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夜空さくら
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ヒトトラ披露会 中編

■ ヒトトラ披露会の中編です。

■ 前編はこちら(https://yozorasakura.fanbox.cc/posts/3243317)からどうぞ!


■ 久々の『藤原宮子の羞恥なおしごと』シリーズ(https://www.pixiv.net/novel/series/1089343)の続編となります!

■ 全体公開で、前・中・後編で展開する予定です。今年も早速彼女は羞恥な目に遭います。まあ、いつものことですねーw-ウム

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 店の前に、ほとんど音を立てない静かな動きで一台の高級車が停まる。

 着物を着て入り口の傍に立っていた店員たちが、急いでその車の近くに走って行った。

 そして運転手が恭しく開いた扉から出てきた人物に対し、一斉に頭を下げる。

「天景院様! いらっしゃいませ!」

 コツコツ、とハイヒールの音を立てながら車から出てきたその女性――天景院志樹久は、居並ぶ店員たちに笑顔を向ける。

「あらあら。皆、今日は一段と可愛いわね。着物、似合ってるわ」

 優しい声音で彼女にそう呼びかけられた店員たちは、内心密かに喜びつつも真面目な表情を浮かべたまま、彼女を店へと誘う。

 店の中では、従業員たちに『ママさん』と呼ばれている女性が待っていた。

「ようこそ、天景院様。あけましておめでとうございます」

 新年の挨拶を優雅に行うママさん。

 ただしその服装は新年らしい着物ではなく、いつもの身体にぴっちり張り付いているスーツだった。柄だけは寅年に合わせて、主張しすぎない虎柄になっていたが、それが逆に少し奇妙なおかしみを生んでおり、実際それを見た天景院はわずかに苦笑を浮かべる。

「ええ、おめでとう。……新年らしい、というにはちょっとおかしいわね。いっそ耳と尻尾も着けるべきだったんじゃない?」

「中途半端に虎に扮するのは、真面目にヒトトラになってくれているあの二人に申し訳なくて。かといって新年だというのに、いつもと全く同じでは面白みがないでしょう? 結果、こうなりました」

「面白み……というよりは、おかしみになっちゃってるわねぇ」

 くすくす、と嫌味ではない笑いを天景院は浮かべる。その意図はママさんにも伝わったのか、彼女が特に気分を害することはなかった。

 二人は客と店員という関係ではあるが、互いに知らない仲というわけでもない。気の知れた友人同士の掛け合いにも等しいのだ。

 ママさんが天景院を席に案内しつつ、話を続ける。

「それにしても、正直貴女は来られないんじゃないかと思っていましたよ。新年の集まりでお忙しいでしょうに」

「それは、まあそうなんだけどね。こればっかりは外せないでしょう。あの子たちの特別な姿が見られると聞いちゃったらね。無理矢理二日分の予定をこじ開けたわ」

 彼女はかつて、現在ヒトトラに扮している宮子と美里の二人を、ヒトネコとして自分の屋敷に招待して数週間飼っていた時期があった。

 二人が大学を卒業したら、そのまま自分の家で飼いネコにならないか、と声をかけているほど、天景院は彼女たちのことを気に入っている。

 そのため彼女はふたりが何か特別なことをするとなれば、それは何よりも優先されるべき事項なのである。

 とはいえ、彼女も押しも押されもしない資産家の一人として、各方面への新年の挨拶回りをしないわけにもいかず、彼女がここにたどり着くまでには相当な苦労があった。

 そんな彼女の苦労を、聞くまでもなく察しているママさんは、彼女に向けて優しい微笑みを浮かべる。

「そこまで愛されたら、彼女たちも本望でしょうね。ご期待に添えるといいのですが……さて、お席につきましたよ。こちらで暫しお待ちください。宮子を連れて参ります」

 天景院が案内された席は、少し奥まった位置にある広い席だった。普段は大きなテーブルが置かれているスペースだが、いまはそのテーブルが半分ほど片付けられ、椅子以外何もないスペースが広く確保されている。

 テーブルがある方の席に着いた天景院は、わくわくした様子を隠そうともせず、給仕を呼んでお酒と簡単な食べ物を注文する。

(さて……あの子たちのヒトトラの姿はどんな風になっているのかしら)

 天景院は二人のことを非常に気に入っていた。

 ヒトネコらしい恥じらいを強く表す宮子と、猫らしい自由奔放さと天真爛漫さを強く表す美里。

 いずれもヒトネコとしての強い魅力を放つ逸材だ。

 彼女たちを超える素養を持つヒトネコには、潤沢な資金を用いて人材を探し求めている天景院ですら、まだ会えていなかった。

 ただ単に人がヒトネコに扮するのとは明らかに違う魅力が、あの二人にはあるのだ。

 期待に心を弾ませながら、ヒトトラに扮した宮子の登場を待つ天景院。

 そしてやがて現れた宮子を見た時――天景院の興奮は、一気に有頂天へと上り詰めるのだった。





 この店で着せられるラバースーツは、普通のラバースーツと違い、スーツの形をしたものを脱ぎ着するわけではない。

 特殊な装置の中に入り、全身にスーツとなる塗料を吹き付けられることで、身体の表面に張り付いたそれが、全身を覆うスーツになるのである。

 それによって一人一人の体格に、完璧にジャストフィットしたスーツを着ることが出来る。

 ゆえにその日の宮子も、特殊なラバースーツ塗布装置の中に、裸に丸いヘルメットを被った状態で入っていた。

 機械からスーツの元が激しく噴き付けられ、宮子の身体を隙間なく覆っていく。

 それは何度か宮子が姿勢を変えた上で続けられ、程なくして彼女の首から下の身体は全てその特殊なスーツによって覆われていた。

 機械から出てきた宮子は、ヘルメットを外しながら呟く。

「……これだけでも、結構虎っぽくなりますね」

「スーツの機能を阻害せずに、柄だけを変えるっていうのも、結構大変だったのよねぇ。なんとか上手く出来てよかったけれど」

 ママさんが宮子の呟きにそう応える。

 普段、彼女の身体を覆う全身スーツの色は、その時々に合わせた単色か、あるいは彼女の髪色に合わせた色になっている。

 だが今回はヒトトラに扮するということで、その模様が虎柄になっていた。

 それもよくあるわざとらしい、黄色と黒の縞々模様というわけではなく、本物の虎の柄を可能な限り忠実に再現している。

 つまり腹側の色は白く、背中にいくほどオレンジ色が濃くなっている。前足――要するに人間としての腕だ――に刻まれた縞模様も、四つん這いになった時に前側になる部分にはなく、後ろ側にあるようになっている。

 無論、人間と本物の虎は骨格からして違うのだから、完全なる柄の再現というわけではなかったが、それでも可能な限り虎に似せようとされていた。

 そこまでやる必要はあるのか、と思うほどの、無駄なまでの作り込みである。

 そういう拘りがこの店が支持されている主な理由ではあるため、宮子がそれに対して今更あれこれいうことはないものの、若干呆れてしまいはしていた。

 その拘りは、普段彼女が身に付けている他の装備にも反映されていた。

 まず、普段通り、人間としての声を発することが出来なくするためのチョーカーを、スーツと首の境目を覆うようにして装着する。

 普段ならそれで終わりなのだが、今回はそれに少し加えられるものがあった。

「次にこの特殊なクリームを使って、首とスーツの境界をわかりにくくしてしまうわね」

「わざわざチョーカーの上から塗り潰すんですか?」

「ええ。今回の宮子ちゃんは猫じゃなくて虎だから。人に飼われている虎という設定なら首輪でもおかしくないけれど、今回は捕まった虎だからね」

 そう言いながら、ママさんは宮子の首にそのクリームを塗っていく。そのクリームは一部スーツの材質も含まれており、丁寧に塗って行くとそれだけでチョーカーや首との境界線はぼやけてわかりにくくなった。

 宮子が自分の手で触れてみても、その境目はかなり誤魔化しが効いている。

「……いつも割と思いますけど、チョーカーや首輪みたいな境界線がないと、本当に自分の肌が変わってしまったみたいですね」

「ふふっ、そこに拘りを持って制作しているからね。……ああ、そうそう。人声発生抑制装置はいつも通りだけど、少しだけ機能が変わってるから、自分の声に驚かないでね」

「それって、どうこ――グるウッ……ウゥッ!?」

 問いただそうとした宮子の声が、唸り声に変わる。普段ならば猫のような可愛らしい鳴き声なのだが、今回はヒトトラということで低く唸る仕様になっているようだ。

 もっとも、宮子の声帯自体が変わっているわけではないので、本物の虎の唸り声に比べると相当可愛らしい唸り声である。

 生まれて間もない小虎が、必死に威嚇の声を絞り出しているような、そんな声だった。

 それには思わずママさんも顔を綻ばせてしまう。

「あらぁ……思ったより、可愛くなってるわねぇ♡ まあ、これはこれで……」

「グルゥウーッ……! ウウッ――っと、ママさんっ。あ」

 一時的にまた機能が切られたことを宮子は知る。

 雇われた頃なら急な変化に戸惑っていたことだろうが、さすがに雇われてずいぶん経つ宮子は、その変化に順応して普通に話し出した。

「いきなり機能を入れないでくださいよ……突然言葉が出なくなるのって、結構怖いんですから……」

「うふふ、そうね。ごめんなさい。つい宮子ちゃん相手だと、サプライズしたくなるのよねぇ……反応がとても可愛らしいから♡」

 ママさんの本音ではあるのだろうが、それに振り回される側は溜まったものではない。

 とはいえ、色々な経験をしてきている宮子は、早々に『諦めて受け入れる』という方向で落ち着いてしまった。

「早く準備を済ませましょう」

「そうね。お客様をお待たせするわけにもいかないものね。再度オンにするわね」

 そうママさんが告げて、宮子のチョーカーの機能を再びオンにする。

「んっ……ウーッ……」

 今度は宮子もわかっていたので、特に動じることなく、そのままチョーカーの機能を受け入れた。実のところ、その機能がオンになるということは、人間の言葉を剥奪されているわけで、普通ならもっとなにかしら感じることがあるものだろう。

 しかし宮子もなんだかんだその機能を使われることには慣れっこで、人間の言葉を話せなくなったからといって特に大きく取り乱すことはなくなっていた。

 『慣れ』はこの手のプレイを行う上では、時に新鮮味を失うという意味で避けられるべきことだが、不思議と宮子はそういったことには順応できるのに、ヒトネコとして活動する上での恥じらいや躊躇いの仕草などは中々消えなかった。

 場合によっては、巧妙な演技を疑われてしまいかねないことではあるが、本人の気質もあって、それが素でのことだと誰もが理解していた。

「本当に……逸材よねぇ……天景院様が気に入るわけだわ」

「グルゥ?」

「いえ、なんでもないわ。他の装飾品の装着を進めましょうか」

 ママさんが次に手にしたのは、枷が一体となった虎の四肢を模したグローブやブーツであった。

 まず宮子はブーツを自分で履く。

 ブーツには足首にあたる部分に分厚く重い金属製の枷がついており、宮子はそのブーツを両手で持って、苦労しながら履いていった。

「重いから怪我しないようにね」

「ウゥ……」

 ママさんの至極まっとうな忠告に、そんな怪我しそうなほど重い装備を着けさせないで欲しい、という宮子のこれもまた至極まっとうな抗議の視線が向けられる。

 その視線を意図的に無視し、ママさんは宮子がグローブを嵌めるのを手伝った。

 グローブの方に着いている枷も相当重く、またグローブは嵌めると指が使えなくなるように丸めた状態で固定するようになっているため、一人ではとても装着出来ないのだ。

 両手両足にそんな重りを取り付けられた宮子は、自然とその場に四つん這いになっていた。

「グゥゥ……ッ」

 困ったような、低い唸り声をあげる宮子。

 そんな彼女の膝に、ママさんはサポーターを巻き付けてあげた。

「これでとりあえず動けるとは思うけれど……どうかしら?」

「ン、グルゥ……ッ」

 ママさんに確認された宮子は、四肢に力を込め、四つん這いでの移動を開始する。

 ただその移動はとてもじりじりとしたもので、とても軽快にはいかない。

 だが、だからこそ「捕まって負傷した虎」というコンセプトには合っていると言えた。

 部屋の中である程度動けることを確認した宮子。

 だが四肢に重りを着けて動くというのは、想像以上に彼女にとっては重労働だった。

「ハァ……ハァ……ハァ……」

 大きく口を開け、荒い呼吸を繰り返す。額にはうっすらと汗が浮かんでいた。

 彼女の身体はスーツによって全身覆われているため、非常に通気性が悪い。ある程度はスーツにも汗などを処理する機能が備わっているが、滝のように汗を流せばその処理能力を超えてしまうのは当然だった。

 いまはまだ汗ばむ程度で済んでいるが、より多く、そして長く活動を続ければ、どうなるかはわからない。

 一抹の不安を抱えている彼女に、ママさんはさらに装飾品を追加していく。

「はい、あーんして」

「んぅ……がぅッ」

 横向きの棒を咥えるタイプの口枷が嵌められる。ただでさえ唸り声のような虎の鳴き声しかあげられなかった宮子は、さらに声をあげにくくなった。

 また咥え込んだ棒があるせいで、口の端からだらだらと涎が溢れて零れていくのを止められなくなる。

 顎に伝っていく涎を丁寧に拭いてあげながら、ママさんはさらに宮子の頭に虎耳付きのヘッドセットを被せた。このヘッドセットは普段彼女がヒトネコに成る時のものを虎仕様に変えたものだ。

 スイッチ一つで音を遮断し、頭頂部付近にある獣耳から音を聞いているように聞こえるようになる。

 猫や虎が人間本来の耳から音を聞くのはおかしい、という謎の拘りが形になったものであった。

 さらにその耳を通すと、普通の人間の言葉が意味のある言葉として聞こえなくなる。

 声をかけられても、ジェスチャーや身振り手振りでしか相手の意志を慮るしかなくなるわけで、人を獣に近づけるための工夫のひとつであった。

 そして最後に、ママさんは虎の尻尾飾りのついたアナルプラグを持ち出した。

「ウゥ……」

 それを見た四つん這いの宮子は、さすがに羞恥心を刺激され、身体を捩ってしまう。

 そんな変わらぬ宮子の恥じらいの様子を見られたママさんは、にこりと朗らかに微笑むのだった。

「さ、宮子ちゃん、お尻をこっちに向けてね♡ 大丈夫、優しく挿入してあげるから♡」

 明らかに宮子の反応を面白がっているママさんの様子に、宮子は「グルゥ……」と不満げに唸りつつも、渋々彼女にお尻を向けるのであった。

 宮子の装備の装着自体は、これまでも何度も手伝ってきているが、今回はいつもの単色のラバースーツではない。虎柄のラバースーツは、どことなくいつもと違う感覚を見るママさんに与えていた。

 肉付きのいい宮子のお尻が、可愛らしくぷるぷると震えている。

 ママさんはそんな彼女の様子を見つつ、その手を宮子のお尻に添える。弾力のある尻の張りが指先を押し返し、実に気持ちが良かった。

 思わず撫で回したくなるのを、なんとか堪えつつ、ママさんは指先でラバースーツを押しながら撫で、宮子の肛門の位置を探る。

「……ッ、ンゥゥッ!」

 ママさんの指先が肛門に触れた瞬間、宮子は背中を逸らして反応を示したため、ママさんはそこが肛門の位置だと確信を持つことが出来た。

 アナルプラグの先端に、特殊なオイルを塗す。そしてそれを肛門の上からラバースーツに押しつけた。

 すると特殊なオイルに反応したラバースーツが、その部分にだけ穴を開ける。

 普通のラバースーツに限らず、タイツでもなんでも、一部に穴を開ければその素材の伸縮性が仇となり、開けようとした穴以上に穴が大きく広がってしまうものだが、その特殊なオイルを用いた場合は違った。

 ピンポイントに、開けたい場所に開けたいだけ穴が開く。

 アナルプラグの先端はそのまま宮子の肛門に当たる。

 びくん、と宮子の身体が震えるのを抑えながら、ママさんはさらにその中へとアナルプラグを押し込んでいった。

「ウグルゥ……ッ」

 宮子はそう唸りながらも、肛門から力を抜いてそのアナルプラグを受け入れようとしていた。ヒトネコに扮することの多い彼女は、アナルプラグの装着に慣れ切ってはいなくとも受け入れている。

 ゆえに細かく指示を出されなくとも、自然に肛門から力が抜けるのだ。

 その自然な受け入れもあって、彼女の肛門にアナルプラグが完全に飲み込まれる。

 つぷり、と奥までプラグが入ると、挿入した場所より少し位置がズレている尻尾飾りがぴこん、と跳ねた。

 肛門に挿すとは言え、完全に肛門と尻尾の生える位置が同じだと奇妙なことになってしまう。

 そのため、この店で使われている尻尾飾りは、アナルプラグとの接合部に少し工夫がされており、尻尾自体は肛門の少し上、尾てい骨がある付近から生えているように見えた。

 アナルプラグがしっかりと肛門に咥え込まれ、括約筋で締めることによって尻尾飾りが動くギミックもちゃんと動いていることを確認する。

「これで、よし……っと、大事な物を忘れてたわ」

 そう言ってママさんが慌てて手にしたのは、顔の下半分を覆う、金属のフレームで出来たマスクであった。

 そのマスクは虎の顎を模した形状を生み出すようになっており、口枷に固定する形で宮子の顔の下半分を覆った。金属のフレームで出来たマスクであるため、顔を隠す役割は果たせていないし、そもそも口には口枷が噛まされている。

 拘束としてはほとんど意味のないマスクであったが、それによってより虎らしいフォルムを完成させることが出来た。

 全ての装飾品を取り付けられた宮子は、ヒトトラとして完成したのである。

 やり遂げた感を出すママさんは、額を腕で拭い、満足そうであった。

「うん……! これでどこからどう見ても捕らわれた虎……いいえ、ヒトトラだわ! とっても素敵よ、宮子ちゃん!」

 ヒトトラとして完成した宮子の頭を、ママさんが撫でる。

 宮子は複雑な表情でそれを受け入れていた。

 ひとしきり宮子の頭を撫でてそれを堪能した後、ママさんは太い縄を宮子の首にかける。

 縄尻を引っ張っても締まらないような縛り方で宮子の首に縄をかけるママさん。

 それをリード代わりにして、ママさんは宮子を店のフロアの方に誘導するのだった。

「そろそろいい時間ね。いきましょうか、宮子ちゃん」

「グ、ルゥ……ッ」

 宮子は一瞬動くのをためらったものの、リード代わりの縄を引かれたことで、逆らわずにママさんの後に大人しく続いた。

――ずるっ、ガシャッ、ずるっ、ガシャ、ずるるっ……

 とても人が歩いているとは思えない音を響かせながら、宮子は移動していく。

 ママさんが導くその先は、当然、お客さんたちの待つフロアである。

 四つん這いな上に重りの影響もあって、宮子がやっとの思いでそこにたどり着くと、そこではすでに幾人かの客が待っていた。


後編につづく


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