SamSuka
夜空さくら
夜空さくら

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人格とは尻からひり出し、口から呑むものである

※ツイッター上で流行っていた『人格排泄アナルゼリー』なるものを私の解釈で書いたものです。もっと流行れ。

※人格ゼリーの設定などはアレンジしています。あくまで私になりの『人格排泄アナルゼリー』になります。

※どう考えてもバッドエンドしか見えない素材も、ハッピーエンドにしちゃうのが私の悪いところです。

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 ゴロゴロ、と破滅が近づてくる音が薄暗い地下室に響く。


 その女性は服を剥ぎ取られた生まれたままの姿で、両手に嵌められた金属の枷を、鎖で天井に引き上げられて立っていた。

 金属製の重い枷は両足にも嵌められており、大股開きの体勢になるように左右に引っ張られて固定されている。

 手や足を使って体を隠すこともできなくさせられた彼女は、その年齢にしては豊満な乳房も、股間を覆う薄い恥毛も、そのさらに奥のぴっちり閉じた割れ目も、全てを曝け出すしかなかった。

 少女と呼ぶべき、うら若き乙女が取らされるにはあまりにも恥ずかしく、死にたくなるような格好だ。

 さらに周囲には彼女が名前も知らないような男性が幾人もおり、その肢体を実に好色そうな視線で眺めている。

 しかし彼女にはそのことを悠長に恥じている余裕はなかった。

 大粒の涙を瞳から溢しつつ、全身から汗を噴き出し、苦悶の表情を浮かべながらも、ある衝動を必死に堪えなければならなかったためだ。

 健気な抵抗を見せる彼女の側に、仮面を被った調教師の男が進みでる。

 そして仮面越しにもわかる楽しそうな声で彼女に声をかけた。

「よくがんばるじゃないか。普通ならもうとっくに全部放り出しているところを、ギリギリのところでよく耐えている」

 言いながら、男が彼女のお腹に触れようとすると、彼女は鎖を激しく鳴らし、頭を振った。

「や、やめて……っ! 触らないで……っ」

 涙が混じったような哀れな声。

 まともな人間であるならば、思わず憐憫の情を抱いてしまうような、庇護欲をそそる声であったが、調教師がそそられたのは嗜虐心であった。

「『触らないで』?」

 低い声で少女の言葉を繰り返す調教師。

 そこに込められた怒気は決して本気のものではなく、どちらかと言えば少女に『怒っている』ということを示すブラフ的な怒気に近かったが、それをわかってなお、少女は自ら自分の言葉を訂正せざるを得なかった。

「触ら、触らないで、ください……っ! お願い、します……!」

 自ら遜って許しを乞う少女。そんな弱々しい彼女の様子を受け、調教師はあからさまに馬鹿にしたような態度を見せた。

「随分とまあ、しおらしくなったもんだ。さっきまでの威勢はどうした? 『警察に突き出してやる』だの『絶対に許さない』だの元気がよかったじゃないか。……なぁ?」

 気まずそうに俯く少女の髪を掴み、無理やりその顔を引き起こす調教師。

 髪を引っ張られた痛みもあってか、少女はボロボロと涙を流しながら許しを乞う。

「ごめんなさい……ごめんなさい……許して……っ」

 とても調教師が言ったような啖呵を切ったとは思えない様子で、弱々しく少女が呟く。

 調教師は手を離しながら、溜息を吐いた。

「まあ、あれを見てしまえば、そうなるのも無理はないがな……もう少し頑張って欲しいもんだ」

 そう言って調教師が視線を向けたのは、周囲に集まっている男たち。その足元に這いつくばる一人のーー否、一匹の獣だった。

「うぁ……あぅ……あー……」

 言葉にならない呻き声を発しているそれは、鎖に繋がれている少女と同年代の少女だった。実際、その少女と彼女は知らない仲ではなく、日々一緒に行動する程度には仲のいい友人であった。

 名を、天谷りの、という。

「り、りの……」

 そう呼びかける少女。その言葉には、彼女を案じる響きより、その様子に恐怖している響きが強い。

 全裸で床に這いつくばって剥き出しの乳房を地面に擦り付け、両手を使って自分の股間を弄って自慰に耽るりのは、とても彼女と同年代の少女とは思えないからそれも無理もない。

 本能に忠実な一匹のメスにしか見えなかった。

 そしてりのがそうなってしまったのは、ほんの数分前の出来事だった。

 調教師がいったん鎖で繋がれた少女から離れると、部屋の片隅に置かれたバケツを手に取って戻ってくる。

 バケツの中には妙にカラフルな色の、細長いゼリーのようなものがとぐろを巻いて収まっていた。半透明で色が鮮やかな青色でなければ、排泄物と勘違いしそうな形状だが、それも無理はない。

 それはりのが、実際に肛門からひり出した排泄物であったからだ。

 バケツの中のものを鎖に繋がれた少女に見せつけながら、調教師の男がいう。

「実にいい色をしているじゃないか。やはり純真な少女の方が、綺麗なものをひり出すなぁ」

 臭いを嗅いでみろ、とばかりに調教師がバケツを少女の顔に向ける。

 少女は恐れ慄いた顔で、顔を背けた。そんな彼女を、調教師の男は嘲笑う。

「そんなに嫌がってやるなよ。この中にはお前の友人の人格と思い出が詰まっているんだから。お前との楽しい思い出もここには入ってるんだぜ?」

 恐ろしい事実を口にする男。

 少女の体が恐怖で小刻みに震えていた。

 そう、バケツの中に溜まっているゼリー状の物質には。


 『天谷りの』という少女が、今までの人生で培ってきた『ほとんど全て』が詰まっていた。


 この世界には、ある特殊な薬品を用いることで、その人物の人格や思い出と言った記憶をゼリー状に固め、アナルから排泄させることでその全てを失わせる手段が存在している。

 それによって人格を排泄してしまった体は抜け殻となり、周りからの命令や指示に従順になるという性質を持っていた。

 今まさにりのが陥っている状態がそれだ。

 少女は「そんなことができるわけがない」と思っていたが、実際に目の前で友人であるりのがゼリーを排泄していくごとに記憶を失い、知能が失われていったのだ。

 長いゼリーをひり出し終えると同時に、りのは自分の名前である『天谷りの』のことすらもわからない、ただのケダモノになってしまった。

 そんな経緯を目の前で見せつけられれば、調教師の男の言うことを信じざるを得ない。

 仮に人格を排泄しているということが嘘であったとしても、友人と同じことをすれば、同じような状態になってしまうのは、間違いないからだ。

 だから彼女は焦っていた。

 ゴロゴロ、と破滅が近づく音がする。

 その音は彼女の腹部から発されており、その頻度と規模は徐々に大きくなっている。


 すでに彼女にも『人格排泄アナルゼリー』なる薬は投与されていたのだ。


 必死に排泄欲求を堪える少女。呻き声をあげ、なんとか波を堪える。

「く、ぅ……ぅ……っ!」

 剥き出しにされている肛門がヒクヒクと痙攣し、徐々にその輪郭が緩みつつあった。

 そんな彼女の様子を見て、調教師や周りで見物している男たちは楽しげに笑っていた。

 彼女の苦しみや抵抗は、彼らに取っていい見せ物であり、娯楽でしかないのだ。

「さて……そろそろ限界だろう」

「ひぅ……っ。た、助けて……っ、お願い……いやぁ……っ、あんなふうに、なりたくない……っ」

「あんな風、だなんてひどいな。友達だろう? ……なあ、お前の名前はなんて言うんだっけ?」

 調教師の問いかけに答える余裕がなく、少女はぶるぶると体を震わせていた。

 そんな少女の髪を掴んで再び顔を上げさせると、調教師は静かにその腹部に拳を当てた。殴りこそしなかったが、次は殴ると端的に告げている。今の状態で腹部を殴られたらどうなるか。

 全身から冷や汗が流れ、血の気がひく感触を少女は覚えた。

「質問に答えろ。お前の名前は?」

「ま、まお! 松森まおですっ」

 必死に答える少女ーーまお。そんな彼女の腹部を、調教師の掌が優しく撫でる。

「素直でよろしい。さあ。まお、感じるか? 今ここにお前の培ってきた全てがたまりつつあるんだ。膨らんで来ているのが、感触でわかるだろう?」

 そう男が指摘した通り、まおの腹部はかなり膨らんでいた。便秘になって何日、というレベルではなく、明らかに外的な要因で膨らんでいる。

 大量の浣腸を施せばそれくらい膨らんでもおかしくないが、彼女の肛門には何も刺さっていない。

 明らかに便が溜まるのとは違う、異常な速度で『何か』がそこに溜まっていっていた。

「うぁ……っ、や、やだ……いやだ……誰か、助けてぇ……っ」

 ゴロゴロという破滅の音がさらに響き渡る。

 調教師の男は、涙と鼻水を垂れ流して泣きじゃくる彼女の顔を、場違いなほど優しく拭ってやっていた。

「ほれ、そんな情けないブサイクな顔をお客様に晒してくれるなよ。なんなら笑顔を浮かべてサービスしてくれてもいいんだぞ」

 できるはずのないことを求める調教師。当然怯えるまおが笑顔を浮かべるなどということをできるはずもなく、ただ泣きじゃくり続けるだけだった。

「そろそろ、お客様も飽きてきた頃だろうから、フィナーレといくか」

 そう言って男は、まおの友人がひり出した人格ゼリーの詰まったバケツを、まおの股間の真下に置く。

「……っ! いやぁ! 出したくない! 助けてよぉ! 許して! なんでもするから!」

 もはや限界が近いことは彼女が一番よくわかっているのか、恥も外分もなく、それをさせようとしている張本人たちに許しを乞う。

 無論、許されるわけもなく。

「それじゃあがんばってひり出してくれ。かなり長いだろうから、頑張ってな」

 調教師の男の手の平が、膨らんだまおの腹部をぐっと押し込んだ。

「ンぎゅぅぅぅぅ!!」

 なんとか一瞬は堪えたまおであったが、内側からの圧力で崩壊しようとしている肛門をいつまでも締め続けるのは、到底不可能だった。


 まおの肛門がわずかに広がり、奥から緑色のゼリー状の物質が頭を覗かせる。


 一度出し始めると、もう止められない。普通の排泄物であれば括約筋を閉めて途中で切ることもできるだろうが、そのアナルゼリーは相当な強度を有していた。

 どれほどまおが力を込めて肛門を引き締めても、ゼリーは全く千切れる様子もなく、まおの括約筋に異様な感触だけを届け続ける。

「はぅっ♡ あっーーあ、ああっ!」

 思わず、と言った調子で甘い声を発するまお。排泄というものはそもそも気持ちの良い感覚を伴うものだが、そのゼリーを排泄する時の感覚はより強烈な快感になっていた。

 彼女の校門から数センチゼリーが飛び出し、揺れている。尻尾が生えてきているかのようにも見えるが、それはあまりにも卑猥な尻尾であった。

「さあ、もう出すしかその苦しみから解放される方法はないぞ」

 男が囁きつつ、まおの大きな乳房を鷲掴みにする。

 彼女の乳首は固くなっており、ゼリーを排泄する快感がいかに強烈なものかを物語っていた。

「あうんっ、はあぁっ♡ い、いやぁ……! でちゃうぅぅ……!」

 ずるずる、とまおの肛門からゼリーが垂れ下がる。

 それはとても綺麗な緑色をしていた。半透明であるために光をキラキラと反射しており、それが人間の肛門からひり出されているとは思えない。

 ゼリーが段々長くなるにつれ、まおの様子も変化していった。明らかに恐怖や拒否感が露わだった表情が蕩け、喋る言葉もどんどん舌足らずのものに変わっていく。

 絶頂しているのか体がビクビクと痙攣し、その痙攣に合わせて垂れ下がったゼリーが揺れていた。

「ああっ♡ うあっ♡ はぁんっ♡」

 ゼリーの先端がバケツに到達し、中にすでにあった彼女の友人の人格ゼリーとぶつかり合う。ゼリー状であるため混ざり合うことこそなかったが、カラフルなゼリー同士が絡み合い、複雑な模様を形成していっていた。

 頃合いを見て、調教師がまおに向かって声をかける。

「おい、あそこにいるお前の友人の名前はなんだった?」

「えぅ……? だ、だれ……?」

 りのの記憶はすでに排泄されたようだ。

「自分の父親の年齢を言ってみろ」

「父、おや……?」

 それどころか、すでに父親のことも分からなくなっているようだった。

「自分がどこに通っていたか言ってみろ」

「かよ、うって?」

「年齢は?」

「ねん、れい?」

 年齢も分からなくなっているのか、まおは首を傾げる。

「名前は?」

「なまえ……わた、し、は、まお……っ♡ ンァっ!♡」

 名前を答えた瞬間、ゼリーを最後まで排泄し終えた。一呼吸おいてその股間から尿が噴き出し、自分自身の足元を濡らしていく。

 ぐったりと鎖にぶら下がり、荒い呼吸を繰り返すまお。

 その完全に快楽に蕩けた表情には、先ほどまでの恐れ慄く様子はなく、ただ絶頂の余韻に浸っている様子だった。

 調教師の男は、そんなまおの足元に置かれたバケツを手に取る。中には二色のゼリー状の物体が収まっていた。

 それを透明なビニール袋の中に移し替えながら、調教師がまおに尋ねる。

「お前の名前は?」

「あー……うぁ……あぁ……」

 問いかけに答えはなく、ゾンビのような呻き声だけを発するまおだったもの。彼女の中からは完全に人格や記憶といったものが抜け落ち、与えた刺激に対して反応するだけの肉人形と化していた。

 調教師は、まおだったものの股間から足を、濡れタオルで軽く拭く。彼女は漏らしてしまっていたから、最低限綺麗にしておかなければならなかったのだ。

 まおの体をある程度綺麗にすると、調教師は自慰を延々続けている、りのに声をかけた。

「おい、おまえ。こっちに来い」

「あー……?」

 体を痙攣させつつ、自分の体をいじるのをやめ、りのはふらふらと立ち上がってまおと調教師の方へと歩く。

 その体を受け止めた調教師は、その手をまおの体に導いた。

「俺が良いというまで、こいつを性的に気持ちよくさせてやれ」

 人格排泄アナルゼリーで失われるのは、あくまでもその人物の人格であり、思い出と呼ばれるタイプのものだ。体の動かし方や知識・技術などは失われないというのが、人格排泄アナルゼリーの良いところである。

 記憶や思い出を失い、目の前の人間が自分の友達であったことも忘れてしまっても、『こいつを性的に気持ちよくさせてやれ』という命令は理解することができる。

 むしろ友達であったという記憶がなくなったことで、りのは容赦なくまおの秘部に手を入れ、乳房を手で揉んで刺激を与え始めた。

 まおも、その一方的かつ遠慮のない愛撫に、素直に反応して気持ちよくなっていた。

「あ……っ♡ あぅ♡」

 身悶えるまお。責めるりの。

 少女たちの妖艶な絡み合いが続けられていた。

 調教師はまおの手足を拘束していた枷を外し、彼女を自由にするが、彼女は逃げようなどとは一切せず、りのにいじられるまま、気持ちよさそうに喘ぐばかりだった。

 そんな二人に、調教師の男はビニール袋に詰めたゼリーをーー二人の人格と思い出が詰まったゼリー状のそれを抱かせ、写真に収める。

「ふふふ……『元仲良し友人セット』としてよく売れることだろう」

 そう周りの聴衆に聞こえるように呟いたのち、調教師は手を叩いて観客の視線を集中させる。

「さて皆さん、お待たせしました! 人格を排泄し、ただの従順な肉人形と成り果てた少女たちの体を、ご自由にご堪能ください! なんでもいうことを聞きますし、なんでもやらせることができますよ! のちにオークションにかける商品ですので、傷などは残さないようにお願いいたします!」

 彼の合図を受け、欲望を隠そうともしない男たちが二人へと迫っていく。

 普通であれば悲鳴をあげ、逃げようとするだろうが、今の二人は何もしない。否、調教師の命令に従って、まおをりのが責め続けるだけだ。

 二人の人格ゼリーの詰まったビニール袋を回収し、その迫りくる男たちの輪から逃れた調教師は壁際に移動した。

 そのビニール袋を、「Garbage chute」と書かれた壁の扉を開き、現れた穴の中に放り込んでしまう。

 そして、興奮した男たちに為すがままに輪姦される二人を、壁際から眺めるのだった。





 最後の客が部屋から出ていくのを、調教師は頭を下げて見送った。

「いやぁ、今回のショーもとてもよかったですな。次も期待しておりますぞ」

「お褒めに預かり、光栄です。またどうぞお越しくださいませ」

 礼儀正しく挨拶をした調教師は、ドアを閉めて鍵をかけ、ふぅ、とひとつ息を吐く。

 部屋の中央では、数多の男に犯され続け、身体中ドロドロになったまおとりのが、ぐったりとしながらも、客が最後に命令した通りに、お互いを慰め合っていた。

 そんな二人の様子を見るとはなしに見つつ、調教師は壁際に移動し、「Garbage chute」と書かれた壁の扉を開いた。

 そして腕を奥に突っ込み、中から二人分の人格ゼリーを取り出す。

 一見奥まで続いているように見えた穴だが、実は浅い深さしかなく、ちゃんと保管されていたのだ。

 それを持った調教師は、部屋の中央で責め合う二人に近づくと、声をかける。

「はい、そこまで。こちらを向いて静止」

 そう声をかけると、二人は即座に反応し、命令通りに調教師の方を向いて動きを止める。

 縛っていたビニール袋の口を開くと、その中から人格ゼリーを一本取り出した。りのが排泄した青色の人格ゼリーだ。

「えーと……まあ、こっちで良いか。これを丸呑みにしろ。もう一人は暴れないようにこっちの体を抑えろ」

 調教師がそう命じ、まおの体に向かって青色の人格ゼリーを差し出す。人格ゼリーの太さは相当なもので、長さに至っては30センチ以上もある。

 それを丸呑みにするのは、相当な困難を伴うことだった。

「あが……うぇっ、あぅっ……!」

 口を大きく開け、青色の人格ゼリーを咥えて飲み込んでいくまお。

 想像を絶する苦しみに、調教師の命令を聞くことしかできないはずのまおの体が生理的反応として暴れる。それをりのの体が押さえ込んでいた。

 調教師はゆっくりと、しかし確実に人格ゼリーをまおの口の中へと押し込んでいきーーふいに、まおの目に光が宿った。

 最後までゼリーを飲み込んだのち、まおがゲホゴホと苦しげに咳をする。


「あー……もうちょっと楽にゼリーを飲み干す方法ってないのかなぁ……」


 これだけは苦手なんだよねぇ、とまおは呟く。

 どう考えてもそれ以上のことをしているのだが、まるで薬を飲むのを嫌がる子供のような物言いに、調教師は苦笑を浮かべざるを得ない。

「まあこればっかりは仕方ないですよ。ゼリーが傷付くと記憶や思い出も傷つきますからね。ミキサーでかき混ぜて飲むというわけにはいきません」

 観客を前にしていた時の粗暴な態度と打って変わって、調教師は丁寧な態度でまおに接する。そしてそれを彼女もなんとも感じていないようだった。

「えーと、それで、まおさんで良いんでしたっけ?」

 事情を知らないものからしたら不可解な問いかけを調教師はする。

 それに対してまおはーーさっきまでは『天谷りの』となっていた人格は頷いた。


「うん。良いよ。だって本質的にはあたしも『松森まお』だもん」


 そう言いつつ、『まお』となった『りの』の人格は、いまだに自分の体を抑えているりのの体に命じる。

「もう抑えなくて良いから。離れて」

「あー……」

「店長、りのの体を押さえておいてくれる?」

「はいはい」

 まおに頼まれた調教師ーー店長はそれを受けてりのの体を軽く押さえつける。まおは残ったもう一つの人格ゼリーを取り出すと、それをりのの体に差し出す。

「はい、丸呑みにして」

「あー……んぐっ」

 りのの体に、まおの体が排泄した人格ゼリーが押し込まれていく。それを無理やり飲み込んでいくりのの体。

 先ほどのまおと同じように、りのの体が暴れそうになるが、店長がしっかり押さえ込む。

 苦労してゼリーを全て飲み込むと同時に、りのの目にも光が灯った。

「うー……お腹が苦しい……」

 苦しそうにぼやくりの。そのお腹は押し込まれたゼリー分膨らんでいたが、膨らみは徐々に小さくなっていく。

 排泄された人格ゼリーには、口から摂取することでそのゼリーに詰まった人格や記憶を吸収できるという特徴があった。

 それを利用して、まおの人格はりのの体へ、りのの人格はまおの体へと移動したのだ。

 入れ替わってしまったことになるため、普通ならば問題になるのだが、彼女たちに関してはそれは問題にはならなかった。

 なぜならば。


 今ここに存在している『松森まお』と『天谷りの』の人格は、どちらも『松森まお』から発生したものだったのだ。


 りのの体に入った人格は、側にまおのーー自分の体があることに気づいたようだった。

「あー。また入れ替えたのね。了解。じゃあしばらくは私がりのか」

「うふふ。しばらくよろしくね、りの」

「りのの体も嫌いじゃないし、私の体を外から観れるのは悪くないわ」

 和気藹々と会話を交わすまおとりの。

 そんな二人に、店長が声をかける。

「仲良いのは良いけど、先にシャワーを浴びてきた方がいいんじゃないですか?」

 二人の体は散々輪姦された後であるため、汗や精液などで汚れている。

 そのことを今更思い出したらしい二人は、手を取り合って立ち上がった。

「本当ね。いきましょりの。洗いっこしましょ」

「そうね。いきましょまお。綺麗にしてあげる」

 仲睦まじい姉妹のように、二人はシャワールームの方に歩いていく。

 ここには店長しかいないとはいえ、裸の体を隠すこともせずに堂々としたものだった。だが、それもそのはず。


 彼女たちは、店長の主催するフェチズムショーの主役なのである。


 元々、『松森まお』と『天谷りの』は、本当の犯罪組織に拐われ、強制的に人格排泄をさせられた被害者だった。

 本来であればそのまま人格は破棄され、都合の良い肉人形として闇のルートで売り捌かれるはずだった。

 しかし誰にとっても予想外だったのは、『松森まお』が二重人格のように人格が分裂することで、完全な肉人形になりきらなかったということにある。

 体に残った『まお』は、肉人形に変えたと思って完全に油断していた組織の隙を突き、脱出して警察に駆け込んだ。その通報がきっかけで、犯罪組織は崩壊し、『まお』は自由の身となったのだ。

 ただ、『りの』の本来の人格ゼリーはすでに廃棄されてしまっており、のちに『りの』の人格として戻された人格は、排泄された『まお』のものだった。

 こうして、まおの人格は分裂した上に二つの体を得たのだ。

 まおにとって幸運だったのは、元々二人は友人だったので『りの』のふりをすることは難しくなかったということ。


 そして、彼女は自分のことが性的な意味でも大好きな、重度のナルシストであった、ということだ。


 本来であれば自分が二人いる状態など、まともな神経では耐えられるものではない。だが、まおはそれを平気で受け入れていた。

 さらに、人格排泄アナルゼリーの快感が忘れられず、アングラな店で人格排泄ショーに自らの意思で参加するようになってしまっていた。

 店長としてはもし公になればバッシングでは済まないであろう事は認識しつつも、二人のショーの受けがあまりにも良いため、売り上げに釣られて今も彼女たちをショーに出し続けているのだった。

(まあ、もう普通の生活には戻れないだろうしなぁ。せめてうちでその性癖を存分に楽しめば良いさ……次のショーはどうするかな……チューブを連結して、人格入れ替えショートかやるかな……?)

 次のことを考えつつ、店長はショーの片付けに取り掛かるのだった。


 その後も二人は人格を排泄し、その破滅的な行動を性的に楽しむのであった。



終わり



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