改変された世界の片隅で ~授業参観の日・送迎準備①~
Added 2022-03-11 14:02:33 +0000 UTC■ 今日から主に支援者様向けで連載する「改変された世界の片隅で」シリーズの新作です!^w^ 今回の犠牲者……もとい、主人公はなんと既婚者で経産婦! 察しの言い方は名前でお分かりでしょう。そう、あの子の母親です!0w0クワッ!
■ なおこの世界では女性は皆美貌を維持するのに余念がないので、体質以外の理由でだらしない体格をしている人はほとんどいません。つまり学生の母親レベルの年齢の女性たちも、スタイル良しな美人揃いということです……(ΦωΦ)フフフ…
あらすじ:娘が通う学園の授業参観に行くことになった専業主婦・水下司仲恵(ミナゲシナカエ)。ただし、その参観の規定には、学園が指定する服装を着なければならないというものがあった。学園が指定する服装は、学園に通う女生徒たちが身に着けてるものと似た物――つまり、全身を覆うラバースーツと拘束具なのであった。
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首に金属で出来た輪っかが嵌められて、ようやく準備が完成する。
その輪っかはちょうど私の首の直径に合わせて作られていて、辛うじて首が絞まらない程度の、ギリギリな締め付けで私の首に巻き付いていた。
「うん。準備完了だね」
良樹さんがそんな風に満足げに頷いている。
そんな呑気な様子の彼に、私は何か嫌味の一つでも行ってやろうかと思ったけれど、口が塞がっているので何も言えない。
「ウー……」
そう短く呻き声をあげるのがせいぜいだ。
声でダメなら目で、と思って睨み付けても、目の周りを覆っているレンズは、外からはスモークがかかっているようになっていて、内側は見えない。だからいくら私が鋭く睨み付けても、良樹さんには全く通じない。
じゃらじゃら、と私の首に取り付けられた鎖を手に巻き付ける良樹さん。
まるで犬の散歩でもするかのような気楽さで、彼はその鎖を軽く引いた。
「それじゃあ行こうか、仲恵さん。……おっと、違った。えーと……『8714』番か。いくぞ」
首輪に刻まれた私の管理番号を呼びながら、良樹さんが首輪の鎖を引く。
それに従って、私は良樹さんに続いて家の玄関扉を潜った。
良樹さんが頑張ってローンを組んで建ててくれた、戸建ての自宅から外に出る。
普段なら肌に触れる空気の感じが変わって、外に出たということがすぐわかるのだけど、いまの私にはそれが全く感じられない。
玄関の外から出たのかどうか、本気で一瞬わからなかったくらい、いまの私が感じられる感覚は鈍化していた。
文字通り、薄皮一枚隔てたような感覚が常にある。
私はその感覚の違いに驚きつつ、必死に足を前に進めた。
良樹さんがペースを落としてくれているからついていけているけれど、そうでなければついていくのは難しかっただろう。
それは私の足が特別遅いからじゃない。いまの私の足は、足首同士と膝同士が鎖で繋がれていて、その長さ以上に足を開いて歩けなかったからだ。
一歩進むごとにじゃらじゃらと激しく鎖の鳴る音がする。
踵が高いブーツを履いているので、少し油断すると身体がぐらぐらと前後に揺れてしまう。そうならないように、なるべく背筋を伸ばし、体幹をずらさないように心掛ける。
(うぅ……これ絶対明日以降筋肉痛になる奴よね……)
毎日こんな格好をしているあの子たちの若さが眩しく感じる。
そんなちょっと年寄り臭いことを考えつつ、家から少し離れた大きな通りまで出ると、ちょうどそこに大きなトラックがやってきた。
トラックの運転手さんたちが降りて来て、帽子を取って挨拶をしてくれる。
「水下司さん、お迎えにあがりましたー。学園の者ですー」
「はい、今日は妻を……じゃなかった。『8714』番をよろしくお願いいたします」
良樹さんがそう言ってぺこりと頭を下げ、その手に持っていた鎖をトラックの運転手さんに手渡す。
「それじゃあ、僕は仕事に行ってくるよ。こういう機会でもないと学校内の様子はよく見られないし、僕の分までしっかり見て来てね」
良樹さんが優しく私の頭を撫で、そしていつも通り「行って来ます」のキスをしてくれる。
残念ながら噛まされた口枷のせいであまり感じることはできなかったけれど、幸せな気分にはなれる。
「ふぁい……♡」
不明瞭な声でそう答えると、良樹さんはとても優しい笑顔を浮かべてくれた。
じゃらり、と気まずそうに鎖が鳴る。
「えーと……仲がよろしいようでなによりですね」
トラックの運転手さんが苦笑いを浮かべていた。
少し慌てて良樹さんが私から離れる。
「おっと、すみませんいつもの癖で……」
「いやあ、親御さんの関係が円満っていうのは、何の問題もないんですけどね……ほら。リードを渡した時点で奥さん……じゃなかった。『8714番」は一応、臨時とはいえ学校の所有物になるわけですからね?」
「勝手に口づけとか、ほんとなら罰金ものっすよー」
運転手たちのうち、若い方の男性がそう茶化すように口にする。それを、私の鎖を握っている目上らしき男の人が軽く小突いた。
良樹さんは意図せずルールを破っていたことを恥じ、二人に向けて頭を下げる。
「申し訳ない……ついいつもの癖が……」
「ああ、いいんですよ。あくまで建前の話ですからね。私たちは何も見てません。そうだな?」
「俺らも忙しいんで!」
絶対順守の規則ばかりでお堅い学校だと思っていたけれど、意外と柔軟なところもあるようだ。
そうでもないと、十人十色の学生たちを扱いきることなんてできないのかもしれない。
何度も頭を下げながら良樹さんが去っていくと、あとには運転手たちと私だけが残された。
「さて……と。『8714番』。それじゃあ行くか」
「ウー」
そのトラックの荷台は、大きな箱状になっていた。確かバンボディというのだったか。引っ越し屋さんなどでよく見るタイプの、後部が大きな観音開きの扉になっている。
タラップが下降して来て、その上に乗るように言われた。
足の鎖の関係で荷台に昇るのは難しそうだと考えていたので、その仕組みはありがたい。
上に乗った私ごと、再びタラップが上昇し――トラックの荷台の中の様子が見えて来た。
その中には――私と同じ格好の女性たちが、等間隔に吊るされていた。
多少の体系の違いはわかるけれど、それ以外の違いはほとんどわからない。
全身をラバースーツに包まれた上、頭も頭髪を含めたすべてが全頭マスクによって覆われているからだ。
のっぺりとしたラバー独特のテカリが怪しく光っている。
それはまるで、人形がずらりと並べて吊るされているかのようだった。
だけどそれが人形でないことを示すように――彼女たちは微かに動いていた。
ギシギシ、と彼女たちを吊るしている鎖が鳴る音がする。
「ウゥ……」
「ンぅ……ッ」
「……ッ、ウゥ」
耳を澄ましてみれば、かすかに呻き声も聞こえて来ていた。それも無理はないだろう。
いくら私と同じように、吊るされるための装備を元々身に着けているとしても――吊るされている状態が辛くないわけがない。
そう、かくいう私も彼女たちと同じだ。
全身をラバースーツに包み、頭も全頭マスクで多い、拘束具を身に着けている。
「さあ、中に入って」
そう運転手の人に促され、私は竦みかけた足を前に進めた。
これから私も、この中の一人になって――娘の授業参観に向かうのだ。
授業参観のお知らせのプリントが届いた時、私が最初に考えたことは『行きたくない』だった。
寮に入ってから一度も家に戻れていない娘と会いたくないのかと言われれば、もちろん会いたいに決まっている。
学校から定期的に普段の様子の映像は送られてくるし、通話が禁止されているわけでもないので、必要な時は電話も出来るのだけど。それはそれ。実際にあの子が勉強に励んでいる姿は見たいし、顔を合わせて話もしたい。
しかし、授業参観には大きな問題があった。
プリントとにらめっこして悩んでいる私に気付いたのか、良樹さんが近づいてきて、私の手元を覗き込んだ。
「どうしたんだい? ……授業参観のお知らせ? いいじゃないか。あの子も喜ぶよ」
あっさりとそういってくれる。私は苦い顔を浮かべるしかなかった。
「それはそうかもだけど……問題があるのよ」
そう言いながら私はプリントの一点を指し示す。
良樹さんがその場所を見て、目を丸くした。
「何々……? 『参観の際には、当校の指定する服装に着替え、一時的に当校の備品扱いとさせていただきます』?」
その文言の隣には、指定されている服装が例として写真で写っていた。
そこには、全身ラバーに包まれ、アームバインダーで腕を拘束された人物の写真が載っていた。
絞り出すべきところを絞り出し、分厚い貞操帯が股間を覆っている。学校の制服に限りなく近い服装だった。
それを見た良樹さんは――呑気に快哉を上げる。
「うわぁ、これを仲恵さんが着るの!? すごくいいじゃない!」
「良くないです! 私の年齢わかってます!?」
仮にも一児の母、とっくに全盛期は過ぎ、最近は体重が増えそうになるのをエクササイズやウォーキングをすることで必死に抑えているくらいだというのに。
良樹さんはそんな私の悲痛な叫びに、やはりピンと来ていないようだった。
「うーん。確かにこの服装を、三軒隣の横嶋さんが着るとしたら、僕の顔も引きつるだろうけど……」
「それ、すっごい失礼だからね?」
横に広い体形をしているあの人がこれを着るところを想像すると、申しわけないけど確かに私の顔も引きつりそうだ。
それはさておき、良樹さんは私をじっと見つめてしっかり確認してから、親指を元気よく立ててくれた。
「うん! 仲恵さんなら全然いける! 問題なく勃起するね!」
無言で良樹さんの頭にチョップをいれる私。
別に武道経験者というわけでもなく、本気で殴ったわけでもないのだけど、良樹さんはわざとらしく悶絶して床を転がった。
基本的には大人しい人なのだけど、たまにこうして関西のノリでおちゃらける時がある。
「はぁ……もういいわ」
あの子を――晃がどうしているか、見に行きたかったのは本当なのだし、ちょっと自分が恥ずかしいくらいは我慢することにした。
私は行く旨を返信すると共に、自分の詳細な身体データを学校へと提供した。
最近は街のフィッティングルームで一瞬で自分の身体データを調べることが出来るので、ある程度お洒落に気を遣っている人は数週間ごとにデータを取っているのが普通だった。
私も女としての全盛期は過ぎたとはいえ、綺麗でいたいことに変わりはないので、直近にもちゃんとデータを取ってあった。
そのデータを元に、向こうが着る服を作成してくれるというわけだ。
一日だけのことにわざわざスーツやらなにやらの一式を作るなんて、不合理な気もしたけれど、向こうが指定して来ているのだから、きっとなにかしらの理由があるのだろう。
私は授業参観の日まで体型を変えてしまわないように維持することを誓いつつ、ふと思った。
(参観日の項目には、体験の時間っていうのもあったけれど……何を体験させてくれるのかしら)
それが少し気になったけれど、体験すればわかるかと細かく考えるのをやめてしまった。
そして授業参観の、当日の朝。
私は早起きをして、前日に届いていた荷物の前に立っていた。
なお、普段はギリギリまで寝ている良樹さんも、この日はすでに起きていて、装着を手伝ってくれることになっていた。
わくわくした期待の眼差しを向けるのはやめていただきたいものだった。
「もう準備は全部終わったの?」
「……ええ、だいぶ大変だったわよ」
若干げっそりしてしまっているのは、事前準備として箱に入っていた浣腸を行ってきたあとだったからだ。
基本的に快便体質な私は浣腸を使ったことがなかったのだけど、まさかあんなに凄まじいものだったとは。二度と経験したくないものだ。
シャワーで体はすでに綺麗にしてあるから、あとはひたすら装着していくだけ――なのだけど。
「……やっぱり恥ずかしいから、一人で着ちゃダメかしら?」
「間に合わなくなるよ? 最終的に一人で着れないものもあるし、最初から手伝った方がよくない?」
それは良樹さんの言う通りなのだけど。
私はぐぐぐ、と唸ったあと、結局諦めた。
確かに早起きしたとはいえ、あまり時間が豊富にあるとはいえない。
迎えの車は近くの大通りまで来てくれるそうだけど、他の人のところも回らないといけない関係上、遅れたら色んな人に迷惑をかけてしまう。
こうなったら、覚悟を決めるしかない。
私は勢いに任せて、身体に巻いていたバスタオルを脱ぎ捨てた。
脱ぎ捨てたバスタオルが足元にぱさりと落下し、私はかなり久しぶりに良樹さんの前で生まれたままの姿を晒した。
「ちゃっちゃと着ていくわ!」
「さすがは仲恵さん! そうこなくっちゃ! あ、あと仲恵さんの身体は今も綺麗だよ若い頃とは別の魅力もあるし」
そんな風臆面もなくにさらりと褒めてくれる良樹さんの心遣いは嬉しいのだけれど。
嬉しいの、だけれど!
「恥ずかしい、ですから! ちゃちゃっと着て行きますよ!」
顔が真っ赤になっていることを自覚しつつ、そう促した。
良樹さんはニコニコ笑顔で、私の傍に膝を突く。
「まずは……ラバースーツから、かな? 先に取り付けておくものとかはあるの?」
「……最初にラバースーツで大丈夫。理由は……着て見せればわかるわ」
私は恥ずかしいのを堪えて、用意された道具の中からラバースーツを掴み取る。
ラバースーツは人の皮をそのまま剥いだみたいに、足の指や手の指も忠実に全部覆う構造だった。
「これはかなり精巧なタイプのラバースーツだねぇ。通りで仲恵さんが体型維持に真剣だったわけだ」
そう、この手のラバースーツは少しのスタイルの変化がもろに影響してしまう。
昔は今ほどラバースーツの素材が柔軟ではなかったらしく、逆にそれで妥協できるところもあったらしいけれど。
今は正確なフィッティングと正確な構造や材質のせいで、少しの変化ですごく外見に差が出てしまうのだ。
「生徒には毎日完璧に調整されたスーツが支給されてるそうだけどね……」
「すごい手間暇かけてくれてるよねぇ。この前のあの子の写真見て、すごくスタイルが良くなってて驚いたもの」
娘の成長を喜ぶ父親の目で、良樹さんはしみじみと呟く。
確かに同じ女の目線から見ても、あの子の成長は理想的にもほどがあった。
「私も若い頃にああいう学校があれば、もっと綺麗な体になってたのかしらねぇ……」
「仲恵さんは今でも十分綺麗だと思うけどなぁ」
またこの人はこういうことを。
私は恥ずかしさで赤くなる顔を誤魔化す意味も含め、急いでラバースーツに足を通していった。
スーツの中にはすでに潤滑油が塗られているようで、思ったよりも抵抗なく私の脚はスーツに覆われていく。
まずは右足。足の先までしっかり通し、指をちゃんとスーツの形に合わせ、通す。
ある程度合わせたところで、良樹さんが弛みをなくすように、しっかりと手で撫でてスーツを馴染ませてくれた。
ぴちぴちと音を立てながら、体をスーツが覆っていく。
「ん……っ、ちょっと、良樹さ、ん……そんなに、丁寧に、撫でなくても……っ」
「ダメだよ、ちゃんと弛みが出来ないようにしなきゃ」
それは、そうなのだけれど。
潤滑油に変な成分でも入っているのだろうか。良樹さんの手がスーツに覆われた私の肌を撫でるだけで、私は妙に気持ちよくなって思わず体が震えてしまっていた。
そんな私の反応を楽しむように、良樹さんはスリスリと掌でスーツを馴染ませていく。
スーツは完璧に私の身体にフィットしていて、『ラバースーツを着た』というより『ラバーでコーティングされた』ような見た目になっていた。
その見事なフィット具合に、良樹さんは感心しきりだった。
「最新のスーツはすごいなぁ……仲恵さんの身体がゴムになったみたい……」
そう言いながら、良樹さんの掌が私の太腿を撫でる。ゾクゾク、と快感のようなものが背筋を駆け上がった。
「そ、そんなに触らない、で……っ、んっ」
朝っぱらから変な気分になってしまいそうだった。
幸い良樹さんはすぐ手を離してくれた。
「ごめんごめん。早く着ないとね」
そう、まだまだ着なければならないものがあるのだから、急がなければならない。
私は左足もラバースーツに通し、そちらもラバースーツを馴染ませてもらいながら着ていく。
そして腰までラバースーツを引き上げた時――良樹さんは「ラバースーツから着ていい」という私の言葉の意味を理解したようだ。
「なるほどね……こうなってたわけだ」
「そ、そんなにみないで……恥ずかしい」
これは本当にそうだった。いままでの恥ずかしさとは比べ物にならない。
その理由は、ラバースーツを腰まで上げてみれば、一目瞭然だった。
ラバースーツの股間部分には大きく穴が開いていて――私の股間は、丸出しになっていた。
つづく