記者、ヒトイヌ拘束を施される 笛吹ちぐさside②
Added 2021-11-08 14:02:49 +0000 UTC■ あらすじ:知る人ぞ知るヒトイヌ拘束が気軽に楽しめる有料公園『ヒトイヌ公園』。資産家による惜しみのない投資で成り立つその公園に、後ろ暗い裏があると睨んだ女記者・笛吹ちぐさ。後輩カメラマン・田中照正を連れて公園を訪れた彼女だったが、高額な一般入場料に手が出なかった。そこで彼女は自らヒトイヌとなり、照正をパートナーとして、公園内に侵入し、特ダネを掴もうとするのだが……。
■ 『ヒトイヌ公園』シリーズです。単体で読んでも、一応問題はないように書いています。なし崩しにヒトイヌになった彼女を待ち受ける、数々の試練をお楽しみください^w^ 笛吹ちぐさは無事特ダネを掴めるのか。それともヒトイヌ公園に飲み込まれてしまうのか! きっと今回もハッピーエンドですーw-ウム
■ 笛吹ちぐさsideは支援者様向けに公開、田中照正sideは全体向けに公開します。片方だけ読んでも楽しめるようになっています。
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ヒトイヌ公園で提供されているラバースーツには、オーダーメイド品とレンタル品があるらしい。
今回は初めて来た私が着ることになるのは、当然レンタルの方だ。
オーダーメイド品は何度もこの公園に来ているうちに、公園側が作ってくれる。一応自前のスーツを持ち込むことも出来るそうだけど、その際には公園内での使用に耐えられる素材と構造でなければダメらしく、ほとんどの利用者は公園側が用意したものを着るそうだ。
「野外で行動することを想定してヒトイヌ用のスーツが作られることは滅多にないので、大抵は必然的にそうなりますね」
職員の人はそう丁寧に説明してくれるけど、私はなんでもいいからさっさと服を着せて欲しくて仕方なかった。
(く、ぅ……田中の視線が……あとで、覚えてなさいよぉ……っ)
相変わらずカメラを構えている田中の視線が体に突き刺さっている。
カメラ越しだから気づかれていないと田中は思っているのかもしれないけれど、視線を向けられる側は視線がどこに向けられているのかハッキリわかっていた。
視姦、なんて言う言葉もあるけど、カメラ越しだからこそ、その視線の力が倍増している気がする。
私は局所を隠しそうになる手を、頑張って抑え付けなければならなかった。
ラバースーツでも何でもいいから、早く服を着て隠したい。
そんな私に、職員がラバースーツを手渡して来る。
「こちらはお客様の身体データに照らし合わせて、もっとも近いサイズだったレンタルのラバースーツです。お一人お一人に合わせた一点物に比べると、さすがにフィット感は足りませんが、初めてのラバースーツであれば十分な密着感が得られると思いますよ」
私はその説明に感心すると同時に、やはり妙だとも思った。
(人のサイズはそれこそ千差万別……それなのにかなり広い範囲までカバーできるってことは……相当な数のラバースーツが用意されているはずよね……でも)
私は受け取ったラバースーツの手触りを確かめる。ラバースーツに詳しいわけじゃないけれど、明らかにこのスーツの出来は普通じゃない。
滑らかな手触りといい。
丁寧に作られていることが見て分かる構造といい。
形や見た目だけを取り繕ったような、薄っぺらな粗悪品ではないことがわかる。
スーツはしっかりとした重みがあって、材質に拘っていることが詳しくなくてもわかった。
(こんなスーツを、レンタル用に大量に用意してるですって……? かかるコストがとんでもないことになるでしょ)
やはり何か怪しげな資金の流れを感じてしまう。
私は手に持ったそれを、一度広げてみた。
ぱっと見、人から剥がされた皮のように見える。
手足の先の形が違うことと、色が黒だからそう見えないだけで、これが肌色だったりしたらもっとその印象は強まるだろう。
「ちなみにスーツの色は基本黒となっています。ただ、オーダーメイドで用意する場合には着用する方に合わせて特殊な色を作ることもありますし、場合によっては透明なスーツを用意することもありますね」
「と、透明!?」
とんでもない話だ。それはもうラバースーツと言えるのだろうか。
というか、普通のスーツでも十分恥ずかしそうなのに、透明なスーツなんて恥ずかしいでは済まないだろう。
それがデフォルトに設定されてなくて幸いだ。
(と、とにかく着てしまおう……)
私は改めてそのラバースーツの構造を確認する。
どうやら背中側が開くようになっていて、そこからスーツに体を通していくようだ。
「潤滑油は必要な分量を内部に塗布済みですので、そのまま足や手を通せますよ」
そう促され、まずは左足から通していくことにする。
スーツの背中側を自分の側に向け、背中の切り込みをぱかりと開く。
内側は職員が言ったように潤滑剤が塗られているらしく、部屋の明かりを反射して怪しく光っていた。
テカテカしてぬめっとしているので、人によっては何かの口の中みたいに見えるのかもしれない。
(……平常心、平常心っ)
心を落ち着かせつつ、タイツか何かを履くときのように、スーツを持つ位置を整え、片足をあげる。
なお、その瞬間シャッターを切りそうになった田中のことは視線で牽制しておいた。全く油断も隙もない。
カメラマンとしての技量は認めなくはないけれど、私の恥ずかしい姿を撮影されては敵わない。
スーツの隙間に足を差し入れていく。
「……う、ひゃっ」
最初はひんやりとした感触が足先に当たった。
ぬめっているラバーの感触が、気持ち悪いような、良いような。
肌とラバーが擦れる感触は、ぞわぞわとする不思議な感覚だ。
足先にぬめりを感じ、徐々に足がその感触に覆われていく。
タイツやソックスみたいなものだと思っていたけど、その締め付け具合はそれらとは比べ物にならないくらい強かった。
「ん……っ、こ、これ……結構、キツ、い……!」
潤滑剤がなければ、とても履けなかっただろう。
それがあるから、滑らせるようにして足先がスーツの先端になんとか届いた。
先端部、というか足の裏に当たる部分にも同じように潤滑剤が塗布されていたら、滑って転んでしまうんじゃないかと思ったけど、さすがにそれくらいは考えられているみたいで、特に足元が不安定な感じはしない。
そのままスーツを引き上げようとしたら、職員に止められた。
「先にもう片方の足にも通した方が楽ですよ」
言われてみればそうだ。タイツを履くときと同じようなものだろう。
スーツを引き上げるのをふくらはぎの上くらいまででいったん止め、もう片方の足側もスーツに通していく。
両足の先端がスーツに覆われた。
職員が私の傍に膝を突き、丁寧にスーツの弛みを伸ばしながらスーツを引き上げるようにアドバイスをしてくれる。
そのアドバイスに従い、私も自分でスーツの弛みをなくそうと爪先を撫でるようにしながら、スーツを引き上げていった。
「ん……っ」
ぴち、ぴち、とスーツが音を立てる。体がラバーに覆われていく感触はなんとも表現し辛い感覚だった。
最初触れた時はひんやりとしていた潤滑剤も、私の体温が馴染んでくると違和感が薄くなっていく。
体の表面にもう一枚皮が出来たような、不思議な感触だった。
(それに……このラバーの感触……すごく、気持ちいい……)
あまりラバー素材を気持ちよく感じたことはないのだけど、これは質のいいラバーを使っているのか、触っていて全く不快じゃなかった。
しわを伸ばすために掌で撫で摩ると、絶妙な摩擦が返ってくる。
その手つきで気持ちよく感じていることを悟られたのか、職員がくすりと笑った。
「気持ちいいでしょう? この公園では人とヒトイヌの触れ合いに重きを置いていますから、触れた時の手触りには拘り抜かれているんですよ」
「そ、そうなん、です……ね……っ」
相槌を打とうとしたら、職員の手が私のふくらはぎを強く撫で摩って来た。
その瞬間、私は思わず体を震わせるほどの気持ちよさを感じてしまった。
「ひゃうっ!?」
「触れた側が気持ちよくなるのも大事ですが……大事なのは、触れられた方が気持ちよく感じることですから」
自分で触れても気持ちよくは感じていた。
けれど、人に触れられるだけで、こうも感じる強さが違うのかと驚く。
ただふくらはぎを撫でられているだけなのに、凄く気持ちがいい。
じわじわとそこが温かくなって、熟練のマッサージでも受けているようだ。
「これが太腿やお腹、背中といった面積の広いところを撫で摩られることを考えてみてください」
職員の声が妖艶に囁く。
「そして――胸に触れられる時のことも、考えておいた方がいいでしょう」
その時得られる快感はどれほどのものになるのか、想像するだけで頭がくらくらする。
撫でてみて欲しい――なんてことまで考えてしまっていた。
(……っ、ダメダメ! 冷静にならなきゃ……! 目的はそうじゃないんだから!)
辛うじて正気に戻った私は、誤魔化すようにスーツを引き上げる作業に集中する。
膝、太腿と順調にスーツを引き上げていく。
スーツによって覆われた私の体は、自分の身体じゃないみたいだった。
ぴっちりとしたスーツが太腿を締め付けてくるので、普段より足が細く見えることもあるのだろうけど。
そこも過ぎると、いよいよ股間を覆う段階になる。
履く前はタイツを履くときみたいな感覚かと思っていたけれど、それよりずっと強烈な感覚になりそうだ。
(そもそも、タイツを直穿きすることなんてないし……どんな感じなのかしら……)
ラバースーツの股間部分は、ジッパーのようなもので開けるようになっているようだ。
ただし素肌にジッパーが当たらないように、ラバー部分に丁寧に織り込まれている。ジッパーを閉めて着用すれば、ほとんどその感触はしないだろう。
ラバースーツのお腹部分を持ち、思い切って腰の上まで引き上げた。
――ミチっ、ギュゥゥッ、ぴちちっ……!
私の腰が、お尻が、股間が。
ラバースーツによって引き締められる。
「ふ、にゅ、ぅ……っ!」
身体を捩るごとに、スーツがぴちぴちと音を立てる。
経験したことのない奇妙な感覚に、変な声が出てしまう。
強いていえばスクール水着とか、体を覆う面積が多い水着を着た時の感覚が近いのかもしれない。
ただ、足を動かす際にその動きに引っ張られるような感触が生まれるのは、それとは全く違う感覚だった。
そんな未知の感覚にフラフラしている私を心配したのか、田中が声をかけてくる。
「せ、先輩……大丈夫、ですか?」
いつもなら「おろおろした顔をするな」と叱責するところだけど、そんな余裕は私にない。
「だ、大丈夫、だから……っ」
田中にそう応えておき、体の前に垂れているラバースーツの上半身を持ち上げる。
まずは左手だ。手はグーの形にして、窮屈な袖を押し広げるようにしながら、押し込んだ。
「ん……、くっ……!」
(いや、これ……! マジできついんだけど……!)
これで本当に合っているのだろうか。
このままだと鬱血してしまうのではないか、と心配になるくらい拳が締め付けられている。
その心配が顔に出ていたのか、職員が声をかけてくれる。
「奥まで押し込めば大丈夫です。――少し、失礼しますね」
そう断ってから職員は私の背後から左手を掴み、そして、ラバースーツの袖を着せる方向に思いっきり引っ張った。
一瞬拳がすごく締め付けられた、と思った次の瞬間、ズルっというすごい抵抗を伴いながらも、私の拳はラバースーツの袖の先端に到達していた。
ギチギチでほとんど動かせない。手首を曲げたりするくらいは出来るけど、指を開くことは全く出来そうにない。
改めてこのラバースーツがただのスーツではなく、人間をヒトイヌにするための拘束具なのだということを理解する。
「右手も通してしまいますね」
そういって職員の人が促すままに、私は右手も袖に通していった。
ある程度のところまでは自力て押し込めたけれど、やはり最後になると自分の力では押し込めない。
職員の手を借りて、何とか右手も先端まで押し込むことが出来た。
両手の先が覆われ、ようやく私は自分が手を使えなくなったことを意識した。
(あれ……? もしかしなくても……これって……)
そう考えていると、職員の人が尋ねて来た。
「ここからの装着についてですが……いかがなさいますか? 体に触れることが多くなりますので、パートナーの方にお任せした方がいいと思うのですが……」
その職員の質問は、当然考慮していなかればならないことだった。
なにせ両手が使えないのだから、誰かに装着してもらわなければならない。
そして体に触れることが多くなるというのも当然だ。
ラバースーツを着るときには背後のファスナーをあげないといけない。
それにいまの私はブラジャーを身に着けていないので、胸に当たる部分が本来の場所からずれてしまう可能性が高い。
そうなると、ブラジャーを身に着けるときにするように、スーツの中に手を入れて乳房の位置を調整する必要が出てくる。
普通に考えれば、見ず知らずの職員に触れられるより、こんな場所に共にやってくるパートナーにやってもらおうとするはずだ。
(カメラを構えないといけないから……って言い訳は、出来るけど……)
あまり撮影に熱心すぎるのも不自然だ。
恋人という関係性にあると考えると、パートナーの裸にはなるべく他人が触れてほしくないと思うのが自然。
カップルであると偽装し続けるなら、当然選択は決まっていた。
私は緊張で微かにかすれる声を振り絞り、田中に向けて言う。
「ね、ねえ照正――あなたが、私に着せてくれる?」
そういうと、田中は驚いた様子でファインダーから目を離した。
「え、いや、僕は……」
動揺しすぎているせいで、思わず断ろうとしていた。
私はそんな情けない様子を見せる田中。
いまさらためらわないで欲しい。その方が恥ずかしくなってくる。
「ではその間、よろしければ撮影は私が担当いたしましょうか?」
職員のその提案を、私はありがたく感じた。
「お願いします。……ほら、中途半端に着た状態は恥ずかしいんだから。さっさとして」
田中はそれでもあわあわと浮足立っていたけれど、職員にカメラを渡すと、私の背後に立った。
ごくり、と息を呑む気配が前にいる私にまで伝わってくる。
そんなに緊張して躊躇していたら、本当の恋人でないことがバレてしまいかねない。
私は発破をかけるべきかどうか悩んでいると、不意に田中が呟く声が聞こえてきた。
「……綺麗だなぁ」
どうやら私の背中を見てそういっているようだ。
私はムダ毛の手入れを欠かしていないし、綺麗なのは当然といえば当然なのだけど。
オフシェルダーのドレスでも着ているときに言われたら、平然と「当然でしょう」と返せたかもしれない。
けれど、いまの状況でそれと同じように返すのは不可能だった。
「……だっ、ばっ、あ、当たり前でしょ! いいから、早くファスナーを上げて!」
羞恥心を誤魔化すために、語気が強くなってしまう。
「ご、ごめんなさい!」
田中は田中で自分の言ったことに動揺しているのか、慌てた様子で謝ってくる。
そんな風に私たちがやりとりを交わしていたら、職員から妙に暖かい視線を感じた。
見守られている感覚がある。
それが余計に私の羞恥心を煽り、全てを投げ出して帰りたくなってしまう。
私はそれを意思の力で無理矢理抑えつけ、田中を促した。
「ほら、はやくっ、してっ!」
これだけ恥ずかしい思いをするのだ。
絶対にこれ以上ない特ダネを掴んで帰ってやる、という決意が私の中で一層燃え上がるのだった。
つづく