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夜空さくら
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改変された世界の片隅で ~授業参観の日・送迎準備④~

■ あらすじ:これは、エロい常識に改変された世界の片隅での、何気ない日常の話――娘が通う学園の授業参観に行くことになった専業主婦・水下司仲恵(ミナゲシナカエ)。ただし、その参観の規定には、学園が指定する服装を着なければならないというものがあった。学園が指定する服装は、学園に通う女生徒たちが身に着けてるものと似た物――つまり、全身を覆うラバースーツと拘束具なのであった。

■ やっとこさ準備編が終了。次回から移送編(行)となります。移送編は行きと帰りの構成となります。まあ、わざわざ分けるということは、そういうことですーw-ウム

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 踵の高いロングブーツを履かされると、そのブーツは私の膝上までをしっかり覆うようになる。

 ブーツは柔らかいラバー素材で出来ているから、革製のものと違って膝の曲げ伸ばしに支障はない。

 そのロングブーツは編み込み式になっていて、足の甲辺りから順番にしっかりと私の足を締め上げるようになっていた。足がブーツによって形を整えられていく。

 ラバースーツでも十分締め上げられていたけれど、ブーツが加わるとさらに強烈に足の肉が締め上げられ、感じる圧迫感もそれなりに強いものになった。

「ン……ゥ……」

 ブーツの踵は高く、常に爪先立ちを強制されてしまう状態だ。

 片足はちゃんと地面に着いているからまだましだけど、かなり不安定な体勢になってしまっていた。

 両手がアームバインダーによって固められていて、手でバランスを取れないのも辛い。

 私が必死に耐えている間に、良樹さんはブーツの編み込みをしっかりと最後まで締め上げてくれた。

 そして、決してブーツが脱げないように、縁の部分にあるベルトも締めた。

 ベルトは私の太股に食い込んだ状態で固定される。

 その上、そのベルトには鍵がかけられるようにもなっていた。それも閉めてしまうと、良樹さんですら外せなくなるわけだ。

 編み込みをしっかり締め上げてくれた良樹さんは、一仕事終えたという様子でふぅと息を吐く。

『これでよし……と。次は左足だね。あ、バランスが取り辛いだろうから、椅子に座ってくれる?』

 そう言いながら、良樹さんは私の傍に椅子を持ってきてくれた。

 背もたれのない椅子だから、アームバインダーで手を拘束されている私も、手が引っかかることなく、座ることが出来た。

「ン……ンゥッ!」

 座ることは出来たけど、手が使えない分、少し変な勢いが付いてしまった。

 椅子にお尻が当たった瞬間、私は身体の中を突き上げられるような衝撃を憶えた。

 股間を覆っている貞操帯が座面にぶつかって、体内に入り込んでいる突起物が動いてしまったのだ。

「ふ、グゥ……ッ!」

 衝撃がじわじわと体内で広がって、全身が痺れたように震える。

『あ、ごめん。大丈夫だったかな?』

 私がどういう状態にあるのかすぐにわかったのか、良樹さんが心配そうにそう声をかけてきてくれる。

「ウゥ……」

 まだ衝撃の余韻は残っていたけれど、私はこくんと頷いた。

 実際、私が感じたのは苦しいとか痛いとかではなく、気持ちいい類の感覚だったのだから、問題があるはずもない。

 いや、身体の奥を突き上げられたというのに、快感を憶えてしまったというのは、別の意味で問題があるかもしれないけれど。

(お、おかしいわね……最近はご無沙汰だったし、そんな敏感に感じるはずもないのだけど……最近の貞操帯は、こんなに気持ちよく感じてしまうの?)

 私がこういうことをよくしていたのは、もう十年は前の話になる。

 その時に比べれば、ずっと技術も進歩しているだろうし、気持ち良くなれる構造がさらに進化していても当然だと言えば当然なのだけど。

(それにしたって、こんなに気持ち良くなってしまうなんて……)

 正直予想していなかった。

 いまのは若い子は、初めからこんな服を着ているということになる。

 徹底的に性的に開発されているということで、勉学に支障が出ないのか少し不安になった。

 そういうことを親がしっかり体験出来る授業参観は、実に有意義であるとも言えたけれど。実際の学校での様子が見られるのがいまから楽しみになった。

 私の様子を見ていた良樹さんは、大丈夫そうなことを理解したのか、左足のブーツの締め込み作業に戻った。

 左足も右足同様、しっかり編み込みを締め上げた後でベルトを締め、鍵をかけて固定してしまう。

 そして仕上げに、ブーツの足首と膝の辺りにある金具を鎖を用いて、左右それぞれを連結してしまった。

 足を一定以上広げられなくするための鎖だ。

 弛み過ぎて足に絡まない、絶妙な長さを常に保っている。

 膝の部分を繋ぐ鎖の長さも程よくて、歩くのにさほど支障は出なさそうだけど、少しでも足を開こうとすると邪魔になる長さを保っている。蟹股になることも難しそうだった。

 これでほとんどの道具は装着し終わったことになる。

『それじゃあ、立って』

 良樹さんに促され、私は勢いをつけて立ち上がった。

 踵がすごく高いから不安定だったけれど、良樹さんのサポートもあったおかげで、なんとかその足でまっすぐ立つことが出来た。

「フゥ……フゥ……」

 バランスを整えながら、息も整える。

『大丈夫そうかな?』

 良樹さんがそう私の顔を覗き込んで来た。彼の顔が普段より近い。

 私の踵が上がっている分、背が高くなっているからだ。

 至近距離で見つめ合うのは、かなり久しぶりのことだった。まるで若い時期に返ったような気がして、どくんと心臓が高鳴るのがわかる。

 一方の良樹さんは、残念ながらこちらの目が見えていないので、見つめ合ったことに気付かず、真面目に私の体のチェックを続けてくれていた。

 ぐるぐると私の体を眺めまわし、拘束が緩んでいないか、無理なテンションがかかっていないかなどを確認してくれているのだ。

『よし……大丈夫そうだね』

 満足げにそう呟く彼の言葉を、私は必死に体のバランスを保ちながら聞いていた。少しでも油断すると倒れてしまいそうだ。

(これ……かなり、辛い……けど……っ、明日は……筋肉痛……かしら……っ)

 明日は一日動けないかもしれない。

 そんなことを考えていると、私の前に再び良樹さんが現れた。

 その手には分厚い金属の輪っかが握られている。ちょうど私の首の直径くらいの大きさのその輪っかは、真っ二つに割れていて、一か所だけで繋がっていた。

『それじゃあ、最後の道具を着けるよ』

 最後の道具――首輪を良樹さんは私の首に宛がってくる。

 重厚な金属の重みが首にかかり、私は思わずドキリとした。

 体を動かさないようにしながら、その瞬間を待ち構える。

――グッ……ガチッ!

 良樹さんが慎重にその金属の輪っかを私の首に巻き付けていくと、真っ二つに割れた輪っかが合わさるようにして、私の首にしっかり固定される。

 私の首をしっかり覆ったそれは、首を多少引き伸ばしているようにも感じられた。常に首に緩く手をかけられているような、そんな感触がずっと続いている。

 なお、金属でできているとはいえ、その首輪は内側にちゃんと柔らかい当て布のようなクッションが取り付けられていた。

 ラバースーツを着ている私にはあまり認識できないことだったけれど、それのおかげで仮に素肌の上から首輪を身に着けても肌が傷つくことはないわけだ。

 そのクッション部分は絶妙に私の首と首輪の合間を埋めることになっていて、普通の革製の首のようにずれたりもしない。

 苦しいといえば苦しいけれど、息が詰まるほどの締め付けでもない。

 私はふぅふぅと呼吸をしながら、なんとか耐えていた。

『これで準備は完了だね! うん! すっごくエロくて綺麗だよ! あの子はいつもこんな格好で頑張ってるんだよねぇ……』

 そうしみじみと言う良樹さん。ふと、その目が壁の方に動き――恐らく現在時刻を確認したのだと思う――続けていった。

『うん、十分間に合う時間までに着終わってよかった。それじゃあ、行こうか』

 そういいながら、良樹さんは犬の首輪に取り付けるような、持ち手の着いた鎖を――リードを私の首輪に接続する。

 じゃらじゃら、という音が妙に大きく聞こえ、私の首に鎖分の重みがかかる。

『まずは慎重に動いてみようか』

 そう言いつつ、良樹さんがリードを引っ張って誘導してくれる。

 私は首を引っ張られる感触を頼りに、素直に足を進めた。

 ただでさえ不自由な身体で、踵が極端に高いブーツを履いているから、歩く時もバランスを取るので精一杯だった。

 周りを見る余裕はないし、足元を見るなんてもってのほかだ。目線を降ろしたが、最後、私は前のめりに倒れてしまうことだろう。

 だから良樹さんを信じて、まっすぐ前を向いたまま、良樹さんに誘導されるがまま進んでいく。

 家の中はバリアフリーが行き届いているから、引っかかるような段差はほとんどない。

 順調に歩みを続け、玄関に辿り着いた。

 荷物を持って靴を履き替える良樹さん。ふと、彼はニッコリと優し気に微笑んだ。

『感性系はしっかり見れてなかったよね。ちょっと見てみるといいよ』

 そういって彼が示したのは、玄関先に設置されている大きな姿見だった。外出時、靴まで含めたコーディネートを確認するために設置されているためのものだ。

 それは今の私にとって、非常にいい位置にある鏡だった。

 鏡の中で、黒い人影が蠢いている。それが私であるという事実に、一瞬頭が付いていなかった。

 ただの黒い人形としかわからないだろう。その首から伸びた鎖の先を、良樹さんが握っている。

 靴を履き替えた良樹さんが立ち上がった。

『よし……準備完了だね』

 リードをしっかり握り直しながら、良樹さんは玄関扉のノブに手をかける。

『それじゃあ行こうか、仲恵さん。……おっと、違った』

 彼はそう言いつつ、私の方をじっと見やる。

 首の辺りを見ていた。正確には、私の首に巻き付いた首輪の、プレートの部分だ。

『えーと……『8714』番か』

 それはいまの私の一時的な管理番号だった。

 世の中にはそんな風に番号でしか呼ばれなくなった人もいる。

 私は極普通に生きて来たから、管理番号で呼ばれたことはあまりない。学生の頃に職業体験をした時くらいだろうか。

 一時的とはいえ、管理番号で呼ばれたことで、いまの私が『良樹さんの妻』ではなく、誰かに所有されて管理されるだけの『モノ』でしかないことを強く自覚させられる。

『いくぞ』

 良樹さんも私の立場に合わせて、その口調をがらりと変えていた。もっとも、彼の場合は心底優しい心根が隠せていないので、あまりそういう意味での威圧感は覚えなかった。

 けれども、普段絶対に言われないような言葉で声を掛けられるという事実には高揚するものを感じた。

 何とも不思議な気分になりつつ、私は良樹さんに続いて家の外に出る。


 こうして私は――授業参観に参加するべく、全身をがっちり拘束具に包まれて家を出たのだった。





 良樹さんが去った後、私は送迎に出て来てくれたトラックの荷台に乗り込んでいた。

 中には私と同じく、授業参観に参加するために集まった女の人たちがずらりと並べて、吊るされていた。

 吊るされていたというのは比喩でもなんでもなく、本当に吊るされている。

 皆私と同じように、全身がラバーで覆われていて、目もスモークガラス越しなのでよくわからない。

 ただ、その体は常に絶えず震えており、いまにも絶頂してしまいかねないような状態にあることはすぐにわかった。

『おーい、こっちだ。さっさと来い』

 運転手の人に促され、私がそちらに向かうと、トラックの天井からぶら下がっている大きなフックのようなものを手に持っていた。

 フックはかなり大きなもので、人が一人腰掛けられそうなほど大きなものだった。

 さらにフックの引っ掛ける側とは反対側の部分は、非常に大きく、不思議な曲線を描きながらかなり長く続いている。

(お尻に入れる……ってわけでもなさそうだけど……)

 そう私が思っていると、私はそのフックが吊り下げられている真下の位置に立たされた。

『よし、動くなよ』

 そういいながら、そのフック上のものが私の股間へと入り込まされる。

 股間を覆う貞操帯にさらに沿うようにフックがまとわりついた。さらにそのフックの持ち手部分というのか、吊り下げられるはずの場所はちょうど私の体に沿うように出来ていた。

 下腹部に張り付き、鳩尾に沿い、両胸の谷間を通って、首輪へと連結される。

 さらに男の人は別の器具を持ってきて、そのフックの途中から左右に半円形の棒を接続する。

 それはちょうど肋骨のような形になって、私の体を腰、腹、胸の三点でしっかり締めあげて固定して来た。

 フック状のの器具が固定されると、首輪に取り付けられていた鎖のリードが天井の滑車に接続され、それを用いて私の体を徐々に吊り下げていく。

 首輪だけを引っ張られたなら、首吊りと同じで死んでしまうけれど、いまはちゃんとフック状の器具が私の体を股間からしっかり支えてくれている。

 私はギシギシ鎖を軋ませながら、トラックの中で吊らされて身動き取れない人たちの仲間入りを果たした。

 男の人たちの手で、ギリギリまで他の人たちと近づく位置に移動させられる。

 ぶらぶらと吊り下げられながら、私は全身を襲う奇妙な浮遊感を堪えなければならなかった。

 三半規管の弱い人なら、あっという間に気分を害してもおかしくはない。

 幸いというか、いまのところ周囲から聞こえてくる呻き声に、苦しそうなものはなかった。

『よし、次の親を回収しにいくぞ』

『りょーかいです。ナビ起動しますね』

 私のことなどすっかり忘れたように、二人の運転手は仕事に戻っていった。

 実際、詰め込み終わった私なんて荷物でしかないのだから、それくらいの認識である意味当然だ。

 私は車が動き出したことを体で感じてゆられつつ、学校に着くのが楽しみになっていた。


 ただ、私はわかっていなかった。

 移動中から、すでに『授業参観』は始まっていることを。



授業参観の日・移送中(行)につづく


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