地下室へと続く長い階段を、ひとりの男がゆっくりと降りていく。
男の足音が反響しては壁に吸い込まれるように消えていっていた。
地下はじめじめとして薄暗く、壁にかけられた蝋燭の光が朧気に男の足下を照らしていた。
階段こそ狭いものだったが、階段を降りきると、そこにはかなりの空間が広がっていた。
階段を降りた先には細長い廊下があり、廊下の左右にはいくつかの部屋に繋がる扉があった。
男は部屋の大半を素通りし、最奥の部屋の扉の前に立つ。
その場に立ったまま、息を吸って吐いて、気を落ち着けるような仕草を見せた後、扉のノブに手をかけ、ゆっくりと扉を開いた。
扉は分厚い金属製のもので、大きく耳障りな音を立てながら開いていく。
薄暗く湿った地下室に、白い一輪の花が咲いている――
と、錯覚するほど、地下室に不釣り合いな存在が床に座り込み、蹲っていた。
それはとても、とても美しい人間の女性だった。
誰もが思わず見惚れるほど、整った相貌。
艶やかな黒髪はこの国の王族の証である。
質素ながらも、凝った装飾が施された白いドレス。いかにも貴婦人が身に付けるものだ。
ドレスに包まれた身体は若干痩せ気味ではあったが、女性らしい膨らみはきちんとあり、肌の張りや艶といい、性的な魅力にも満ちていた。
その表情は気丈に振る舞おうとしているものの、それを超える恐れに震えているのが明らかな様子だ。
明らかに高貴な身分の女性。
少なくとも薄暗い地下室に閉じ込められているような存在ではない。
だが、彼女は現実としてそこにいた。
男は部屋の中に入り、ゆっくりと扉を閉める。扉は再び大きな音を立てて閉まり、女性はびくりと肩を震わせた。
男はゆっくりと女性へと歩み寄る。女性は思わず身体を引いて逃げようとしたようだが、その身体は座り込んだ場所から動かなかった。
それは彼女の身体の自由が、奪われた状態であったためだ。
彼女の足首と手首には、大の男でも持ち上げるのに苦労しそうな、鉄の枷が嵌められていたのだ。
鎖などでどこかに繋がれているわけではなかったが、その重みだけで彼女は身体をほとんど動かせない。脚は地面にへたり込んだ状態のまま、両手も手首を地面につけた状態で動かせないようだ。
ほとんど土下座しているような、地面に這いつくばるような惨めな体勢だった。
それでも、高貴な者の矜持なのか、部屋に入ってきた男を真正面から厳しい表情で睨みつけていた。
「……どちら様ですか?」
涼やかな声で男に問いかける。男はそれに対し、応えなかった。
「ムトゥ王国のシェラ姫、で間違いないな?」
くぐもった声で男は問いかける。それは男が仮面を身に付けているためだった。仮面は極力個性を消した造りをしたもので、全く個人の判別が出来ないようになっている。
質問に質問で返される形になった女性――シェラ姫は、自分の現在の立場を理解しているのか、素直に男の質問に応える。
「確かに私はシェラ・ムトゥですが……だとしたら、どうだというのですか?」
「ふむ……なるほど、自分の立場を少しは自覚出来ているようだ。だが、自分が置かれている状況は、理解しているか?」
「…………」
男の言葉に、シェラ姫は悲しげに目を伏せる。
その様子から本人も状況を理解していると感じた男だが、あえて口に出して状況を説明する。確実に状況を理解させるためだ。
「数日前、革命軍がムトゥ王国各地で蜂起した。軍部のほとんどが革命軍に寝返ったために、結果的に流血の量が少なかったのは幸いだな……それだけ、お前達王族に対する不満が溜まっていたというわけだ」
ムトゥ王国では、数年前から王と王妃が争い、国が荒れに荒れていた。
元々は善き王と王妃であったが、ほんのささやかなすれ違いから仲違いし、国を巻きこんでの争いに発展してしまったのだ。
王と王妃の一人娘であったシェラ姫は二人を止めようとしたが、結果としてどうすることもできなかった。
私財を擲ち、心を砕いて国民を助けようとしたのは事実だったが、彼女ひとりの力ではどうしようもなく、数多の国民が国の混乱の犠牲となった。
最終的には怒りを募らせた国民たちが革命を起こし、ムトゥ王国の王政は崩壊した。
悪政を働いた王族たちへの怒りは大きく、王と王妃はすでに公開処刑されている。
「始めに教えておこう。王と王妃は昨日、王城の広場で斬首された」
男の淡々とした言葉に、シェラ姫は大きく目を見開く。その眦に涙を浮かべつつも、しかしどこか仕方ないことだと諦めている気配もあった。
「……思ったより、衝撃は少ないようだな?」
「革命が起きた時に、覚悟はしていましたから。どうあれ、多くの民を死に追いやったのは事実です。その結果です、から……」
そう王族としての判断を下しながらも、シェラ姫の声は震えていた。国民にとっては憎き対象でも、彼女にとってはかけがえのない両親であるのだから、無理はない。
いかに暴走していたとしても、彼女にとっては無二の両親なのだから。
「悔いがあるとすれば……もっと早くに止めてあげられなかったことです。私の力不足こそ、憎い」
「……確かにな。お前が強引にでも実権を握っていれば、結末は違ったかもしれん」
男はそう言いつつも、それは不可能に近いことだっただろうと思っていた。
比較的差別や偏見がなく、住みやすいとされているムトゥ王国だが、男性優位の制度が多いことが問題のひとつにあげられている。
それは王族の継承権にも影響しており、基本的には女性が王位を継ぐことは出来ない。
シェラ姫は唯一の血族であるため、高い教養とそれなりの実権を有してはいたが、もし王子が生まれていれば、彼女は日陰の存在となっていたであろうし、伴侶が決まればその者がすべての実権を握ることになっていただろう。
彼女は王女ではあったが、その実態としては決して良い立場とは言えなかった。
「結末がこうなってしまった以上、もうどうしようもないことだ」
「覚悟は、出来ています。私の処刑の日取りが決まったのですか?」
囚われの身である以上、彼女は最後の意地として、潔く死のうと心に決めていたようだ。
暴走したのが両親であったにせよ、自分がそれをどうにかしようと奔走したにせよ、結果としてたくさんの命が失われるのを止められなかったのは事実。
その罪を負う覚悟が彼女にはあった。
仮面の男は少し沈黙した後、口を開く。
「お前は潔く死ぬ気でいるが――覚えておくといい。この世には死ぬことより辛いことがいくらでもあって、そして、秘密裏にお前の『処理』を依頼した者達は、お前にそれを味わってもらいたいそうだ」
男がゆっくりとシェラ姫に近づく。シェラ姫は思わず身体を引きそうになったが、重い手枷によって、その場に繋ぎ止められた。
シェラ姫の目の前に男が立つ。
「まず、俺の職業を教えておこう。俺は――奴隷商人だ」
その名乗りを聞いたシェラ姫の体がびくりと震える。
この国では奴隷という存在が公的に認められている。扱いは主人となる者の扱い方によって様々だが、基本的には人を人とも扱わないものであり、特にシェラ姫のような高貴な身分の女性が奴隷身分に落とされることは、最大の恐怖であった。
「それもただ右から左に奴隷を売買する商人ではなく、仕入れた商品を一から調教するのが俺の仕事でな」
シェラ姫の傍に跪いた男が、シエラ姫の顎に手を当て、無理矢理顔を上げさせる。
恐怖によってか、涙に潤んだシェラ姫の目に、男の仮面をした顔が映っていた。
「お前も、主人に奉仕することだけが悦びに感じるような、雌犬の肉便器に調教してやる」
そして男は顎を掴んでいた手を離し――シェラ姫が着ていたドレスの胸元を掴み、破り捨てた。
年齢相応に育ったシェラ姫の胸部が、召使い以外に見せたことのない下着姿が、男の目に晒される。
青ざめていたシェラ姫の顔は一瞬で朱に染まり、体を丸めて体を隠そうとする。
「いやあっ! やめてっ、やめてください!」
悲鳴を上げて震えるシェラ姫。
男はそんな彼女に構わず、無言で立ち上がると、天井から垂れ下がっていた鎖を手に取り、それをシェラ姫の手枷に繋ぐ。
顔だけをあげたシエラ姫は、何をしようとしているのかわからないのか、不安げな表情でそれを見ていた。
「な、何を……? お、お願いです。報いは受けますから、せめて、一思いに……っ」
「悪いが、それはできんな。これが俺の仕事だ」
淡々とシェラ姫の懇願を切り捨てた男は、壁の装置を起動させる。
すると姫の手枷に繋げられた鎖が、ゆっくりと天井に向かって引き揚げられていく。それが何を目的としたものか、察した姫は青ざめては赤くなり、複雑な顔色になっていた。
滑車によって引き揚げられた鎖は、その先に繋がっているシェラ姫の手枷を天井に向けて引っ張り上げていく。姫は渾身の力を込めて抵抗しようとしたが、機械の力に敵うわけがなく、無情にも天井に向けて手を引っ張られていった。
「い、いやっ、みないでっ」
シェラ姫の体が伸びきり、「人」の字のような形に強制的にさせられる。
当然、破られたドレスから覗く下着を腕で隠すことなど出来ず、視線に晒された姫は羞恥に身を捩った。眦から零れた涙が、地下室の乾いた地面をわずかに濡らす。
「下着を見られた程度で、泣きわめいていてはもたんぞ?」
男は平静な口調で告げると、腰の後ろからナイフを取り出した。シェラ姫の体がびくりと震える。
「動くなよ。傷物にするわけにはいかんからな」
言いつつも、男は万が一にも姫が予想外の動きをしないように注意しながら、ナイフを振るった。よく研がれたナイフは瞬く間にシェラ姫のドレスを引き裂き、彼女を下着姿へと変える。
「ぅ……ぅう……」
これまで経験したことのないであろう、あまりの羞恥にか、シェラ姫の瞳から大粒の涙が零れた。
男は続けて下着も剥ぎ取ろうとしていたが、そのナイフの切っ先が鈍る。
「……やれやれ。これだから高貴な人間という奴は……まあいい。自分の立場を自覚する時間は与えようと思っていたしな」
男はナイフを仕舞い、代わりになにやら不可思議な形をした口枷を取り出した。
シェラ姫が何かを言う前に、その口に球形の部分を押し込む。
「むぐっ、あぅっ」
「これはボールギャグ、という道具だ。言葉を奪う道具だが、それが本筋じゃない。口枷をしてようがしてまいが、この地下室の音はどこにも漏れないしな」
男は手慣れた様子でシェラ姫の後頭部に口枷のベルトを回し、噛ませたボールが吐き出せないように固定する。
シェラ姫が口の端に食い込むベルトの傷みに呻きをあげる。
その口から、どろりと涎が垂れ落ちた。
垂れ落ちた涎は彼女の胸元に吸い込まれていき、その冷たい感触に彼女の肩が跳ねる。
「んぐっ! んあっ、ぷぁ」
咄嗟に顔を上に向け、涎が零れないようにするシェラ姫。
だが口枷が緩むことはなく、湿った呼気が吐き出されるだけだった。
「よし、ひとまずこれで……と」
男は白い布を取り出すと、シェラ姫の目を覆うように巻き付けた。眼球を圧迫しないように、しかし頭を振った程度では外れないような力加減で目隠しをする。
「んっ……ふー……ふー……ふー」
体の自由を奪われ、視界も奪われ、何も出来ない無力な状態にされたシェラ姫は、荒い呼吸を繰り返す。
男は少し離れた位置から、じっとそんなシェラ姫の姿を見つめた。体に視線が向けられているのを感じたのか、シェラ姫が体を捩って呻く。
その様は扇情的なもので、思わず男はシェラ姫の体に手を伸ばしかけた。それを、意思の力で抑え付け、ひとつ息を吐く。
「自分の立場を自覚する時間をくれてやる。数時間後、本格的な調教を開始するからな。覚悟しておくことだ。決してお前は逃げられないし、逃げたところでお前を助けてくれる者はもういない」
男はゆっくりとそう告げると、踵を返して地下室を出て行く。
あとには下着姿に剥かれ、吊されたシェラ姫が残される。
彼女の地獄は、まだ始まったばかりだった。
地下室に繋がる階段を駆け上がり、男は地上へと到達すると、大急ぎで地下室に繋がる扉を閉め、誰にも見つからないように隠した。本棚が扉の上を覆い、そこに地下室があると知らない者には決して見つからないだろう。
男は仮面を外すと、深々と溜息を吐き、部屋を移動する。
彼の自室であろう部屋に移動すると、それなりに質のいいベッドの上にダイブしてのたうち回った。
そして、血反吐を吐くかのような、悲痛な声を振り絞る。
「可愛すぎるだろ、シェラ姫……!」
声音と内容が一致しないことを全身全霊で呟いた男。
そんな男の後頭部を、容赦なく拳で叩く者がいた。
先ほどとは違う理由で悶絶する男に、その者は冷ややかな声をかける。
「自重してくださいませんか、マスター……いえ、リルド様。新入りのペットが怯えております」
その者はメイド、のような存在だった。いかにもなメイド服を身につけているものの、その態度はメイドらしかぬほど大きく、マスターと呼んだ男を主人として認めているのかどうかも怪しい。
そんなメイドに対し、しばらく悶絶していたマスター・リルドは抗議する。
「いや、あのなインディー。お前はわかってない。姫様の可愛さの暴力を。あんな小動物みたいな目で見つめられてみろ! 思わず抱きしめたくなるから!」
「だったら抱きしめて差し上げればよかったではないですか」
冷たくいうインディーに対し、リルドは叫ぶ。
「そんなことしたら、俺が本当は姫様を助けたいんだってことがバレちゃうだろ!!」
リルドは事実、奴隷商人である。
だが、シェラ姫を調教する意図は、彼女を奴隷に堕とすのではなく、助けたいというものだった。
革命が成ってしまったいま、シェラ姫がもし見つかれば、処刑は免れない。
王と王妃が争っている最中にシェラ姫が民のために奔走していたのは事実で、彼女に対して同情的な民がいないわけではなかったが、大多数が王族への恨みに燃えている今、殺される可能性の方が遙かに高かった。
ゆえに、シェラ姫を助けたいリルドは、シェラ姫を奴隷として偽装することで、国外に脱出させようとしていたのだ。
インディーはそれを知っているが、どうにも迂遠な計画である気がしてならないらしく、不満げだった。
「助ければ良いではないですか。わざわざ奴隷に偽装しなくとも、秘密裏に脱出させる方法ならいくらでもあるでしょう?」
「ダメだ。確実を期さないと。あの糞爺が目を光らせてやがるからな……普通の手段は全て潰されていると見るべきだ」
リルドは忌々しげに呟く。
普通ならば荷物に隠して国外に脱出させるなど、もっと穏便な方法はいくらでもあるのだが、シェラ姫を捕まえようとしている者が国の上層部にいるのが問題だった。
その相手はかつて王の下で国政を担っていたもので、革命の旗頭になった者だ。
実質その男の企てたクーデターということになるのだが、上手く王族への不満を隠れ蓑にし、民のためと称しながらも王よりも実権を握ることに成功している。
リルドから見ても、有能な敵なのが問題だった。
「あの糞爺は確実に王族を根絶やしにしないと気が済まないだろう。特に姫様には同情する人間も多かった。時が経って、民が冷静になった時、シェラ姫が生きていたら革命をやり返されるとでも考えるだろうな」
「それで、奴隷に偽装ですか?」
「ああ。あの爺は、まさか王族が奴隷、それも実質最下層を意味する性奴隷に身を堕としてまで国外に逃げだそうとは考えないはずだ。実際、もし全ての意図を説明して、シェラ姫に協力を願ったところで、そんな偽装をするくらいなら死んだ方がマシと言われるだろう」
「死なせて差し上げればよろしいのでは? その方が幸せかもしれませんよ?」
「インディー。『俺が』彼女に死んで欲しくないんだよ。エゴなのは重々承知してるけどな。彼女にはちゃんと真っ当に生きて欲しいんだ」
散々話しただろ、とリルドは言う。
インディーはそれを承知の上で、やはり納得がいかないのか、首を横に振った。
「……でしたら、マスターが無理をなさらなくとも、私が調教いたしますが?」
「いや、お前に任せたら姫様の性癖が歪みまくるだろうが! 偽装として性奴隷扱いはするけど、ガチで肉便器になられるのは嫌なんだよ!」
「そんなことありませんわ。ちょっと新しい扉が開ける程度です」
しれっというインディーに、リルドは呆れる。
「それが問題なんだろうが……命あっての物種とはいえ、マジで姫様を性奴隷にしたいわけじゃないんだよ俺は……」
「マスターの精液や体の垢、果ては排泄物すら喜んで口にするマゾに仕上げられますよ?」
「お前に任せるとマジでそうなるからダメなんだよ! ……そいつだって、王族とは言わないでも、元は結構いいところのお嬢さんだったんだぞ?」
そういってリルドが指し示したのは、インディーの足下にいる『モノ』だった。
それは元は人間の少女であった。極一般的な上流階級の家に生まれ、極普通にお嬢さまとして育てられた。
プライドが高く、庶民を見下す言動が目立つ典型的な、ダメな貴族だった。
しかし家が没落し、彼女自身が売りに出された時、買い取ったのがリルドたちだ。リルドはある程度奴隷としての自覚を教え、奴隷として生きていける程度に仕上げるつもりだったが、インディーが彼女を気に入ってしまったのが彼女にとっては運の尽きだった。
インディーは彼女を肉体的精神的に徹底的に調教し、そして結果として自分のペットとして飼うことにしてしまった。
現在元貴族の彼女は、常に四つん這いで歩き、裸でいることに何の疑問も抱かず、お尻の穴には犬の尻尾を模した飾りを突き入れ、半開きにした口から舌を垂らして涎を零しながら、インディーの足下で大きく股を開いた犬の『おすわり』の体勢でじっとしていた。
貴族の時に見せていた気位など欠片もなく、ただ主人たるインディーの顔を期待する目で見上げている。インディーがその視線に反応し、軽く爪先で彼女の股間をさすってやると、彼女は気持ちよさそうに嬌声を上げて体を捩った。
「きゅぅんッ♡」
目が蕩けて歪んでいる。知性は欠片も感じられないが、幸せそうではあった。
「ほら、この子もこんなに幸せそうではありませんか」
「……そういう幸せも否定はしないけど、シェラ姫には普通に幸せになって欲しいんだよ」
リルドはそこは譲れない、とばかりに繰り返す。
インディーはやれやれ、と深く溜息を吐いた。
「マスターが初恋を捩らせて面倒くさいのはよく知っていますから、もういいませんけど」
無論、リルドの初恋というのは、シェラ姫である。
「インディー、お前ほんとに容赦ないよな……有能だからいいけどさ。俺が姫様をほどよく、壊れないように調教するから、その間表の仕事は頼んだ」
「はいはい。せいぜい楽しませてもらいますよ。でも、早くしないとここも見つかりますからね。やるにしても急いでくださいよ」
そう忠告するインディ-。リルドもそれは理解しているのか、深く頷いた。
「ああ、わかってる。シェラ姫のためにも……短期間で確実に、決してシェラ姫であることがバレないよう、徹底的に調教してやるさ」
処刑を回避するために。
「姫様を人間の王族から――ヒトイヌの肉便器に堕としてやる。……あくまで、一時的にな」
つづく