SamSuka
夜空さくら
夜空さくら

fanbox


平べったくなった友達と。後編


 頭部だけが平面化してしまったわたし。

 前後の厚みがなくなって、ぺらぺらの布のようになったわたしの頭部は、体の後ろに倒れて垂れ下がってしまった。

 後頭部に背中が当たるという、普通なら絶対にありえない感覚に頭がおかしくなりそうだった。

「んむ、うぅ、うぅー!?」

 口が塞がっているため、まともに喋ることも出来ない。

 わたしは頭を覆っている平面化スーツの全頭マスクを脱げないかと、マスクの縁に指をかけようとしたけど、マスクと肌の境目があるはずの場所をいくら指で探っても、そこにはなにもなかった。

 正確には肌とマスクの感触の違いで、そこが境目だということはわかる。けれど、まるで自分の皮膚がマスクの素材と同じものに変わってしまったかのようで、わずかなでっぱりもへこみも感じられず、どんなに頑張っても脱げそうにない。

「し、しまった、私まで……! リモコンが……操作出来ない……!」

 わたしが悪戦苦闘している間、みくらはみくらで大変なことになっているようだ。

 当たり前だけど、平面化された状態では全く身動きが取れない。それはリモコンを操作していたみくらが、何も出来なくなっているということだ。

 でもそれなら、体が普通に動かせるわたしがリモコンを操作すればいい。

(スーツの起動と解除スイッチの場所くらいならわかるは――ずぅ!?)

 そう思って動こうとしたわたしは、みくらの方へ向かおうとしたのだけど、思った以上にいまの状態で歩くのは難しかった。

 いまのわたしは頭が裏返っているようなものだ。でも体の感覚はそのままだから、すごく混乱する。頭だけ上下の感覚も逆なので、後ろを向きながら歩くよりも遙かに難易度が高かった。その上、眼が覆われていて視界も確保できないのだから、難易度は更にあがる。

 恐る恐る前に進もうとしたわたしは、混乱した結果足をもつれさせ、前に倒れこんでしまった。体に染みついた反射で、咄嗟に地面に腕を突く。腕をついた感触は、床のものではなかった。

「ンギィッ!?」

 わたしはちょうどみくらの上に倒れ込んでしまったみたいで、生暖かい平面化スーツの感触を掌に感じるのと同時に、ただでさえ平べったくなっているところをさらに強く押しつぶされ、みくらが悲鳴をあげる。

 慌てて手を離そうとしたけど、普通に前に進むだけでも転んでしまったのに、咄嗟にどう体を動かせばいいのかわかるわけでもなく。

 咄嗟に突っ張っていた腕が崩れ、完全に俯せに倒れ込んでしまった。

「むぎっ!」

 さらにみくらを押しつぶしてしまったらしく、再度悲鳴があがる。ぺたぺたとした感覚が倒れた体から伝わってきていた。

「さ、さねこぉ……! うごかな、ないでぇ……っ」

 か細い声でみくらが呟くのを聞き、わたしは咄嗟に体をそのまま制止する。

 体は俯せ、頭だけ天井を向いているという妙な感覚だったけど、じっとするだけならなんとか耐えられた。

 そんなわたしのお腹辺りから、みくらの声が響く。

「私の、言うとおりに、動いて……リモコンに、誘導、するから……」

 なるほど、みくらが眼が見えないわたしの眼になってくれるわけだ。

 わたしは頷こうとして頭が動かせないことを思い出す。

 合図は出せなかったけど、みくらは指示を出し始めてくれた。

「まず……んひゅっ。さねこの、手がどこか知りたいから、ゆっくり動かして……んぅっ……!」

 言われた通りに手をゆっくり動かす。ふにふにとしたみくらの体の感触がした。どこを触っているのかは、眼の見えない私には判らなかったけど。

「そ、そこがお尻だから……えっと……もうちょっと、右、かしら」

「ンッ」

 こっちかな、という意図を込めて掌をゆっくりと右に動かしていく。ぴくん、とみくらの体が反応していた。

「ふ……んんっ、そ、そう。そっちで……ひゃんっ!」

 手を動かしていたら、急にみくらが高い声をあげた。慌てて手を離す。

「ちがっ、そっちじゃな……足、膝が……っ」

(膝?)

 思わず膝を動かしてしまっていたようだ。膝に意識を集中すると、思わずそこに力が入ってしまう。

「んぎっ! ひざがっ、私の、お、おっぱいを潰してるのっ!」

「グッ!?」

 慌てて膝を浮かせる。みくらの体の上だとは思ったけど、まさかそんなところを潰していたなんて。

 慌てて膝を上げようとして、わたしはバランスを崩した。

 尻餅をついてしまう。

「え、ちょっ――もがっ、むぐぐっ!!」

「ングっ!?」

 とんでもないところに熱い息を感じ、わたしは飛び上がって驚いた。

 どうやらわたしはみくらの顔の上にお尻を押しつけてしまったようだ。みくらが呻いているのが直に伝わってくる。

 慌てて腰を浮かし、少し離れたところで腰を下ろす。

 みくらはぜいぜいと呼吸を荒くしていた。

「し、死ぬかと思った……さねこぉ……」

 恨みがましくみくらが声をあげるけど、こっちは眼が見えないのだから仕方ないじゃないか。

「ウゥ……っ」

 わたしはみくらに謝りつつも、そんな反抗的な気持ちも抱いていた。

 みくらはそんなわたしの気持ちを知ってか知らずか、再度指示を出してくる。

「もう一度いくわよ……手だけ動かして」

 いまはこの状態を脱するしかない。わたしは言いたいことを飲み込んで――そもそも言えないのだけど――みくらの方に手を伸ばした。

 慎重に、恐る恐る手を伸ばして、その指先が硬いものに触れる。

「ウ?」

「なに? どうしたの? 私にも見えないんだけど……」

 この四角いのって、もしかしなくても。

(これ……リモコン!?)

 咄嗟に伸ばした手がリモコンに触れるなんて、なんて幸運なんだろう。

 わたしはリモコンを逃さないよう、しっかと掴む。


 その掌が、ボタンを押していた。


「ウッ」

 嫌な汗が噴出するけど、もう遅い。

「さねこ何して……あうぅっ!?」

 みくらが苦しげな声をあげ、さっきみたような体の折りたたみが始まった。

 そしてそれは――わたしの方にも生じていた。





 さねこがリモコンを誤操作した――そのことはすぐにわかった。

 わかったけれど、それで起きることが止められるわけじゃない。

 平面化スーツの力で、身体が複雑に折り畳まれていくのを、じっと耐えるしかなかった。

「う、うぅ……ッ!」

 手足の先からパタパタと小さく折り畳まれ、その度にびりびりと快感が生じてくる。

 さっきは頭も覆われていたから、声をあげてしまう心配はなかったけど、いまは少し気を抜いたら大声で叫んでしまいそうだった。

 歯を食いしばって、耐える。

「フゥ、フゥ……ッ、んぎっ」

 パタパタと折り畳まれていく動作が、手足の付け根あたりまで達する。

 そこから今度は、足の方が先に動き始めた。くるくると丸まり、ローラーに巻かれていくような、そんな不思議な感覚。身体が小さく小さく圧縮されていくのがわかる。

「んぐっ、んぐぐ……っ」

 さねこはどのボタンを押したのだろうか。私はお姉ちゃんからあのスーツを預かった時に、一通りどんな折りたたみの形があるのか確認していた。中には折り紙みたいに折り畳まれる、実用性皆無の趣味的な形もあった。

 それとは違うみたいだけど、ただ単純に小さく折り畳まれるのとも違う。

 そんな風に思っていた私の頭が、急に動かされた。

「ひゃっ……! な、なにこれ……っ」

 気付けば、私の身体は首の太さと同じ円柱形に折り畳まれていて、私の頭部はその上に置かれるような形になっていた。

 その形は例えるなら「こけし」だろう。

 ただ、それにしてはこけしでいう胴体にあたる部分が細すぎるけど。

 そう思った私の感覚は正しかった。この形は「こけし」ではなかった。

 そこからさらに、形の変化が始まったからだ。

「ん、んう、うううっ、あ、ああああッ!」

 声を堪えようとしたけど、無理だった。

 私の円筒形になってしまった身体が、上下からプレス機にかけられたように、ゆっくりとその厚みを失っていく。

 ただでさえ元々の私の身体の質量がどこかに行ってしまったようだったのに、そこからさらに圧縮されるとは思わなかった。

 首から下の全身から、凄まじいまでの快感が私を襲う。

「んあ、アアアアアアアッ!」

 苦しくはない。痛くもない。ただ、気持ちいい。

 圧縮度が凄まじいからか、身体を動かそうとするだけで、脳天まで痺れるほどの快感が駆け巡り、私は何度も意識を散らした。もし身体がまともだったら、何十回と潮を吹いてしまっっていたかもしれない。

 そうならなかったのは良かったのだろうか。


 凄まじい快感の波が収まる頃、私の身体はせんべいのようにぺったんこになっていた。


 周りからは首だけになったように見えるかもしれない。

「はぁっ……はぁっ……はぁっ……」

 もちろんそんな状態になっても、私は生きていた。お姉ちゃんの発明で人が死ぬわけがないとはわかっていたけど、死ぬかと思った。

 私でさえそうだったのだ。

 圧縮が一段落し、落ち着いた私は、頭部が圧縮されたさねこのことが気になった。

「さ、さねこ……?」

 首だけになった私は動けない。眼だけを動かしてさねこを探して――私の頭が左右から掴まれた。

「きゃあ!?」

 思わず悲鳴をあげるが、その恐らくさねこの手は構わずに私を持ち上げる。

 決して普段の視線に比べて高いわけじゃないけど、自分の意思でなくその高さまで持ち上げられたということに、恐怖する。

 さねこがうっかり手を滑らせれば、確実に怪我をする高さだ。

「さ、さねこ……? ねえ、なにして……」

 私の言葉に答えはなく、ゆっくりと私は移動させられて、何かの上に置かれた。

 首のあたりで何かが噛み合い、ぐらつくことはなくなったけど、代わりに奇妙な違和感を覚えた。

「『な、なにこれ……?』」

 自分の呟きの他に、もうひとつ声が被さる。

「さねこっ!? え、どうなってるの? 喋れるように……なったの?」

『え、みくら、わたしの声が聞こえてるの?』

「え、ええ。聞こえて……ひゃあっ!?」

 突然、私が置かれた場所が動いて、私は下を見ることができた。首はしっかり『それ』にくっついていて、落ちることはなさそうだった。

 自分の状態を見た私は、思わず声を失う。

『ど、どうしたの?』

 さねこが不安そうに問い掛けてくるのに対し、私はどう応えたら良いかわからなかった。

 わからなかったから、私は見たままを言う。


「わ、私の首が……さねこの身体の上に、くっついてる……」


 接合面がどうなっているかはわからない。

 わからないけど、とにかく私はさねこの身体の上にくっついてしまっていた。

『ええ!? なにそれ!?』

「なにって言われても、私にもわけがわか……んぷっ! さねこ、危ない!」

 思わず、なのだろうけど、さねこの手が私の顔に触れて来た。触れてきたのはいいのだけど、遠慮のない触り方だったので、危うく指が眼に入るところだった。

『わわっ、ごめん』

「気をつけてね……それにしても、こんな機能まであったなんて……」

『お姉さんから聴いてないの?』

「うーん、聴いてない。……と思う。そもそも、頭の奴と身体の奴、別々に使うことなんて考えてなかったし……」

『でも、明らかにこれはスーツの機能よね?』

「……そうね」

 偶然起きたこととは思えない。平面化スーツの隠された機能、ということなのだろうか。

『っていうか、身体が勝手に動いてめちゃくちゃ怖かったんだけど!?』

 普段は割と淡泊なさねこがぎゃんぎゃん叫んでいる。

 余裕のない彼女の様子をからかう余裕は、私にはなかった。

「それは、うん。びっくりよね」

 さねこの身体はスーツに覆われているわけじゃない。なのに身体が勝手に動いて、私の首を拾って自分の首の上においたのだ。

 さねこはびっくりしたなんてものじゃなかっただろう。

 そんな機能まであるなんて、さすがはお姉ちゃん。

 お姉ちゃんの素晴らしさを改めて実感してしみじみしていると、ふと、気付いたことがあった。

「ところで、さ。さねこ」

『……なに?』

「なんとなーくなんだけど……もしかして、お漏らしした?」

 聴いた瞬間、さねこが息を呑む――いや、呑んだような感じがした。

『なっ……! なんでっ!?』

「いや、それがさ……なんか、感じるんだよね」

 じっとりとした感覚が、下の方から伝わって来ている。

「……う……し、仕方ないじゃない! あんなの、耐えられるわけないわよ!」

 羞恥にか、震えた声でさねこが叫ぶ。

 確かに、私もあれだけ何度も絶頂して、漏らすかと思ったくらいの衝撃だった。

 さねこは頭だけだったとはいえ、同じような快感を得ていたとすれば、身体は普通の状態だったさねこが漏らしても不思議じゃない。

 だから、彼女を責める気は無いし、その事実は一端おいておくとして。

「もしかして、感覚が繋がってたりするのかな?」

『言われてみれば……なんとなく、感じる、かも?』

 そういうさねこの手がわたしの頬に伸びてくる。思わず警戒したけど、今度のさねこの手は優しく私の頬に触れてきた。

 軽く頬が凹む程度に押され、感触を確かめるように指先が円を描く。

『……ほんとね。頬が触られているような感覚がある、わ。なんというか、変な感じだけど』

「あー、わかる。なんか薄皮一枚隔てたみたいな、変な感じするよね」

 自分の本来の身体の感覚はスーツの中に押し込められ、圧縮されているのがいまでもわかる。

 けれど、それとは別に、さねこの身体の分の感覚もあった。自分の身体の外側に、身体がある感覚はとても奇妙なもので、言葉では説明し辛い。

(触覚が共有されてるってことは……他の感覚も共有されてるのかな?)

 そう思った私は、視線を動かして床に落ちているリモコンを捉えた。

「さねこ、リモコンがどこに落ちてるかわかる?」

『え? そんなの、わかるわけ……あら?』

 さねこは不思議そうに呟いた後、屈んで手を伸ばした。その手は迷いなく床に落ちていたリモコンに伸び、少し手間取ったものの、あっさりリモコンを手にした。

『……不思議。私の視界は真っ暗なのに、リモコンがどの辺りにあるかわかったわ』

「触覚以外の感覚も、少しは共有されてるみたいね……」

 なんとなく感じる、程度のものなのだろうけど。

 完全に共有していないのは、そうしてしまうとどっちがどっちの感覚かわからなくなってしまうからだろうか。混ざってしまったらいざ離れるときに問題になるのかもしれない。

 とにかく、だ。

「さねこ、リモコンのスイッチを押してくれる?」

『ええ、みくら。顔の前に持っていくから、どこに電源スイッチがあるか教えて』

 リモコンを持ったさねこの手が、わたしの顔の前にリモコンを持ってくる。

 私は一番最初に押した電源ボタンに視線を集中する。

 それに反応して、さねこの身体が動き、リモコンの電源ボタンをぽちりと押した。

(あ、しまった! 戻るなら、私を支えてもらわなきゃ……!)

 いまはさねこの首に固定されているけど、元に戻ろうとする過程で首から外れてしまう。

 そうなったら、文字通り手も足も出ていない私はさねこの首の高さから落下して、床にたたきつけられてしまう。

 それを危惧して叫ぼうとして、私は何も起きないことに気付く。

「あ、あれ……?」

『ちょっと、みくら……どうなってるの、これ?』

 それは、私が聴きたいことだった。



「うん……うん。ありがとうお姉ちゃん。リモコン、壊してごめんね……うん……うん! わかった! 楽しみにしてるね! それじゃ、ばいばーい」

 私がお姉ちゃんとの会話を打ち切ると、それを感じたらしいさねこがスマホの通話を切ってくれた。感覚を共有するというのは、この状況になれてくると便利だと感じてしまう。

 心配しなくていいことは伝わっていそうだったけど、私は言葉でもさねこに伝える。

「元々別々の人同士の身体を連結する機能はあるんだって。詳しくは私にもわかんないけど、全身をいまのレベルに圧縮すると、気持ちよすぎて気が狂いかねないから、いまみたいに身体の一部は普通に残して、他の人と繋げることで、気が狂うこともなく、人型で動けるようになる、みたいな……」

 お姉ちゃんに聴いた内容そのままなわけだけど、なんだか。

 その気持ちはさねこにも伝わったのか、さねこも呆れ気味だった。

『なんというか……どうしてそういう解決の仕方するかなぁ……天才の考えることはよくわからないわ……』

「うーん。それについては、私も同感……」

 お姉ちゃんは斜め上の発想で周りを驚かせることがあった。

 これもその一環な気がする。

(お姉ちゃんと共同研究している人もさぞかし振り回されてるんだろうな)

 私たちは、こうなってしまった原因を知るため、このスーツの開発者であるお姉ちゃんに連絡を取ってみた。

 その結果、こうして首と身体がドッキングする機能は元々スーツにある機能で、リモコンを乱暴に押した結果、たまたまそれが発動してしまったということらしい。

 そして電源ボタンを押しても元に戻れないのは、乱暴に押した際にリモコンが壊れてしまったのだろうということだった。

 新しいリモコンはすぐに送ってくれるということだったので、それさえ届けば元に戻れる。そう考えると、少し余裕が出てきた。

「ねえ、さねこ。特に問題ないこともわかったし……お風呂入らない?」

『こんな時に何言ってるの?』

「でも、気持ち悪いでしょ?」

 同じ感覚を共有している私たちは、そのことがよくわかっているはずだった。

 さねこはしばらく考えるような間をあけた後、溜息を吐いたような感じをさせる。

『そうね、着替えないとだし……服とか貸してよ?』

「もちろん! 暫くうちに泊まることにすれば問題ないもんね?」

 さねこは実家暮らしだけど、私の家によく泊まりに来るので下着とかは置いてある。

 いつもと違って身体が一人分しかないのが不思議な感じだけど。

「……いまの状態なら、電車とか一人分の料金で乗れるのよね」

『ちょっとみくら? 何考えてるの?』

「いや、いまなら遠くて一緒に行きにくかった地方にも、一人分の旅費で行けるかなって」

『現金ねぇ……お姉さんの研究を、そんなせこいことに使っていいの?』

「せこくないもん。大事なことだよ! 長距離移動にも耐えられるのか、とかさ……」

『まあ、確かに実用化されたら、色々なものがひっくり返りそうなことではあるけど』

「でしょ? 旅先で起こりうる不具合とか改善点とか、そういうのはやっぱり実験してこそわかることだし。さねこが協力してくれれば、できるんだけどなぁ」

『……とりあえず、そういう話はリモコンが届いてからね』

 そうさねこは話を逸らした。

 けれど付き合いの長い私は知っている。

 こういうときのさねこは――割と乗り気になっているということに。


 平べったくなった友達と、旅行に行くようになる日は、そう遠い日のことではなさそうだった。



平べったくなった友達と。後編 おわり

Comments

概ね夜空さくらさんは、バッドエンドを嫌がっているようために使ってほしいという感じよりは個人的な想像のようなものです。 今回の小説が意図していない操作によって起きたことだという話であるため、このような想像もしてみたような話です。

festo

あまり否定的に言ったのでしょうか。 ツイートで言ったように平面化ではないようだが, こんなことも大丈夫という感じです. いつか書かれるような他の機能も期待します.

festo

平面スーツの通常の扱われ方を逸脱して、とんでもない快楽に見舞われてしまうというお話はいつか書きたいと思っているのですが、故障したり加工されたりで元に戻れなくなるパターンはバッドエンド確定なので中々書くのが難しいんですよね……。少なくとも、私自身では中々いい形で書けなさそうで。いつか創作の幅を広げるために、気合いを入れて挑戦してみるのもありかもしれませんが。

夜空さくら

ご感想、ありがとうございます!^w^ そうなんですよ……思いついたら書かずにはいられない人間なので、つい思いついたままに書いてしまったんですが、平面化ではないですよね……まあ、それを言ってしまうと、平面化スーツの機能がそもそも平面化を逸脱してはいるのですが(笑) リモコンの他の機能については、またおいおい書いていければ、と思っています。

夜空さくら

いつも平面化スーツ小説には苦痛は快楽に変換されるという描写がありますが。 ゴミゴミのようにむやみにもみくちゃになったり洗濯物を絞り出すように捻ってしまったり、人を平面化させたことなのに勘違いしてゴミで捨てられ無慈悲に再圧縮させて狂いそうな快楽を受ける話も想像してみました。 そして、強い物理的な変形によって平面化スーツが故障して取り返しのつかないまま永遠にその状態でいなければならないとか、もともと人間に戻ってきたが、ものすごい快楽に頭が狂ってしまい、そんな快楽なしには生きられなくなってしまい、再び自分を以前の状態に戻してほしいと要請して、またその状態に戻ってしまったとか...。 それとも、ある事件で平面化スーツの人を平凡なゴムと勘違いしてしまい、品物に加工されて一生使われるとか、ゴムスーツと勘違いして誰かのゴム正装の所有物で一生生きていくとか... いろんな想像がつく小説でした。

festo

すごく遅くなりましたが、おもしろく読みました。 前のツイートの中でこれは平面化ではないようだが。 と言うツイートがあったのに確かにそんな感じがする内容ですね。 平面化が合えば合いますが、感覚を共有することからこれは融合した感じがします。 確かに融合というには混ざっていないので融合というのもちょっと曖昧な面があるようですけど。 他のリモコンの機能はどのようなものがあるだろうか。 そして友達と旅行に行く話もこんなに融合した状態で行くのかそれともぺちゃんこになった状態で品物として扱われて移動するようになるのかとても読みたいことですが今はヒトネコ連載が先ですね. これからもよろしくお願いします

festo


More Creators