記者、ヒトイヌ公園に入場する 笛吹ちぐさside④
Added 2021-12-04 13:01:00 +0000 UTC■ あらすじ:知る人ぞ知るヒトイヌ拘束が気軽に楽しめる有料公園『ヒトイヌ公園』。資産家による惜しみのない投資で成り立つその公園に、後ろ暗い裏があると睨んだ女記者・笛吹ちぐさ。後輩カメラマン・田中照正を連れて公園を訪れた彼女だったが、高額な一般入場料に手が出なかった。そこで彼女は自らヒトイヌとなり、照正をパートナーとして、公園内に侵入し、特ダネを掴もうとするのだが……。
■ 『ヒトイヌ公園』シリーズです。単体で読んでも、一応問題はないように書いています。なし崩しにヒトイヌになった彼女を待ち受ける、数々の試練をお楽しみください^w^ 笛吹ちぐさは無事特ダネを掴めるのか。それともヒトイヌ公園に飲み込まれてしまうのか! きっと今回もハッピーエンドですーw-ウム
■ 笛吹ちぐさsideは支援者様向けに公開、田中照正sideは全体向けに公開します。片方だけ読んでも楽しめるようになっています。
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ヒトイヌ公園の暗部を探るための、潜入取材。
それが私達がヒトイヌ公園に入場した理由だ。
だから、天景院さんという資産家に最初に出会えたのは大きな収穫ではあったが、結局、彼女からはこれといって有力な情報を得ることは出来なかった。
彼女のヒトイヌに対する態度は自然だったし、ヒトイヌ側が無理矢理やらされているものだと考えている風でもなかった。
野良のヒトイヌの様子も自然だったから、ヒトイヌ公園が違法なことをしてヒトイヌを揃えているかどうかはまだ判断できない。
(次に会ったヒトイヌか利用者が、わかりやすい人であればいいのだけど……)
そんなことを考えつつ、私はヒトイヌ公園の遊歩道を歩き続けた。
歩くだけで精いっぱいだったので、ヒトイヌや利用者を探すのは田中に任せる。
最初のうちはまだなんとか動けていたのだけど、歩き続けていたらだんだん疲れが溜まって来てしまった。
立ち止まっても楽になるわけではないので、ひたすら動き続けなければならないのだから仕方ない。
「フゥ……フゥ……フゥ……」
「だいぶ息があがってますけど、大丈夫ですか? 先輩」
そう田中に心配されてしまうほど、私の呼吸は荒くなっていた。
(このルートを選んだのは、失敗だったかしら……)
なにせ日当たりが良すぎて暑いのだ。
ただでさえ、四つん這いで歩くのは慣れていないのに、その状態で相当な距離を歩くのはかなりしんどい。
田中みたいに普通に歩けば、視界が開けていて気持ちいいのだろうけれど、私にとっては地獄のような道行きだった。
(あれから誰とも出会わないし……)
天気のいい日にはあまり使われないルートなのかもしれない。
徐々に疲れて踏み出す足が遅くなる。
そんな私を心配して、田中が声をかけてきた。
「先輩、あそこにまた休憩所がありますよ! あそこでちょっと休憩しましょう」
田中の示した先には、確かにさっきと同じような東屋があった。
屋根があってベンチが置いてあるだけの簡単なものだけど、日差しを避けて休めるなら十分だ。
だけど、その提案に乗るわけにはいかない。
これ以上、休憩で時間を浪費するわけにはいかないからだ。まだ何も確たる情報を得れていない。
(とはいえ……このままじゃ、動けなくなるし……仕方ないわね)
背に腹は代えられない。
そう考えた私は、一度立ち止まり、体を揺すって田中の脚に前脚を当てる。
「うー、うぅっ! うー、うぅっ!」
口枷があるとはいえ、ある程度呻き声の調子で意味を持たせることは可能だ。
ただ、それには受け取る側の察する力が必要になってくるのだが。
「な、なんですか?」
全く察しの悪い田中だった。
私は少し苛立ちつつも、唸り声で意味を伝えるべく、もう一度ゆっくりと唸る。
「うーっ、うぅっ!」
「うー……あっ! ハーネス、ですねっ」
ようやく私が何を言いたいのか理解したのか、田中が嬉々として口に出す。
私はなんとか通じたことに安堵して、こくりと頷いた。
田中が邪魔にならないように、リードと一緒に持っていたハーネスに繋がったベルトを、リードとは別の手に持ち直す。
(……問題は、ここからだけど)
私は田中が力を入れやすいように、すぐ足下に立ちながら、心構えをする。
程なくして、田中が握ったハーネスのベルトに力を込め――その力は私の胴体に張り巡らされたベルト状のハーネス、言ってしまえばボンテージに伝わり、私の体を持ち上げた。
「ウッ……!」
張り巡らされたハーネスのベルトが体に食い込む。
胸が必要以上に強調されたり、ベルトが股間に食い込んだりして、恥ずかしい思いもしつつ、体に上向きの力が加わったことで、体を支えている四肢への負担がかなり軽減された。
これなら、休憩しなくともさらに先に移動することができる。
(あとは田中の体力……というか腕力がどれくらい持つかだけど……)
駆け出しであっても、プロはプロ。カメラマンとしての腕は十二分に備わっている。
重いカメラをぶれないように保持するためには体力や腕力が必要で、田中にはそれが十分に備わっている、
私の体を浮かせているわけではなく、あくまで補助だから、田中はそこまで辛そうではなかった。
袖を捲り、筋肉の浮かびあがった逞しい前腕部を晒しつつ、笑顔を浮かべている。
「それじゃあ、行きましょうか」
田中にしては、頼りになるじゃないか、と思ってしまったのは内緒だ。
それにしてもいい笑顔だった。
役に立てることがそんなに嬉しいのだろうか。妙に声が弾んでいるような気がする。
(まあ……元々こんな感じ……だったかも)
いま犬になっているのは私の方なのだけど、どちらかといえば犬気質なのは田中の方だ。
何かと指示を出していた、というのもあるかもしれないけど、彼はそれを受けて喜んで行動していた気がする。
(どうでも、いいか……)
いま気にしていることでもない。
私はあまり考えないようにしつつ、田中の補助を受けながら再び歩き出す。
田中の持ち上げる力は絶妙で、かなり動くのが楽になっている。
(ふぅ……それでも……ふぅ……ふぅ……苦しい、けれ、ど……!)
体にボディハーネスのベルトが食い込んでくる。ギシギシ、という音が響くのも、結構影響していた。
胴体が締め上げられてしまっているから、呼吸は少し苦しくなっている。
手足の負担が和らいだことで、歩くことは辛くなくなったけれど。
これなら休憩を挟むことなく、まだまだ先に移動できそうだ。
「ん……しょ、っと……」
ホールド力を鍛えている田中とはいえ、人間の重量をある程度支えるというのは、あまり経験がないことだろう。
時折声を出してベルトを持ち直していた。
「んぐ……ッ」
その度に体にベルトが食い込むので、出来ればそのままの状態を維持してもらいたいのだけど、さすがにそれは我儘というものだ。
だから私は、ベルトが体を締め付ける感触を堪えながら、ひたすら前に進むことだけに集中した。
その時、足を突いた場所に小さな石があったようで、その位置からずるりとズレてしまった。
「ふぎっ!?」
その結果、私の体が一段階深く沈み込み、ボディハーネスの股間部分が、私の股に強く食い込んでくることになってしまった。
股に何かが食い込んでくる感触というのは、普通に暮らしていれば滅多に感じるものじゃない。
自転車やバイクに乗る人なら、サドルが食い込むこともあるかもしれないけど、私は主な移動手段が電車が自動車なので、ほとんどそういうことがなかった。
ギュウ、と股間が引っ張られるような感触がして、私は思わず変な声を上げてしまう。
「ンキュウウウウ……ッ!」
「せ、先輩? 大丈夫ですか?」
田中は良かれと思ったのか、一瞬ハーネスのベルトを持つ手の力を緩めた。
その結果、食い込みは一瞬和らいだが、態勢を崩していた私の体が、そのまま地面に崩れ落ちそうになる。
それを見た田中は、反射的に私が地面に叩きつけられないように、再びハーネスを使って私の体を持ち上げた。
結果、一瞬食い込むの緩んだハーネスが、勢いをつけて食い込んでくることになった。
「ウグッ――ゥッッ!!」
一瞬呼吸が出来なくなるほどの締め付けが、私を襲う。
目の前で星が瞬くほどの衝撃になった。
「あわっ、わわわっ、ごめんなさい!」
期せずして、私を責めるような形になってしまった田中は、目に見えて狼狽していた。
再度力を緩めて、もう一度同じ過ちを繰り返さずに済んだのは褒めるべきか。
私はなんとか体勢を立て直し、自分の手足で地面に立つ。
(ふー……全く、もう……っ。もういいから、行くわよ……っ)
これ以上ここで立ち止まるわけにもいかない。
私は手足を動かして、先に進むことで、田中への応えにした。
田中は遠慮がちなりながらも、私の歩行を補助して歩き出す。
ボディハーネスによって体を締め付けられながらも、私はなんとか手足を前に運んで先へと進んだ。
そうして、ようやく目的の場所に辿り着くことが出来た。
そこは、ヒトイヌたちが自由に遊ぶために存在する、『遊技場』と呼ばれる場所だった。
ここではヒトイヌたちがヒトイヌの状態で遊べるように、様々な工夫が施されているらしい。
(ヒトイヌも多く集まる場所だっていうし……野良のヒトイヌもいるといいんだけど)
さっきの青い目のヒトイヌは、喜んでヒトイヌに扮していたけれど、嫌々ヒトイヌにされている者が必ず存在するはずだ。
ここにそういうヒトイヌがいる可能性がある。
私と田中は、さっそくその『遊技場』の中へと入った。
入口で手足を拭くように書かれていたので、田中に手足の先を拭いてもらう。
そうしていたら、不意に声がかけられた。
「おや……? これは珍しい。新しい利用者の方ですか」
男の人の声。
思わず体を固くしながらそちらを見ると、いかにもベンチャー企業の社長、という風な、若い男が立っていた。
(そ、そういえば、そうだった……っ! 男性の利用者だって、いるわよね……!)
むしろそっちの方が多いだろう。
最初に女性の天景院さんと出会ったのは、むしろ珍しかったのかもしれない。
その若社長風の男の傍には、明らかにそっち系の人、としか思えない、強面の初老の男性がいた。
「ほぉ、見た感じ、まだヒトイヌに慣れてなさそうな『子犬』だが……接触可能というのは珍しいな? ワシらにしてみればありがたいが」
かっかっかっ、と楽し気に笑う男性。
「あ、えっと、その……ど、どうも……」
田中はそんなオーラのある二人組に視線を向けられ、蛇に睨まれた蛙のように固まっていた。
その姿を情けない、とは思わない。
その二人から感じる大物感は、正直私でも身が竦む。
そういう筋の者の二人が、この場を使って怪しげな密談をしていた――と考えてもおかしくないくらいに、雰囲気があった。
(うぅ……だ、大丈夫かしら……)
普段なら先輩の意地で田中の前に立つけれど、いまの私ではさすがに分が悪すぎる。
田中に頑張ってもらうしかない。
しかし、思ったよりもその二人はフレンドリーな様子だった。
「兄ちゃん、見たところヒトイヌ公園は初めてだろ? 色々教えてやるから、ちょっと話をしねえか?」
普通の休憩所のようなところに置いてあるベンチに、その初老の男性はどっかりと腰を降ろし、田中を誘う。
雰囲気が完全にヤクザだ。ちなみに若社長風の男の方も歓迎しているようだ。
「同じ趣味の人は貴重な宝ですからね。……ああそうだ。遊技場の方には、私たちのパートナーがいますから、お嬢さんの方はそちらに行ってみるといいですよ。ヒトイヌ同士、存分に交流してください」
喋れないのにどう交流しろというのか。
一瞬そう思ったけど、これはチャンスだとも思った。
(パートナーである二人がここで田中と会話をしている間、つまりヒトイヌの方は自由ということ……素の反応が確認できるかもしれない!)
この二人に脅されてヒトイヌをやらされているのかどうか、見極められるかもしれない。
それに、私がいなければ、この二人も田中に対して、重要な秘密を漏らすかもしれない。
私は田中を見上げた。田中は非常に不安な表情を浮かべていたが、ここは心を鬼にする。
「ウーッ」
「う……わかりましたよ、先輩……」
頑張れ、という意思が通じたのか、田中は情けない顔をしつつも、私からリードとハーネスのベルトを外した。
自由になった私は、転ばないように注意しつつ、『遊技場』らしき方向へと向かう。
そこに入る寸前、田中の方を振り返ると、田中は貫禄のある初老の男性の隣に座らされ、豪快に笑いながら肩を組まれて縮こまっていた。
若社長風の人に飲み物を渡してもらっていて、歓待されてはいる。
(頑張って情報掴んでくるのよ……!)
私はそう心の中で呼びかけつつ、私も何か確定的な情報を得るべく、遊技場へと乗り込んだ。
絶妙に柔らかいマットが敷かれた大きな部屋だ。デパートなどにある幼児を遊ばせるようの遊戯スペースが一番似ているだろうか。
ヒトイヌが存分に遊べるように、様々な道具や遊具が用意されている。
クッションなどもあって、体を休めることも出来そうだ。
その遊戯場の中には、あの二人のパートナーらしきヒトイヌが二人いた。
ただ、私の想定外の存在がいた。
本来なら、ちゃんと想定しておくべきだったのかもしれない。
利用者に男性がいるように――ヒトイヌにも、男性がなることはあり得るのだと。
二人のヒトイヌのうち、片方は男性のヒトイヌだったのだ。
それも、物凄く体格がいい。
おそらく普通に立てば二メートル近い身長になるだろう。
全身に身に着けているのは、私とほぼ変わらないラバースーツと拘束具だった。
けれど、明らかにラバースーツの上からでもわかるほどに筋骨隆々とした、立派な体格だった。
私の着ているものと唯一違う点は、当然ながら女にはなくて男にしかない部分――男性器の部分だった。
その大柄な体格に相応しい、恐ろしい大きさの男性器が、股間部分から飛び出していた。
勃起した状態を維持させられているのか、かなり大きく見える。
その男性器にも、ラバー素材で出来た袋のようなものが被せられているので、生々しさは少ない。
さらにその男性器はベルトで締め上げられていて、射精や挿入などは出来ないようにさせられているようだ。
犯されるとか、そういうことの心配はしなくて良さそうである。
(……まあ、こっちもラバースーツを着てるから、そうでなくても挿入とかされる心配はないわね)
頭ではそう考えていたものの、純粋な体格の差だけでも私は委縮してしまう。
もしそのヒトイヌが飛び掛かってきたら、私にはどうすることも出来ない。
(こ、交流ってどうすればいいの!?)
私もそのヒトイヌも口が塞がっているから、言葉を交わすことも出来ない。
私がどうすればいいのかわからずその場で硬直していると――もう一人のヒトイヌが、私の方に近づいて来た。
そちらは女の子だったので、少し安心する。
「きゅーん、くーん」
ヒトイヌ状態に慣れているのだろうか。
私とほとんど同じくらいの体格のその子は、私に近づいてくると、マスク越しにもわかるほど全開の笑顔を浮かべた。
さらにその軽快な動きで、私の周りをぐるぐると回る。
(こ、この子もかなり犬っぽいというか……それっぽい自然な動きを――ひゃぁっ!?)
「ンヒュゥッ!?」
いきなり股間に刺激を加えられて、私は悲鳴をあげていた。
慌てて体を捩って背後を振り返ると――ヒトイヌが、そのマスクの鼻先を私の股間に押し当てに来ていた。
つづく
Comments
いままで頑なに出していなかった……はずーw-;←自信ないんかい パートナーについては、次回をお楽しみに!^w^bグッ! 犬の挨拶にはお尻の匂いを嗅ぐというものがあるそうで。ある意味それを忠実に守っているといえなくはないですーw-ウム まあそれを意識してない人からすれば、奇襲もいいところですけどね!w
夜空さくら
2021-12-04 15:20:24 +0000 UTCだ、男性のヒトイヌ!? パートナーは女性の方かな? 田中君はうまく会話が出来ると良いですね~ ちぐささんは色々疲れている所に奇襲を受けちゃいましたね~はてさてこのあとどうなることやら?
ミズチェチェ
2021-12-04 13:22:32 +0000 UTC