀行強盗などが被るマスクっぽいけど、それとはまったく違う。

 まず材質はスーツと同じラバーだ。色合いなどもちゃんと合っているので、両方身に着けたらきちんと一体化するだろう。

 目の部分は空いているけれど眼鏡のレンズのようなものがはめ込まれている。実際に外気に触れることはない。

 そして特徴的なのが口元の部分だ。犬のマズル部分を模したような、立体的な装飾が施されている。

 おまけに見た感じちゃんと稼働するようで、顎が開いたり閉じたりしていた。

 ついでに頭頂部にも犬の耳を模した飾りがあって、これを被れば見た目はかなり犬のフォルムに近づくだろう。

(にしても作りもかなり凝ってるし、異様な拘りを感じるわね……)

 そして、そのこだわりを反映させている残りの道具。

 一つは首輪とリード。

 首輪は犬の首輪と言われて、真っ先に連想するだろう革の首輪だ。

 ただ太さは人間に合わせて作られているので、大型犬サイズの迫力がある。

 かなり幅が広く、こんなものを首に巻かれたら、首を固定するギブスと変わらないのではないかという気がする。

 リードはロープではなくて、重苦しく見える鎖で出来ていた。

 じゃらじゃらという音が、わざとらしいくらい大きく鳴っている。

(実際に大型犬を繋ぐわけでもないのに……これは間違いなく演出ね)

 そして最後の道具。

 アナルプラグと連結された尻尾飾りが堂々と並べられていた。

 他の道具に比べ、明らかに性的な道具があることに、正直感じるものがないわけではない。

 お尻に何かを入れる、なんてことはこれまでの人生でしたことがなかった。

 出来れば避けたかったけれど、どんな衣装パターンでも尻尾飾りは必須、と言われてしまっては受け入れざるを得ない。

 アナルプラグはそう太いものではなく、普段出している大便よりは細い。

 まじまじと大便を確認することなんてあまりないから、ハッキリとしたことはわからないけれど。

 ちなみに私は基本的に毎日快便なので、そういう意味での心配はあまりしていなかった。

(でもどんな感覚なんだろう……)

 不安は尽きない。

 けれどここで私が不安がっては、後ろにいる田中も不安がるだろう。

 私はあくまで堂々と胸を張り、期待を持っているフリをして臨んでいた。

 全ての道具を準備し終わったのか、職員が私の方に向き直る。

「準備が完了いたしました。着用に関してはこちらでサポートさせていただきますね」

 本当にこういうことに興味があって来たカップルであれば、田中に装着を任せるべきなのかもしれないけれど、私は公園側のスタッフに補助をお願いしていた。

 実際ヒトイヌに興味はあっても拘束の経験はないという理由でそうする来訪者は多いらしいし、不審がられることはないだろう。

「それでは笛吹様――全ての着衣を脱いでください」

 丁寧に促され、どくんと心臓が跳ねる。どうしても顔が赤くなるのを感じた。

(平常心……平常心……って)

 ふと後ろを見て、眉を潜める。

 眼が泳ぎそうになっている田中の脇腹を突き、カメラを構えるように言った。

「滅多に来れないんだから、ちゃんと思い出の記録として残しなさい」

「わ、わかりまし、た」

 ここで彼に挙動不審になられると、怪しまれる。カメラを構えさせれば少しはマシになるだろうと考えてそう指示を出していた。

 公園内での撮影に難色を示されるかと思っていたけど、許可なく他の来訪者を撮らないという誓約書を書かされただけで済んだ。

 最後にデータに問題がないか立ち合いの元チェックはされるみたいだけど、想像よりはるかに寛容だった。

 ここでの経験を映像などに残しておきたい、と考える来訪者は多いらしく、単独でヒトイヌとして入場した者も、公園側が提供する映像記録などを喜んで受け取るのだとか。

 それはともかく、田中も曲がりなりにもプロのカメラマンらしく、カメラを構えた途端落ち着きを取り戻した。

 被写体に興奮して手が震えていたらカメラマンは成り立たない。

 そういう意味では褒めるべきことではあるのだけど。

 冷静に見つめられていると思うと、こちらの恥ずかしさが増す。

(平常心……平常心……)

 私はそう頭の中で念じながら服を脱いでいく。

 記者として――というか一人の女として――身だしなみは常に整えている。

 今日着けている下着も厳選したものだし、ムダ毛などの処理も怠っていない。

 だから私は怯まない。

 そう思っていた。

――パシャッ。

 カメラのシャッター音が、想像以上に大きく感じられた。

 咄嗟に体を隠そうとしなかった自分の自制心を褒め称えたい。

 さすがに少し手先は震えたけど、誰にも気づかれていないはずだ。

「……脱いでるところは取らなくていいのよ」

 本当の恋人関係とするなら、そんなところに反応するのはおかしい。

 確かにカメラを構えろとは言ったけれど、少しは自分で考えて欲しいものだ。

「す、すみません。綺麗だったので、つい指が」

 ファインダーから目を離さないまま、彼が歯が浮くようなことをさらりという。

 普段なら一発頭を叩いているところだ。

「……ッ、ば、ッ、んっ、く、ぅ……! そ、そう。それなら、仕方ない、わね」

 けれど、恋人に綺麗だと言われて叩くのは不自然すぎる。

 出かけた「馬鹿」という言葉を飲み込むのに苦労した。

 職員は微笑ましいものを見る目で私たちのやりとりを見ていた。

 怪しまれるよりはずっといいが、初々しい学生カップルを見るような目を向けられるのは、それはそれで穴に入りたいくらい恥ずかしい。

 私は恥ずかしさを誤魔化すために、どんどん服を脱いでいった。

 服を脱ぎ、キャミソールとストッキングを脱いで、ブラとショーツの下着だけの姿になる。

 部屋の中で一人下着姿でいるというのは、なんとも背徳的で恥ずかしい。

(さ、さっさと脱いでしまおう……っ)

 手を後ろに回し、ホックを外そうとして――失敗した。

 思った以上に手が震えていて、いつもなら数秒とかからずに外せるホックがなかなか外せない。

「く……っ、うぅ……っ、く、そ……!」

 こんなところで手間取っている焦りで、体が焼けるようだった。

 羞恥心による熱で頬が溶けてしまいそうだ。

 頑張って手を動かすのだけど、空を滑るばかりで全く外れない。

 初めて情事に臨む生娘のような状態になっている情けなさに、目尻に涙が浮かぶ。

 いっそ外さずに引き抜いた方がスマートなのでは――と思いかけた時、田中がいつの間にか傍に立っていた。

「先輩、僕が外しますよ」

 彼の指先が私の背中に軽く触れる。

 その感触に、ぞくぞくっと変な衝撃が全身を駆け巡った。

「ひゃぅっ」

 ホックが外れる音がして、ブラのカップが胸から離れそうになるのを、咄嗟に押し留める。

 変な声を出してしまったけれど、これ以上動揺を職員に見せるわけにはいかない。

「ぁひ、ありがと」

 なんとかそういうことが出来た。田中は何も言わずに再びカメラを構えて。

――パシャッ。

 シャッターを切った。

「ッ、だか、らっ、脱いでるところは取らなくていいってば!」

 恥ずかしさが限界だった。いつもの調子で噛みついてしまう。

「す、すみません!」

 田中はそんな風に謝りながら数歩後退する。それでもファインダーから決して目を離していないあたり、愚直というかなんというか。

 物理的に距離が離れたことで少し冷静になる。

 ともあれ難航していたブラジャーのホックを外せたのだから、次の段階に進まなければ。

 私は田中に背を向けてブラジャーを外し、そしてその勢いのまま、ショーツもずり下げて足から抜き取る。


 こうしてようやく、私は生まれたままの姿になった。


 脱いだ服を用意された籠の中にしまい、改めて職員の傍に行く。

 部屋の中で一人全裸でいるというのは、想像以上に恥ずかしい。

(ヒトイヌ拘束でもなんでもいいから……早く着せて……!)

 私は内心そう叫びつつ、職員の指示を待つ。

 私の羞恥地獄は、まだ始まったばかりだった。


つづく


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