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改変された世界の片隅で ~赤土政夫視点~ その3


 嵌め込まれていた口枷のペニスギャグを抜き取ると、ぽっかりと空けられた口内の様子がよく見えるようになる。

 口内のほとんどは円筒状の口枷で覆われているとはいえ、喉奥が露出しているし、唾液に塗れてどろりとしていた。

「うぁ……おぅ……っ」

 力無い呻き声が、その喉奥から発される。

 溜まっていたものを排出したばかりで少し脱力していた彼女だが、口枷の栓を抜かれると同時に半納し、脱力気味だった身体に力が入った。肉便器としての責務を思い出し、気合いを入れ直したようだ。

(……本人の気質か、それともそういう風に改変されてしまっているのか……はっきりとはわからないな)

 説明書に載っていた顔写真を信じるのなら、生真面目そうな印象を受ける子だった。

 与えられた職務を全うしようという気概があるのかもしれないが、実際のところどうかは肉便器の姿からはわからない。

 ともかく、私は彼女から抜き取った栓を眺める。

(さっき光樹が使ったわけだけど……それが残っている様子はない、よな)

 あの様子からして、恐らく光樹は射精も行ったはずだ。と、なれば当然その痕跡が残っていておかしくはないのだが――手にしたペニスギャグは非常に綺麗だった。

(……そういえば)

 私は改めて説明書を確認する。

 その機能一覧の中に『自動洗浄機能』があった。

 どうやら口枷の内側には、挿し込んだペニスに刺激を与える機能の他にも、微量の水を出して常に内側を綺麗に維持する機能もあるらしい。無論、その分の水分は全て彼女が飲み干さなければならず、肉便器の使用回数が増えると、その分メンテナンスの回数も増やさなければならないらしい。

(なるほど、さっきこの子が催していたのは、夜の間に出せずに溜まっていたのに加えて、光樹が使用した分の洗浄液を飲み干したから、ってことか)

 あんなにすぐにギリギリになってしまうとすると、ろくに家も空けられなくなるのではないかと危惧したが、そういうわけでもないらしい。

(旅行とかで日を開けるときはどうす……っと、それよりも、だ)

 色々と疑問は湧いてきたが、説明書には大体のことが書いてあるようだし、それに先行してやらなければならないことがあった。

 何を隠そう、私も催していたのだ。元々朝一でトイレに行こうと思ったら世界が改変されていることに気づいたのだから、当然だった。

 驚きと動揺で生理現象は収まっていたが、説明書を見つけ、少し余裕が生まれたことで改めて尿意が限界に達していた。

(……しかし、やはり女の子の口に排尿するというのは……少し抵抗があるな)

 私も男である以上、そういった事に興味が無いわけではないが、見ず知らずの女性相手にやることではないとも思うのだ。光樹はそんなこと全く気にせずやったのだろうが。こういうときはあいつの向こう見ずさが少し羨ましくなる。

(だが、改変された世界では全てのトイレがこうなっている可能性もあるし、何よりそういった行動にも慣れておかないと、いざというときに怪しまれるかもしれない……)

 改変がどの範囲にまで及んでいるかはわからないが、少なくとも人智を越えた力によるものであることは確かだ。そこから偶然免れてしまったのか、あるいは何らかの理由があるのかはわからないが、下手な注目を集めることは危険だと私は直感していた。

(私なら、改変されていない人間を見つけたら真っ先に始末するだろうからな)

 たまたま私も光樹も大事な女性がおらず、肉便器にされている女性を見ても大した感慨はわかないが、人によっては改変者を殺したいほど憎む者もいるはずだ。

 改変者には私や光樹がそういうタイプかどうかはわからないはずで、わからないなら反逆や反抗の意志を持っているかも判別が出来ない。ならば改変されない奴は消してしまえと思うのは、自然なことだと考えられた。

(ゆえに、ここでこの肉便器利用して、こういった状態にされた女性を使用することに慣れておくのは、今後活動していく上で必要な経験といえるだろう)

 そう理屈立てて考える私。半ば以上詭弁ではあったが、それによって私の良心は誤魔化されてくれたようだった。

 ズボンを下ろし、ペニスを露出させる。自宅のトイレの中とはいえ、下半身を露出するのはあまり良い気分ではなかったが、初めてのことゆえ、どの程度汚れるかどうかわからない。服を汚さないために、下半身に服を身につけない判断は妥当だろう。

 私がペニスを露出しても、肉便器となっている彼女は特に反応を示さない。見えていないわけだから当然だが。日々きちんと洗浄しているので、性器特有の臭いもそんなにしないはずだ。

「フッ、フッ、フゥッ……!」

 肉便器の彼女は、こちらの動きなどわからないであろうに拘束が許す範囲で身体を前のめりにし、鼻息を荒くしていた。

 その動きは、ペニスを求めている動きだと気づく。

(普通の人間なら絶対に嫌だろうに……改変力は恐ろしいものだな)

 恐らく彼女はその行動をおかしいとさえ思わないのだろう。ただ性的に搾取されることを漫然と受け入れている。完全に改変されていた。

 私はそんな哀れな肉便器に、少し同情してしまう。

 改変を解除する方法など全く想像もつかない今、私に出来るのはせめて彼女の望む通り、ペニスをその口内に挿入してやることだけだった。

 そんな必要があるかもかわらないが、肉便器の彼女の頭を両手で掴み、暴れないように固定する。

 ラバーで出来た全頭マスクの感触は、私にとって未知のものだ。ラバーは冷たく感じたが、すぐにその内側には人肌の温度があると気づく。彼女が確かに生きた人間であることを、改めて実感させてくれる感触だった。

「んぉ……ん……」

 一瞬驚いたようにも感じたが、彼女は特に抵抗することなく、私の手の成すがまま脱力していた。いくらでも犯してくださいと言わんばかりの脱力だった。

「……っ」

 私はゆっくりとペニスの先端を、彼女の口内に突き入れていった。

 それと同時に、挿し入れた口枷の内側が蠢き出し、私のペニスをより奥へと導こうとする。ワンパターンな機械的な刺激とはいえども、私にしてみれば始めて体験する道の刺激だ。

「うぉ……っ、くぅ……!」

 経験豊富な光樹とは違う。私は腰を引かないようにッ堪えるのが精一杯だった。

 男のペニスの構造上、勃起している時は催していても排尿するのは中々難しい。それがなければ、挿し込んだ段階で出してしまっていてもおかしくなかった。

「ぐ、うぅ……っ!」

 とにかく抗う事などできない。刺激を与えられるまま、ペニスを巻きこまれた私は、根元近くまでペニスを彼女の口内に挿し入れてしまった。

「んぐっ、ぉッ」

 変な声をだして肉便器の彼女が震える。あとから考えれば、このとき私のペニスは彼女の喉奥を容赦なく突いており、それによって彼女が苦しくなるのは当然だった。

 このときの私は、奥まで挿し入れたことによってペニス全体に口枷による製劇を与えられることになり、経験したことのない快感に翻弄されてしまっていた。相手のことを慮る余裕など欠片もなかったのだ。

「ぐ、ぅっ……で、出る……っ」

 相手には聞こえていなかっただろうが、私は情けなくもそう呟きつつ、促されるままに射精に到ってしまった。

 そんなつもりはなかったが、私は肉便器の彼女の喉奥に直接精液をぶちまけた形になった。

 改変される前の世界で、普通の女性にやったならば、抗議されてもおかしくない暴挙だったが、肉便器として改変された彼女はその暴挙を素直に受けとめてくれた。

「んぐっ、んぐっ……!」

 苦しげに呻きながらも、吐き出した私の欲望を身体の奥へと受け入れていく。

 私は射精後特有の、少しの脱力感を覚えつつ、彼女の口内で膨張したペニスが萎んでいくのを感じていた。

 そうなると、今度は尿の方がだしたくなってくる。

(このままだしてしまってもいいものだろうか……大丈夫、だよな……?)

 どうやら私の精液は少し粘度が強かったらしく、苦しげに肉便器の彼女が呼吸をしているのを感じた。喉にこびり付くように感じているのだろう。

 私は少し悩んだが、そのまま用も足してしまうことにした。どうせいつかはしなければならないことなのだから。

 女性の口内で排尿する。そんな経験はもちろんなく、妙に心臓が跳ね回って緊張した。

(これは仕方のないことなんだ……うん。仕方ない……)

 郷に入っては郷に従え、である。

 一々言い訳をしなければふっきれない自分に、自分で辟易しながらも私はペニスにそういうつもりで力を込めた。

 暖かい液体がペニスの中を通り、排出されていくのを感じる。肉便器の彼女の喉が上下に動き、だしたものを残らず飲み込んでくれているのがわかった。

(ああ、なんだろうな、この気持ちは……)

 元の世界でそんなことを思う人間がほとんどいないように、この改変された世界では肉便器に対してそういう気持ちを抱くのは間違っているのだろう。

 だが改変されていない私には、私がいましたような行為を受け入れてくれた存在に対して『愛おしい』という感情を抱くのはどうしようもないことだった。

 つい、必死に私のものを飲み込んでいる彼女の頭部を、優しく撫でてしまう。肉便器の彼女はそんな風に撫でられることは想定していなかったのか、不思議そうな反応をしている、ように感じた。

(うん……やはりあまり触れない方が良さそうだな)

 拘束された彼女が何を出来るわけではないと思うが、もしも彼女が私や光樹の以上に気づいて何かした場合、始末されてしまいかねない。

 名残惜しく観じつつ、彼女の頭部から頭を離し、栓であるペニスギャグを改めて彼女の口内に抑えた。

 喉奥までを貫くそれを挿入するにはかなりの抵抗があり、躊躇いもあったが、なんとか納めきることが出来た。

「……ふぅ、さて……と」

 ひとまず射精と排尿を済ませた私は、トイレから出て自分の部屋へと戻る。

 肉便器の説明書を読み込むのもいいが、色々と調べなければならないことは山積みだ。

 そう考えた私は、パソコンを起動する。調べ物といえばやはりこれだ。一般常識やマナーまで網羅するインターネットの力に頼らない術はない。

(まずは何を調べるか……)

 ひとまず起動した段階では特に何の変化もなさそうだ。

 インターネットプラウザを立ち上げる。いつも表示している検索画面には、その日のニュースが表示されているが、そこにもあまり目立った変化はなかった。

(事件・事故のニュース……スポーツはどうなってる?)

 スポーツは男女が明確に存在するジャンルのひとつだ。女性がどういう扱いになっているかを見るには、ちょうど良いだろう。

 そう思ってスポーツのページをまず開いてみたのだが、そこにはいままでは考えられない種目が、野球やサッカーと並んで当然のように載っていた。

「セックス……だと? いや、元々夜のスポーツというくらいだし……改変された世界なら、むしろそういう扱いが自然……なの、か?」

 セックスと示されたスポーツのページをクリックしてみると、そこにはセックスをスポーツのように扱った真面目な記事が載っていた。

 連続射精世界記録更新とか、元の世界ならどんなジョーク記事だと、頭が痛くなるような内容が堂々と載っている。

 女性に関しては気を失うまでの絶頂回数を競うものがあるらしく、それを容易に行えるようにするための機械姦装置の新開発情報など、なんとも言えない記事が載っていた。

(しかし……これで改変は全世界に及んでいることが明らかになったな……)

 無論、単にそういう風に見せかけているだけで、実際はもっと狭い範囲にしか改変が及んでいない可能性もあったが、そういう可能性は考えなくてもいいだろう。

 私はさらにネット上で、この世界について調べていくことにした。



赤土政夫編 その4 につづく




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