箱詰倶楽部の社長詰め①
Added 2022-01-21 15:25:58 +0000 UTC■ 箱詰倶楽部社長ファンの方、お待たせしました!0w0クワッ!(いるのか?) いつもは管理側に回る箱詰倶楽部の社長が、箱詰めされる話です! ちょっと時期外れ? むしろ時期通り?なお話です!0w0クワッ!
■ この作品には箱詰め、呼吸制御、完全拘束などの描写が含まれます。苦手な人は回避をお願いします。
■ なお、箱詰倶楽部でのプレイは謎の技術で安全に配慮が成されています。真似をすると死ぬので真似しないでくださいーw-ペコリ
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年末年始の箱詰倶楽部のロビーには、特殊な賽銭箱が設置される。
それは表向き普通の賽銭箱のように見えるが、神を奉っているわけではない。そもそも箱詰めの神様など存在しない。
そこで行われているのは、賽銭箱という形を取った箱詰めプレイであった。
倶楽部を訪れた会員たちが、賽銭箱に硬貨を投げ入れると、箱の中から何かが動く音が響く。機械の音と、微かな呻き声だ。
この倶楽部を訪れる者であれば、中で何が起きているかは、容易に想像が出来るため、驚く者はいない。
箱の中には、完全拘束された会員が詰められており、賽銭が投げ入れられることがスイッチとなって、仕込まれた責め具が稼働するようになっている。
そのことを、箱詰倶楽部の会員たちは理解していた。
賽銭箱は、身体を窮屈に折り畳んでようやく入れるかどうかといった大きさだ。
当然、その状態で責め具が作動すれば、相当苦しいことになる。
だが倶楽部の会員にとっては、それは非常に羨ましいプレイである。
ゆえに、毎年倶楽部で発売している福箱には、その賽銭箱に詰められる権利が含まれていた。
現在賽銭箱の中に詰められている者も、そうやって選ばれた箱詰倶楽部の会員だった。
だから、賽銭を入れられることで責め具が作動しても、喜ぶことはあっても嫌がることはない。
箱の外に微かに漏れ聞こえてくる呻き声も、どこか快楽に蕩けたものだった。
そんな声を聞いて、皆羨ましがるのである。
その中でも、特にそれを羨ましそうに聞いている者がいた。
「はぁ……私もこれに詰められてみたいんだけどなぁ……」
箱詰倶楽部の社長であった。
ロビーの椅子に座り、羨ましそうに賽銭箱を眺めている。時折十円玉を取りだして、賽銭箱に入れて責め具を作動させていた。
彼女は毎年賽銭箱のことを羨ましそうにそこで眺めていた。彼女のその様子はいつものことであるため、受付嬢も特に気にすることなく仕事に集中している。
「……いまからでももう一つ作って詰められちゃダメかしら?」
「ダメです」
受付嬢の仕事には『業務に支障が出ない程度に社長の相手をすること』も含まれている。
そのため、聞いていないように見えてもちゃんと社長の発言は聞いていた。
その答えは無慈悲なものだったが。
「一つだけでも狭いのに二つ置いたら余計にロビーが狭くなります。また、二つ置くことで一つずつに対する賽銭を入れられる頻度が減少し、元々入っている方の満足度に影響するでしょう。それになにより――」
淡々とダメな理由を諭す受付嬢。
「この忙しい時期に社長に何日も抜けられるのは困ります」
トドメとなる言葉に、社長は反論の余地すらなく撃沈させられた。
もちろん本当は社長本人もわかっていることだ。自分にしか対応出来ない案件というものはいくつもある。
自分の趣味と実益を兼ねて作った倶楽部ではあるが、結果として自身が箱詰めプレイを楽しむことが出来なくなっているというのは、皮肉なものだった。
無論、箱詰倶楽部を作らなければ、出来なかったであろうこともいくつもあるので、作らなかった方がいいとは思わないのだが、それはそれ、これはこれである。
「あーあ……私が二人に分身出来ればなぁ」
その社長の呟きを聞き、受付嬢はとても形容しがたい表情を浮かべた。
一人だけでも大変なのに、二人に分身された時の厄介さを考えてしまったからだ。
「分身した後にどちらが詰められるかで揉める未来しか見えませんが……」
「そうなのよねぇ」
「……社長、そろそろお時間では?」
受付嬢がそう話を振ると、落ち込んでいた社長は腕時計を見て立ち上がる。
「そうね。そろそろ行ってくるわ。留守は任せたわよ」
「はい。いってらっしゃいませ」
取引先との挨拶回りを行うべく、社長は颯爽と出て行った。
そのシーンだけ見れば、数十秒前までロビーの椅子の上で子供のように拗ねていた人物と同一人物とは思えない、クールビューティかつ、やり手な女社長の姿である。
建物の前に用意されていたハイヤーに乗り込み、去っていく。
そんな社長を見送った受付嬢は、少し考えた末に内線の電話を取った。
元気のいい応答の声に耳が潰されないよう、少し受話器を耳から離しつつ彼女は言う。
「少し、ご相談があるのですが」
厳しいことを言うことが多い受付嬢ではあったが、なんだかんだ甘いのであった。
箱詰倶楽部の社長である私の年始は忙しい。
倶楽部の活動をする上では、様々な組織や会社、個人などの協力が必要不可欠だ。
だから年始の挨拶回りは相当な数をこなさなければならず、私は分刻みのスケジュールで動かなければならない。
普段、暇な時期は毎日毎晩箱詰めされて過ごしているけれど、この年始ばかりはそういうわけにもいかない。
いっそ受付嬢のしずなちゃんが前にやってたみたいに、箱詰めされたまま仕事をこなせれば一番いいのだけど、挨拶にいく相手にはそういうわけにもいかない相手も多い。
今時オンライン会議というものもあるし、全ての相手との挨拶回りが済ませられるのであれば、箱詰め状態でも仕事をこなせるかもしれないけれど、残念ながらまだまだそういうわけにはいかないのが現状だ。
そんな怒濤の日々も、一月の半ばほどになるとようやく落ち着いてくる。
久々に箱詰倶楽部がお休みの日、私はウキウキとした気持ちで出社した。
昨日までで一通りの挨拶回りは終わり、明日の休み明けからは平常通りの業務だけになる。私はその前に、休みを利用して存分に箱詰めプレイを楽しむつもりだった。
(公私混同……とも思うけれど、元々は私も楽しみたくて作った倶楽部なんだから、むしろ正しい活用方法よね)
私は自分で自分を納得させながら、倶楽部の建物へと入る。
今日は休みだから技技名以外のメンバーはいない。技技名は研究と開発が生きがいというか、休みでもずっと仕事をしているようなワーカーホリックなので、休みの日にも普通にいる。
今日は技技名にお願いして、しっかり箱詰めしてもらうつもりだった。
(何にしようかしら……オーソドックスな箱詰めもいいけれど、透明箱詰めプレイも捨てがたいわね……しずなちゃんが前に経験していた、箱詰められた状態で動ける箱も捨てがたいし……)
久々の箱詰めプレイなのだ。私はしっかり楽しむことを目的に、何をしようかと考えていた。
考えながら会社の入り口を開け、ロビーに入る。
すると、予想外の声が飛んできた。
「おはようございます、社長」
しずなちゃんが受付の中にいた。
私は思わず目を点にして彼女を見つめてしまう。
「あれ? しずなちゃん? 今日は、休みのはず……あれ? もしかして間違えた!?」
忙しすぎて曜日感覚が狂ってしまったのだろうか。
私は休日を間違えたのかと思い、慌てて携帯端末を取りだして日時を確認する。
そんな私の慌てっぷりが面白かったのか、しずなちゃんが珍しくクスッ、と柔らかく笑った。
「安心してください。休館日で間違いありませんよ。わたしが休みなのに出社してるだけです」
そのしずなちゃんの言葉に少し安心したけれど、それはそれで問題だ。
「……休日出勤しないといけないほど、仕事は課してないはずだけど」
しずなちゃんには箱詰めプレイに協力して貰ったり、色々と無茶な要望を出したりしてしまうことがある。
だからしずなちゃんに訴えられたらおそらく負けるだろう。それくらい危うい状態で成り立っている。
だからこそ、給与面ではボーナスも含めて不満が出ないように気をつけているし、過剰な業務を押しつけて負担をかけていることもない――はずだ。
お休みモードになっているつもりが、どうやら年始の激務の所為でまだモードがお仕事モードから戻ってきていないようだった。
普段の私だったらわかることが、私にはよくわからなかった。
とんちんかんな確認をしてしまった私を、しずなちゃんは不思議そうな視線で見てくる。
「仕事を休日に持ち込むほど、忙しいわけではありません。今日は、社長が来るのを待っていたんです」
そう彼女に言われて、どういうことか訝しげな視線を向ける。
それに対し、しずなちゃんは応えることなく、立ち上がった。
「では参りましょうか、社長。技技名さんがお待ちですから」
「技技名も何か絡んでるのね……」
「はい。私の方から技技名さんに御願いして、普段役目を終えたらすぐバラしてしまうものを残しておいて貰っています」
その言い方で、私はしずなちゃんが何を残しておいてくれたのか、察した。
しずなちゃんと一緒に技技名のいるフロアまでエレベーターであがる。
エレベーターの扉が開いた先に、技技名が腕を組んで仁王立ちで待っていた。
「ふっふっふっ! 準備万端で待っていたよ社長!」
体格のいい技技名がそのポーズでその台詞を言うと、本当にラスボスか何かのようだ。
箱詰倶楽部が箱詰めプレイという超マイナーな趣味を土台にしていても、なお存続出来るだけの利益を出せているのは、この技技名の尽力あってのものだった。
様々な技術を用いて箱詰めプレイを補助してくれる彼女の技術力には、本当に助けられている。
そんな技技名の傍には――つい先日までロビーに設置されていた賽銭箱があった。
普段であれば、こういう季節物の道具は役目を終えると同時にバラされて、新しい道具を創り出すための材料にしているはずだ。
技技名はあまり物を大事に持っておくタイプではなく、次から次へと新しいものを生み出すのが楽しいと感じるタイプだった。
だから、その賽銭箱が残っているのは、意外なことだった。
「しずなにこれを残しておいてくれって頼まれちゃってね! 社長が使いたがってたからって!」
「しずなちゃん……!」
「……心残りなあまり、業務に支障が出ては困りますから」
つれなくそっぽを向くしずなちゃん。だけどその耳が少し赤くなっているので、照れているのが丸わかりだ。
「なるほど、これがツンデレ……!」
「怒りますよ?」
ちょっとからかいすぎたようだ。ごめんごめんとしずなちゃんに謝っておいて、私は急いで賽銭箱に近付く。
「試しに詰められたことはあったけれど、あくまでテストだったからそんなに長い時間詰められることはなかったのよねぇ……ロビーに置いてくれるの?」
「それなんだけどね! やっぱり賽銭箱という建前がある以上、ロビーに置くのは時期外れになってしまうじゃないか!」
本来の賽銭箱であれば、時期はずれなんていう言葉はあたらないけれど、この賽銭箱はあくまで箱詰倶楽部の季節ごとのイベントのために用意したものだ。
例えるならクリスマスにおけるクリスマスツリーや、ハロウィンにおけるジャック・オー・ランタンに等しい。年始以外に設置するのは、時期外れになってしまうというのは、確かにその通りのことだった。
「そこであたしは考えた! 賽銭箱が置かれていてもおかしくない環境を整えれば、季節という時期を外しても、時期はずれにはならないんじゃないかと! つまり!」
技技名がぽちりとボタンを押すと、天井から何かが降りてくる。
どうやら天井に何らかのものをすでに用意していたようだ。
そしてそれを見た私は驚いた。天井から降りて来たのは箱――ただし、その箱は透明で、中の様子が透けて見えている。
その透けて見える箱の中には、真っ黒な人影が詰め込まれていた。胎児のように丸まった状態で、小さな箱の中に収まっている。
「箱詰倶楽部のご神体ってわけさ! これと一緒に飾っていれば、時期外れにはならないだろう!」
その理屈はわかった。わかったけれど。
「あの箱に入っているのって……もしかして、ちぃちゃん?」
箱詰倶楽部には専属のテスターが存在する。
特別小さな体格を持ち、その類い稀な耐性もあって、新しい箱詰めプレイを考案した際には、まず彼女に試して貰うのがこの倶楽部での流れだった。
とても小さく可愛い彼女の体格はしっかり記憶している。その記憶に照らし合わせると、その空中に浮かんだ箱の中にいる人影は、ちぃちゃんであるように見えた。
確実にそうだろう、と思っていたのだけど、意外なことに技技名は首を横に振る。
「あれは違うよ! 人形さ! ただし――ただの人形じゃないけどね!」
「どういうこと?」
技技名が人形を開発していたなんて話は聞いていない。
今度は一体どんなものを作ったのか。私がわくわくしながら尋ねると、彼女は胸を張って堂々と応えた。
「あれはね! 全身の感覚を共有することが可能な人形なのさ! つまり――」
技技名はにこやかな笑みでとんでもなく画期的なことを言う。
「箱詰めに適さない体格のあたしのような人でも、箱詰めプレイが可能になる人形なんだよ!」
私は目を見開く。
「そんな人形、いつの間に開発してたの……!? いえ、ちょっと待って。それどころじゃないわ。それが事実だとすると、箱詰倶楽部の活動自体が大きく変わるかも……!」
誰でも気軽に箱詰めプレイを楽しめる。
いままでは無理だと思っていた人も楽しめるようになるとすれば、その影響は計り知れない。倶楽部の社長として、色々と新しい売り出し方を考えていかなければならないかもしれない。
私は咄嗟に思考を巡らせかけたけれど、そんな私の背中を技技名がその大きな掌で叩いた。
一瞬息が詰まる。
「社長! 落ち着いて! 全身の感覚を共有出来るとは言ったけれど、まだまだ課題は多いから! 例えば、共有する人にも、それなりの器具を取り付ける必要がある、とかね!」
気軽に感覚が共有出来るなら、世界が変わる話しだと思ったけれど、さすがにそこまで簡単には行かないらしい。
技技名曰く、特殊なスーツを着て、これまた特殊なバキュームベッドで身体を固定するッ必要があるようだ。設備はとても家庭に持ち込める規模ではなく、また将来的には可能にしたいところだがネットを介しての感覚共有はまだ出来ないのだという。
つまり箱詰倶楽部まで脚を運んでもらう必要があるわけだ。
「それでも、画期的なのは間違いないわね……実際に箱詰めになるよりは身体への負担も和らぐでしょうし……長時間楽しむことが出来そうね……」
立場上、ついその機能の有用性を考えてしまう。
そんな私の背中を、再度技技名が小突いた。
「社長! 今回、そっちはメインじゃないから! 賽銭箱に詰められて見たかったんだろ!」
体格のいい技技名に小突き回されると、身体が吹っ飛びそうなほどの衝撃だ。
私は吹っ飛ばされないようになんとか耐えつつ、頷いた。
「そうね……しずなちゃんが用意してくれた、最高のお年玉ですもの! まずはそっちを楽しまないと、損ね!」
「そうこなくっちゃ!」
そう言った技技名が、賽銭箱の蓋を取り外す。
その中には――全身を白いラバースーツで被われ、赤い拘束具で身体の各部を拘束された人が、詰め込まれていた。
つづく