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夜空さくら
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お嬢様、ヒトイヌ奴隷 急 その1

■ あらすじ:お嬢様に与えられた、ヒトイヌ奴隷。その奴隷の面倒を見るように言われたお嬢様は、従順にそのヒトイヌの面倒を見るのだが……

■ とうとう、お嬢様が一歩踏み出します。まあ大体予想されていた通りの流れですね。着せる側と着る側の差みたいなのを丹念に表現していきますーw-ペコリ

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 お父様から与えられたヒトイヌ奴隷の面倒を見ていた私は、そのリリーのあまりに気持ちよさそうな様子を見ている内に、とうとうその好奇心が抑えきれなくなってしまいました。

 ヒトイヌ奴隷の装飾具は、いずれも非常に厳しい拘束具であり、傍からみると、とても苦しそうなものばかりです。

 そんなものを身に付けている彼女は、いったいどんな感覚を覚えているのでしょうか。

 普通ならば苦痛なのでしょうが、私の見た限りリリーが苦しがっていたり、痛がっていたりする様子は全く見られませんでした。

 たまに辛そうにしている時はありましたが、それは苦痛によるというよりは、四つん這いで動くことに疲れたというだけで、ヒトイヌ拘束自体には全く苦を感じているようには見えません。

 なによりベッドの上に寝転ばせ、マッサージ機を使ってスキンシップを取っている時の、蕩けた表情。

 あれはヒトイヌであることに負の感情を抱いている者が出来る表情ではない、と私は確信していたのです。


 ですから私は――ヒトイヌ奴隷になってみたい、と考えたのでした。


 とはいえ。

 いくらいつも私の我儘を利いてくれるお父様であっても、「ヒトイヌ奴隷になりたい」などといって受け入れてくださるとは思えません。

 お父様からお叱りを受けるのは何よりも辛いことです。そんなことはとても言えません。

 かといって、私の世話係のトーニャにいうわけにもいきません。

 トーニャはトーニャで、私のことを厳しく教育してくれています。

 そもそもトーニャは私のお世話はしてくれていますが、実際の主従契約はお父様と結んでいます。

 相談すれば即お父様に報告するのは当然で、黙っておいて欲しいといっても聞いてはくれないでしょう。

 となれば、残す選択肢は一つだけしかありません。





 日常的に行われる、リリーとの入浴。

 正確には私がリリーを洗浄するわけですが、これも随分手慣れて来ていました。

 この後は着替えさせたリリーと一緒に寝室に戻り、寝るだけです。

 だから私は、リリーの体を洗ってあげながら、彼女に向けて話しかけました。

「リリー。ひとつ、お願いがあるのですけれど」

 彼女がヒトイヌに徹していることは重々承知していましたが、私は彼女にそう呼びかけていました。

 シャワーの音に紛れさせながらそう話しかけると、リリーは不思議そうに私を見上げます。

「私を、ヒトイヌ奴隷にしてくれませんか?」

 そうリリーに向けて提案をした時、彼女は目を丸くして、驚いていました。

「もちろん、実際に奴隷になるというわけではなくて……そう、リリーが普段着けている拘束具を身に付けてみたいんです」

 私はそういって、リリーの手を取ります。

 その指はずっと拘束具の中に押し込まれている手ですが、特に動かすのに支障はないようでした。

「本当は自分一人で体験出来ればいいのですけど……さすがに、無理がありますからね」

 ヒトイヌ奴隷の拘束具が、自分一人では身に付けられないものであるということは、よくわかっていました。

 何度もリリーに身に付けさせたのですから、当然です。

 だからヒトイヌ拘束を体験するには誰かの手助けが必ず必要で、そんなことが頼める存在はリリーしかいませんでした。

 しかしそんなことを相談されるとは、リリーは夢にも思わなかったのでしょう。

 戸惑ったように、眼を見開いたまま、視線をあちこちに動かしていました。

「ちょっと体験してみたくなっただけですから、安心してくださいな」

 私はそう付け加えておきます。もしかするとリリーがヒトイヌに戻れなくなることを危惧しているのではないかと思ったからです。

 あくまで一時的なものであり、ヒトイヌ奴隷として活動し続けるつもりはさすがにありません。

 どんな風な感覚で、どんな風に感じるのか、それさえ体験出来れば、それでいいのですから。

 そのために、秘密裏にヒトイヌ奴隷を体験するためには、リリーの協力がもっとも望ましいのです。

 あとは彼女が頷いてくれさえすれば、いいのですが。

 暫くリリーは頷きも首を横に振りもせず、じっと考え込んでいました。

 恐らく、ヒトイヌ奴隷という自分の立場を考え、それを踏まえた上で、私の手助けをするべきなのかどうかを考えているのでしょう。

 実際、私の手助けをするということは、ヒトイヌ奴隷の範疇を大きく逸脱した行為といえなくもないのですから、それは仕方ないでしょう。

 いくら飼い主の命令とはいえ、そういったことを行っては、ヒトイヌらしさが失われてしまうことになります。

 ですから、ヒトイヌ奴隷であるリリーが私の提案を受けてくれるかどうかは、わかりませんでした。

 リリーは困惑したように暫く考え込んでいましたが、やがて静かにこくりと頷いてくれました。



 リリーと共に、私の寝室へと移動してきます。

 いつもであれば、私はバスローブを着て、素裸のリリーを連れているのですが、今日は私も裸です。

 バスローブが一枚ないだけで、こんなに胸がドキドキするとは思いませんでした。

 リリーとの違いは、二本足で立っているか、四つん這いで歩いているかの違いだけ。

 それが大きな違いではあるのですが、私は私とリリーの間に実質的な違いは何もないのだということを認識していました。

「……ふぅ」

 先程から胸が喧しく高鳴って仕方ありません。

 ちょっとした興味からの提案で、別にヒトイヌ奴隷になるというわけでもないのですが。

 リリーはそんな私を、床から見上げています。

「……なんでもありませんわ。それでは……早速始めましょう」

 私はリリーにそう声をかけ、あらかじめ用意されていたヒトイヌ奴隷のための道具の数々をベッドの上に並べて行きました。

 この数日、リリーの面倒を見ている内に、その着け方は熟知していましたが、改めてそれを自分で身に付けるとなると、緊張してしまいます。

「……リリーと体格が似通っていてよかったですわ」

 細かいサイズの差はあるかもしれませんが、ほとんど同じはずです。

 私はまずはラバースーツを着ようと、それを手に取りました。

 ぱっくり開いたラバースーツの割れ目が、いつも以上に不気味に見えます。

(まずは足から……)

 早速足をラバースーツの中に通していきます。

 ラバースーツ独特の感触が、私の足を先端からゆっくりと包み込んでいきました。

「ふぁ……っ」

 ラバー独特の抵抗感を覚えながら、私はラバースーツに足を通していきます。

 ぴちぴちと足をラバースーツが覆い、張り付いてきています。

「ん……っ、これは……んん……っ」

 バレエの練習をするときに、厚手のタイツのようなものを履いたことはありました。

 体をぴっちり覆うラバースーツは、それと似たようなものだと思っていたのですが、私の想像以上に、ラバースーツは重く体に張り付いてきます。

 抵抗感がタイツのそれとは比べ物になりません。内側に塗られた潤滑油がなければ、とても履くことは出来なかったことでしょう。

 リリーに着せる時はあまり意識していませんでしたが、結構な抵抗感を覚えました。

 このラバースーツはリリーの為に作られたものなので、若干合わないところもあるはずです。

 その不一致が影響しているのかと思うほど、ラバースーツは窮屈に私の足先を締め付けてきました。

(傍から見て着せるのと……自分で着るのとでは、全然違いますわね……!)

 本当に大丈夫なのか、少し不安になってしまいます。

 そんな不安になる私の心を見据えているように、ベッドの横で四つん這いになっているリリーがじっと視線を向けて来ていました。

 ここまで来て、いえ、ここまで着て、いまさらやっぱりやめたというつもりはありません。

 私はきっと大丈夫だろうと信じつつ、ラバースーツを身に付けて行きました。

 両足の先を通し、足首から脹脛、膝、太ももまでラバースーツを引き上げます。

 私の足がラバースーツに覆われ、異様な光沢を放っていました。まるで自分の足がラバーで出来ているかのような、そんな錯覚すら覚えます。

 たるまないよう、しっかり両手で足の表面を撫で、ラバースーツを引き伸ばしていきます。

 ぴっちり張り付いて来るそのラバースーツは、私の肌と一体化し、まるで皮膚そのものになったかのようでした。

「ん……っ、こ、これは……」

 ラバースーツに覆われているはずなのに、なぜかそんな風に感じられません。覆われている場所を指で突くと、直接肌に触られているかのような感覚です。

 ぴっちり張り付いているがために、刺激が直接的に感じられるのだろうと思いますが、こんな分厚いラバースーツでもそんな風に感じられるとは思いませんでした。

「いつもリリーは……こういう、感覚だったんですのね」

「……くぅん」

 思わずリリーに向かって言ってしまいましたが、リリーはあくまで小さな唸り声だけで応えます。

 拘束具がなくとも、彼女は自分がヒトイヌ奴隷であるということを忘れはしないようです。

 私は足の状態をしっかり確認した後、立ち上がってラバースーツをさらに上に引き上げます。

「ん、しょっ……ひゃっ!」

 つるん、と腰の上までラバースーツが一気に覆ってきました。

 お尻の膨らみをラバースーツが乗り越え、腰回りを締め付けて来ます。

 ラバースーツがお腹にも触れ、私は腰回り全体がラバーに覆われるのを感じました。

「……っ! んんっ……んッ、ぁっ!?」

 腰回りを包み込む不思議な感触に思わず体を捻ると、ラバースーツがキュッと股間を擦れ、変な声が出てしまいました。

「ひゃあっ!?」

 その感触に驚き、足を動かしてしまいます。すると、それに伴ってまたラバースーツが動き、擦れて来ます。

「ひあっ……!」

 異様な感触が立て続けに襲ってきて、私はへたり込むようにベッドに腰を落としてしまいます。

(こ、これは……予想外、です……!)

 座ったまま、足を曲げたり伸ばしたりしてみました。

 するとその動きに伴ってラバースーツが引っ張られ、全然違うところでスーツと皮膚が擦れる感触がします。

 擦れる時の感覚は、リリーに着せる時に何度も想像していましたが、これは自分で身に付けなければわからない感覚でした。

(へ、変な気分になり、ますわね……! 全然、意図していないところに、突然刺激が来るのは……!)

 呼吸を整え、気持ちを静めます。

 少し落ち着いたのを感じてから、改めて着ていくのですが、ここからはリリーの助けも必要になります。

 私は腰を下ろしていたベッドから立ち上がると、リリーに背中を向けて腰を下ろしました。

 正座から足を崩し、お尻を床に着けます。

 そして、リリーにお願いしました。

「リリー、背中のチャックを上げてもらえますか?」

 私のお願いに対し、リリーは無言のままその手を伸ばし、背中のチャックを指先で摘まみました。

 そして、ゆっくりと上に引き上げて行ってくれます。

 チャックが上がる度に、ラバースーツは私の体に密着して来ました。

「んぅ……ッ」

 それは、少しの体の動きがラバースーツを通した色々な場所への刺激になることが多くなるということです。

 このまま全身がラバースーツで覆われたらどんな感覚になってしまうのでしょうか。

 ごくり、と私は知らず知らずのうちに生唾を飲み込んでいました。

 ラバースーツの感触に翻弄されてばかりはいられません。私はリリーがチャックを上げてくれるのに合わせ、スーツの弛みをしっかり取って、体により密着させていきます。

「んん……ッ、リリー。少し待ってください」

 胸の下くらいまでラバースーツを纏ったところで、一度リリーを止めます。

 ラバースーツの袖に、腕を通していかなければならないためです。

(ここに腕を通したら……いよいよ、ですわね)

 いまはまだ指の自由があります。ラバースーツを半分近くみにつけたとはいえ、まだちょっと変わった服、くらいの認識で済みます。

 ただ、ここから先は本当に、ヒトイヌ奴隷としての機能が発揮されるところです。手の指の自由を失うのですから。

 私は自らそれを手放してしまうことを自覚しつつ、ゆっくりとその袖の中に腕を挿し込んでいきました。

 まずは左手からです。指先を揃えてまっすぐ伸ばし、奥へと押し込んでいきます。

 足同様にかなりの抵抗を覚えつつも、腕はあっさりと袖の中を通って行きました。

 意外と楽かもしれない、とおもいましたが、それはすぐに考え違いだと気づかされます。

 ラバースーツの手首の辺りで、手の先が強く締め付けられました。

「う……っ」

 ここはリリーに着せる時にも、かなりきつさを感じるところです。

 自分が着せる時は、多少強引にでも引っ張って押し込んでいましたが、改めて自分でそこに手を入れてみると、物凄い狭さを感じます。

(……ぐ、ぐぐっ……! こ、これ本当に、大丈夫、です――のっ!?)

 いきなりでした。

 無理矢理差し込もうと押し込んでいたら、急にずるっと手の先が奥まで入り込み、手首の辺りが強く締め付けられます。

「いっ……!」

 ギチギチ、と僅かに手を動かすだけで、ラバーの軋む嫌な音が響きます。

 手の先は完全にラバーで覆われてしまい、いくら指先を開こうとしても、全然動かせませんでした。

 指を揃えた状態の掌で摩ることくらいは出来るでしょうけど、逆にいえばそれ以外、人間らしいことは何一つ出来そうにありません。

 字を書くことも、ナイフやフォークを握ることも、本を読むことも、バイオリンを弾くことも――何も出来ないのです。


 そんな無力な状態を実感し、私は――なぜだか無性に胸が切なくなるのでした。


つづく

Comments

自分からなろうとするのがやっぱいいですよね! 興味や関心が溢れて、自分から手を出してしまうのが最高にいいのです^w^

夜空さくら

自分で人間犬になりたいと言う人が私はいいです。それが私の好みです!やっぱり魅惑されて。自分でやるのが最高です!

goremz


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