平べったくなった友達と。中編
Added 2019-09-11 14:47:56 +0000 UTCぺったんこになった友達――みくらは何も言わない。
ただの人型のカーペットにでもなったかのように、ぺらぺらの体を小さく震わせている。(どうしたらいいのよ……)
とりあえず元に戻そうか。
わたしはそう思ってリモコンのスイッチを押した、のだけど、最初に押したスイッチとは別のスイッチを押してしまっていた。
「あっ、やばっ」
そう思ったけどもう遅い。リモコンを操作した結果はすぐに現れた。
ただの平べったい人型になっていたみくら。その体が、手足の先の方から順番にパタパタと折り畳まれていった。
まるでなにかのCGでも見ているかのような動きをするみくらは、あっという間に四角形のブロックのように、綺麗に折り畳まれていた。
洗濯物が畳まれて置かれているように錯覚する。もう人の形すらない。
「もしかして……このスイッチごとに、形状が変わるってこと?」
わたしは次はどんな形になるのか気になって、自然と次のスイッチを押していた。
それが当の本人――みくらにとってどんな感覚になっているのか、考えもしないで。
私の体はぺったんこになった――さねこの前で。
ぺったんこになった私には何も見えなかったけど、さねこが驚いている姿が眼に浮かぶようだった。
(ふふふ……お姉ちゃんの研究なんだから驚いて当然なんだけどね!)
厚さ数センチになってしまった私だけど、普通に物も考えられたし、外の気配も音も感じられる。
さねこが近付いて来て、いまの私の厚みを確かめるように、掌で触れてくるのもはっきりとわかった。
その際、さねこの掌は私の胸を触っていて、思わず体を震わせてしまう。
(あっ、ぁんっ! さねこのえっち! どこ触ってるのよぅ)
たまたま一番上になったのが胸の部分だったのだろうけど、触られる側には関係ない。
あとでさねこの胸も触ってあげよう。
私と違ってさねこの胸は元々平面的だけど、あれはあれでいいものだと思う。重くなさそうだし。
そんなことを考えつつ、私はさねこがあたしを元に戻してくれるのを待った。これで平面化スーツが本当だということはさねこにもわかったはず。
なら次はさねこがこのスーツを着て、平面化を体験する番だ。
(フフフ……さねこもこれを体験すれば、きっとお姉ちゃんのことを本気で心から尊敬するはず……そしたら、お姉ちゃんの良いところを私が思いっきり自慢しても問題にならなくな――んぎっ!?)
気兼ねせずにお姉ちゃん自慢が出来るようになるということに、至福の感情を抱いていると、動かなくなっていた体が突如動き出した。
元に戻るはずが、全然違う。体が端から折り畳まれていく。
(さ、さねこ、さてはボタン押し間違えたなぁ!?)
あのリモコンには平面化状態と通常状態を切り替えるボタンの他に、平面化した状態からの派生形に体を折り畳むという機能があった。
それによって私の体は四角形に折り畳まれ、可能な限りコンパクトになってしまう。
(んぎぎ……っ、これ、やば……っ)
普通なら絶対に有り得ない形で折り畳まれた体が、快感を伝えてくる。折れ曲がったところから強い快感が生じていた。
お姉ちゃん曰く、平面化している間は、痛みや苦しみといった感覚はすべて気持ちいい感覚に変わってしまうということだった。
これだけ体が徹底的に折り畳まれると、凄まじい快感が全身から発生してしまう。
それだけでも十分なほどだったのに、さねこがまた胸に触れてくる。
(ふぎゃっ! ま、また……!)
偶然なのか、あるいはそうなるように出来ているのか、私の体は胸が一番上になるように折り畳まれていた。四角くなった私のおっぱいを、さねこの手が、その形を確かめるように、何度も撫でてくる。
強い力で触っているわけではないのに、その刺激は余すところなく四角形になった私の中で反響し、増幅され、私の心はそれに翻弄されてしまう。
(んっ、ふ……ぁっ♡ あああっ♡)
声が出なくて良かった。もし声が出せていたら、私は蕩けた声を部屋中に情けなく響かせていたところだ。さねこ相手とはいえ、さすがにそれは恥ずかしい。
しばらく私の体を触っていたさねこは、満足したのか離れていく。
ほっとしたのもつかの間。
私の体がまた自動的に動き出し、違う形へと折り畳まれていく。
(んぎゅぎゅ!♡ もぅ、さねこぉ!)
どうやらさねこは、次のボタンを押せば私がどんな形になるのか、気になって仕方がないようだった。
興味を抱いてくれるのは嬉しいけど、それに翻弄される身にもなって欲しい。
今度は球形だった。体の感覚が研ぎ澄まされているので、綺麗な円を描く球体に自分の身体が折り畳まれ、圧縮されていることがわかる。
例えるなら、うっかりポケットの中に入れたまま洗濯機にかけてしまったハンカチ、といった感じだろうか。
あれよりももっと綺麗な形で圧縮されてはいるけど。
そしてこの状態になった時、一番外側になっている体の部分は股間だった。
大股開きであそこを晒しているような、恐ろしいまでの開放感がある。さすがにちょっと恥ずかしかった。
(うぐぐ……ただでさえ、気持ちよすぎてやばいのにぃ……!)
外側になって、一番周囲の影響を受けるのが股間というのはまずい。強烈な感覚を与えようと思えば、いくらでも与えることが出来てしまう。
その上、それだけを意識していることは出来なかった。
全身が球形に折り畳まれているから、わずかな振動でその体が転がり出す。ただでさえ気持ちよくてやばいのに、さらに転がされたらどうなってしまうのか。
(こんな状態で転がったら……っ! さ、さねこっ、止めて……あびゃあっ!?)
確かに止めて欲しいとは思った。
思ったけど、まさか勢いよく鷲掴みにされるとは思わなかった。
まるで股間を直接掴まれたような、異常な感覚。
私は球形になった体をぶるぶると震わせ、快感を少しでも逃がそうとしてみたけど、その痙攣する動きすら快感になってしまうだけだった。
ドッチボールくらいの大きさになった私は、さねこに両手で抱え上げられた。
普通に肉体が圧縮されただけなら、重さは変わらないはずだけど、お姉ちゃんの作った平面化スーツは重さまでも圧縮する。
圧縮率に伴って、私の体重も圧縮されているはずだ。
さねこがそんな私をまじまじと近くで見ているのを感じる。視線が、あそこに集中しているようだ。
(あんっ♡ そんなところ、見ないでよぉ♡ ばかさねこぉ……♡)
私の股間をさねこの眼がじっと見詰めている。
感触を確かめるようにすりすりと掌で股間を擦られ、私はあっという間に軽く絶頂してしまった。
じんわりと股間が生暖かくなるのを感じて、私はさらに体を震わせた。
わたしの腕の上で、みくらがボール状に丸まっている。
手にとって見ると思った以上に軽くて、女のわたしの腕力でも簡単に持ち上げることができた。
ボウリングの球くらいの重さだろうか。
気を抜くと落としてしまいそうで、緊張する。
(そういえば、圧縮されてるときに大きな振動とか刺激とかを与えられたらどんな感覚になるんだろう……? もしかして、圧縮されている分、痛みとか苦しみも倍とか!?)
ぞっとしない話だと思った。
実際には痛みや苦しみは感じず、すべて気持ちいい感覚に変わるみたいだけど。
そのときのわたしはもちろんそんなことは知らないので、扱いは慎重になる。
両手に抱えたみくらボール。真っ黒なゴムの塊にしか見えないけど、これがさっきまで話して動いていた人間だという事実に頭がついていかない。
「完全にボール……だよねぇ」
わたしはしっかりと表面を確認しようと、みくらボールの表面を掌で撫でて見る。感触は完全にゴムボールだった。人肌くらいに暖かいのが、妙に生々しくて、変な感じだ。
そんなに長く触っているつもりはなかったけど、何かが悪かったのか、急にみくらが大きく震えた。いままでが極わずかな痙攣だったのが、突然携帯のバイブレーションみたいな大きな震えになったので、心底驚いた。
手から取りこぼさなかっただけでも、褒めて欲しいくらいだ。
落とさずに済んで、ほっと息をつく。みくらを抱えている手が、妙な暖かさを感じた。
「ん……? なに、これ……?」
全体の生暖かさは変わっていないけど、表面の一部分だけが妙に暖かい。それが気になってなんとなくその暖かい部分をなぞるように手を動かすと、またみくらが激しく震えた。
どういうわけか気になって、何度もその熱くなっている部分に手をやり、触る度にみくらが激しく震える。
暫くして、みくらボールの表面の、熱くなっている部分の形が掴めてきた。
「じんわりと熱いところが……細い線になって……なって……るぅ!?」
その意味に気付いてしまったわたしは、思わず素っ頓狂な叫び声をあげていた。
もしかして、もしかしなくとも。
この妙に熱くなっている部分は、みくらのあそこなのではないか。
執拗に触ってしまったことで、みくらを感じさせてしまったのでは、という推測が立ってしまった。
わたしは慌ててみくらを地面に置き、リモコンを手に取る。
考えが正しかったとしたら、妙に大きい震えは絶頂しているときのものだと考えられる。
何度も何度も震えさせてしまっていた。大変なことになっている可能性が高い。
わたしは最初に押したリモコンのボタンを再度押す。
すると、球形に折り畳まれていたみくらの体が解け、その真っ黒な平面化スーツに包まれた体が人型を取り戻していった。
人型の形と厚みは取り戻したものの、みくらは床に倒れたまま動かなかった。時折手足を痙攣させているけど、それ以上の動きがない。
「み、みくら……? あっ」
そういえば、頭部まで覆われた状態だと呼吸が出来ないのだった。
わたしは慌ててみくらの側にしゃがみ、首の辺りを弄る。
ぴっちりと張り付いていたその境目が開き、隙間からみくら本人の肌色が除く。
無我夢中で全頭マスクを剥ぎ取って、現れたものにどきりとした。
露わになったみくらの顔。
毎日見慣れているはずの彼女は、見たことがない表情を浮かべていたからだ。
とても無様に緩んだ顔。気持ちよくて気持ちよくて仕方ないと、言葉がなくてもわかる顔。
絶頂で蕩けた顔を、彼女は浮かべていた。
白目になりかけていたみくらの眼が、ゆっくりと正常な位置へと戻っていく。
ぱちぱち、と数度の瞬きを挟み、その意識が覚醒するのがわかった。
ほっと一息吐いたのも、つかの間。
みくらの手が、つよい力でわたしの肩を掴んできた。まっくろな平面化スーツに覆われたみくらの手に掴まれた肩が悲鳴をあげる。
「いだだだっ、ちょ、ちょっとみく、ら……っ」
思わず開き駆けた口を、みくらの手が塞いでくる。
わたしが思わず逃げようと体を引いたら、みくらはその動きに合わせてわたしを追いかけてきた。勢い余って尻餅をつき、仰向けに倒れたわたしの体に、みくらがのし掛かってくる。
馬乗りになられたわたしは、為す術もなくみくらを見上げることしか出来なかった。
「さーねーこー? ずいぶんと、気持ちよくしてくれてありがとうねぇ?」
低い声でみくらが威圧してくる。
わたしは嫌な予感に冷や汗を流した。
「ご、ごめんなさ……い、むがっ!?」
いきなり顔に何かが被せられ、変な声が出てしまった。
妙にしっとりとした感触のそれの正体に、わたしはすぐに気付く。
(いまみくらから脱がした……平面化スーツ!?)
「おしおきだよ!」
みくらも興奮しているのか、そう言って何かに手を伸ばす気配がした。
(ま、まってみくっ、らあああああっ!!?)
みくらを止めようと、あるいは被せられた全頭マスクを脱ごうとしたわたしの動きは、どちらも間に合わなかった。
頭部全体がぎゅーっと押しつぶされる感触がして。
わたしの頭部の厚みが、みるみるうちに失われいく。
それだけでいっぱいいっぱいだったのに、みくらが変な声をあげたことに気付いてしまった。
「あっ、しまっ――ひゃああああっ!」
恐らくみくらはリモコンを操作したはず。
そしてその結果どうなったか。
全頭マスクを被せられたわたしと、全身スーツに包まれていたみくら。
結果はもちろん。
わたしは頭部、みくらは頭部を除いた全身が――平面化してしまった。
つづく
Comments
みくら編、さねこ編をそれぞれ書くのが一番よかったのかもしれませんね。今後の課題にしておきます。
夜空さくら
2019-09-15 00:23:18 +0000 UTC観点がころころ変わるのが悪いとは思いません。 もちろん一番良いのは一つの話の中に視点が変わるよりはみくらの観点、さねこの観点編が別に作成されるのがいいでしょう。
festo
2019-09-14 14:46:10 +0000 UTCコメントありがとうございます。それぞれの感覚を書きたくなって、視点がころころ変わってしまったのは、反省点ではあります。 金曜日にはあげられませんでしたが、後編をアップしました。彼女たちの結末をどうぞご覧ください。
夜空さくら
2019-09-14 14:32:28 +0000 UTCリモートコントローラーで強制型変換、そしてその状態で1人称視点の叙述とても良かったです。 そこに1人は頭が平面化、もう1人は体が平面化という莫大な状況ですね。 とてもいいです。 この状況なら事実上bad endingで終わってもおかしくないと思います。 金曜日が楽しみだね。
festo
2019-09-12 00:54:24 +0000 UTC