ヒトネコライフ!12
Added 2020-07-27 13:09:21 +0000 UTC美里と天景院さんが合わせた股間から、くちゅくちゅと音が響いている。
いつの間に脱いだのか、二人は下半身に何も身につけておらず――美里は尻尾飾り付きアナルプラグをつけていたけど――生まれたままの股同士がぶつかり合っている。
「にゃ……ぁんっ♡ なお……にゅあぁ……♡」
「ん……♡ んぅ……♡ ん…………ッ♡」
ぶつかった音が響くたびに、美里と天景院さんは気持ちよさそうに声をあげ、喘いでいた。
貝合わせ。
女性同士が愛し合う方法のひとつとして、知識はあったけど実際にそれを目にしたことはない。
まして、知らない仲じゃない美里と天景院さんがそれをしている光景というのは、わたしに衝撃を与えた。
(美里……気持ちよさそう……)
まず感じたのは、そんなことだった。
美里も天景院さんもとても気持ちよさそうで、性器を合わせているだけとはとても思えない。
実はわたしの見てない間に膣に何か入れたんじゃないかとすら邪推したけれど、どうやらふたりは本当にただ性器を合わせるだけで気持ちよくなっているようだった。
時折ふたりの身体が少し離れる瞬間があり、その時にふたりの性器に何かが入っているようには見えなかったからだ。
性器をぶつけあい、そして離れ、またぶつけて、ぐちゅくちゅと音を響かせる。愛液が糸を引いて二人の間に橋をかけ、それが切れたらまたぶつけ合って再び繋がる。擦り付けて、喘ぎながらその身を震わせる。
とても気持ちよさそうにふたりは悶えていた。
(そんなに気持ちいいものなのかな……?)
経験のないわたしには、それがどれほど気持ちいい行為なのかわからなかった。
そんな興味もあって、ふたりに目が引き寄せられてしまう。
すると、わたしを背後から抱き締めてくれていた奈津樹さんが、不意にぽんぽん、とわたしの頭を撫でてきた。
見上げると、奈津貴さんがとてもいい笑顔で親指を立てている。いわゆるサムズアップという仕草だ。
にこやかに笑ったことで露わになった白い歯が眩しい。普通の人がやったら全然様にならないけど、外国人顔負けの体格をしている奈津樹さんがやると異様によく似合っていた。
(な、なんですか……?)
「にゃ、にゃぁ……?」
なんとなく嫌な予感を覚え、頬を冷や汗が流れるのを感じた。
奈津樹さんはわたしを一端膝の上から降ろし、四つん這いの体勢を取らせてくる。
そしてまるで犬が電柱にマーキングをするときのような体勢に、わたしの片足を持ち上げて足を広げてきた。
慌てて手で踏ん張ってバランスを取る。身体が揺れたのに合わせて、胸も揺れた。
「んにゃっ。にゃにゃっ!?」
悲鳴交じりの声をあげつつ、何とか後ろを振り返る。
奈津樹さんは膝立ちになって腰を突き出し、大きく開かされたわたしの股間に、自分の股間を合わせていた。
(な、奈津樹さん、ちょっとま……っ!)
思いとどまってもらおうとしたけれど、その体勢になった奈津樹さんがいまさら止まるわけもなく。
奈津樹さんの股間が、わたしの割り割かれた股間に叩きつけられた。
叩きつけられた、とはいえ一応加減はされていたのだと思う。
そうでなければ筋肉の塊みたいな奈津樹さんの力でぶつけられたわたしの方が保たなかったはずだ。股関節脱臼くらいはしていただろう。
とはいえ、奈津樹さんが加減をしていても、わたしにとってはかなり激しい動きになるのは避けられない。
恥丘と恥丘がぶつかって、わたしは体が持っていかれそうになった。
「にぃぎゃぁっ!」
思わず悲鳴みたいな声が出てしまう。
熱い感触がわたしの秘部に打ち付けられ、すり合わせられる。
素股同士ですり合わせていた美里と天景院さんと違い、わたしはショーツを履いているし、奈津樹さんはラバースーツを身につけている。
だから性器同士が直接触れ合うことはなかったけれど、そのおかげか、普通に秘部を打ち付け合うのとはまた違った感覚が得られていた。
体温の高い奈津樹さんの股間は、ラバーとショーツを隔てても、その熱をわたしに明澄に伝えてくる。
(熱……っ、んあっ! 何、これぇ……!♡)
ばちん、ばちん、ばちん、と何度もわたしと奈津樹さんの股間が打ち合わされ、その度に頭まで衝撃が走った。
乱暴とも言える奈津樹さんの行為に、わたしは苦しみや痛みではなく、快感を確実に覚えてしまっていた。
わたしは自分がマゾヒストであるという認識はなかっただけど、考えてみればヒトネコとなって獣同然の立場に自らなっている時点で、そういう傾向があるといえなくもない。
だからか、少々豪快な奈津樹さんの行為はわたしにとって十分に気持ちの良く感じられるものになっていた。
「んぅっ♡ にゅぅ♡ にゃあぅっ♡」
口から勝手に喘ぎ声が漏れ、奈津樹さんとの貝合わせで気持ちよく感じていることを周囲に知らしめてしまう。
天景院さんは奈津樹さんが暴走したのかと思ってこちらの様子を伺っていたけど、わたしが気持ちよさそうに喘ぐのを見て、問題ないと判断したらしい。美里との戯れ合いに戻った。
そんなわたしの様子を、奈津樹さんはとても楽しそうに眺めつつ、さらに腰の動きを激しくしてきた。
先程までの愛撫と、今の貝合わせの刺激によってすっかり出来上がってしまったわたしの体は、ショーツをぐっしょり湿らせるほど愛液を垂れ流し、端から溢れるほどになっていた。太腿を自分の愛液が伝って、垂れ落ちているのがわかる。
「ふにゃぁ……あ♡ はっ……♡ はっ……♡」
わたしは猫というか犬のように呼吸が荒くなってしまっていた。
仕方ないことだとは思いつつも、恥ずかしくないわけじゃない。奈津樹さんがわたしを愛おしそうに見てくるのが逆に恥ずかしい。
「うにゃ……っ♡ ふにゃ、あっ……っ♡」
声を堪えるためにベッドに顔を押しつけて声を殺す。そんなわたしをさらに追い詰めるように、奈津樹さんは自分の股間を押し付けるようにして、わたしの股間を擦り上げた。
恥骨と恥骨がぶつかり、擦れあって形が変わる。変わったような気がした。
「〜〜〜〜〜〜〜っっっ♡♡♡」
気持ち良すぎて、意識が飛びそうになってしまう。もう余力なんて全くなく、自分から動くことなんて出来なかった。
わたしが全く動かなくても、奈津樹さんがわたしの体をほとんど持ち上げるようにしているから、打ち合わされ、擦り付けられる速度は全く衰えなかった。
股間に股間が叩きつけられ、擦り付けられる。そんな奇妙な感覚に頭の中がいっぱいになり、わたしはどうしようもなく翻弄される。
全身を震わせて愛液を垂れ流し、悶えるだけの存在になっていた。
それからどれくらいの時間が経ったのか、気付けばわたしはベッドの上で奈津樹さんに抱き抱えられていた。
親が子供を抱くように、すっぱり彼女の腕の中に収まってしまっている。筋肉は力を入れていない状態だととても柔らかいので、抱かれているだけでもすごく気持ちよかった。
「にゃぅ……」
快感の余韻か、全身が痺れてうまく動けない。
奈津樹さんの大きな手がわたしの頭を撫でてくれている。あれだけ威圧感を覚えていた奈津樹さんに、安らぎさえ覚えてしまい、わたしは自分の感覚に自分で呆れてしまった。
(現金というかなんというか……わたしってわりとちょろいのかも……)
多分ではなく確実にそうかもしれない。
そんなくだらないことを考えていると、わたしを心配してか、美里がすぐ傍にやってきた。
「にゃー……」
心配そうにわたしを覗き込んでいる。微妙に距離があるのは、美里は奈津樹さんをまだ警戒しているからなのだろう。
人懐っこくて大抵の相手とすぐに仲良くなることができる美里だけど、だからこそ一度警戒するとなかなか警戒が解けないのだ。
奈津樹さんが身動ぎするたびに、過剰なまでに反応している。
幸い奈津樹さんは美里にそうさせるだけの原因が自分にあると思っているのか、苦笑いを浮かべるだけで特に不快には思っていないようだ。
天景院さんはベッドの脇に立って、そんなわたしたちの様子を見ている。奈津樹さんの姉として、わたしたちの飼い主として――この場における最上位者として、
無事にこの場が治まったことに安堵しているようだった。
奈津樹さんという予想外の乱入者こそあったものの、わたしたちと天景院さんの初めての『戯れ合い』は、こうして無事に終わった。
それから、また数日が穏やかに過ぎて行った。
日中は屋敷を空けている天景院さんと違い、奈津樹さんはいつも屋敷にいた。
後日天景院さんに聞いた話、奈津樹さんの活動拠点は海外で、今回戻ってきたのは長期休暇が取れたからなのだという。
だから日本でやることはほとんどなく、たまに電話などでやり取りする以外は自由に時間が使えていたとのことだった。
初めての『戯れ合い』の日までほとんど見かけなかったのは、美里を怯えさせてしまったことに対するペナルティだったそうで、わたしたちと絶対会わない場所で過ごしていたようだ。
天景院さんもわたしたちを飼っている期間はなるべく仕事を開けるようにしていたそうなのだけど、天景院さんにしか対応できないことが山のようにあって、完全な休みを作るのは難しかったのだとか。
なるべく人間的な忖度はしない状態で接してほしいというのが天景院さん自身の望みだったため、わたしたちがその事情を知ったのは全てが終わった後だった。
ゆえに飼育期間中、わたしと美里は思うがままに過ごさせてもらっていた。
今日は朝から奈津樹さんが部屋にやってきて、オモチャを――性的な意味じゃなくて、純粋な意味での玩具を――使って遊んでもらっていた。
猫じゃらし的なものが、わたしの前で振るわれる。
「チッチッチッ」
舌を鳴らして猫じゃらしを振る奈津樹さん。
わたしは視線でそれを追って、猫の手の形にした手で猫じゃらしを捉えようとしていた。しかし抑えられる、と思って手を動かしても、奈津樹さんはわたしの動きよりも早く猫じゃらしをさっと避けてしまう。
わたしは果敢に攻め続けたけど、奈津樹さんはそれを紙一重のところで避け続けた。
「……うにゃぁ」
こうなってくると、こちらもつい熱くなってしまう。
本物の猫じゃあるまいし、別に狩猟本能を刺激されているわけではない。
けれど、いかにも捉えられそうなのに捉えられない、ということが何度も続くと、ふつふつと意地のような、負けん気のようなものが湧き上がってくる。
わたしはいうほど負けず嫌いな方ではないけれど、勝ち負けのあるゲームに熱中しないほど淡白な性質でもない。
猫じゃらしを捕まえたら勝ち、という単純なゲームなら尚更だ。
奈津樹さんは奈津樹さんで、ヒトネコが一生懸命戯れてきている様子を間近で見れることは喜びであるらしく、楽しそうに猫じゃらしを動かしていた。自身がヒトネコであるわたしたちには分からない感覚だったけれど。
こういう戯れ合いは本来美里の方が好きなのだけど、奈津樹さんを警戒している美里は部屋の隅にいた。さすがにキャットタワーの上まで逃げることはなくなっていたけど、いまだに奈津樹さんから距離を取って遊ぼうとはしなかった。
遊びたそうにうずうずはしているようなので、意地を張らずに遊んで貰えばいいと思うのだけど。
(最初に奈津樹さんが暴走さえしなければ、いい関係になってたと思うんだけどなぁ……)
奈津樹さんも少し残念そうな様子は見せていた。
ただ、わたしとしてはもし美里が奈津樹さんといい関係を築けていたら、奈津樹さんとわたしがこんな風にすることはなかったとも思う。
(単純な相性だけ考えたら、美里には奈津樹さんはあってるだろうし……)
体力お化けの美里と、体格から振る舞いまで元気が有り余っている奈津樹さん。
どう考えても二人の相性は抜群だ。二人して中庭を駆け回っているのが目に見える。
わたしはそこまで行動的ではないし、全然遊べないうちにバテてしまうだろう。
そう考えると奈津樹さんが美里との関係を築くのに失敗したからこそ、今こうしてわたしが奈津樹さんと遊べていると言えた。
出会い方さえまともだったなら、美里の方がわたしなんかより遥かにいい奈津樹さんのパートナーになっていたはず。
そうわたしは考えていた。考えていたのだけど、そのことを考えると、胸にモヤモヤとしたものが生じ、複雑な気持ちになってしまう。
(……もしも、の話は考えたって無駄なのに)
わたしは自分の中に生じたよく分からない感情を誤魔化すため、奈津樹さんがわたしに向かって振る猫じゃらしに集中する。
集中しても奈津樹さんの操る猫じゃらしの動きは素早く、とても捉えられない。ヒトネコとしての遊びだけのつもりが、だんだん本気で熱中してしまっていた。
その時だ。
――ピピ、ピピ、ピピ……
スマホの着信音が鳴り響いた。奈津樹さんの視線と意識がそちらに向く。
猫じゃらしの動きが止まった。
(……! 今なら!)
チャンスと感じたわたしは、すかさず猫じゃらしに飛びついた。
両手を伸ばして挟み込もうとする。
しかし、奈津樹さんはスマホを取り出しながらも、猫じゃらしのことを忘れず、さっと避けた。
「にゃっ!?」
勢い余ったわたしは、お尻を床につけて座り込んでいた奈津樹さんの膝に倒れ込んでしまう。
「ング、ん、にゃぅ~……」
丸太みたいな奈津樹さんの太腿がお腹に食い込む。
お腹が圧迫されて、変な声が出てしまった。
うまく止まれなかった自分の鈍臭さと、変な声を出してしまったことが恥ずかしくて仕方ない。
奈津樹さんは笑いながらわたしの背中を猫じゃらしを持った手で撫でて、慰めてくれた。
そして、何やら手に持ったスマホで通話を始めたようだった。画面を体の前で構えている。
後から考えれば、スマホのカメラ機能を使ってテレビ通話をしているのだとすぐわかりそうなものだけど、その時のわたしは思わずその画面に何が映っているのか、気になって覗き込んでしまった。
そして、奈津樹さんが手に持つ端末に映る、外国人らしき女の人と目があった。
外国人特有の青い目が、まん丸に見開かれている。
「にゃっ……!」
(し、しまった……!)
慌てて隠れようとしたわたしを、奈津樹さんの腕ががっしりと捕まえる。わたしの脇に手を回し、自分の胸元に引き寄せるようにして、わたしをカメラに収めてきた。
(ちょ、ちょっと奈津樹さーーん!?)
流石に下半身までは写っていないと思うけど、上半身はいつも通り裸だ。
思いっきりトップレスを晒されてしまったわたしは、泡を食って奈津樹さんの手から逃れようとしたけど、奈津樹さんの腕力に勝てるわけがない。
せめて腕を折りたたんで胸を隠したけれど、恥ずかしい姿に変わりはなかった。
幸い、この手のことに全く関係のない通話相手じゃなかったのか、画面向こうの外国人さんは、最初こそ驚いていただけど、すぐにニコニコとした笑顔になって、何かを喋っていた。奈津樹さんが得意げな顔をしていたところを見ると、褒めてもらえたのだろう。
英語なのかなんなのか分からないけど、向こうの人が喋る言葉も人声抑制機能はきちんと無効化しているようで、よく分からない音に変化させられていた。
奈津樹さんはしばらくわたしを抱えたまま、電話の向こうの人と話したのち、ようやく通話を終えた。通話が切れる直前、外国人さんが明らかにわたしに向かって手を振っていたのがとても気になった。
(うぅ……また知らない人に見られた……)
メイドさんやら丹羽さんやら大河原さんやら奈津樹さんやら。
思った以上にたくさんの人にヒトネコ姿を見られてしまっている。
この仕事を受けた段階で、当然人に見られる覚悟はしていたけれど、こんなに色んな人に見られる想定は正直していなかった。
(でもそういえば、期間内に愛好家を集めたパーティを開くとかいう話もあったわね……)
愛好家だけのパーティなら、ヒトネコトリップの時に見られたからいいかなと思っていたけれど、この調子だとパーティでも予想外の何かが起きそうな気がしてきた。
基本的に穏やかなヒトネコライフを過ごしてはいたけれど――なんだか、まだまだ波乱があるような予感がしてならないわたしだった。
つづく