学園島 その8
Added 2020-01-20 14:40:43 +0000 UTCこの島に来る時に、どんな目に遭う覚悟もしていた。
島を訪れる人次第、さらに一方的に相手から選ばれる状況で、その人にどんな目に遭わされたとしても、文句は言えないと散々忠告されていた。
殴ったり蹴ったり、単純な暴力で殺されることはない、ということだけは保証されていたけれど、激しい責めや投薬の結果、必要以上に苦しんで死んでしまう可能性はあると警告されていた。
雑に殺されるのだけは嫌だったから、それがないことさえ保証されているのなら、激しく責められることで死ぬのは、むしろ本望だった。
けれど、そんな風に死ぬ覚悟を持っていた私でさえ――先輩奴隷の絵里さんがされている仕打ちには、とてつもない怖れを抱いてしまう。
スーツを脱がされた絵里さんは、いまだに床をのたうちまわって藻掻いている。
性的快楽も過ぎれば毒なのはわかっていたけど、そこまでのものになるとは、絵里さんも想像していなかったに違いない。気持ちよくなりすぎることによる苦しみを、絵里さんは限界を超えて味わい続けている。
一度体が転がるごとに、何度も絶頂しているのだろう。
はしたなく広げられた絵里さんの股間からは大量の愛液が溢れだし、部屋の床を塗らしていっていた。愛液だけじゃなく、尿や涎、涙や鼻水なども飛び散っているので、悲惨としか言い様がない状態だった。
覚悟していたはずの絵里さんも、そんな風にさせてしまうスーツの威力。改造されて二度と戻ることのない絵里さんの体。
まともに生活を送ることなんて、当然出来ない。彼女の意識がどんな状態なのか。まともに思考出来ているのだろうか。
いずれ私も、そうなるのだ。
怖い。怖い。体が恐怖で震えて止まらない。口枷を噛みしめていなければ、歯が鳴って五月蠅くて仕方なかっただろう。
体の深いところから冷え込んでいく、そんな破滅への予感を覚えているのに。
私はどうしようもなく――興奮していた。
呼吸が荒くなっているのは、恐怖ゆえなのか、興奮ゆえなのか。
暖かな液体が内股を滴り落ちているのは、恐怖の失禁なのか、それとも興奮による愛液なのか。
結局のところとどのつまり、『どちらも』が正しいのかもしれなかった。
私が自分の気持ちをハッキリと分別できず、戸惑っている間に、吹田さんは絵里さんから取り外した道具の一式を学長秘書さんに渡していた。恐らく洗浄のためだろう。さすがに人が着けていたものをそのまま着けるのは、色々な感染症だとかの問題があるようだ。
『さて、道具の準備が出来るまでに……お前の準備も整えておかなければな』
そういって、吹田さんが近付いてこようとして――地面で藻掻いている絵里さんの側を通りかかった。吹田さんは少し眉をしかめる。
『うるさいぞ』
一言呟いたかと思うと、絵里さんの乳房を横から蹴り飛ばした。
あくまで、軽く、だったように見えた。
『――ギャッ!』
しかしその一撃で絵里さんは体を弓なりにして悶絶し、そして気を失って崩れ落ちた。白目を剥いた彼女の顔が、まるで死んだように見えてドキリとする。
スーツによって敏感になった彼女の乳房は、吹田さんの軽いキックで爆発したような衝撃を生み出したようだ。絵里さんはぴくりとも動かない。
『よし、静かになったな。すでに体内の洗浄は出来ているはずだが……』
吹田さんが四肢を上下に引かれ、吊されている私の側に立つ。
その手が、私の股間に触れてきた。
「んぅ……っ」
『ふむ。いい具合に濡れているではないか』
意地悪く吹田さんが指摘してくる。やはり、頭で感じる恐怖より、心で感じる興奮の方が勝っていたようだ。
『くくく……普通は濡らすわけもないからな。恐怖で少し漏らしでもしたか?』
設定上の私に合わせて、吹田さんはそんなことを口にする。私が言うのもなんだけど、白々しいにもほどがあった。
『まあいい。奴隷候補に最後の情けをかけてやろう。いまから普通に犯してやる。膣の動きだけで私に射精させることが出来たなら――貞操帯スーツの装着は無しにしてやってもいいぞ』
よほど出さないことに自信があるのか、吹田さんはそんなことを言い出した。
確かに私は性的経験に豊富な方じゃないから、この手のことに慣れているであろう吹田さんを射精させるのは厳しいかもしれない。
(本気でやっていい……ってことよね)
設定としての私は力を振り絞るだろう。実際、私自身にも貞操帯スーツに対する恐怖はないわけではなかったから、頑張れるだけ頑張ろうという気持ちが強い。
吹田さんはそんな私の気持ちを弄んで楽しんでいるのだ。
この島に来るくらいだからわかっていたけど、趣味の悪い人だった。
この島に来るくらいの『私たち』からすれば――趣味がいい、のかもしれないけど。
その後、私は吹田さんに容赦なく犯されながら、なんとか吹田さんを射精させることが出来ないものかと、出来る限り膣に力を込めたり、動かせる範囲で腰を振ってみたりしたけど、全ては無駄に終わった。
やはりこういうことに手慣れている吹田さんを射精させることなんて、出来るわけがなかったのだ。
虚しく奮闘している間に、とうとうその時がやって来てしまった。
学長秘書さんが、例の装着具一式を持って現れた。
『くくく……残念ながら、時間だな。しばらくはこの感覚も味わえないんだ。存分に味わうといい』
そういって、吹田さんはいきなり私の身体の奥で射精した。自由自在とはこのことをいうんだろう。
熱い精液が体の奥に噴き出しているのが、なんとなくわかる。私の中で性器が痙攣し、最後の一滴まで絞り出していた。
射精したことで少し小さくなったペニスを抜き取り、愛液と精液で汚れたそれを、吹田さんは軽く布で拭う。
そして、学長秘書さんから道具を受けとるために、私から離れていった。
「フゥ……フゥ……フゥ……ッ」
出来る限り腰を振っていたために、呼吸が乱れている。
中だしされた精液があそこから溢れ出している状態のまま、放置される。
いまからあの恐ろしい貞操帯スーツを装着させられるのだ。
吹田さんは学長秘書さんから受けとったスーツを見て、満足そうに頷いている。
『うむ。いい調整をしてくれているな。葵、みてみろ』
私にもわかるように見せてくれた。
スーツの内側の様子が少し変わっている。絵里さんが脱いだ時に比べて、内側に立っている針が全体的に小さくなっているようだ。特にクリトリスに突き刺さっていた部分の針は、他の部分より長いことは長いけど、小指の先ほどはない。
(さすがに、あれをいきなり着せられるってわけじゃないのね……)
にしても、針を小さくする調整というのはどうやれば出来るのだろう。
針のようにしか見えないけど、実は膨張したりする素材なんだろうか。
それが装着している間に、血か何かを吸って徐々に大きくなっていくのだとすると、じわじわと恐怖が湧いてくる。
期待もまた同様に感じてしまうのが、どうにも仕方の無い私だった。
吹田さんが私の両手両足を拘束していた枷を外してくれた。
久々に体が自由になる。口枷と耳当てだけを身につけている状態になった。
『まずは洗浄しないとな。こっちに来い』
そういって吹田さんは部屋の一角にある洗浄装置に入るよう、私を促す。
さっきの吹田さんの口ぶりからすると、眠っている間に体内の洗浄はされていたようだけど、射精された膣の中や、汗や涎で汚れた全身を洗浄するみたいだ。
世の中には箱蒸し風呂というものが存在するそうだけど、洗浄機の見た目はそれに近かった。
全体的には、首から上を外に出す仕掛けがある箱だ。
普通の箱蒸し風呂は座ってリラックスできるようになっているものが多いけど、それは立った状態で入る仕様になっている。
箱の中の壁には、ハニカム構造の穴が無数に空いていた。
そして、底面の真ん中には明らかに迫り上がってきそうな棒が一本縦に通ってあり、おそらく私が入った後で股に当たるのだと推測が出来た。
吹田さんに命じられるまま、私はその洗浄機の中に立つ。学長秘書さんが少し私の立ち位置を調整した後、洗浄機のドアが閉められた。
首がその閉じる動作に従って固定され、箱の上面から首だけを出した状態で動けなくなってしまった。
『じっとしていろよ』
そう吹田さんに命じられる。言われた通りに身体を動かさずにいると、いきなり全身に液体が噴射された。
「ハヒッ!」
思わず声が出た。口枷のせいで余計に変な声になって、恥ずかしかった。
かなり水流は強く、気を抜くと手が動いてしまいそうになるので、慌てて少し力を入れて立ち続ける。
先ほど見た棒のようなものが迫り上がってきたらしく、私の股間に触れる。少し食い込んだ程度で止まった。
その棒からも水は出ていて、私の股間を洗ってくれているようだった。
(表面だけ……なのかしら?)
そんなわけがなかった。
私は体の中に、細い棒状のものが入ってくるのを感じる。体内まで徹底的に洗浄する気のようだ。
固定されているのは首だけとはいえ、身体の状態は一切見えない。そんな状態では暴れることなどできないし、そもそも吹田さんに動くなと命じられている以上、私から動くことはできなかった。
「う……っ、ウゥぅ……ッ」
私が暴れようと暴れまいと、洗浄機は容赦なく動き続ける。
手で触るまでもなく、私は大量の液体を注ぎ込まれた腹部が、まあるく膨れ上がっていっているのを感じていた。
体内洗浄というわけだ。ひたすら膨らまされ、ごろごろと不穏な音を立てて腹が鳴るのがわかる。
ひとしきり腹が膨らまされた後、管が抜けていく。
「あっ……!」
何かされたのだろうか。
管が抜けるのと同時に、私はなぜか出すのを我慢することが出来ずに、注がれたものを前部噴き出してしまった。
出た端から体に向かって噴射されている水によって洗い流されているので、気持ち悪くはならなかった。
シャワー中にお漏らししてしまっているような、羞恥心と罪悪感はあったけれど。
そんな恥辱的な洗浄処置が終わると、今度は熱風が全身に吹きつけられた。
乾かすところまでやってくれるのは便利というか、なんというか。介護施設とかならすごく便利そうだ。
(頭だけ汗まみれっていうのは、ちょっと気持ち悪いけどね……)
そんなことを考えつつ、洗浄機のドアが開いたので、外に出る。ふと見下ろしてみた自分の体は、自分の体じゃないみたいに綺麗だった。
単なるシャワーを浴びせられたわけじゃなかったみたいだ。おそらくだけど、垢とか古い角質だとか、そういったものを徹底的に洗い流してくれたのだろう。
驚いていると、ご主人様が意地悪く笑うのが視界の端に映った。
『フフフ……今のうちによくみておくといい。自分身体のまともな姿を見るのは、今が最後かも知れんからな』
そうだった。少なくとも、いまから私の身体は貞操帯スーツの中に閉じ込められ、ご主人様が許可を出してくれるまで自分では見られなくなる。
今後ご主人様がどういった方向で私の身体を改造していくのかはわからないけど、今と同じではいられないだろう。
そう思うと、その眩しいくらいに白く輝く普通の体が、名残惜しいような気がする。
けれど、私はまだ気付いていなかった。
すでに私の身体は――普通とは言えない状態にされているということに。
つづく