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ヒメ➔イヌ ~初恋姫様処刑回避方法→人犬肉便器化調教~ 10


 リルドの父親は典型的な、忠義に生きる騎士だった。

 剣の腕前は人並みだったが、その高潔なる精神と王家と変わらぬほど長く続いてきた由緒正しき血統という自負もあり、時には王にも怯まず諫言していた。かつては王もそんなリルドの父親を重用し、身分を超えた友情のようなものすらあった。

 ゆえに、本来ならありえないことではあったが、リルドが成人し、城に勤めることになった際、王自らがリルドを謁見の間に呼び、特別に言葉をかけた。

 当時の王はまだ暴走しておらず、名君とは呼べずとも愚王でも暴君でもなかった。ゆえにリルドにとっては雲上人そのものだった。

 緊張のあまり、王に言葉を投げかけられた自分がどういう言葉を返し、またどういう流れで謁見を終えたのかも明確には覚えていないほどだ。

 ただ、謁見終了後、緊張で疲弊しきったリルドを気遣ってか、短い時間ではあったが、城の中庭で休むことを許された。本来であればリルドも断っていただろうが、王の温情だと思うと無碍にすることもできず、素直に中庭へと向かったのである。


 そして、リルドはそこでひとりの少女と出会い、運命を変える初恋を経験したのであった。





(嫌なことを思い出させてくれる……)

 リルドはため息を吐いて、思い返していた記憶を打ち消した。

 彼にとって、騎士であった頃の記憶というものは、思い返して喜ばしいばかりのことではない。特に奴隷商人として活動している時に思い出すのは極力避けたいことではあった。

「いまはしがない奴隷商人ですよ。……剣の鍛錬は習慣で続けていますけどね」

 それは本当のことである。

 奴隷に調教を施す上で、非力ではままならないことも多い。ゆえに、騎士としての基礎鍛錬は欠かさず続けていた。

「剣の嗜みがあるということは、旅路に護衛が必要ないわけですなぁ。羨ましい限りですぞ。私もたまに国外まで脚を伸ばすことがありますが、護衛の確保はいつも面倒で……」

 しみじみと呟くギルバストックの物言いは、本気なのか社交辞令か判別しかねるものだった。

 リルドは埒があかないと感じ、少し強引に話を先に進めることにする。

「申し訳ありません、ギルバストック様。本日は将軍様の使いとしてお越しになられたそうですが」

 のんびりとしている様子から、緊急の用件ではないと察してはいたが、言外に「緊急の用事なのではないのか」という思いを滲ませる。

 貴族は自慢話や苦労話をしたがるものなので、その話を遮る十分な理由があると示す必要があった。

 将軍の用件をないがしろにしていると思われては、ギルバストックもばつが悪い。リルドの目論見通り、すぐに話を切り替えた。

「おお、そうでしたそうでした。いえ、そう急ぐ話でも、厄介な話でもありません。ただ、情報共有を行って来いとの仰せでしてな。例のシェラ姫の件ですよ」

 リルドはギルバストックがこの館に来た理由を聞き、得心のいった表情を浮かべて頷きながらも、忌々しさのあまり舌打ちしたくなるのを、懸命に堪えなければならなかった。

(これだから、有能エロジジイは厄介なんだ……!)

 リルドの家系が王族の暴走によって騎士身分を剥奪され、奴隷商人へと身をやつしている話は有名である。

 それが謂れもなき理由であったこともあり、リルドの一族は王族を憎んでいると考えるのが普通であった。現に、リルドの両親はそんな立場に堕とされたという事実と、奴隷を痛めつけ、自分たちの都合のいいように調教するという重圧に耐えられなかった。精神を病んだ挙句、自ら命を絶ってしまっていたのだ。

 普通ならば、その息子であるリルドが王族を恨んでいないわけがない。

 さらに、リルドは初恋の相手がシェラ姫だという話を腹心のインディー以外には誰にもしていない。

 そのインディーが裏切ったのなら話は別だが、それはないと断言できた。

 単純にインディーを信頼しているということもあるが、もしリルドがシェラ姫を匿っているということが将軍に知られ、リルドが捕まったり死んだりするようなことがあれば、インディーの命は長く続かない。リルドは万が一のための保険として、そういう仕掛けを彼女に施してある。

 彼女自身が命を繋ぐためにも、リルドに協力しなければならないのだ。

 いずれにせよ、インディーから関係が漏れない限り、リルドとシェラ姫の関係は推測することもできない。リルドがシェラ姫が出会ったのは非公式に誰もいない中庭で一度きりであり、言葉を交わしたのもその一度だけだ。

 つまり、部外者からみれば、リルドが自分の命を危険を冒してまでシェラ姫を助けようなどという行動に出ると読みきれるわけがない。

 だが、同時にリルド達は王に忠誠を誓う高潔なる騎士の家系だった。特に残る王族のシェラ姫は庶民からの同情もあった心優しき姫君だ。

(将軍から見れば、もしかして、のレベルの疑いだろうが……俺が姫を匿っているんじゃないかと察しやがったな。あの糞爺)

 そして実際、当たっているものだから始末が悪い。勘なのか、なにかしらに基づいた予測なのかはわからないが、真実に肉薄してみせる将軍は厄介な相手極まりなかった。

 内心のもどかしい思いを巧妙に隠しつつ、リルドは神妙な顔でギルバストックに告げた。

「将軍には定期的に連絡を入れさせていただいていますが――シェラ姫の行方は、私の方の情報網でも掴めておりません。逃げ込むであろう離宮や別荘についてはすでに抑えたのですが、どちらも使用人しかおりませんでした」

 無論、リルドは反乱を事前に知る立場にいたので、あらかじめ最有力候補の別荘に罠を張っておき、逃げてきたシェラ姫を誰よりも早く確保することに成功していた。

 そのことはおくびにも出さず、素知らぬ顔でリルドは続ける。

「国の混乱は奴隷の素材を得る絶好の機会。ましてや、あのシェラ姫を奴隷とすることができれば、どれほどの利益を生んでくれるのか計り知れません。奴隷商人として、最後の大仕事と思っていたのですけどね」

 旅をするにも、何かと金は入用になるため、実際に何人もの『商品』を確保している。嘘はついていなかった。

 ギルバストックはリルドの言葉に同意を示し、深く頷いていた。

「ええ、ええ。わかりますとも……シェラ姫は天女と見間違うほど美しく、何より、若い。瑞々しく、穢れを知らないような、あの肢体を性奴隷として、好きに出来るとなれば……本当は、私が欲しいくらいですぞ」

 彼は残念そうに呟いた。それはもし仮にシェラ姫を確保出来たとしても、自分のものにはならないであろうことを悟っている様子だ。

「あの将軍が姫を譲ってくださるはずがないですがね」

 ギルバストックは貴族らしい貴族なので、その資金力は相当なものだ。反乱によって王権が失墜する前に民衆側につき、勝ち馬に乗ったため、資金力はさらに増している。

 だが、それでも実質的な権力を全てかすめ取っていった将軍には遠く及ばない。将軍と事を構えようという気もないらしく、端から諦めているのだ。

 しかし、もし機会が許すのであれば、ギルバストックは姫を手に入れ、そして欲望のままに犯すだろう。場合によっては、手足をもいで目を潰し、ただの性処理のための肉袋のように扱って殺してしまうかもしれない。

 ギルバストックがどういう人間かは、リルドはよく知っていた。

(俺が言えた立場じゃないが、絶対にこんなクズどもに姫は渡せない……)

 決意を新たにしつつ、リルドは想いの全てを胸の中に押しこめて笑って見せた。

「もし、シェラ姫を仕入れることができれば――無論、ギルバストック様にもお話しをさせていただきますよ」

「ぜひ、そうしてくだされ。最後まで良いお付き合いが出来れば嬉しいですぞ」

「光栄でございます」

「シェラ姫については、将軍には鋭意捜索中と伝えておきましょう。ところで……最近マンネリ気味でしてな。何か変わり種は仕入れられてはおりませんかな?」

 そう尋ねるギルバストックの目が、欲望の色に輝いていた。将軍の小間使いのように扱われることをよしとしていた理由がそれなのだろう。

 リルドは面倒に思いつつも、奴隷商人としての仕事のうちだと割り切り、部屋に控えていたインディーに真新しい書類を持って来させる。

 それを机の上に並べると、ギルバストックは嬉々としてそれを覗き込んだ。

「これらが、ごく最近仕入れた商品でございます」

「ほう……ほう、これは! 公爵家のご婦人ではありませんか! はははっ、こうなるとあのご婦人もただの卑しい女ですなぁ」

 そう言ってギルバストックが覗き込んでいたのは、かつてこの国で公爵を務めていた男の妻の書類だった。書類には特殊な装置を用いて造られた、彼女の姿を映した精巧な絵――写真が添付されていた。

 写真の中で彼女は、丸裸に剥かれ、その身体にはベルト状のボンデージが食い込んでおり、妖艶な色気を醸し出している。

 淡々と仕入れた奴隷のことを説明していくリルド。彼にとってシェラ姫以外は特に助ける対象ではない。上流階級から奴隷身分への転落については同情心もないわけではなかったが、それはそれ、これはこれ、である。

 彼がシェラ姫を助けようとしているのは個人的な感情によるものであるため、それ以外の相手に対してはあくまで奴隷商人として接していた。

 つまり、良い商品がたくさん手に入って幸運だった、というだけの話だ。

 リルドは楽しげなギルバストックに辟易しながらも、丁寧に商品説明を行っていく。

 ほどよく時間が経ったところで、インディーが声をかけてきた。

「ご歓談中申し訳ありません。リルド様、そろそろ……」

「ああ、もうそんな時間か。すみませんギルバストック様」

 時間が来てしまったことを心底申し訳なさそうに告げるリルドだが、もちろん次の予定などというものはない。インディーと秘密の符丁でやりとりをし、ある程度の時間でギルバストックとの面会を切り上げる算段を付けていたのだ。

 突然やって来た立場にあるギルバストックは、やや残念そうにしながらも素直に立ち上がる。

「突然お邪魔してしまいましたからな。私も忙しいので、ここでお暇いたしましょう」

(それならそもそも長話するなよ……はよ帰れ)

 そう思ったリルドであったが、もちろん顔には出さない。申し訳なさそうな表情を浮かべたまま、ギルバストックに礼をする。

「またどうぞいつでもお越しください、ギルバストック様。――ああ、そうだ。最後に面白いものをお見せしましょう。国内向けの商品ではないのですが……ギルバストック様ですから特別です」

 特別扱いは顧客の自尊心を満足させるものだ。目に見えてギルバストックの機嫌が良くなった。

 リルドは、ちらりとインディーを見る。

「インディー。『あれ』をギルバストック様にお見せしてくれ」

 何のことを言っているのか察したインディーは、少し怪訝そうな表情を浮かべた。

「よろしいのですか?」

「ああ、構わない」

「……かしこまりました。少々お待ちください」

 短いやり取りを経て、インディーは部屋の外へと出ていった。

 そして、待つというほどのこともなく、彼女が部屋に戻ってくる。


 戻ってきた彼女の足下に『それ』はいた。


 それを目にしたギルバストックは驚愕に目を見開き、信じられないという様子で声をあげる。

「ま、まさか……!」

 驚き、慌てふためくギルバストック。その視線の先にいる『それ』は、犬のような挙動をしていたが、犬ではあり得なかった。

 それは紛れもなく――人間の女性だった。

 四つんばいで歩いているのは、本来地面を踏みしめるべき両足が折り畳まれ、膝を突いて動くしかないためだ。

 両手もまた同じように拘束され、膝と肘の四点で身体を支えている。

 その身体の大部分を覆うのは、黒く光沢のあるラバースーツである。彼女の身体にぴったり沿って造られているのか、彼女の身体を締め上げ、形を整え、見事なプロポーションを浮き彫りにしている。

 股間にはラバースーツの上から分厚い金属で出来た貞操帯が嵌められている。本来二つの穴が空いているべきその場所は、貞操帯が封じている。それだけではなく、その貞操帯からは太い筒のようなものが二本、飛びだしていた。

 片方は明らかに肛門のある位置で、その先端には獣の毛を用いて獣の尻尾が付けられている。それはいかなる仕組みか、犬が尻尾を振るように左右に揺れており、まるで犬が喜んで尻尾を振っているように見えていた。

 さらにもう一つの筒は、彼女の秘部のある位置から飛びだしており、こちらには飾りがついていなかった。だが、その筒は細かく震動していた。それはつまり、彼女の身体の中に埋め込まれた部分も振動しているということで、彼女はその振動の刺激を常に感じなければならなかった。

 ラバースーツに包まれた女性の胸は、かなり大きく形も整っていたが、その先端に仕掛けが施されていた。お椀状の先端には小さな穴が空いており、そこから彼女自身の乳首が飛び出すようになっていたのだ。

 その乳首には小さな穴が開けられ、小さな金属の輪っかがイヤリングのように通されている。イヤリングには鈴も通されており、彼女が身体を動かす度にチリンという音が鳴った。 首にはとんでもなく重そうで、かつ分厚い金属製の首輪が嵌められていた。この首輪は前方に当たる部分の幅が広く、後頭部に当たる部分の幅は短かった。それが何をもたらすのかと言えば、彼女は自然と首を上に向けなければならなくなる。四つんばいで歩く以上、顔を前に向けなければならないのだが、その首輪はそれを強制するためのものだった。

 仮に彼女が恥ずかしく感じて顔を伏せようとしても、出来ないということでもある。

 その首輪にはリードが繋がれており、リードの先はインディーが手にしていた。インディーがそのリードを巧みに牽き、四つんばいで這いつくばる彼女を誘導している。その誘導がなければ、彼女は一歩も動くことが出来なかっただろう。

 なぜなら、彼女の両目は分厚い目隠しで覆われていたからだ。柔らかな素材で出来た目隠しの部分を、その上から分厚いベルトで固定するという形状の目隠しで、彼女がいくら暴れたところで外れないだろうし、何も見えないであろうことは傍目から見ても明らかだ。

 そんな彼女の口は、開口具によって強制的に開かされた状態を維持させられていた。開口具は彼女の言葉も奪い、呻き声と喘ぎ声以外の声を奪っている。

 また、そうするように言いつけられているのか、常に口の外に舌を伸ばしており、荒い呼吸も相成って、本物の犬のような有様であった。

 彼女が四肢を懸命に動かして動く度、その長い黒髪が揺れ、突き出した舌から垂れ落ちた涎が床を汚す。

 無様極まる、性奴隷のひとつの完成形――『ヒトイヌ』と呼ばれる姿だった。

 ヒトイヌ姿の女性を見たギルバストックは、信じられないという様子だった。その視線は一点に集中している。彼が見ているのは、地を這う彼女の、黒くて長い髪の毛だ。

 この国において、長い黒髪は王族の証とされている。

 つまり、その犬のようにされた彼女は。

「しぇ……シェラ姫ではありませんか……っ!」

 ということになるのだ。


つづく

ヒメ➔イヌ ~初恋姫様処刑回避方法→人犬肉便器化調教~ 10

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