とうとう、着ていた服を全て剥ぎ取られ、奴隷商人たるリルドを「ご主人様」と呼んだシェラ姫。
王族としての威厳も尊厳も、そのすべてを奪われた彼女は、もはや姫と呼べる存在ではなく、ただのシェラという若い女となった。
そんな彼女を、リルドはこれから「ただの女」ではなく、「性奴隷の女」へと変えていかなければならない。
主人が望めば、いつでもどこでも従順に股を開く「雌犬のルル」になるように。
それでいて心はシェラのまま、壊してはならない。
いずれ性奴隷から解放した後、庶民として心穏やかに暮らせるように、だ。
女性を性奴隷に落とすだけならリルドの得意分野だが、いずれ庶民に戻すことを前提とした調教は、彼にも初めての試みだった。
それでも、彼はそれをやりきるつもりでいる。
(必ず、貴女を救って見せる)
例え自分が彼女に恨まれようと、彼はそれをすると決めたのだから。
リルドは調教部屋の棚の中から次なる責め具を取り出す。
それは、不思議な材質の服だった。わざわざ遠い異国から取り寄せた衣服だ。
外見からして、普通の衣服とは一線を画している。
表面がテカテカと怪しく黒く光っている様子は明らかに普通の布ではない。厳選された素材で出来ており、肌触りが悪いわけではないが、普通の服しか着たことのない者にとっては異質すぎて理解不可能な感触になるだろう。
それは、ラバースーツと呼ばれる衣服だった。
ラバーという不思議な材質で出来ており、全身を薄く覆って第二の皮膚のようになる。身に付けた者の体のフォルムを強調し、妖艶な雰囲気を醸し出す衣装のひとつだ。
踊り子のそれと違い、露出する部分はむしろ減るのだが。
(商人が言うには、本来は傷だらけの体を隠すために使われるそうだけど……)
『第二の皮膚』という表現は、リルドがラバースーツを仕入れた先の商人が好んで使用していた。
例えば長年の奴隷生活などの過酷な環境で生きてきた女が、権力者によって見初められ、閨に連れて行かれる際。
傷だらけでみすぼらしい体を隠すために身に付けるのだとか。
そういった用途から考えると、シェラ姫のように元々の体が磨き抜かれた者には無用なものかもしれない。
(だが、今回の場合にはラバースーツが好都合だ……彼女がシェラ姫だと知られるわけにはいかないからな)
ただ顔や体を隠しただけでは、勘の鋭い監視に気付かれる可能性がある。
他にも策は講じるつもりだったが、いかに不自然ではない形で、かつ虚を突く形で姿を隠せるかを模索した結果、リルドがたどり着いたのがラバースーツという衣装だった。
リルドにとって、ラバースーツはいわばシェラ姫用の、いわば変装用具のひとつという位置づけだった。
だから、彼自身想像もしていなかった。
シェラ姫という、元々素晴らしい体型を有する女性が――
ラバースーツを身につけた時の姿が、いかに淫靡なものなのかということを。
リルドはラバースーツをいったん机の上に置き、シェラ姫を拘束する枷の鍵を持って彼女に近づいた。
上半身裸になったシェラ姫は、乳房に浸透しつつあった痒みを生み出す薬が抜けるまで、その身体を小刻みに振るわせて耐えている。その際、下着などの支えを失った乳房がふるふると震えており、思わずリルドの目を釘付けにしていた。
(すごい、よなぁ……っと、ダメだダメだ)
頭を振って煩悩を追い出したリルドは、シェラ姫の背後に回って、彼女の腕を拘束していた枷の接続を一端外し、シェラ姫が動く前に腕を頭上に向けて伸ばさせ、再び枷同士を連結した。そして、鎖で彼女の身体を吊すように、テンションをかける。
彼女は両腕をまっすぐ上に伸ばした状態で、つま先立ちでギリギリ脚が地面に着く状態にさせられる。
「少しだけ我慢しろ」
「っ、はい……」
従順になっているシェラ姫は、リルドの命令に大人しく従っていた。
両腕をあげて吊されているため、シェラ姫の白い脇が晒されている。元々毛が薄い方なのか、あるいは定期的に整えているのか、シェラ姫の脇には毛が生えておらず、滑らかな脇がリルドの目にさらされている。
好奇心を抑えられなかったリルドは、その場所の感触を確かめるべく、手を伸ばした。指がそこに触れた瞬間、シェラ姫は大層驚き、悲鳴をあげる。
「ひゃあ! さ、触らないで!」
その過敏な反応に、リルドはシェラ姫の弱点を見た。
「ふむ……ルルは脇が弱いのか。なるほど、なるほど……」
いい具合に調教に使えるかもしれない、とリルドは考える。シェラ姫は顔を赤くし、俯いていた。
「まあ、いまはいい。それよりも、暴れるなよ」
ギリギリつま先立ちで立てるような状態のシェラ姫が暴れられるとは思わなかったが、念のためリルドはそう警告し、シェラ姫の脚の枷を取り外す。久方ぶりに脚が自由になったシェラ姫は、戸惑いつつも安堵の息を吐いていた。
「いまからルルのために、特別に用意した服を着せてやるからな。……その前に、準備がいるが」
「じゅ、準備……?」
服を着るのに準備とはどういうことなのか、シェラ姫が戸惑うのが伝わってきたが、リルドはそれには答えず、バケツとそれになみなみ注がれた液体、そして布を用意する。
「まずは身体を拭いてやる。繰り返すが、暴れるなよ。暴れたら相応の罰を覚悟しておけ」
脅しつけておき、リルドはそのバケツに入った液体に布を浸し、そして、片手でシェラ姫の足を掴む。
そして、十分に液体を吸った布を彼女の身体に押し当てた。
「ひゃあああああッ!? な、なに、なんですかこれぇッ!」
シェラ姫が悲鳴をあげて身悶える。その理由は、リルドが押し当てた布に染みこんだ液体にあった。
ある意味想像通りの反応に、リルドは思わずにやりと笑ってしまう。
「こいつはな、ローションという液体だ。潤滑油の一種でな……滑りをよくするためのものだな」
言いつつ、リルドはシェラ姫の足をローション塗れにしていった。経験したことのない感触に、シェラ姫は悲鳴をあげて暴れるが、両腕を吊られ、リルドに足を押さえられている状態では、上手く逃れることはできない。
リルドはそんなシェラ姫の反応を少し楽しみつつ、ローションをシェラ姫の身体に塗りたくって、馴染ませていった。
元よりシェラ姫の肌は張りも艶も色もよく、眩しいほどだったが、ローションによってさらにテカりとヌメリが加わり、より魅力的な姿へと変わっていた。
足から尻、腰から腹、背中に胸、痒みが収まりつつあった乳房にも、リルドの手は及ぶ。
布越しとはいえ、男の手に身体をまさぐられるという体験などしたことのないシェラ姫は、羞恥と屈辱に身を震わせていた。
最後に吊り上げた腕もしっかりと磨いたリルドは、ローションのバケツと布を置き、ラバースーツを手に取る。
「準備完了だ。かなり特殊な服だからな……最初は慣れないかもしれないが、すぐに慣れるから心配するな」
「う、うぅ……」
呻くシェラ姫のことを無視して、リルドは彼女にラバースーツを着せて行く。
ラバースーツは全身一体型のもので、首から下の身体をほぼ完全に覆ってしまうタイプのものだ。
背中側のジッパーを開き、昆虫のサナギが羽化するのとは逆に、その背中の隙間からまずはシェラ姫の片脚を差し込ませる。ラバー特有の耳障りな音を立てつつ、ローションによって滑りの良くなったシェラ姫の足がスーツの中に吸い込まれていった。
目隠しをされているシェラ姫には、自分の身体を覆いつつあるそれが何なのか、想像することしかできないが、彼女の知るどんな服とも違う感触に、恐れおののくことしか出来なかった。
「な、なんですか……なんなんですか、これぇ……ッ!」
もう王族としての体裁など取り繕うことなど出来ず、涙声で悲鳴混じりの声を上げるシェラ姫。リルドはあえて何も答えず、きっちりとスーツを彼女の身体に馴染ませていった。
足先がスーツの足の部分の先端に来たら、もう片方の足もスーツに通させる。
両足の爪先が先端に達したら、緩みが出来ないように手で扱き上げるようにしながら、シワを伸ばしながらぴっちりと着せていく。
暴れるなと言ったリルドの命令に従って、シェラ姫は身体を動かせずにいたため、比較的着せやすかった。
黒いラバースーツが彼女の足をぴっちりと覆い、脚線美が強調された性的魅力に溢れた姿になっている。
想像以上の出来映えに、リルドは密かに生唾を飲み込んだ。
(足だけでこれか……全身覆ったら、どんな感じになるんだ……?)
このとき、リルドはシェラ姫のことを一瞬忘れるほど、ラバースーツの魅力に取り憑かれていた。どんな姿が完成するか見てみたい。その好奇心だけでさらにラバースーツの着付けを進めていく。
現在、シェラ姫の股間には、腰に巻かれたベルトに接続する形で貞操帯が装着されている。その貞操帯は彼女の身体に極力張り付いているものの、ラバースーツを上から着せるとその部分が盛り上がって不格好になってしまう。
ラバースーツの股間には背中の物とは別にジッパーがついており、ラバースーツを着たままでも股間を弄れるようにはなっていたが、貞操帯が露出するほどではない。
リルドはラバースーツの見た目を重視し、一端その貞操帯を外してしまうことにした。本当はここぞという時だけに外す予定だったのだが、ラバースーツの魔力に魅せられたリルドは、完璧なラバースーツの着用を重視した。
幸い、シェラ姫本人は足を包むラバースーツの得体のしれない感覚を受けとめるのに精一杯であり、貞操帯が外されたことに気付かなかった。
リルドは外した貞操帯を一端脇に放り、シェラ姫の腰までラバースーツを引き揚げる。ぴちぴちと音を立てながらラバースーツはシェラ姫の丸みを帯びた臀部を覆い、その張りと形をさらに何倍にも引き立てる。
下腹部の曲線にもラバースーツはきっちり沿って、シェラ姫の下半身はすっかりラバーに覆われた。
リルドは身悶えるシェラ姫の足首に足かせを取りつけ直す。足枷から伸びる鎖は地面に深く突き刺さった杭に接続し、万が一の逃走を防止した。
そして、吊り下げていた手を下ろさせ、手枷を外し、腕をラバースーツに通させた。
「なにを、いったい、どんなおかしな服を着せているのですか……!」
不安ゆえにか、シェラ姫がリルドに強い口調で抗議する。そんなシェラ姫の抗議も、いまのリルドには全く届かなかった。
「ちゃんと着られたら、見せてやる。いいから、さっさと腕を伸ばせ。手袋を嵌めるみたいなもんだ」
リルドの命令に、シェラ姫は恐る恐る腕を伸ばし、リルドの手助けも受けつつ、腕をラバースーツに通していった。両腕を肩までラバースーツに通すと、自然とラバースーツの前面がシェラ姫の身体の前面にひっついて、シェラ姫が悲鳴をあげる。
「なん……なんなんですか、これは……!」
「黙れ。ここからが重要なんだ」
リルドは慎重にラバースーツの背中のジッパーを引きあげていく。
それと連動してシェラ姫の身体の前面に、ラバースーツが張り付き、彼女の身体をその伸縮度に従って締め付けていった。
コルセットなどであれば身に付けた経験のある彼女だったが、ラバースーツの感触は当然未知のもので、身を捩って異様な感触に耐えるしかない。
(……む……このままだと、胸の位置がおかしくなるか)
きっちり計って作られたラバースーツだからこそ、少しのズレが致命的な歪みを生んでしまう。
それを感じたリルドは、背中の隙間からシェラ姫の脇を通して腕を差し込み、背後から乳房を鷲掴みにして位置を調整する。
いきなりの男の素手が乳房に触れてきたことで、シェラ姫の認識の許容量が振り切れ、硬直してしまったことは、双方にとって幸運だった。
リルドは事務的に乳房の位置を調整すると、すぐに手を抜き、背中のジッパーを上げる作業に戻る。
胸が締め付けられたシェラ姫は、触れられたという衝撃に悲鳴を上げる前に、その胸に残っていた空気を絞り出され、呻き声をあげることができなくなった。
指先まで密着し、ぎちぎちになるようにシワを伸ばしながら着せられ、ついにシェラ姫の首から下の全身がラバースーツに覆われることになった。
(全体を見る前に……と)
リルドは妙な冷静さを発揮し、シェラ姫の腕に再び手枷を装着。手枷に繋げた鎖を天井の滑車に繋ぎ、シャラ姫が身体を隠せないよう、両腕を引き揚げた。
そして、改めてシェラ姫の全体を、少し離れたところから見つめる。
ラバースーツを身につけたシェラ姫は、リルドの想像以上に性的な魅力に満ちあふれた姿になっていた。
(これは……! すばらしい……!)
内心、思わず感嘆してしまったほどに、シェラ姫のラバースーツ姿は美しかった。
元より抜群のプロポーションが、ラバースーツによって引き締められ、全身が怪しげな黒色に光る様は、異次元の魅力だった。
彼女の乳房は果実のようにたわわに実り、引き締められた腰や尻は撫でさすりたくなる張りが感じられる。
特にリルドが素晴らしいと感じたのは、シェラ姫の足だ。
元々シェラ姫は太るほどに贅沢な生活は送っていなかったし、ダンスなどの適度な運動は定期的にこなしていたが、決して運動量が多い方ではなかった。
素晴らしい脚線美という認識はあったが、特筆すべきほどのものではなかったというのが、リルドの正直な感想であった。
それが、ラバースーツによって無駄な肉が絞られ、美しいほどの曲線を描いている。ラバー特有の質感がその美にさらに彩りを加えていて、その部分だけでも十分な性的魅力に溢れていたのだ。
「……いいぞ。美しい。これは、少し予想外だったな」
男として興奮してしまっていることをリルドは感じつつ、平静を装ってシェラ姫に伝える。シェラ姫は全身から感じる未知の感触に手一杯で、リルドの賞賛も理解できない状態にあった。
そんなシェラ姫の前に、リルドは等身大の姿見を持ってくる。
「いま、自分がどんな姿をしているか見せてやる……と、その前に」
リルドは一時的に外していたボールギャグを、シェラ姫に再び咥えさせた。
ずいぶん従順にはなっていたが、自身のラバースーツ姿を見て、羞恥や屈辱のあまり舌を噛まれるかもしれなかった。
人間は舌を噛んでも、処置さえすればそうそう死なないとはいえ、負傷によって調教を中断しなければならなくなっては困る。
「よし、目隠しを外してやる。目の前の鏡に映っているのが、いまのお前だ」
シェラ姫の目を覆う目隠しが緩み、シェラ姫の視界が開ける。
その目は、一瞬まぶしさを堪えるように細められ――目の前の鏡に映る自分の姿を捉えると、限界以上に見開かれた。
つづく