コンパニオンテンタクルズ 試作版
Added 2020-06-09 14:27:18 +0000 UTC※次にシリーズ化しようかなと思っている異種姦ものの短編です。試作版と書いてあるように、のちに設定の変更などが生じる可能性があります。ぜひご意見ください。
※異種姦・触手姦の要素が含まれます。
引越しのトラックから降りたら、足元に触手が生えていて死ぬほど驚いた。
それは白くて、細い触手だった。太さは当時の私の指くらいで決して太くはなかったけれど、その代わりにウネウネと元気よく動いていた。サンダルを履いていた私の足首に、その触手は絡み付こうとしていた。
ぴとり、と触手が私の足に触れる。
触手の先端部分の、少し膨らんだ部分からヌメりを伴った分泌液が滲んでいて、少しざらざらしている触手の表面の感触を不可思議なものに変えていた。そんなものに急に触れられた私が、背筋にぞわりとしたものを感じて、悲鳴をあげたのは仕方ないことだったと思う。
「ひゃぁっ!?」
思わず飛び上がる。私が動いて驚いたのか、触手はすぐに引っ込んだ。きゅっと丸まって地面にとぐろを巻く。
触手の動きは大人しいものだったけれど、こっちが驚いたことに変わりはなく、私は側に立っていた母さんの腰にしがみついた。
「おかーさん! 触手が! 触手が生えとる!」
そう泣きそうな声で叫んだのだけど、母さんは全く動じず、視線すら向けてはくれなかった。あとから考えると娘の姫ににすら無反応だったのは冷たくはないだろうか。近所でも名物なくらいの肝っ玉母さんだったから仕方ないけれど。
「あらあら、そうねぇ。あ、段ボールの荷物は家の縁側にどんどん積んでっちゃってください。あとは自分らでやりますんで……大きな家具を……」
引越し業者の人とのんびり話していたくらいだ。
そうしている間に、また触手がウネウネとこちらに向けてその体を動かしてきて、私は再び悲鳴をあげた。
すると、父さんが飄々とやってきて、触手を軽くむしりとり、近くの草薮の中に放り投げた。
「これからは僕が草刈りと触手刈りをしないとダメなのかぁ……憂鬱だなぁ。たまには姫子も手伝っておくれな?」
手を叩きながらボヤいた父さんは、そのまま引越し業者の人を手伝いに行ってしまった。触手のことなど、処理が面倒な雑草と同じようにしか考えていないようだった。
それもそのはずで、父さんは元々こちらで農家をやっていたのだ。
家では母さんの言うことに逆らわず、黙々と仕事をしてる印象の腰の低い人だったけど、体つきは相当逞しかったので、荷物をいくつもまとめて運んで、引越し業者の人に驚かれていた。
慣れ切った様子の二人に受け流された私が、いきなり触手に絡まれた現実をどう処理していいか呆然としていると、私の傍に兄さんがやってきて、優しく手を握ってくれた。
「姫子、大丈夫? 最初は驚くよね」
「おにーちゃん……っ」
少し歳が離れていると言うこともあって、お兄ちゃんはとても私に優しかった。いつもニコニコと穏やかで、喧嘩したこともほとんどない。私の同年代の男の子はみんなヤンチャで子供っぽく、私にちょっかいをかけてくるような子ばかりだったから、そのこともあって私はお兄ちゃんが大好きだった。
難しいことでもなんでも教えてくれるお兄ちゃんなら、私が納得できるように説明してくれるはず。
「おにーちゃん、いまね、触手が……」
「ああ、この辺には野生の触手が結構生えるんだ。姫子も生の触手は見たことあったよね? 去年の夏休み、触手の観察日記つけてたし」
兄さんに言われて頷いたが、疑問は残る。
「でも、おかしいやん? 触手って、キレーな土と、水がないとあかんのやなかった?」
土の管理には一番気をつけなければならない。触手を植える時、一番注意したことだ。水も下手に雨水が入ると触手が弱ってしまうので、室内での世話が原則だった。
「うん。そうだね。この辺は田舎だから、普通の地面からでも触手が生えることがあるんだよ。ちょっと探してみようか」
兄さんに導かれるまま、家の庭を少し歩いてみたら、庭の一角に触手が生えていた。
今度のは、相当大きい、と言うか太い。
さっきのが私の指くらいだったのに対し、こちらは私の腕くらいはある。
それがウネウネと元気に動いていた。先端部分もさっきの奴とは比べものにならないくらい膨らんでいて、さっきの奴と同じように表面にじんわりと白い粘液のようなものが滲んでいた。
「あったあった。ね? このあたりはどこにでも生えるんだよ」
「お、おっきい……」
それは私が夏休みの自由研究で育てていた触手より一回りは大きかった。クラスで一番大きいと言われていた子のものくらいの大きさがあった。
触手は簡単には死なず、管理は簡単だけど、それなりに大きく育てようと思ったら大変だった。綺麗な土と水を用意し、与える肥料に含まれる栄養バランスに気をつけつつ、程よく刺激を与えて遊んであげることが大事だと言われている。
私はなるべくサボらずしっかり育てたつもりだったけど、そんなには大きくならなかった。それでも普通程度の評価はもらえたけれど、大きく育てた子が自慢するのが悔しかったものだ。
(こんな大きな触手が、そこらへんの庭先に生えてるやなんて……田舎てすごいんやなぁ)
私はそう思いつつ、触手に向かって手を伸ばす。
すると、その触手はまだ触れられてもいないのに、急にその先端部分を大きく膨らませーー私目掛けて、白い液体を噴射してきた。
「きゃっ!?」
とっさに顔を手で庇う。白い液体がかかる覚悟をしたけれど、何もかかる感じはしなかった。
恐る恐る目を開けると、私の前に手を差し出した兄さんが、噴射された白い液体を掌で受け止めていた。
「驚いた? 言うの忘れててごめんね。野生の触手でこれくらい大きく成長した奴は、分泌液を噴き付けてくるんだ。気をつけないと白いのでドロドロになっちゃうから、通学路では特に気をつけてね」
言いながら、兄さんは掌で受け止めた白い液体を舐めていた。
私はそれに驚く。
「ば、ばっちくないの……?」
「今分泌されたばかりのものだから、路肩に生えてる雑草よりは綺麗だよ。それに……触手が分泌する液ってすごく甘いんだよね」
花の蜜を吸う、みたいなものなのだろうか。
なめてごらん、と兄さんが白い液体をつけた人差し指を差し出してきたので、私はそれを恐る恐る舐めてみた。
そして、目を見開く。
「ん……っ、あ、あまーい!?」
本当に甘かった。どろりとした粘性を感じる割に、口の中で唾液と絡むと甘さだけを残してスッと消える。とても上品な甘味といった感じだった。
思わず兄さんの指をちゅぱちゅぱと吸っていたら、兄さんに苦笑されてしまった。
「くすぐったいよ、姫子」
「あっ……ご、ごめんなさい……」
子供というか、幼児みたいな行動だったことを自覚して、顔が熱くなる。
兄さんは優しく流してくれた。
「都会と違って、触手は至る所にいるからね。姫子はあまり外で遊ぶタイプじゃないけど、外に遊びに出る時は気をつけないといけないよ。まあ、この辺りの野生の触手って穏やかな気質のものしかいないから大丈夫だと思うけど」
「穏やかじゃない触手もいるの?」
「そりゃあ触手も生き物だからね。嫌なことや痛いことを経験し続けた触手は、人も傷つけるようになっちゃうんだ。悪い人はそれを利用して触手の平気転用なんかもしてるらしいし、本当にひどい話だよ」
兄さんの話は、当時の私が理解するには難しく、とりあえず怖い触手もいるのだということは分かったので、神妙に頷いていた。
「まあでも、姫子も学校で習ったと思うけど、そう言う特殊な例を除けば、触手は他の生物を傷つけることはほとんどない、優しい生物だから問題ないけどね。……そうだね、姫子が気をつけるとしたらーーあそこに、大きな杉の木が見えるだろ?
そういって兄さんが指し示したのは、家の裏側だった。そこには古くて大きな家よりもさらに大きな、杉の木が聳え立っていた。
「ああいう大きな木の根本には、触手が巣を作っていることがあるんだ。大きな空洞になっていて、秘密基地にはもってこいなんだけど……ある問題があってね」
「問題?」
「うん。まあでも普通は心配ないよ。一人でいかなければ大丈夫だから。行きたくなったらお兄ちゃんに言うんだよ?」
その後も、兄さんは家の中や周りを案内してしてくれた。
かつてこの家に来たことがあると言う兄さんは色んなことにとても詳しくて、夢中になっている間に、杉の木のことは忘れていた。
もしもここで兄さんにどんな問題があるのかまで聞いていたらーーそれは、もう言っても仕方のないことだ。
それからの数週間はあっという間に過ぎた。
引越しの後片付けもあったし、田舎だからか周囲の家の挨拶回りに私も連れ出され、色んな家を回らなければならなかった。
過疎化が進みつつある田舎では私くらいの年齢の子供は珍しいらしく、やたらと構い倒された記憶しかない。
ようやく落ち着いて来て、のんびりとした時間が訪れると、私は急に暇になった。
同じ年頃の子供は歩いていけるような近くに住んでいなかったし、当時よく遊び相手になってくれていた兄さんは、私とは違う学校に通っていたため、授業の開始時期が違って、その時すでに学校に出かけていた。
広々とした田舎の家と庭は、実に探検のしがいがある広さがあったけど、さすがにその頃になると大体行き尽くしていた。
「暇やわぁ……」
縁側でゴロゴロ転がっていると、ふと家の裏の大きな杉の木のことを思い出した。
(そうや……あの木の根元に、お兄ちゃんが秘密基地があるって言ってた気がする)
当時の私は怖いものなど何もなく、兄さんからきいた話はうろ覚えだった。
何か杉の木に関して言われていたような気がしたけれど、それを思い出すことはなかった。
「おかーさん、ちょっと外行ってくるなー」
当時の母さんは周辺の家に住む人から様々な郷土料理を教えてもらっていて、それを作るのに熱中していた。そのせいで私は放って置かれていたのだけど、その分美味しいものが食べられるので文句はなかった。
「散歩? 気ぃつけてねー。藪の中には入ったらあかんよー」
何かを煮込んでいる母さんは振り返りもせずにそう応えた。すごい熱中具合に、また美味しいものが食べられそうだと、私は喜びながらサンダルを履いて外に出た。
家の生垣を辿りながらぐるりと家の裏側へと回り込む。
巨大な杉の木はザワザワと音を立てて葉を鳴らしていて、少し不気味だった。
それでもまだ外が明るかったこともあり、私はさほど躊躇うことなく、杉の木の根本を目指して歩き出した。幸いというべきか不幸にもというべきか、そこに至るまでの道はきちんと整備されていて綺麗だったこともあって、足を踏み入れるのを躊躇う理由は全くなかった。
根元までくると、その杉の木の巨大さが改めて実感できた。
大人が数十人いても抱え切れないのではないかと思わせるくらいに太い幹。そこから伸びる根の一つ一つも太い。
都会ではまずみられない巨大な木に、少し圧倒されつつ、その木の周りを回ってみる。
(確か根元に空洞があるって言うとったっけ……?)
ぐるぐる回って探してみるけど、全くそれらしき穴は見当たらない。
某アニメ映画みたいに穴が空いてる時と空いていない時があるのかもしれない、などと言うことを考え、少しワクワクしていた。
しかし、少し根っこに登ってみたら、すぐに穴を見つけてしまい、逆に拍子抜けしてしまった。
(お兄ちゃんが言うとったのは、この穴のことなんかな……?)
恐る恐る中を覗き込んでみる。斜めになった穴は奥まで続いているようだったけど、暗くて先が見えない。
身を屈めながら、その穴の奥にゆっくりと入っていった。
すると徐々に目が暗闇に慣れていって、奥の様子まで見えるようになっていく。そうして見えてきた景色は、私を興奮させた。
「これは……! 確かに、これは秘密基地やなぁ」
アリの巣の一室みたいに、入り口の穴に比べて奥はかなり広かった。
大の大人が五人は並んで寝転べそうな広さに加え、子供は屈まなくても良いくらいに天井が高い。
穴の中だからもっと湿ってジメジメしている雰囲気を想像していたけど、床も壁も、思っていた以上にさらっとした様子だった。木の根っこ自体が天井や壁になっていて、座ったり寝たりしても服に泥などが付着する恐れもなさそうだ。
「うわぁ……とても素敵やなぁ……」
穴の奥にはかつてここに入って遊んでいた子供の跡と思われる小さな小物が落ちていた。兄さんのものがあるかどうかはわからなかったけど、歴史を感じてドキドキする。
さすがに年月が経っているからか、小物はどれもボロボロで、手に取る気にはなれなかったけれど、ここを秘密基地として活用していたことは間違い無いようだ。
私は椅子みたいに張り出している根っこの一つに腰掛ける。
(最近は誰も来てへんみたいやし、お兄ちゃんと私の秘密の場所にしよう……ん?)
ふと、視界に白いものが映り込み、私はそちらに目を向ける。
壁になってる根っこの隙間から、白い触手が這い出して来ていた。
思わず体を竦めて警戒してしまったけれど、壁から1メートルほどの長さで飛び出したそれは、ウネウネしているだけでこっちに近づいてくる様子は無い。
それにその触手は細くて私の指くらいしかなく、そんなに大きくなかったので、警戒心もすぐに薄れた。
(そう言えば、この空洞は触手が作ったものやってお兄ちゃん言ってったっけ。こんなちっこい子ぉがこの広い空洞を作ったんかなぁ……あ)
ここまで来てようやく、一人ではいかないように、と言われていたことを思い出した。兄さんとの約束を破ってしまったことに動揺したけど、何事もなく戻れば良いだけのことだ。私は立ち上がり、帰ろうと足を動かしかけた。
けれど、壁から飛び出して揺れる触手のことが、どうしても気になった。
(あれくらいの細さなら簡単に引き千切れるし、絡みつかれても大丈夫やろ……)
安易にそう考えた私は、恐る恐る触手に近づく。触手はゆらゆらと動き、私の手に絡み付こうとして来ていた。
そっと手を伸ばしてみると、手の上でクネクネと動き出した。じゃれてきているようで、少し可愛く感じる。
(去年育てた触手も、こんな風にじゃれてきてたっけ……)
細かく蠢く触手のことは、気持ち悪いとする女の子も多かったが、私は特にそう言う風には感じなかった。虫もあまり苦手では無いから、そう言う耐性の
ようなものが生まれつきあったのかもしれない。
しかし今回の場合、その嫌悪感のなさが逆に仇になった。
壁からもう一本触手が伸びてきたので、私はそれにも手を差し出した。
私の手にそれぞれの触手がじゃれてくる。
「ふふ……かわええなぁ……んっ?」
触手が擦れている掌が妙にくすぐったく感じた。
この時の私は理解していなかったけれど、触手たちの分泌する液体というものには催淫作用があった。この杉の木の根元に巣食う触手は、それが特に強い品種だったのだ。
兄さんが一人でここに行かないように言ったのは、この類の触手は臆病で、人が数人で集まっていると出てこないからだった。一人で行ってしまうと触手たちに絡まれてしまう。兄さんの忠告はそうならないようにするための物だったのだ。
ただ、兄さんの忠告は、何年の前のことを基準にしていたので、ひとつ大きな誤りがあった。
兄さんの警告はせいぜい「一人でいると触手が這い出してきて、悪戯してくる。痒くなる液体を分泌するから、絡まれないようにした方がいい」くらいの物だった。実際兄さんが昔この場所に来ていた頃には、触手はその程度のことしかしてこなかったようだ。
当時は当時は触手も小さく、大それたことができる大きさでは無かったのだ。
しかし、かつて子供としてここを訪れた兄さんが大きく成長したように。
この場所に巣食う触手もまた、成長していた。
そのことを、当時の私は全く知らなかったし、兄さんも知らなかった。だから警告が緩いものになってしまったのは仕方ないし、兄さんを責めることはできない。
呑気な私は、両手にじゃれついていくる触手に合わせて指を動かし、触手が絡みつくのに任せていた。
くいくい、と弱々しい力で腕を引っ張ってくるので、私は自然とそれに従って腕を下へと下ろしていた。
完全に意識を下へと誘導されていて、気づくのが遅れた。
ふと何かの気配を感じて上を向いた私は、私の胴体ほどの太さがある触手が、その口を大きく開いているところを見てしまった。
丸い円のように広がった口が、私を頭から包み込む。
視界が一気に真っ暗になると同時に、上半身が触手によってギュウウと締め付けられた。
「ングゥーーっ!?」
上半身を丸呑みされてしまった私は声を上げることもできなかった。
触手の口は私の体にぴったり張り付き、上を向いた姿勢のまま、首を動かすこともできない。
生暖かいものに上半身が包まれ、恐ろしく甘い香りが胸いっぱいに広がる。
締め付けられるだけじゃなく、その触手は私の体を少し持ち上げすらしていた。
普通の触手はそこまで丈夫なものじゃ無いのだけど、その触手はまるでゴムみたいに頑丈で、機械のように力強く私の体を易々と持ち上げていた。
私が慌てて足をバタつかされてもびくともしない。履いていたサンダルがどこかに飛んでいった。
「んぅーっ! んぅっ! うーっ!」
ジタバタ、ジタバタ、ジタバタ。
必死に足をバタつかせて逃れようとしたけど、触手の力は強力でびくともしない。私を吊り上げた状態のまま、ぴくりとも動じなかった。
手で押し退けようとしたけど、手にじゃれついていた触手たちが絡まって動かせない。易々と引きちぎれると思ったそれらの触手は、まるでワイヤーみたいな丈夫さを持ち合わせていた。
指の一本一本まで絡みつかれ、指先一つ動かせない。
(く、くるし……っ、ぷはっ!)
上を向かされたまま呼吸をしようとしたら、その部分だけ触手の内壁が下がり、空洞ができた。そのおかげて、なんとか呼吸できたけど、吐いた息をそのまま吸い込むようなもので、全然楽にならなかった。それどころか、一度触手の体内吐き出してしまった分、触手の濃厚な匂いが混じり、頭がぼーっとし始める。
(なに、これぇ……? なん、か、すごく……変な……気分……っ)
自由に呼吸ができない状態は苦しいに決まっているのに、どうしてだか私は無性に気持ちよくなってしまっていた。
それが触手の分泌する液体の効果だということなんて、当時の私にわかるわけもなく。
触手に包まれた上半身がさらに強く締め付けられたと同時に、私は人生で初めての『絶頂』に至っていた。
ビクビクっ、と体が跳ね、頭の中が真っ白になる。
だらんと足が垂れ、私は触手の成すがままになった。
「はーっ♡ はーっ♡ はーっ♡」
苦しいから呼吸をしているハズなのに、その呼吸という行為自体が気持ちよくなってしまっていた。
しかし呼吸をするほど、苦しみは増し、同時に気持ちよさも増していた。
激しく呼吸をすることで酸素が薄くなって、呼吸という意味では苦しくなるものの、そうやって何度も肺の中の空気を循環させることで、より多くの触手の分泌液を体に取り込んでしまっているからだ。
意味はわからずとも、呼吸をすればするほど気持ちよくなることを感じていた私は、ひたすら激しく呼吸を繰り返す装置になっていた。
「はーっ♡ はーっ♡ あは、あははっ♡」
もっと気持ちよくなりたい、という気持ちが心の底から湧き上がり、私は触手から逃れようという気が一切なくなっていた。触手が獲物を逃さないための策略に、まんまと乗ってしまった形だ。
私が暴れるのをやめたことを確認した触手が、さらに動く。
両手を押さえているのとはまた別の触手が、足の方へと伸びてきて、私の足首や膝辺りに絡みつき、無理やり足を上に上げさせる。私は後ろから両膝を抱え上げられるような体制になり、それはとても恥ずかしい格好だった。
もし年頃の女性がされたら死にたくなるような、無防備に股間を晒す格好だからだ。
(あ……いやっ、ぁ……)
当時の私ですら、一瞬羞恥の心が湧き上がったのだが、それもすぐに快感の海に消えた。
触手たちの先端が、私の股間に触れる。その時に私が着ていたのはワンピースだったから、足を上に上げさせられた時点で、めくり上がってその場所はハッキリと見えてしまっていた。
晒された場所を覆うパンツの脇から、触手の先端が入り込んでくる。
「ひゃんっ♡」
最初にそこに触れてきた触手は細くて小さいものだったけれど、その粘液に覆われた感触は独特だった。いまだかつて、ほとんど誰にも触れられていない場所に、触手がまとわりつく。
「ん、あ……っ♡」
刺激に反応して足がピクッと動いたけれど、持ち上げている触手の強靭な力に抗えるものではなく、ただ痙攣しただけだった。
触手の先端が、私の中に入ってきた。
ずるる、と体の中で何かが蠢く感触が、背筋を這いまわって頭までを貫く。
「んぎぃ……っ、ンンッ!♡」
じんわりと体の中に熱が篭り、お腹を中心にじわじわと広がっていく。
熱いものが体の中から滲むような感覚がして、それを触手がこそぎとっていくのが分かった。
この時、幼い私はすでにその場所から愛液を垂らしていたのだ。本来はもっと後になってから理解するものである性的快感を、触手によって無理やり呼び起こされてしまっていた。
「あ、あ……ああっ♡」
激しく生じる快感に、私は体を波打たせ、細かく痙攣する。
それを触手は喜ぶように、さらにねちっこく私の中で蠢いていた。後々知ったことだけど、触手の挿入はあくまで愛液さえ分泌されればいいので、処女膜は破られなかった。
大半の触手にとって人の血液は毒であり、それは触手が安全な生物と呼ばれる理由でもあった。その性質は処女喪失の時の血でも変わらない。
処女を処女のまま、性的快感に目覚めさせる触手は、時には処女奴隷の調教にも使われる。そんな話にも納得がいく触手の習性であった。
しかし、処女を奪わないからと言って、触手の責めが優しいものかというと、決してそんなことはない。
むしろ犯すことが目的ではない分、とにかく愛液を分泌するように開発する触手の調教は、泣いても喚いても受け入れても終わらない快楽地獄の一つであるとさえ言われていた。
触手の習熟度にも関わってくるけれど、この時私を襲っていた触手は異様にその責めが巧みだった。
幼い私が経験するには、あまりにも過酷なほどに。
「んぅ……っ、ふっ、うぅぅっ!♡」
与えられる快楽に、腰がびくんびくんと跳ねてしまう。
触手は私の体の奥の方まで入り込んでいた。処女膜は人によって形状に違いがあるけれど、私の場合中心あたりに穴が開いていて、そこを膜を破らない程度の細さの触手が抜けて中へと入り込んでいた。
その触手が普通は処女膜を破らないと触れられないような場所にまで入り込み、誰も触れらない箇所にひたすら刺激を与えてくる。
経験したことのない快感に私の意識は消えかけていた。
そんな私を、恐ろしい衝撃が揺り起こす。
「う……えぇうっ!?」
それは、お尻の穴への刺激だった。膣に入り込んでいるのとはまた別の触手が、お尻の穴に狙いを定め、その奥目掛けて入り込んできたのだ。
普通は排泄するときにしか意識ないそこに、普段の出すのとは逆の向きにものが動いている。
目を見開いてもがく私。
肛門を押し広げ、入ってくる触手のおぞましい感覚に震えながらも、目を開くことができたことは不思議に思っていた。鼻と口の前には空洞ができていたけど、目の前には変わらず触手の内壁が触れていたはずだったからだ。
その疑問はすぐに解消される。見開いた目に、触手の奥から近づいてくるものが見えたからだ。
私の体を持ち上げるくらいに丈夫な触手だったけど、その肉壁は皮のように薄い物だった。だから、それによって完全に顔が包まれていても、微かに外の光が透過して、中の様子が見えていたのだ。
見えなかった方が、良かったかもしれない。
なぜなら迫りくる触手の中の触手は、エイリアンの口みたいな、凹凸の激しい異様な形状をしていたからだ。先端からは濃くて粘ついた液体が垂れ落ちてきて、私の頬に滴り落ちる。
その液体の刺激だけで、私は頭が痺れるほどの快感を得た。
液体は触手が普段分泌する液の原液のような物で、催淫効果が数十倍にもなっている代物だった。色狂いの女性が好んで摂取する媚薬の原料にも使われているものだった。
「ふぁ……っ♡ ひゃめ……ひゃめぇ……っ♡」
幼いながらも当時の私はそれが何をもたらすのか、理性が警鐘を鳴らしていたようで、必死に首を横に振ろうとしたけど、ガッチリ抑えられた首はぴくりとも動かせず、口を閉じようと思っても力が入らなくてどうにもできなかった。
液体を滴らせながら迫ってきた触手が、私の口に入り込んでくる。
液体が舌に触れた瞬間、私は脳が溶けたかというほどの快感に全身を震わせることになった。
「オゴッ、ングっ、オ、おおあおおおおおおおおおっっ!!♡♡♡♡」
体が勝手に跳ね、もがく。触手が体に張り付いて締め付けてきて、苦しさが増したけど、そんなことは気にならない。股間からは熱い飛沫が飛び散る感覚があったし、涙が勝手に溢れて止まらなかった。
触手は喉の奥まで一気に入り込んできて、その奥目掛けて濃い液体を流し込んでくる。触手の分泌液で溺れてしまいそうになり、私は足先までピンと伸ばしてガクガクと体を震わせる。
咳き込みたくても、すでに空気は吐き出し尽くしていて、喉が痙攣する感覚だけがあった。
「うく、うっ、ウェぇ……っ!」
胃の中に大量の液体が到達すると、一気に体が熱くなって、全身から一気に汗が噴出する。触手の液体だけじゃないもので全身が濡れ、張り付いたワンピース越しに触手が私の乳首を刺激していた。
まだブラジャーもつけていなかった私の胸はまるで散々刺激され、開発された性感帯のように刺激に反応して快感を生み出し、私の脳を焼き切らんばかりの鋭い快感を生み出してくる。
お腹の中で触手が蠢き、体の中で触手同士が擦れあって恐ろしいまでの快感を生み出していく。
膣と肛門に潜り込んだ触手も、それぞれ大量の分泌液を吐き出しーー私の記憶はそこで途切れた。
それからの話。
私は日が暮れる頃に普通に目を覚まし、空洞の床に倒れていた。
慌てて体を起こして体を弄ってみても、何の痕跡も見つけられず、その時の私は妙に生々しい夢を見たんだろうと結論づけた。
強いて痕跡というなら、妙に体が気怠く、家にたどり着いて泥のように眠ってからは、夕食の時間になっても起きなかった。
結局あれはなんだったのか、実際にあった出来事だったのか、わからない。
当時の私はなんとなくその場所に行くのも気が引けて、一度も行かなかったからだ。
ただ、その時の記憶は私に触手の気持ちよさだけを残し、成長して都会に戻ってからは、ついオナニーに適した触手を探してしまう程度には、私に影響を残したのだった。
大学生になった今も私は、触手オナニーに耽っている。
……と、これだけで終われば、ただの幼い頃のいい思い出だったのだけど。
ある夏の日、里帰りした私が何気なく昔ここに住んでいた時のことを話題に出した時、母親はこういったのだ。
「そういえば、姫子は触手さんに弄ばれても、全然そっちには興味持たんかったねぇ」
いきなりそんなことを言われた私は、思いっきり飲んでいた麦茶を噴き出した。
うわ、ばっちぃねぇ、と言いながら母さんが布巾で私の噴いた麦茶を拭う。そんなことは気にしていられなかった。
「はぁ!? 何いってるの母さん!?」
「いや、あんたうらの杉の木の触手さんに遊んでもらったことあったでしょ」
「……!? え、あれ夢じゃなかったん?」
衝撃に思わず子供の頃の口調に戻ってしまった。
「そりゃ夢でもなんでもないさぁ。触手さんに遊ばれるとすっごい甘い匂いが全身から滲み出すもの。父ちゃんも兄ちゃんも何も言わなかったけど、もちろん気づいてたと思うよ」
思わず同時期に里帰りしていた兄さんを見る。目を逸らされた。マジっぽい。
「……嘘ぉ」
「あそこの触手さんはテクニシャンだったから、てっきり姫子も触手遊びにハマるかなぁ、と思ったんだけどねぇ」
ハマっているのは間違い無いのだけど、それをいうのは恥ずかしすぎたので激しく首を横に振る。
「ん、んなわきゃないでしょ!!」
「そう? 私は父ちゃんのご両親に挨拶しに来た時にハマっちゃったんだけど」
とんでもない爆弾発言だ。
「聞きたくなかったなぁ親のそんな話!」
ぎゃあぎゃあ騒ぐ私と母さんを、父さんと兄さんはなんとも言い難い顔で見つめているのだった。
共生触手が生きる世界では、それもまた日常のひとつでしか無いのだけれど。
コンパニオンテンタクルズ 試作版 終わり