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夜空さくら
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人形ダイブ ~獣人族の娘のカラダ~

■ あらすじ:ある日、送られ来た等身大ドールに意識が移ってしまった東田三平。ネットゲームで使用している獣人族の女の子・ココナの姿になってしまった彼は――

■ 三平君は童貞です(言うまでもない)

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 自分がネットゲームで使用しているプレイヤーキャラクター・獣人族のココナ。

 十周年イベントで当選した結果、それを正確に象った等身大のドールが運営から送られて来た。

 そのドールに意識が移ったとしか思えない状況に陥った三平は、とにかく困惑していた。

「と、とりあえず……」

 彼はひとまず自分の体をちゃんとした場所に寝かせることにした。

 いまの彼自身の体は、完全に脱力した状態で床に転がっている。

 倒れた拍子にぶつかった椅子が巻き込まれて倒れ、ゴミ箱もひっくり返しているなど、いきなり卒倒したような状態だ。

 そのまま寝かせておくのが体にいいとは思えない。

(頭とか打ってないよな……? 自分の体なのに、感覚が全然ないからわかんねえけど……)

 恐る恐る自分の体に近付く三平。

 自分の体を鏡や映像以外で第三者視点で見ることなどそうそうない。

 近づくと、体臭らしき匂いが鼻についた。

「う……っ、嫌な臭い、では、ないけれど……」

 三平は特別潔癖なわけではなかったが、毎日風呂に入る程度には清潔にも気をつかっていた。

 だがそんな三平の身体でも、別人として近づくとある程度独特な匂いがした。

 ココナの体になっている三平は、その端正な顔を顰める。

(結構臭いするな……いや、もしかして獣人族って設定だからか……? 確か、猫も人間よりはずっと嗅覚がいいはずだし)

 そんなことを考えつつ、自分の体を起こさせる。

 相変わらず体は完全に脱力しており、手や首がだらりと垂れ下がっていた。

 腕はまだしも、頭の方は首に悪影響を与えるのではないかというくらいに曲がり、三平は焦った。

「とと……っ! ええと、持ち上げられるか……?」

 ココナの体格は三平の元の身体よりもかなり小さい。大人と子供とまではさすがにいかないが、持ち上げるのにもかなり苦労しそうなことは否めなかった。

 だが三平が自分の体の脇と膝の下に手を入れ、力を込めると――想像以上に軽く持ち上げることが出来た。

「結構パワーあるんだなこの身体……!」

 むしろ力が入り過ぎて自分の体を傷つけてしまわないかと冷や冷やしつつ、三平は自分の体を御姫様抱っこで持ち上げ、ソファの上に寝かせた。

 仰向けに寝かせ、頭の下には畳んだタオルを枕代わりにする。

 自分の体を落ち着けた三平は、溜息を吐く。

(ふぅ、これでなんとか……いや、溜息なんてなんで吐けるんだよ)

 三平は自分の口の前に手を翳し、息を吐いてみた。すると確かに息が掌に当たる感触がする。口から空気が出ているのは間違いなかった。

 ドールに意識が乗り移ってしまったという荒唐無稽な現実を受け入れるにしても、機能としてあまりにもハイテクすぎる。

 三平は自分自身の身体が目の前に寝ている状況を改めて実感しても、信じられない思いだった。

 正確には、受け止め切れていないというべきだろうか。

「まさかこんなことになるなんてな……俺はどうしたらいいんだ……?」

 ゲームキャラになってしまうなんていうことが、現実に起こり得ることだとは思っていなかった三平は、どうすればいいか考えあぐねていた。

 元の身体が身に付けている怪しいヘッドギアを外せば、自然と意識が元に戻るのかもしれないが、下手に触れて大丈夫なのだろうかという不安もある。

 無理に外そうとした結果、ヘッドギアが壊れて、最悪元の体に意識が戻らなくなるという可能性もあり得る。

(さすがにそうはならないとは思うけれど……警戒するに越したことはないよな。うん)

 三平はそう考え、ひとまず自分の体は放置して、いまの自分の体がどうなっているのかを確かめてみることにした。

 三平が自分の体を見下ろしてみる。

 そうして最初に目に飛び込んで来たのは、胸の膨らみだった。

(…………ほんと、でかいよなぁ)

 自分の身体で、外から見た時にも思ったことを、三平は改めて感じる。

 立ちあがったことで、余計にその胸の膨らみがどれほど大きいかが実感出来た。

 胸の膨らみは三平の足下が見えない状態にしていた。

 その大きさに圧倒されてしまう。

(この胸を覆う鎧の精もあるんだろうけど……感じる限りでは、元々かなりデカいよなぁ)

 胸の輪郭の感覚は、鎧越しにも確かにあることが感られた。

 だから鎧がなくとも相当デカいということは容易に想像がつくのだが、実際にどれくらい大きいのかという話になると、途端にわからなくなる。

 鎧を外せばさすがにわかるのだろうが、三平はそこで一つの問題に直面する。

(この鎧……どうやって脱げばいいんだ……?)

 ココナの体が身に付けている装備品は、ゲーム内で三平が彼女に着せていた装備品そのまんまだ。

 彼が選んで身に付けさせた装備ではあったが、ゲーム内ではそれこそボタン一つで装備品を変えることが出来た。

 だから鎧の細かな付け方や脱ぎ方など、全く理解出来ていなかった。

 三平はリアルで女性の服を脱がしたことさえない。

 そんな彼だから、ファンタジーの定番とはいえ皮鎧の脱がし方などわかるはずもない。

「うーん……あくまでゲームの中じゃなくて、リアルの世界だし、『メニュー』ウィンドウがあるわけ――」

 ないし、と言おうとした三平は、目の前にウィンドウが展開された。

 いきなり現れたそれに、三平は心底驚く。

「うぇ!? なんで!?」

 現実であり得ない現象に困惑したが、ふと気付いた。

(待てよ、この身体はあくまでドール……機械なんだから、つまり……)

 普通に目に見えているように感じるこの光景も、カメラを通した映像ということになる。

 一度カメラに取り込んだ映像をパソコンの画面に映しているようなものと考えれば、その映像にメニューウインドウのような映像を合成することは簡単だろう。

 試しにそのウィンドウに向けて手を伸ばして見るが、触れられることはなく、あっさりとすり抜けた。

(AR……拡張現実みたいなもんと思えば、まだ理解しやすいくらいだな。…………ドールに意識が移ってる、なんてことに比べれば)

 三平は冷静になった頭でそう考える。

 そして改めて、目の前に展開されているウィンドウの内容を眺めた。

(まるで昔のRPGみたいに項目が少ないな……とりあえず、この装備ってのが気になる)

 そう思って、三平はそのウィンドウに並んでいるいくつかの項目の内、『装備』という表示に触ってみた。

 相変わらず触った感触はなかったものの、その項目を選択する意思は通じたのか、ウィンドウの大きさが変わって、いまこの身体が身につけていると思われる装備がずらりと一覧に並んだ。

 『軽戦士の鎧』という、三平にも覚えがある防具の名前だけでなく、もっと細分化して示されている。

 ショーツやブラジャーと言った表記まであった。

(ゲーム内では、こんなに細分化されてなかったよな……?)

 三平は何気なく考えながら、その『軽戦士の鎧』に触れてみた。

 すると『装備を外しますか? YES/NO』という新しいウィンドウが表示される。

「え、まさか……これで『イエス』にしたら、装備が外れるのか?」

 いくらハイテク技術の塊とはいえ、そんなことはあり得ないだろう、と三平は考える。

 そしてそれは正しい予想だった。

 三平は自分の身体の違和感に気付く。

「ん……? え、あれ!? ちょ、なんだこれ!?」

 彼が気付いた時、身体が勝手に動いて、軽戦士の鎧を取り外し始めていた。

 彼は何も意識していなかったが、体が勝手に動いている。

 勝手に動く体はその服の脱ぎ方をきちんと把握しているようで、動きに迷いがない。

 見えない位置で固く結ばれていた紐を緩め、鎧の胸当てが身体から浮かび上がる。

(まさか……さっきの『イエスにしたら』って呟きで『YES』を選択した扱いになったのか!? 触れなくても、声に出せばそれでいいのかよ!)

 三平が唖然としている間に、彼の身体は軽戦士の鎧を脱いでしまった。

 分厚い鎧に守られていた胸が、露わになる。露わになったとはいえ、その下にはちゃんと服が着られているため、裸の胸が即露出したわけではない。

 だが、普通の服の上からだと、その胸の大きさがより正確に明らかになった。

「でっ、か……!」

 三平が思わずそう呟いてしまったほど、ココナの胸は大きかった。

 非現実的なほどの大きさではなかったが、それゆえに逆にリアルな巨乳の範疇に納まっており、その大きさを実感出来てしまう。

(ゲーム画面じゃ、ここまでとは思わなかったな……)

 ごくり、と生唾を呑み込む三平。

 そのリアルな感触にも驚きつつ、ゆっくりとその胸に手を伸ばした。

 手の平が胸の膨らみに埋もれる。

「うぉ……っ、こ、これは……!」

 三平が女性の胸に触れるのは、それが初めてと言ってよかった。風俗も利用したことがない彼にとって、女性の胸というのは縁遠いものだった。

 ジョークでおっぱいマウスパットのようなものを買ったことはあったが、それが作り物の感触でしかないことはよく理解していた。

(初めて触る女性の胸が自分のもの、っていうのもおかしな話だけど……それにしても……)

 胸を掴んだ手を、わきわきと動かしてみる三平。

 柔らかいボールを握っているような、そんな不思議な感触がした。不思議な感触になっているのは、揉まれている側の感覚も同時に感じるからだろう。

(け、結構固い……いや、柔らかい……? なんだろう、想像していたより……不思議な感触だな……)

 手を動かしながら、三平はその感触に戸惑っていた。

 それはブラジャーを着けたままであるがゆえの、ちぐはぐな感触であったのだが――当然、それに三平は思い至ることが出来ない。

 女性の体に触れたことがない彼は、当然ブラジャーを付けている時と付けていない時の感触の違いなど、わからないのだから。

 暫しそうやって胸の感触を確かめていた三平だが、ふと我に返って胸から手を離す。

 誰も周囲にいないことは当然なのに、思わず周囲を確認してしまっていた。

 その頬が微かに赤く染まっていることに、本人は気付けない。

「……っと、あんまり熱中したらまずいよな……うん」

 ごほん、と咳払いをして気持ちを切り替える三平。

 とにかくまずは体の状態を確認することが先決だった。

 胸の先端からわずかに感じる、じりじりとした感覚には気づかないフリをした。

「ふぅ……そういえば、耳とか尻尾の感覚はあるのかな……?」

 膨らんだ胸に感覚があるのだから、当然そちらにも感覚があるとみるべきだろう。

 そう思い、何気なく頭の猫耳に手をやった三平は、想像以上にその耳が大きく動いて、掌を撫でたことに驚いた。

「ひゃっ! び、びっくりした……やっぱ動くんだな……」

 思わず高い声で悲鳴をあげてしまったことを恥じらいつつ、三平はもう一度手を頭に持っていく。

 猫耳の柔らかい感触が指先に伝わって来た。

 なお、本来人間の耳があるべき場所には何もなくなっており、その感触には若干違和感を覚えた。

(……うーん、普通なら耳がある場所からも髪の毛が生えてる……なんというか、ちょっと変な気分だな……)

 とはいえ、意識して触れでもしない限りは気にならない。普段から耳の形を意識しているわけではないからだ。

 普通にしていて違和感を覚えるのは、音が頭の上の方から聞こえるということだろう。

(飾りじゃなくて、ちゃんと機能してるんだな……頭の上から降ってくる感じで、ちょっと変な感じがする……)

 とはいえ、それも意識すれば気になるかも、というレベルだ。

 耳の方に問題がないと考えた三平は、今度は尻尾の方を見やる。

 丸みを帯びたお尻の中央付近から、細長い猫の尻尾がゆらゆらと揺らめいていた。

「……なんとなくわかってたけど、やっぱ動いてるな」

 しかも尻尾はある程度三平の意志に従って動くようで、意識するだけで尻尾が右に左に動いた。

(猫は尻尾を横に振るのが好意の表れとは限らないんだっけ? 普通の犬猫にも縁がなかったからなぁ……)

 そんな風に思いながら、三平は何気なくその揺らめく尻尾に手を伸ばした。

 彼はすっかり忘れていたのだ。

 自分がやるような今風のゲームにおいて、獣人の尻尾というものは、何かと弱点になっていることを。

 尻尾を鷲掴みにした途端、三平はそこから激しい快感が生じるのを感じた。

「んひぃっ!?」

 全身の毛が一気に逆立ち、思わず尻尾を掴んでいる手にも力が入ってしまう。

 そうなれば当然掴んでいる尻尾も握り締めることになってしまい――頭の中でパチパチと快感が弾けた。

「~~~~ッ!」

 あまりに激しい快感に、その膝が震え、力が抜けてその場に崩れ落ちてしまう。

(こ、この感覚って……! まるで……!)

 『それ』を握った時の感触なら、三平はよく理解していた。


 獣人の尻尾を握った時の感覚は、男性のペニスを握った時の感触に、よく似ていたのだ。


つづく



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