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夜空さくら
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全身触手スーツを作った悪の科学者 触手繁殖苗床の章 今野恵子①

■ 自らの作り出した生物兵器の暴走で死んだと思われていた悪の科学者は、自らの作った生物兵器に自分の人格や知識、記憶をすべて引き継いで生きていた! たまたま見つけた度の過ぎた薄幸の少女にして虐められっ子・鈴木ハナ子の体を覆い、乗っ取った。ハナ子の立場を乗っ取った悪の科学者は、再起するべく都合の悪い相手を徐々にその力を使って浸食していくのだった。 

■ イジメ描写注意ですーw-ウム イジメ、ダメ、絶対0w0クワッ!


■ この作品には触手服・皮物・軽微なグロテスク表現・乗っ取りなどの描写が含まれます。苦手な人は回避をお願いします。

■ 続きは全体向けを主に書き、たまに支援者様向けの部分(外伝や視点違い)も書いていく予定です。ある意味バッドエンドで、ある意味ハッピーエンドな結末になる予定なので、完全無欠にハッピーエンド以外はダメだという方はご遠慮ください。

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 私、今野恵子は学園ドラマの教師に憧れ、教職となった。

 時に生徒と衝突しながらも、最終的には彼らの抱えている問題を解決して慕われて、涙ながらに生徒たちの卒業を見送る、そんな理想に憧れた。

 そのために様々な努力をしたものだった。

 もちろん現実はドラマほど綺麗なものじゃないということはわかっていた。

 何をどうしてもどうにもならない不良学生は一定数存在したし、生意気なばかりで全然可愛くない子はいくらでもいた。

 教育実習の段階でそういった学校の現実は理解していたけれど、それでも私は教師になった。

 やっぱり「せんせー」と慕われるのは嬉しかったし、困った時にその子の力になれた時がとても誇らしかったからだ。

 卒業式では感極まって涙してしまい、受け持った生徒たちに茶化されることもあったが、それもまたいい思い出だった。

 だから私は教師になったことを後悔したことは一度もなかった。


 だけど――まさか、こんなことになるなんて、思っていなかった。


 その時の私には担当する授業がなく、次の授業時間までに色々と雑務を済ませておこうと廊下を歩いていた。

 普段は生徒たちが元気に行き交い、騒がしい廊下も、授業中は静かなものだ。

 誰もいない廊下を歩く特別感は教職になっても変わることなく、気分よく歩いていた。

 そんな私の耳に、騒がしい物音が聞こえて来たのは、静かな環境だったからある意味当然だった。

 授業中だというのに、誰が騒いでいるのか。

 不審に思った私がその音のする方に足を向けたのは、必然だっただろう。

 物音の出所は、用務員室だった。回れ右をしたくなった私の気持ちは仕方ないと思う。

 なにせ、この学校に勤務している用務員というのは、なんというか人間の男の悪いところを凝縮して出来ているような存在だったからだ。

 不細工、不潔、不平不満。

 とにかく不快な臭いをさせるほど汚らしい見た目で、口を開けば卑屈な不平不満の言葉しか吐かないような男だった。

 そんな腐ったドブ川のような存在な上、女子生徒などに向ける視線が非常に不愉快なもので、生徒たちからも何度か苦情を受けたくらいだ。

 なぜまだ首になっていないのか不思議なくらい、とにかく価値のない男だった。

 さらにその男が不快なのは、私のような比較的若い方であれば、教師に対してまでそういう目付きを向けてくるということだった。

 教頭や校長に何度用務員の変更を訴えたかわからない。

 しかし上の答えはいつも「現状維持」というものだった。特に問題を起こしていたわけではなかったので、いやらしい目付きで見られることくらいでは強制的に解雇することはできないのはわかるけれど、あまりにも無責任な話だった。

 いざ問題が起きてからでは遅すぎると進言したのだけど、それもやはり聞き入れてはもらえなかった。

 結局、その用務員は学校に居座り続けているわけだ。

 用務員室を半ば巣と化しているという話もあり、出来れば入りたくもない。

 そのまま回れ右をして、何も聞かなかったことにして去りたい。

 だけど、相変わらず激しい物音と、興奮して何か言っているような声がその部屋の中から聞こえてきている。

 さすがに無視することも出来ない。

 だから私は、ノックを省略して、扉を勢いよく開く。

「さっきから喧しいですよ! 一体何をそんなに騒、いで……っ」

 あわよくば問題行動をしている現場を抑えて、それを理由に解雇まで持っていければいい――そんな風に考えていた。


 だから、まさかそんな光景が広がっているなんて、思ってもみなかった。


 用務員の男が、女子生徒を――私が担任をしているクラスの中心的存在である津木景ミナミさんを――犯している。

 汚らしい下半身を晒している男は、全裸にされている津木景さんを机に押さえつけている。明らかにレイプ現場だ。

 一瞬理解が及ばなかったのも仕方ない。

 けれど衝撃が過ぎ去ってようやく、私は口を開くことができた。

「あなっ、あなたっ、何を――」

 用務員の男は女子生徒や女教師に不快な視線を向けて来てはいたが、同時にその卑屈な精神ゆえに滅多に人に近づいては来なかった。

 だからこそギリギリ存在を許されていたというのに、レイプだなんて、どうしてそんな大それたことを今更しでかしたのか。

 男に抱いた違和感は、用務員の男の次の行動でより確かなものになった。

 一瞬その表情を青褪めさせたかのように見えた男だったが、急に何かに気付いたかのように平静を取り戻す。

「なんだ、あんたか……年増に用はねえよ」

 そんな大変失礼なことをいいながら、津木景さんを犯す行為に戻ったのだ。

 男が腰を前後させ、男の汚らしいものを突き入れられている津木景さんに悲鳴をあげさせる。

「えっ、ちょ、なにして……っ」

 慌てて止めようと声を上げかけた私を、男は薄ら笑いで見て来る。

「あんたは別にこいつがどうなろうと知ったこっちゃねえだろ?」

 だって、と男は続ける。

「普段俺が体育倉庫裏であの女子を犯してるのも、見ないフリだったもんなぁ?」

 声に、詰まった。

 確かに私は何度か男が女子生徒の一人――鈴木ハナ子を犯すところを目撃していた。

 体育倉庫裏とはいえ、野外で彼女が裸にされ、体育倉庫の壁に手を突いて腰を突き出し、後ろから犯されているところを、何度も見た。

 でも、見て見ぬふりをした。何も知らないフリをして、目を逸らし、耳を塞いだ。

 だって彼女は――この学校の、いじめられっ子だったからだ。



 そのクラスの担任になることが決まったのは、私がこの学校に赴任してきてすぐのことだった。

 それは本来おかしなことだった。普通は赴任直後にクラス担任になることはまずない。大抵は副担任を経て、最低でも一年はその学校で働いてから担任に指名されるのが普通だった。

「本当に私が担当していいんですか?」

 学年主任にもそう確認したくらいだ。主任は面倒くさそうにしながらも、丁寧に答えてくれた。

「いいんですよ。元々担当していた高橋先生が体調不良のため休職してしまいましたから、どこも人手が足りていないんですよ。それに……今野先生の方が色々都合がいいでしょうから」

 その言い回しに嫌な予感はしていた。

 『相応しい』ではなく、『都合がいい』という言い回しでいい予感がするわけもなかったけれど。

 ともあれ、任された以上は全力で生徒たちの力になるつもりだった。

 前任の先生が残したクラス名簿には、大まかな生徒たちの特長が書いてあったので、それを読み込んだ。

「ふんふん……ぱっと見、大きな問題を抱えてそうな子はいないみたいね」

 授業中良く寝る、と書かれている子がいるくらいで、あとはまあ無難なことばかりが書いてある。

 前任の先生は生徒たちをよく見ている人だったらしく、目立たない感じの子にも少しだけ特徴が書いてあった。

「この分なら、特に問題なく担当できそうね……」

 主任の態度で警戒しすぎただろうか。

 そう思っていた私は、ふと何も特徴が書かれていない子が一人いることに気付く。

「この子は何も書かれてないのね。……鈴木、ハナ子さん」

 顔写真付き生徒名簿を見てみる。なんだか暗そうな子だった。素材は悪くなさそうなのに、髪の毛がぼさぼさで自信なさげに目の視線がまっすぐ前を向いていない。

 正直にいって、写真だけを見た段階で、彼女のことはいかにも「虐められていそうな子だな」と思ったものだ。

「……まあ、大きな問題にならなきゃいいか」

 何度か苛めの現場に出くわしたことはある。

 それに対し、色々と奔走した結果、私はある程度のことまでは教師が干渉しない方が上手くいくと悟っていた。

 教師が無理矢理仲良くさせても意味はないからだ。教師の前では隠すようになるだけで、余計に深刻な状況になることもある。

 その程度のことであれと、その時の私は祈っていた。

 だけど、実際に生徒たちの前に立って挨拶することになった時、私は鈴木さんが置かれた状況が、そんな生温いものでなかったことを知った。

 教室の前で立ち止まった私は、一つ深呼吸をした。

(第一印象が全てよ……舐められるか、慕われるか……ここで決まるのだから、ミスは出来ない……!)

 そう気合いを入れて、教室の扉を開けて中に入る。まだ予冷の段階だったけれど、生徒たちは真面目に席に座っていた。

「はい、こんにちは! 皆さん、すでに席についてて、感心ですね!」

 思ったより真面目な子が集まっているクラスなのかもしれない、私はそう思った。

 だけど、妙な含み笑いがそこかしこで起きていた。その気配は、いかにもこちらの反応を楽しんでいる時のものだ。

(ふぅん……? 何か、どこかに悪戯が仕込まれてるのかしら?)

 残念ながらこの年齢になっても、小学生みたいなノリが抜けきらない子はたくさんいる。

 例えばペンを隠したりだとか、椅子の上に何か変なものを置いていたりだとか。

 その程度なら可愛らしいものだから、適度に乗ってあげてもいいが、実害があるレベルの悪戯を仕掛けて来るタイプだと、ここでしっかり手綱を握らないとこれからが大変だ。

 私は気を引き締め直しつつ、ペンを手に取り、電子黒板に自分の名前を書き込む。

「えー、今日から皆さんの担任になります、今野恵子です。休職された高橋先生の代わりに、皆さんの担任となりました。よろし……く……?」

 名前を書き、生徒たちの方を見て。

 とりあえず一通り見渡そうと視線を動かしたところで――気付いてしまった。

 ずらりと等間隔に並んだ机と椅子。そこに座る生徒たち。

 生徒たちは着崩している子もいるものの、大抵はリボンを緩めたり、ボタンを外したり、裾からシャツが出てたり、スカートが異様に短かったりというレベルで、そこまで荒れた感じはしない。

 ただ、一人だけ、明らかにおかしな格好をした生徒がいた。


 その子は――全裸だった。


 他の子たちが暗めの色の制服を身に着けている分、裸の彼女の姿は異様に目立っていた。

 緊張していて視野が狭くなっていたとはいえ、さっき教室に入って来た時に気付かなかったのか。

 一度気付いてしまえば、気付かなかったのが不思議なくらい、裸の彼女は目立っていた。

 生徒たちが忍び笑いをするはずだ。明らかな異常に気付かないまま、自己紹介を始めようとしたのだから。

 彼女は俯いていて、どんな表情を浮かべているのかわからなかった。恥ずかしいという気持ちはあるらしく、その体を両手でなんとか隠そうとしている。

 その手足は妙に細い。肉付きがいいとはとてもいえず、骨と皮だけとまでは言わなくとも、ちょっと力を入れれば折れてしまいそうだ。

 でもそれだけ痩せているにも関わらず、その胸はかなり大きかった。かなりアンバランスな感じだ。

 剥き出しの肩が若干震えているのは、恥ずかしさゆえか、それとも寒いのか。

 とにかく、普通ならありえない光景に、完全に私は混乱していた。

(なんで、裸? イジメ……? こんな、堂々と……?)

 これまで経験して来た苛め事件は、多かれ少なかれ、こっそり行われることが多かった。大人の目があるところでは、いじめっ子も良い顔をしたがるからだ。

 それなのにまさか、いきなりそんな光景を見せられて、私の思考はすっかり乱されていた。

 硬直していた私の耳に、くすくすと愉快そうな笑いを含んだ声が滑り込んでくる。

「あれぇ? せんせぇ、どうしたんですかぁ? 何か、見ちゃいましたぁ?」

 煽るような猫なで声、という器用な声にその方向を見やると、そこにはいかにも自分が中心で世界が回っていますと言わんばかりの、派手で賑やかな様子の子がいた。

 私はすぐにその子がいじめっ子で、裸の子を虐めているということを悟った。

 彼女の言葉は、その子のことに口を出すなと言外に言っている。

 くすくすと教室中がその子の言葉に呼応して笑い始める。

 あまりにも、異様な雰囲気だった。いままで見て来たどんな苛め現場より、ここで行われている苛めは凶悪だった。

 ごくり、と息を呑む。

 私は、こういう時のために教師になったようなものだ。こういうことをする子たちを諫め、正しく導くのが、教師の役目。

 ここで私はいじめっ子の主格であろうその子に対し、「こんなことをしてはいけない」と言わなければならない。

 喉元まで出かかったその言葉は――その子の不愉快そうな視線に、押し戻された。

 完全にクラスを牛耳っていると思われるその子に楯突いたらどうなるか。

 クラス一丸となって、今度は私を虐めようとしてくるかもしれない。

 最近の子たちは体格もいいし、力で押さえつけられるほど私は肉体的に優れていない。

 それに狡猾なこの子にいま逆らったら、上手い具合にこちらが悪いことにされてしまいそうな気がした。

 本能的な怖れが、私を襲う。

 せっかく教師になれたのに、もう二度と教壇に立てなくなることになりかねない。

 それはここで虐められっ子を見捨てても同じかもしれないけれど。

 裸で震えている虐められっ子――鈴木ハナ子さんは、ずっと俯いている。

 睨んで来るイジメっ子――津木景ミナミさんは、ずっとこちらを見ている。

 対照的な二人の様子を受けて、私は。

「……なんでも、ありません。さあ、授業を始めましょう」

 そう流すことにした。くすくすという笑い声が心なしか大きくなる。

(いまは……そう、いまは仕方ない……何をするにしても、準備が必要だから……)

 私はそう自分に言い聞かせていた。

 震えていた鈴木さんの動きが止まっているような気がしたけれど、無視した。

 そしてこの結果、私は苛めに加わってしまったのだ。

 決して自分から本人にどうこうするということはしなかったとはいえ――消極的に苛めに加担したのは、紛れもない事実だった。


 だからきっと、『それ』は報いだったのだと思う。



つづく

 


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