スライムお嬢さま、会社ごと社畜OLをかう ~視察から終業~
Added 2019-02-09 12:59:11 +0000 UTC地獄のような極楽の搾乳タイムが終わり、すこしの休憩を挟んでから、私とスライムは再び社内の視察に出た。
午前中は四肢を切断されたヒトイヌスタイルで移動させられていたけど、午後はそれに比べれば普通のスタイルだ。
とはいえ、体は相変わらずスライムによる、ぴっちりスーツスタイルで覆われていたし、両手はまっすぐ伸ばしたまま、体の後ろで袋状の拘束具――アームバインダーだ――に包まれていて、体を弄る自由はなかった。
拘束されていなければ、敏感になった乳房や乳首に手を伸ばしてしまっていただろうから、動かせないようにするスライムの判断は間違っていない。
搾乳が出来るように乳房を作り替えてしまうあの薬は、即効性である代わりに一定量搾乳すると効果が抜けてしまうらしい。だからいまの私の乳房は慣れ親しんだ大きさに戻っているし、先端から母乳が噴き出すこともない。ちなみに、大きくなって皮が引き延ばされたことになるけど、薬が抜けると同時にその張りもきちんとほどよくなっていて、みっともないことにはなっていなかった。
だけど、感覚だけは鋭く研ぎ澄まされていた。
スライムの体によって薄く覆われ、かなり感覚は制限されているはずなのだけど、それでもなお空気が胸に当たるのがはっきりわかる。もしスライムに覆われていなかったら、それこそ歩いて空気に触れさせているだけでまともに動けなかったかもしれない。
思わず立ち止まってしまいそうになる私を、スライムは前へと促す。
「ふふふ。頑張ってくださいませ♡ マスター。もうすこしで目的の部署ですから」
スライムは現在、年若いお嬢さまが清楚な白いワンピースを身に付けた姿でいる。その手にはリードが握られていて、そのリードの先は当然のように私の首輪へと繋がっていた。
もう完全に、前世とは飼う側と飼われる側が逆転しているけど、私がそれに不満を抱くことはない。
実際、いまの私にとっては、スライムこそが飼う側であり、私が飼う側ではないからだ。彼女より優れているところが一つもない以上、私が彼女を主として認めるべきなんだということを理解している。
ただ、スライムがどう考えているのかはわからない。
いまだに私をマスターと呼んで慕ってくれてはいるみたいなのだけど、それにしてはやることなすこと、私をマスター・支配者側だと思っているとは思えないことばかりだ。
いまの犬にリードを着けて散歩するような状態も、とてもマスターとその従者というものではない。私がスライムをマスターと呼ぶのなら合っているけども。
(……まあ、いっか)
スライムのやりたいようにやってくれればそれでいい、とも思う。
異世界からこっちの世界にやってくるほど、私を求めてくれているのなら、私がそれに答えるには、私そのものを彼女にあげるしかない。
なにも持たない私は『私そのもの』しかあげられないのだから。
このときの私にはそこまではっきりわかっていなかったけれど、それはスライムにとって最良の答えだった。
スライムは『私』を――『マスターという存在』そのものを求めていたのだから。
余計なことを考えずにすべてを彼女に差し出した私の選択は、間違っていなかったのだ。
スライムに連れられ、リードを引かれて歩くことしばらく。
私たちは私が元々働いていた部署のあった部屋へとやって来た。
その部署では、一昨日まではやる必要があるのかないかもわからない会議の資料作成や、九割九分九厘が無駄になる勧誘電話をかけるという作業が行われていた。
それなのにやたらと仕事量だけ多く、毎日深夜まで作業しなければ終わらないデスマーチが行われていたものだった。
まあ、大抵の社員は面倒な仕事を一番下っ端の私に押し付けて、そこそこの時間で帰っていたけれど。
(いま考えると、私、それでよく我慢してたわね……)
スライムによって身体的精神的に回復した今だからこそ、おかしなことだと理解できるのだけど、昨日までの私はおかしいと思わなかった。
長時間残業も、仕事を押し付けられることも、当然のことだと思っていたから。
(死ななかったことと、人に仕事を押し付けなかったのだけは褒めてあげたいわ……)
社畜生活の中で、私が人に誇れることはたったのふたつ。
ひとつは自殺しなかったことと。
もうひとつは、いずれも短期間ではあったけど、自分より下の立場の新人がいた時に、彼ら彼女らに自分の仕事を押し付けなかったことだった。
ブラック企業に毒された異常な精神状態であっても、仕事の押しつけはおかしなことだと心のどこかで感じていたのかもしれない。
(ある意味、それは前世から変わらない、変われない性分なのかも知れないわね……)
前世での『俺』は、モンスターテイマーという職業であったけど、他の一般的なテイマーと比べ、モンスターを盾にしたり囮にしたりということをしなかった。そうした方が効率的だということは頭でわかっていても、どうしても出来なかった。
それが結果として、このスライムという存在が慕ってくれる結果になったのだから、魂に刻まれた私の誇るべき性分なのかもしれない。
そんなことをつれづれと考えていると、スライムが不意に立ち止まった。ぶつからないように、慌てて私も立ち止まる。
「到着、ですわ。マスターが昨日まで働いていた部署、ですね」
私が働いていた部署、なのは建物の位置的に間違いないのだけど、とてもそうは思えなかった。
その部署の様子が私の記憶にあるものと比べ、完全に様変わりしていたからだ。
「ングゥ! ンあうッ!」
「グギィッ! ンギッ!」
「アグググッ、ウウウッ」
まず、轢き潰された蛙のような、潰れた悲鳴が響き渡っている。
苦しげな声をあげているそれらは、いずれも年若い女性の声であったけれど、私がそのことを哀れに感じることはなかった。
この部署に女性は私ひとりしかいなかったはずで、つまりここにいる女性たちはスライムによって姿を変えられた元男性で――私を散々使い潰していた者たちだからだ。
その彼女たちは皆、元々それぞれの机があった場所にいる、ようだ。
外見が全く異なっているので、おそらくだけど。
スライムのやり方から察するに、いる場所は変えずにやっていることだけ変えているはずだ。
そしてそれは彼女たちにとって実に残酷なやり口になっているだろう。いまだに自分たちがされていることは、夢の中の出来事だと思っている者もいるかもしれない。
だが現実は無情に――彼女たちを責め続けていた。
彼女たちの机があった場所には、大きな金属製の箱のようなものが設置されていて、その箱の中に彼女たちは閉じ込められている。
箱の壁は一面が透明で中が覗けるようになっていて、例えるなら――標本箱、だろうか。
彼女たちは通路側、そこを歩く私たちに向け、それぞれの体勢で拘束されていた。
例えば一番手前側の人は、まっすぐ左右に伸ばした両手両足を、壁に埋め込まれ、固定されているような体勢だ。
ただ、まっすぐ伸ばしている手足がちゃんと存在しているにしては、隣の箱との感覚が近すぎるので、午前中の私がやられていたみたいに、四肢を途中から消されている可能性が高い。
それだけで抵抗なんて出来ないけど、そんな彼女の胴体には分厚い金属製のベルトがいくつも巻き付いていて、肉付きのいい彼女の体を無残に絞りだすように締め上げていた。ボンレスハム、という表現が的確かもしれない。
豪快に開かされた股は、下から機械の張り子が突きあげていて、激しい振動とピストン運動が繰り返されていた。秘部の穴と肛門の穴、そして尿道の穴までもが恐ろしい太さの張り子に蹂躙されている。
「ングッ、ンゴッ、んがッ!」
あまりにその突き上げは暴力的であり、体の奥から押し出されるように呻いている。
けれど、その苦しげな様子とは裏腹に、彼女の股間からは透明な愛液が迸るように溢れ出していた。おそらく何らかの薬が使われているのだろう。その愛液の量はあまりに多く、箱によって密閉されていることもあるのか、蒸発したりせずに箱の底に数センチほども溜まっていた。
昨日からずっと出し続けているのかもしれない。尋常じゃない量の愛液だった。
なお、その口には口枷が噛ませられ、チューブが繋がっているので、おそらくそれで水分や栄養は補給されているのだろう。彼女は機械が止まるまで、延々と愛液を生産する機械の一部にされているわけだ。
その隣の箱には、こちらに向けてお尻を突き出す格好で固定された人がいた。さらにその隣には、まんぐり返しの格好で、自分の出した愛液に頭の一部が浸かっている人がいた。
体勢や格好は違っても、やられていることは最初のひとりと同じで、ただひたすら股間を刺激され、大量の愛液を噴き出し続けている。
これは何の仕事になっているのだろうかとスライムを伺うと、スライムはにっこりといい笑顔で言った。
「これはですね、体位による感じ方の違いのデータを取っているのですわ。個人差もあるでしょうから、全員が一通りの体位の計測を終えるまで、仕事は終わりません」
なお、体位がばらばらなのは、全員を同じ体位で虐めるのは見た目の変化が乏しくて面白くないから、というなんとも手前勝手な理由だった。
(でもそんなデータ、どこで役に……あ)
思わずそう思いかけてから、スライムがいい笑顔をしている理由に気づいて固まる。
スライムの力を持ってすれば、常に傾き気味だったうちの会社の経営を立て直すことなんて容易いこと。つまり社員が出来る程度の、大抵の仕事は道楽の範疇なのだ。
そしてスライムがいい笑顔をする理由なんて、うぬぼれでなければ私絡みしかない。
つまり、そうやって取るデータをどこで活かすのかといえば――私との絡みだ。
(一番感じる体位っていうのを見つけ出して、私との絡みに活かす気なのね……なんというか、尽くしてくれるのは嬉しいけど……)
気持ち良くなりすぎるのも、また怖いことだった。
昼の搾乳だって、天国に昇ってしまうんじゃないかと思ったくらいだったのに。
これ以上気持ちよさを追求されたら、私の頭は苦しみではなく、快感でおかしくなってしまうのではないのだろうか。
(もしかして、その辺りも含めてのデータ取り、なのかな)
人間がおかしくなってしまわない程度の快感の与え方を調べているのかもしれない。
魔法が使えるスライムのことだから、発狂したりおかしくなってしまったりしても治せるような気もするけど、なるべくなら壊さない方がいいのは確かだろう。
その実験台としてこの人たちは使われているわけだ。際限なく快楽を与えられているわけだから、さそがし苦しいことになっていると想像に難くない。
とはいえ、死ぬことはないはずで、ひたすら気持ちよくさせられるわけだから、ある意味極楽かもしれない。
まあ、それをこの人たちが望んでいるわけではないのだろうけど――それは正直どうでも良かった。
(私には嫌なことでも、仕事をやり続けるのは会社の一員として誇りのあることだって言ってたんだから……ね)
この人たちにも会社の一員として、与えられた仕事に取り組んでもらうのが筋だろう。
苦痛ではなく、快楽を与えられる分、同じ望まない仕事でもずいぶん楽なはずだ。さっき地獄のような極楽の搾乳タイムがあったけど、それはそれこれはこれ。
こちらに顔を向けられる人の中には、何かを訴えかけるような目で私をみている人もいた気がするけど、私はそのまなざしに笑顔を返してあげた。
(うーん、スライムがいてくれてるおかげか、なんだか精神的に強くなれてる気がする……)
前までだったら、意味ありげな視線を向けられただけで、こっちが悪いような気分にさせられていたから。
いまは正常に戻っているだけかもしれないけど、スライムの威を借るマスターにならないように、気をつけないといけない。
モンスターテイマーの心得のひとつ。
『優れたモンスターの力を己自身の力と思ってはいけない』、だ。
スライムが私の首輪のリードを引き、さらに次の部署へと誘導する。
その部署は至って普通の見た目だった。
従業員が女性ばかりであるということを覗けば、普通の一般的な企業のオフィスと何ら変わりない。彼女たちが着ている服も、一般的なビジネススーツで、ひとりぴっちりと体のラインが浮き出るスーツを着ている自分が明らかに浮いていた。
それは自分の格好に慣れつつあった私にとって、改めて恥ずかしいと感じさせるのに十分な状況だった。羞恥を誤魔化すために、思考を切り替える。
(そ、そういえば、元々のこっちの部署ってどんな部署だっけ……?)
変わる前だと、この部署と私の所属する部署との交流はほとんどなかった。
たまの飲み会で一緒になるくらいで、普段の業務ではほとんど接触がない部署だ。
そんな部署だから、元の部署との違いがほとんどわからない。そんな私の気持ちがわかったのか、スライムが説明してくれた。
「この部署はいままでの部署と違って、わたくしが新たに雇った者達が勤めていますの」
「や、雇ったって……昨日の今日で、この人数を?」
十数人はいるような気がするのだけど。
そう思っていると、スライムは正確に伝わっていないと悟ったのか、説明を重ねる。
「正確には、こちらの世界に来て、マスターを見つけ出す過程で雇った者達、ですわね。いわばわたくしの協力者たちですわ。わたくしがスライムであることを理解し、マスターを見つけ出すという目的を知って、その上で協力してくれている者達です」
そう言われてよく見ると、日本人だけじゃなく、外国人も混じっているようだ。スライムは私を探して世界中を旅していたらしい。
普通に働いていた彼女たちは、ふと、スライムが来ていることに気づくと、洗脳されている者とは違う、心からの笑顔で近づいてきた。
「こんにちは! スライム様! 今日も可愛らしいお姿で!」
「相変わらず麗しい……たべちゃいたい……」
「ここのオフィスは前の紛争地域と違って清潔でいいよー。適当に座席とか決めちゃったけど、良かった?」
「やたらと高そうな備品ばっかり揃ってるんだけどね? 質素倹約という言葉がありましてね? うん。引き締めるべきところはちゃんと引き締めていただきたいね?」
和気藹々とスライムに接する彼女たちは、スライムのことをちゃんと仲間と認識している様子だった。なんか一部不穏な内容が混ざっていた気もするけど。
スライムもまんざらじゃなさそうに対応している。
(なんだ……私しか見ていないのかと思ったら、普通にちゃんと交友関係は作れるんだ)
マスターとしては嬉しいような、ちょっと寂しいような、唯一の立場が揺らぎそうで怖いというか。
そんな風に悶々としていると、リードが引かれて意識を現実に引き戻された。
スライムは全てわかっているとでも言いたげな微笑みで私を観ている。そのスライムの動きや視線に釣られたのか、集まってきていた社員たちが私の方に注目していた。
その視線が顔だけじゃなく、体の方にも向いていて、人によっては顔を真っ赤にしているところを見て、私は自分の格好が破廉恥なものであることに気づかされた。
(い、いままでスルーされてたから……そういう反応されると……!)
スライムの影に隠れたくなる私を、スライムはむしろ前に押し出すようにして、皆の前に立たせた。
「皆には昨日の段階で伝えてありましたが……ついにわたくしはマスターと再会することができましたわ! マスターとも仲良くしてくださいませ」
「ど、どうも……」
普通の仲間に紹介するなら、もっとまともな格好で紹介して欲しかった。
何の羞恥プレイだろう、これは。
そんな私の気持ちを汲んでくれたのか、女性達のうちのひとりが苦笑いと共に声をかけてくれた。
「ええと、スライムさんのマスターさん? 恥ずかしがらなくても大丈夫です。スライムさんがそういうのが好きなのは私たちもよくわかっているので……」
「わ、わかってるの?」
それはつまり、スライムによるラバースーツプレイを彼女たちも経験しているということだろうか。
その私の考えはある意味正しかった。
「ええ……まあ……実はいまもスライムさんの一部に覆われてますし」
そういって、彼女はタイトスカートをまくり上げ――ラバーパンツのようなもので股間が覆われているのを見せてくれた。そのラバーパンツがスライムだということを示すように、そのパンツが蠢く。
「元々は、無闇にわたくしのことを広めないための、いわば枷のつもりだったのですけどね。どうもわたくしの弄り方が悪かったのか、それともそういう素養がある子ばかりだったのか、信を置くようになった今でも、外して欲しいという子がいないのですわ」
スライムはそう呆れたように呟くけど、無理もないとは思う。
それだけスライムの愛撫は気持ちがいいし、くせになってしまうのもわかる。
「まあ、とにかく。これからも皆さんには働いてもらいますので、よろしくお願いしますわね」
スライムがそう声をかけると、女性たちは思い思いに頷いていた。
そうやって受け入れられているところを見ると、案外スライムもこの世界で上手くやっているのかもしれない。
そんな風な存在になってくれていることに、マスターとして安堵していた。
その後も、生まれ変わった会社の様子を視察していって――終業時間を迎えた。
つづく