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夜空さくら
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遺された『もの』を継ぐ者 ~叔父から託された『もの』 その2~

■ あらすじ:親戚の叔父が亡くなった私は、なぜかその遺産を相続出来ることになった。相続した屋敷に訪れてみた私がそこで受け継ぐことになった『もの』とは……。

■ 前編中編後編くらいで納めるつもりが、全く収まりそうになかったのでナンバリング方式に変更しましたーw-; まあいつものことです。


■ お話ごとに、支援者様向けにしたりしなかったりしようと思います。

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 首輪を緩めて外すと、全頭マスクとラバースーツの繋ぎ目が現れた。

 全頭マスクは口以外全部を覆うタイプの物で、どうやら二重になっているようだ。

「……えーと、上の方は、普通に剥がせる……のか?」

 私はその全頭マスクの、まずは一枚目に指をかける。その全頭マスクは結構柔らかめのラバー素材で出来ていて、引っ張ればある程度引き伸ばせるようだ。

 力を込めて縁を広げながら、捲り上げるようにして脱がしていく。

 首輪で縁を抑えていたから脱げなかっただけで、その全頭マスク自体は案外簡単に脱がすことが出来た。

 まるで頭の皮が剥げたみたいで、ちょっと怖いかもしれない。

 少し小さくなった彼女の頭部は、まだ全頭マスクに包まれている。今度の全頭マスクには、後ろ側にチャックがあった。

(……なるほど、このチャックを隠すためだけに、この全頭マスクが被せてあったのか……徹底してんな)

 チャックの持ち手は外されて存在しなかったため、叔父さんの手帳に従い、別の場所に保管してあったチャックの持ち手を取ってくる。

 その間、彼女は大人しく『拘束解除』の姿勢のまま待っていた。

 自分は『待て』が出来る犬ですよ、と主張しているようにも感じる。

 そんないじらしい彼女の姿に、少し感心してしまった。

 再び彼女の前に膝を突き、その頭を撫でる。

 すると、彼女はくすぐったそうに体を捻りつつ、座った状態でもお尻を小さく揺らしてその喜びを表現した。

 なんとも可愛らしいヒトイヌなことだ。

「さて……と」

 この全頭マスクを外せば、いよいよ本人の体が一部でも出てくるはず。

 私はさすがに若干緊張しつつ、全頭マスクのチャックに持ち手を付け、ゆっくりと引き上げていく。

 結構強く締め付けていたのか、チャックをあげると、内側から押し広げるようにして、髪の毛らしきものが溢れてくる。

(でも、叔父さんの手帳によれば、これは人工の髪の毛なんだよな……)

 本人の髪、というか全身の体毛はほぼ全部永久脱毛してしまっているらしい。

 その方がメンテナンスも楽で本人の負担も少なくて済むのだとか。

 実際、何週間もラバースーツに閉じ込められていた割には、全頭マスクの内側からただ追ってくる匂いはずいぶんマシだった。

 当然汗の臭いも結構するのは違いないが、顔を顰めるほど不快な臭いではない。

 むしろ、どちらかといえば性的興奮を促すような――そんな奇妙な匂いだった。

(いかんいかん)

 私は興奮する気持ちを意識して抑える。

 ヒトイヌのことを認識してから、実は結構やばいのだが、第一印象は大事だ。

 いきなり欲情しているところを見せるのはさすがに印象が良くないだろう。

 あるいはこれから長い付き合いになるのかもしれないのだし。

 私は呼吸を整えてから、改めて全頭マスクを外しにかかる。

 全頭マスクが外れると、わずかに肌色が見えてくる。

 だがまだその大半は見えないままだった。

 頭にピッタリ密着する耳当て、額から頬のあたりまで覆う幅の広い目隠し、そして顔の下半分を覆う口枷が取り付けられていたからだ。鼻も口枷が覆っている。どうやって呼吸しているのかと思ったが、どうやら口枷に呼吸用の穴が開いているようだ。

 ただ、水分や栄養の補給用の穴の近くにあり、それを用いている間は息が出来なさそうである。

(補給する度に、セルフ呼吸制御みたいな状態になるってことだよな……叔父さん、なかなかえぐいもん考えるぜ……)

 この辺りの機能について考えるのは、後にしよう。

「えーと、確か外すのに順番があるんだよな……」

 まず最初に外しにかかるのは、耳当てだ。

 耳当ては頭にフィットするような構造になっている。耳のでっぱりを綺麗に抑え込み、頭部を丸に近づけている。

「ふむ……うお、穴の中まで入ってるのか……」

 耳あての内側にはでっぱりがあって、彼女の耳を内側まで完全に塞いでいた。かなり密度が高くて分厚いゴム製だし、ほとんど外の音は聞こえないだろう。耳当てというか、耳栓といった方が近いのかもしれない。

 それを引き抜くと、彼女の耳が露わになった。

 ようやく彼女の肌が見えて、彼女が少し人間に近づく。

「……えーと、聞こえていますか?」

 とりあえずそう呼びかけてみた。ぴくりと彼女の肩が震える。聞こえているようだ。

「私は、叔父さん……総一郎の甥の昌宗、と言います。叔父さんから遺産としてこの屋敷と貴女を相続しました。つまり……叔父さんは亡くなりました」

 とりあえず状況を端的に伝えてみた。

 彼女は悲しそうに唸りはしたものの、あまり動揺している様子はない。

 叔父さんの手帳曰く、死んだ後のことは伝えてあるとあったから、この反応は予想の反中だ。

 叔父さんが亡くなったのは、難しい手術を行った結果だ。死亡率は決して高くなかったが、無視できる可能性でもなかった。その手術をしなければいずれにしても死んでいたとされていたので、苦渋の決断だったのだ。

 結局、叔父さんはその賭けに負けてしまった。

 悲しいことだが、十分に準備を行った上でのことだったので、万が一の時のための根回しは事前に済ませることができた。

 私にこの遺産を相続することができたのも、その根回しの甲斐あってのことだろうし。

 ともあれ、説明責任は果たさなければならない。

「生前の叔父から、貴女のことは聞いていませんでした。しかし、この部屋に残されていた手帳には、貴女のことを私に託すとありました。なぜなら――」

 この場でいうべきか否か。

 若干迷ったが、告げることにした。

「私と叔父さんは――同好の士だからです」

 実は私も、ヒトイヌというペットプレイに大変興奮する性質なのである。

 親しい友人にもほとんど話していない性癖なのだが、叔父さんと飲んだあの日に、たぶん酔った私が口を滑らせたのだと思う。

 同じ趣味を持つ仲間だと認識したからこそ、叔父さんはあの時あんなに機嫌がよかったし、私にこの屋敷を相続しようという気になったのだろう。

 なんともありがたいような、恐れ多いような、そんな気分だ。

 ヒトイヌの彼女はじっと黙って私の話を聞いてくれていた。

「……ただ、いくら叔父さんが相続してくれたとはいえ……貴女も承諾済みとは書いてありましたが……貴女の気持ちを私は優先したい。叔父さんからは、貴女を元の生活に戻すための手順もちゃんと示されています」

 ペットプレイで重要なのは、お互いの信頼関係だ。

 彼女自身が継承を承諾したとはいえ、やはり私という個人を見極めてから決めるべきだと思う。

 だから私は、ある提案をした。

「とりあえず、二週間。最初の二週間はお互いお試しということで、仮の主従関係でいませんか?」

 いつでもやめていい主従関係を私は提案した。

 二週間もあれば、お互いの性質などもある程度把握することができるだろう。

 お互いにお互いを見極める時間が必要だ。

 その私の提案に、彼女は少し間をおいてから、こくりと頷いた。

(よし、これでいい)

 相手にも承諾してもらえたので、こちらとしてもやりやすくなった。

「それじゃあ、とりあえずいったん拘束具を全部脱がして、メンテナンスをしましょう。少なくとも二週間は着っぱなしでしょうし」

 私はそう言って、次の拘束具を取り外しにかかる。

 順番的には、次に外すべき拘束具は口枷だった。

 目隠しもすでに外せるようにはなっているのだけど、ずっと塞がれていた彼女の眼は現在とても光に弱くなっているはずだ。

 いきなり外したら、深刻なダメージを受けてしまいかねない。

 だからひとまず目隠しの方は鍵を外し、少しだけ緩めるに留めておいた。そうしておけば、隙間からわずかに入った光で目が少しでも慣れるはずである。

(しかし、目ヤニとかどうなってるんだろ……? 目隠し自体に汚れを吸着する機能があったりするのかな……?)

 まあそれに限らず、分泌された汗や垢がどうなっているかも気になるところだが。

 いまのところ過剰に汚れているような感じはしないので、忌避感はそれほど感じなかった。

 とりあえず口枷を外しにかかる。

「えーと、鍵を外して……っと。ベルトを緩める、前に……」

 私は円形になっている口枷の前方部分を少し弄る。

 くるりと捻るようにして丸い部分を動かすと、ぷしゅっ、と空気が抜ける音がした。

「んぅ……っ」

 すると、彼女のうめき声が少し大きく聞こえるようになった。

 彼女が口内に咥えている部分の側面が萎み、少し余裕が生まれるようになったのだ。

 これで口枷が引き抜けるようになった。

「抜きますよー」

 そう呼びかけつつ、口枷のベルトを外すと、口枷全体を前へと引っ張る。

「おごっ……うぇっ……」

 ずるずると彼女の口の中から太い突起が引き出されていく。

 口枷からは鼻の穴の方にも管が伸びていて、かなり深くまで差し込まれているようだった。

 ずるずると引き出されていく管は、相当長かった。

(こんなのずっと入れてたのか……すごいな……)

 それがようやく引き抜けると、彼女の口元はようやく解放される。

 口枷を吐き出した口から、唾液が垂れ落ちた。

「んっ……ふ、ぅ……っ、はっ……はっ……」

 小さく唸りながら、彼女は荒い呼吸を口で行う。

 その口元はとても扇情的で、赤く潤んだ唇はとても瑞々しかった。

 とても一瞬前まで、巨大な口枷を加え込んでいた口とは思えない。

(この口で舐めてもらったらさぞ気持ちいいんだろうな……っとと、いけないいけない)

 まずはちゃんと信頼関係を築いてからだ。

 私は自分の思考を自重しつつ、頭部に取り付けられている最後の拘束具、目隠しに手をかけた。

「いまから目隠しを外しますから、目は瞑っていてくださいね」

 いきなり多量の光を見なくて済むよう、そう呼びかけつつ、私はゆっくりと目隠しを外していく。

 目隠しは想像以上に分厚かった。内側は眼球を圧迫しないような構造になっていて、彼女の視界を完全に奪いつつも、負荷をかけないようになっている。

 その目隠しを外すと、ようやく彼女の顔が完全に露わになった。

 彼女の顔を見て、私は思わず息を呑む。

 目は私の言いつけ通り閉じているが、それでもはっきりとわかる。

(おお……これは……写真映りが相当悪かったのか、それともヒトイヌ生活を続ける上で変わったのか……)

 あの写真から想像していたより、遥かに可愛らしい顔立ちだった。

(叔父さん……こんな子をヒトイヌとして長年可愛がってたのか……うらやまけしからん……でもありがとう)

 こんなにも素晴らしい存在を遺してくれたことに、感謝しかない。

 思わず彼女に見惚れていると、少し目が光に慣れたのか、彼女の瞼がぴくりと動き、開きかけた。

 さすがに新しいご主人様になるかもしれない私のことが気になるのだろう。

 予想していたよりは遥かにマシな状態だったといえ、目ヤニが溜まってはいるのか、かなり開けづらそうにしている。

「あ、待って。慌てないで。いま目の周りを拭いてあげますから」

 私は彼女にそう呼びかけつつ、急いでタオルを用意する。この部屋の中でお世話が完結できるようにか、洗面台があったので、その蛇口を捻ってぬるま湯を用意する。

 綺麗そうなタオルを適当に手に取り――肌触りからして、かなり高級なものだ――それを濡らして彼女の顔を優しく拭いてあげた。

 いまのいままで全頭マスクやら拘束具やらを被せられていたのだから、当然化粧も何もないすっぴんのはずだが、まるで薄く化粧をしているかと思うほど、彼女の肌は美しかった。

 その綺麗な肌の効果もあってか、ものすごく可愛く見える。

(……やばいな。ヒトイヌとして完璧すぎじゃないか? この子)

 叔父さんが手塩にかけて整えたのだから、ある意味当然かもしれないが、少なくとも見た目は抜群にいい。

 体のスタイルはまだはっきりとわからないが、露わになった首から上に関しては文句がない。

 アイドルとかモデルとかいうほどではないけれど、逆にそれくらいの方が親しみが湧くし、飽きが来ない面もあるだろう。

(これは、叔父さんの頼みを抜いて考えても……ぜひ欲しい存在だな……!)

 私は改めてそう感じた。

 この子に主人として認めてもらって、ヒトイヌとして飼いたい。欲望がふつふつと湧き上がってくる。

 そんな私の前で、彼女はゆっくりとその瞼を開いた。

 その目が私の方を見て、かすかに見開かれる。

 くりくりとした丸い瞳が私に焦点を合わせ、じっと見つめてくる。見定められているような、そんな気分になったが、それも一瞬のこと。

 私の姿を見た彼女は、改めて叔父さん以外の男性が目の前にいることを意識してしまったのか――その頬をわずかに紅潮させた。

 ヒトイヌという存在には、恥じらいもまた重要な要素だと思っている私に、その反応と仕草はあまりにもストライクだった。

(絶対に嫌われたくない……! 是が非でも、ご主人様として認めてもらわないと……!)

 私はそう固く誓ったのだった。


つづく

Comments

そうしたい時は逆の順番で読みますw

はやて

いつも脱がす方を詳細に書いてしまうんですが、装着する時のことを考えると、すごく滾りますよねぇ^w^

夜空さくら

実際、私自身書いて来たヒトイヌものはほとんどが言葉などは封じても五感全部を封じたりはしてませんからね……ーw-; たまにはこういうのもいいかなと思いまして!^w^

夜空さくら

メンテ終わって装着し直しの部分を想像して…(アカン

はやて

ヒトイヌの作品は少しずつ増えてきていますが五感を封じるタイプのものはほとんど見かけないのですごくありがたいです。 続きが待ち遠しいです。


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