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夜空さくら
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改変された世界の片隅で ~授業参観の日・授業①~

■ あらすじ:これは、エロい常識に改変された世界の片隅での、何気ない日常の話――娘が通う学園の授業参観に行くことになった専業主婦・水下司仲恵(ミナゲシナカエ)。ただし、その参観の規定には、学園が指定する服装を着なければならないというものがあった。学園が指定する服装は、学園に通う女生徒たちが身に着けてるものと似た物――つまり、全身を覆うラバースーツと拘束具なのであった。

■ いよいよ授業参観が始まります。普段の授業風景は滅多に外部に公開されない(見れる人は見れる)ので、保護者も興味津々ですーw-ウム

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 ぞろぞろと数珠繋ぎで校庭を歩く黒い人型の群。

 全身を拘束具で包まれ、ほとんど自由らしい自由も、個性も剥奪された私たちのその連なりは、傍から見るとかなり奇妙なものだろう。

 ただ、校舎の方から私たちの方を見下ろしている男子生徒たちは、私たちのことを見てそこまで騒いでいなかった。全く意識していないというわけでもなかったけれど、特に騒ぐこともなく、ごく普通の風景のひとつとして、淡々と受け入れているように見える。

 これはある意味当然で、彼らにしてみれば女子生徒たちが教室移動をするときには似たような光景を見ることになる。要するに見慣れた風景でしかないわけだ。

 もちろん、同年代の子たちと違って、私たち保護者は年齢も体格もバラバラなため、そういう意味での珍しさは感じてはいるように見える。

 大半の男の子たちは特に騒ぐことなく、粛々とその光景を受け入れているようだった。

 視線を感じつつ、私たちはそのまま校舎の中へと入る。エントランスを抜け、さらに奥へと進んでいった。列の一部はそのまま階段を上がっていく。

 恐らくその列の人たちは、子供が男子生徒である人たちなのだろう。

 男子生徒が主に使用している校舎と、女子生徒が主に使用している校舎は違うらしく、男女でしっかり分けられているようだ。廊下をうろついていた男子生徒も見られなくなる。

 男子生徒側の校舎は活発に子供たちが行動する声や足音が聞こえていたけれど、女子生徒用の校舎は一変して静まり返っていた。

 全然別の世界になってしまったかのようだ。

 そんな静まり返った女子生徒用の校舎を歩かされる。

(これは……結構、しんどい、わ……ね……っ)

 不自由な身体を必死になって動かしつつ、小さな呼吸穴で精一杯の呼吸をする。

 平地を歩くだけでもしんどいのに、階段に差し掛かるとその辛さはさらに倍増した。

 前の人に遅れてはいけないし、後ろの人を引っ張ってもいけない。

 規則正しい動きをしなければならず、ひたすら神経が磨り減っていく感覚があった。

 特に私の場合、後ろの人が、時折結構不安な動きをするので、そういう意味での緊張もすごかった。

 万が一後ろの人が倒れるようなことがあれば、私は鎖の繋がっている首輪で首を締め上げられることになる。

 そうなった時、気持ちだけでも備えていなければ窒息の苦しみでパニックになってしまうかもしれない。

 だからいつ後ろの人が倒れてもいいように、じりじりとした緊張感を常に抱いていなければならなかった。

 ただでさえ厳しい拘束を施された状態で、他の人より気を付けなければならない点が多いというのは、中々に大変だ。

「ン……ッ、ウゥ……!」

 ギシギシ、と体を覆うラバースーツが軋んで音を立てる。

 家から出てトラックに乗るまでのわずかな距離でもしんどかったけれど、校庭から校舎まで、エントランスから渡り廊下と来て、さらに階段、そして廊下、と移動する距離は結構なものだった。

 専業主婦として日々の家事をこなす傍ら、きちんと運動は続けていたし、それなりの訓練も定期的に受けてはいた。

 とはいえ、昔ほど体力が有り余っている状態というわけでもないため、かなりしんどかった。

(それでも、脱落者が出ていないのはさすがというべきかしら……?)

 後ろの人とか、失礼だけど早々に倒れてしまうんじゃないかと思っていた。

 けれどなんとかギリギリついて来ている。その辺はやはりちゃんと『教育』を受けた世代ということだろうか。

 とはいえ、その人よりはマシとは言っても皆ギリギリであることに変わりはないのか、必死に荒い呼吸を繰り返している気配は感じる。


 一糸乱れぬ行進、とはとても言えず、ふらつく人も出始めていた。

 誰かが倒れるのは時間の問題――と思ったところで、私たちはようやく目的の教室に辿り着いた。

 一列に連なっていた人たちが、何人かごとに分かれて、それぞれ別の教室に入って行く。

 私と同じ教室に入るのは、十四人くらいだろうか。生徒の数に比べるとずいぶん少ないように思うけれど、予定が合わなかったり、共働きであったり、特殊な役割を持つ者であったりして、授業参観に出られない保護者も結構いるようだ。

 教室には、机と椅子が規則正しく並んでいる。

 その席には、黒いラバースーツを着た女子生徒たちが整然と座っていた。

 恐らく休憩時間だろうに、立ち上がることもなく――実際は出来ないのだけど――椅子に腰かけていた。

 私たちの拘束と同様――というか私たちが彼女たちと同じものを身に着けているのだけど――アームバインダーと全身を覆うラバースーツ、そして全頭マスクに貞操帯、金属のブラジャー、金属の首輪などを身に着けていた。

 私たちとの大きな違いは、全頭マスクの作りにあった。私たちは完全に頭を覆い、目の部分にもレンズが入っていて外からはその内側を全く伺えないものになっているけれど、彼女たちの身に着けている全頭マスクは目が露出している。

 咥えて、髪の毛の一部が外に出せるようになっており、髪型の違いが外見に現れていた。ポニーテールだったり三つ編みだったり、個性が現れている。

 目元と髪型が露出していれば、我が子を見分けるのは造作もないことだ。

 さっそくうちの子を探そうと思ったけど、その前に作業員の人から声がかけられる。

「前から順番に、台の上に乗れ」

 教室の後ろ側の壁際に、オブジェのようなものが並べられていた。

 そのオブジェは正方形の板のようなものを土台として、隣の台座と等間隔になるように横一列に並べられている。

 そして、その正方形の中心から、金属の棒が伸びていた。太さは十センチほどで、高さはちょうど私たちの腰より少し低い位置になっている。

 さらにその正方形には、足跡のようなマークが描かれており、そのマークが『左右の足の位置を合わせて立て』という意味なのは説明されなくともわかった。

 作業員の人の命令に従い、最初の人が一番奥の台座の上にあがる。

 足跡のマークに足の位置を合わせると、ちょうど教室の方を向き、聳え立つ棒を跨ぐような体勢になった。

 その人が土台の上に立って暫くすると、その棒がゆっくりと伸びて、その棒を跨いで立っていた人の股間に突き刺さった。

「ンゥ……ッ」

 股間を突き上げられた形になるその人が呻く。

 カチリ、という音が響き、その棒と貞操帯がしっかり固定されたようだ。

 その人は足から少し力を抜き、棒に体重を預けている。

 普通、棒の先端に座るようなことは痛くて出来ないが、股間を覆っている貞操帯と接続されているので、そこまで股間に食い込む感じはしていないようだ。

 実際、私も同じように台座の上にあがり、せりあがってくる棒に股間を突き上げられたものの、貞操帯が上手く負荷を分散してくれているようで、食い込んで痛いということはなかった。

 さすがに普通の椅子に座るのと同じようには感じられなかったけれど、ここに来るまでに歩いて疲れた足を休めるには十分な支えになる。

 バランスを崩さないように注意しながら、足から力を抜いて体重の一部を貞操帯に預ける。

(これなら、授業中ずっと立っていても大丈夫そうね)

 そう納得していると、私の次に台座に乗ることになった後ろの人が尻込みしているのがわかった。

 どうやらここまでの道のりでほとんど体力を使い果たしてしまったらしく、台座の上に上がりたくても、足があがらないようだ。

 ぐずぐずしているその女性に対し、作業員の人が近づいて来て、やれやれと溜息を吐いた。

「またお前か。全く、仕方ないな……ほら――よっ!」

 作業員はその人の腰を――正確には貞操帯を――掴むと、軽々と持ち上げた。

 私たちの体は様々な拘束具を身に纏っていて、元がどうあれそれなりに重くなっているはずなのだけど、子供を抱え上げるみたいに造作もなく持ち上げている。

「ンギュゥ……ッ!」

 持ち上げられた際に貞操帯が体に食い込んだのか、その人が呻き声をあげ、その足がピンと伸びる。

 それをちょうどいいと言わんばかりに、作業員の人はそのままその人の体を移動させ――台座の上に降ろした。

 そのまま聳え立つ棒が貞操帯と接続する音が響き、作業員の人が離れてもその人はそのままの体勢を維持できるようになる。

 足に力が入らないのか、体重が全部股間にかかってしまっているようで、かなり苦しそうだ。

(こんな調子で、最後までちゃんと参観出来るのかしら? ……っとと、いけないいけない)

 今回大事なのは授業の様子を、あの子の学校での様子を見ることだ。

 隣の人が大丈夫なのかも気になるけど、私の方こそ本来の目的を疎かにしてはいけない。

 そう思って私は教室の中を見渡し、我が子を探す。

 そしてあの子――晃はすぐに見つかった。

(うん、元気そうね。気になるのはわかるけれど……きょろきょろしてるわねぇ)

 まあその反応自体は、他の子も似たようなものなので、微笑ましくはあるのだけど。

 そんなことを考えつつ、改めてずらりと並んだ生徒たち全体を眺める。

 皆身に着けている制服は同じでも、やはりどことなく違いは見て取れる。

 わずかに覗く目元だったり、私たちという存在に対するその挙動だったり、ぱっとみてわかる程度の個性がちゃんと存在している。

(色んな子が育っているみたいね……望ましい環境である証拠ね)

 厳しい性質を持つ学校の中には、まるでロボットを量産しようとするかのように、個性という個性を徹底的に排除して、将来役に立つ技術だけを叩き込む学校もあるという。

 それはそれで世の中の役に立たないわけではないのだけど、やはり親としては自分の子供には比較的自由に、色んな将来の道を模索して欲しいと思ってしまうのだ。

 そういう意味で、この学校はちゃんと多様性に富んでいて、子供を預けるに足る学校であると言える。

 授業が始まるまでの間、つらつらとそんなことを考えていると、予鈴らしきチャイムが鳴り響く。

 参観している私たちがいるということもあるのだろうけど、教室の扉を開けて先生がやってくる頃には、全員がきちんと前を向いていた。

 のんびりとした様子のその先生は、そんな生徒たちの様子を見て苦笑気味に笑う。

「いつもこれくらい授業に集中してくれると、嬉しいのですけどね」

 思った通り、普段からこういうではないらしい。

 笑い声のような呻き声が、教室の至るところからあがる。なんとも雰囲気がいい。

「それでは、授業を始めましょう」

 授業が始まると、皆真剣に先生の話を聞いているように見えた。

 そもそも身体の自由がないから誰も一言も発さないし、気がそぞろになっている様子もない。

 その代わり、ノートを取ることも出来ないけれど、先生の方もそれに合わせて授業の仕方を工夫しているようだ。聞くだけで理解を深められる授業になっている。

 うちの子もしっかりと背筋を伸ばして――伸ばさざるを得ないのだけど、それを差し引いてもピシッとしているように思う――授業を聞いている。

 ただ、やはりよくよく観察していると、こんな状況下でも居眠りする子はするようだった。

 明らかに身体がふらふらと揺れている。

(内容自体は工夫してあるけれど、のんびりした声質だから眠くなっても仕方ないわね……)

 こちらも若干眠気を感じるほどなので、無理もないと微笑ましく思ってしまう。

 そんな風にふらふらしていた子が、机に突っ伏してしまいそうになった――かと思えば、急に身体を起こした。びくびくっと肩が震えている。

 どうやら居眠り防止用の機能が備わっているようだった。

 機能が発動したことを見た先生が、その機能を説明してくれる。

「授業中の居眠りに対しては、膀胱内に挿入されたカテーテルを通し、大量の液体を膀胱に注ぎ込むことで、強い尿意を与え、眠気を飛ばしています」

 膀胱を膨らませる、と先生はずいぶん軽い調子で語ってくれたけれど、それがどれほど辛いものかは私たちにだってわかる。

 もし身体が自由であれば、思わず飛び上がってしまうような衝撃だろうから、目が覚めるのは当たり前だった。一昔前であれば拷問と言われてもおかしくないだろう。

 そんな感覚は、出来ればあまり経験したくはないものだけれど――今回私たちが学校に来ているのは、授業参観のためである。

 より理解を深めるために、一番手っ取り早いのは体験することであることは当たり前で。

「それではそれがどの程度の効果があるか――体験していただきましょう」

 そう言いながら先生が手元のリモコンを操作すると、私たちの身に付けている貞操帯の突起が――尿道に突き刺さっている細い突起が――動き出した。

 最初は極わずかな違和感しか感じなかったものの、すぐにその違和感は爆発的な勢いで尿意に変わり、身を捩らずにはいられない。

「フグぅ……ッ! ウゥ……!」

 出したくて堪らない焦燥感が身を焦がす。

 生理現象を強制的に引き起こされ、嫌な汗が全身に滲んだ。

 目が覚めるとか覚めないとかではなく、本能的な危機感が意識を覚醒させていた。

「ウゥッ! ウギィィイイッ!」

 隣の人も激しく体を震わせ、甲高い呻き声をあげて悶絶していた。横一列に並んだ私たちが一斉に呻き出したので、結構喧しい状態になってしまう。

 堪えるべきというのは理解していても、とても意志の力で我慢液るものではなかった。

(ひぅ……ッ! も、もう、だめ……ッ!)

 ガクガクと体が震えて仰け反ってしまう。それでも尿意が治まることはなく、破裂しそうな痛みが生じ始め――それがすぅっと消えていった。

 どうやら今度は逆に液体が吸い出されていったようで、嘘のように尿意が収まっていく。

 ただ、尿道をおしっこが通っていく感触はなかったので、なんだか本当に狐につままれたような、不思議な感覚だった。

「フゥ……フゥ……フゥ……」

 呼吸を整える私たち。ふと隣の人を見ると、仰け反った状態のまま、ぶるぶると震えていた。

 気を失っているわけではないようだけど、体に力が入らないのか、だらりと脱力してしまっている。

 そんな彼女の様子を見てから、先生が授業を進めながら後ろに歩いて来た。

「えー、ですからこの場合の方程式は、先ほど教えたものを応用して……」

 生徒に向かって説明しながら、その先生は隣の人の前に立つと、手を伸ばしてその人の股間を覆っている貞操帯に振れる。

 何か操作したらしく、仰け反って力尽きていたその人がビクンとひと際激しく痙攣した。

「ブギィッ!?」

 悲痛な声をあげて呻くその人が体を起こすと、先生は何事もなかったかのようにそのまま前へと戻って行ってしまう。

 先生が離れても動き出した装置は一切止まっていないのか、隣の人は激しく痙攣していた。

 横から見ていると、そのお腹がなんだか波打っているように見える。

(挿し込まれた突起物を激しく動かした……とかかしら。かなり強烈な気付けにはなるでしょうけど……)

 少し同情してしまう。

 ただそれは私にも行われるかもしれないことなので、私は隣の人を気にするのはそこそこに、授業参観に集中した。

 その授業中、隣の人から聞こえてくる呻き声が途絶えることはなかった。


つづく


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