カゴノヒト 第9話① 「ルナールとシャーティ」
Added 2020-12-04 14:42:25 +0000 UTC■ あらすじ:拘束プレイ愛好者の十和野カゴメは、ある日自縛プレイのミスにより死んでしまう。その寸前、異世界の神によって加護を経て異世界転移を果たした。異世界で冒険しながらも、貰った加護で拘束プレイの追及に余念がないカゴメ。その周りには徐々にその意思に賛同する仲間が集まって行って――ありがちというにはあまりに異質な異世界冒険奇譚。
■ 本編は全体公開で連載していく予定ですが、それ以外で書きたくなった「おまけ」シーンは支援者様向けに公開予定です。そちらも合わせてお楽しみいただければ幸いです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
冒険者パーティ・カゴノヒトのリーダー、異世界転移者のトワノカゴメ。
彼女が箱詰め拘束を行うことで得た力の一つは、彼女が箱詰め状態で拠点内にいるときに限り、拠点内に存在する者たちに一定の恩恵を与えるというものだった。それによって拠点内で休息するだけで、通常では治らない病気や怪我を治癒することが可能だ。
そしてもう一つ。
パーティの正式なメンバーにしか作用しないようだが、『その人物の装備品を任意の拘束具に瞬時に切り替える』という力も得ていた。
その力を用いて、久々にカゴノヒトの拠点にやってきた狐獣人の行商人にして、外部協力者のルナールにラバードレスを着せたカゴメは、複雑な想いを込めて呟く。
『これは正直、拘束プレイ愛好家としては邪道寄りの能力ではあると思うのですが、便利は便利なんですよねぇ……』
カゴメの複雑な心情を表すように、彼女が詰められている箱の壁面に映し出されている彼女の顔も、喜ばしいような、そうでもないような、絶妙に微妙な表情を浮かべていた。
拘束プレイ愛好家は拘束されきった状態はもちろん、拘束具をひとつずつ身につけていく過程も楽しんでいることが多い。
ラバースーツが体を少しずつ覆っていく様子や、重苦しい枷が一つ一つロックされていく感覚、徐々に自由を剥奪されていくことの実感は、ゆっくりと身につけなければ味わえないものだ。
ゆえにその過程を一足飛びにして拘束状態を生み出してしまえる力は、拘束愛好家のカゴメには邪道にも感じられるわけだ。しかし、拘束具によっては装着に面倒なものがあることも事実。
色々な拘束具をその時々に合わせて付け替えていくタイプなら、装着の手間を省けることは良いことでもある。
また、カゴメは得ている加護の制約上、常に拘束されていなければならない。
メンバーと拘束プレイを楽しもうとしても、自分の手で拘束具を着せてやれるわけではないため、その力はそういう意味でもとても便利なものではあった。
そんな複雑な気持ちを抱いているカゴメを慰めるようにシャーティは呟く。
「時間をかけずに、拘束具を次々着せられるのは、間違いなく利点ではあるけどねぇ……ところで」
にやりと意地の悪い笑みを浮かべて、ルナールの方を見る。
「ルナール、どうかしら? 久しぶりのラバー拘束は?」
そんな彼女の挑発的な言動に対して、ルナールは。
「ムーゥ、ウーッ!」
不明瞭な呻き声しか返せなかった。
ラバードレスによって全身を固められたルナールは、口元まで完全にラバーに覆われているため、明瞭な声をあげることが出来ないのだ。
ドレスの襟の部分が口元までを覆っている。鼻呼吸は妨げていないものの、口は完全に閉じた状態からぴくりとも動かせない。
ドレスは裾が長く、足先まで覆っている。フリルのように広がっているドレス部分の内側は全身タイツのような状態だったが、足の途中から分厚いブーツのような形状に変化しており、両足を揃えた状態で動かせないように固まってしまっている。
ギシギシと音を立てながら体を揺らすルナールだが、彼女の力ではラバードレスの拘束を振り解くことはできない。
少し体を動かす度に体全体がラバードレスと擦れてしまい、ルナールは否が応でもラバーの感触を全身で味わうことになってしまっていた。
「んぅ……っ、んんっ……」
最初は戸惑いや、シャーティに対する反発心のようなものが強く見えたルナールだったが、そのラバーの感触が徐々に気持ち良く感じてきてしまえたのか、呻き声に甘いものが混じるようになりつつあった。
「あらあら。ルナールちゃん、気持ちよさそうね」
悪気のない声でマリエッタがそう指摘する。
彼女は必要に駆られてラバースーツを身につけるようになったタイプであるが、数ヶ月もの間、それを着て過ごしていればその異様な着用感にも慣れる。
そして、一度その違和感に馴染んでしまえれば――そういう素養を持つ者であれば――性癖として開花させるのは、ある意味当然ではあった。
今ではマリエッタも、歴としたラバースーツ愛好家の一人なのである。時折カゴメと一緒に寝室に入って楽しんでいることを、シャーティはもちろん、外部協力者として一定の距離をおいているルナールでも知っていた。
そんなマリエッタだからこそ、ルナールがただ自由を奪われて苦しんでいるわけではなく、気持ちよさを感じていることに気付いたのだ。
彼女の指摘を受け、羞恥を感じたルナールの頬が、真っ赤に染まる。
「んぅう……んぅっ」
カゴメに視線を向け、抗議するように呻くルナール。そんな彼女の反応をどう受け取ったのか、カゴメはにこやかな表情になってシャーティに水を向けた。
『長旅でお疲れでしょう。シャーティさん。ルナールさんをお部屋まで連れて行ってあげてください。お話はまた明日にお聞かせ願います』
そう彼女がいうと同時に、ルナールの首に太い首輪が出現する。
さらにその首輪から太い首輪が垂れ下がった。鎖の先には腕に装着するのであろう太さの枷が付いている。
『その枷をシャーティさんが腕に嵌めれば、ルナールさんはラバードレスのまま歩けるようになりますから』
「なんでわた…………いえ、わかったわ」
指名されたシャーティは何か言いかけたが、結局カゴメの指示に従った。
ルナールの首から垂れ下がる枷を手にすると、躊躇なくその枷を左腕に嵌める。
「ほら、ルナール。行きましょう。『立って』」
そうシャーティが指示を出すと、それに従ってルナールの体が動いた。正確にはラバードレスが勝手に立ち上がったのだ。
「んひぅ……っ!」
身体の表面に張り付いたラバードレスが動いたことで、ルナールはラバードレスに全身を擦り上げられることになった。
強烈な刺激に思わず悲鳴をあげてしまう。
下手にラバードレスの動きに抵抗すると、余計に強くラバードレスが身体を擦ってくるため、ルナールはなるべく身体から力を抜いて、ラバードレスが動くのに体を委ねる。
しかしそうやって脱力すると、体を擦り上げてくるラバードレスの刺激に対して堪えることができなくなってしまう。
(ひ、久しぶりだから耐えられるけど……こんなのを、毎度、されてたら……っ)
ラバードレスが動くだけで感じるようになってしまうだろう。
その確かな予感があった。
「ほら、さっさと行くわよ。『付いてきなさい』」
シャーティがそう行って、手枷に繋がった鎖をジャラジャラと言わせながら歩き出した。その彼女の後ろについて、ルナールが――彼女が身に纏うラバードレスが歩く。
大きく動き出したことで、ラバードレスによる刺激はより強まった。
歩き出してすぐ、ルナールは以前までのラバースーツの感触とはまるで違う感触が生み出されていることに気付く。
(……っ! ま、前よりなんだか……擦れ方が、いやらし、い……っ?)
ルナールはただ歩いているだけなのだが、それによって身体に擦れてくるラバードレスの刺激が、妙に性的なものになっていた。
実はカゴメが生み出す特別なラバースーツは、カゴメがラバースーツを作ることに慣れていくのに従って、その性質や性能を徐々に向上させていた。
カゴメは元々、ラバースーツを性的な目的で着用している。ゆえに自然と「着ていて気持ちのいい」「着ているだけで気持ちよくなれる」と言った方向でラバースーツを進化させてしまっていた。
彼女は様々な拘束具を作っているが、ラバースーツは街の娼館にも定期的に提供しているため、作る機会が非常に多い。
ゆえにラバースーツは特別そういう方向に洗練されていっているのだった。
実際、ラバースーツの提供を受けている娼館でも「あのラバースーツは着ているだけで気持ちよくなれる」と評判で、仕事の時以外でもラバースーツを身に着けたいという者も普通に出るようになっていた。
噂を聞きつけてラバースーツの提供を求める町民も増えており、この街にラバースーツは順調に浸透して馴染んでいた。
それくらい洗練されているラバースーツなのだから、ラバースーツ自体を着るのが久しぶりであるルナールが、スーツの刺激に感じてしまうのは無理もなかった。
「んぅ……っ、ふ、ぅ……っ、んんぅっ」
歩くたびに全身をラバースーツに擦り上げられ、彼女の性感帯は嫌でも活性化させられていく。
幼馴染でライバル的存在でもあるシャーティに無様な姿を晒したくない一心で、辛うじて絶頂こそ耐えていたが、ラバースーツの刺激にルナールが感じつつあることは、シャーティにはお見通しだった。
「……ふふっ、久しぶりだっていうのに……いえ、久しぶりだからこそ……かしらね? ただ体を擦りあげられるだけでも、随分気持ちいいでしょう?」
嘲りではなく、むしろ自慢げにシャーティは告げる。
彼女もラバースーツにハマってしまった側の人間であるため、ルナールの反応は好ましいものであった。
「んぅ……!」
だが、それでルナールの羞恥が緩和されるわけではない。
ルナールは抗議するように呻くことしか出来なかった。
そうこうしている間に、ルナールがいつも使っている部屋へと、ふたりは辿り付く。
部屋はさほど広くはなかったが、ベッドや机などの必要な家具は一通り揃っており、寝泊まりするのに不便はないように整えられていた。いつ部屋が必要になってもいいよう、ルナールは私物の類を置かないようにしていたために殺風景だが、その分掃除は常に行き届いているのがよくわかった。
「とりあえず一端襟を緩めるわね。『ベッドに腰かけなさい』」
シャーティの指示に従ってベッドに腰かけたルナール。その彼女の襟を、シャーティは開いて、口が自由になるようにしてあげた。
ラバードレスによって手が封じられているルナールにはどうすることも出来なかったが、外からなら簡単に解くことが出来たのである。
「ぷはっ! ……はぁ……はぁ……はぁ……」
口を開けて呼吸が出来るようになったルナールは、息苦しさを解消するように、口で深呼吸を繰り返した。
必死な様子の彼女に、シャーティは優しく声をかける。
「喉乾いたでしょう? ラバースーツもそうだけど、ラバー系の衣装って内側ですごく汗を掻いちゃうのよね」
人によってはラバースーツの中でかいた汗が溜まり、水ぶくれを起こしてしまうほどだ。
もっとも、カゴメの作り出したラバースーツは普通のラバースーツとは違って分泌された汗や老廃物は自動的に処理されるため、マリエッタやナギのようにずっと着ていても問題はないが。
そういう意味での悪影響は出なくとも、汗を掻くことによって喉に渇きを覚えはする。
部屋の隅に置かれていた水差しを手に取ったシャーティは、それを直接ルナールの口に翳した。ルナールは少し逡巡したあと、差し出された水差しの口を咥え、注がれる水を飲む。
水は常温であったが、特に淀んだ様子はない、新鮮な水であった。
「んぅ、んくっ……ぷはぁっ。美味しい……マリエッタさんが管理してくれてたの?」
「部屋の掃除に関してはそうね。水はあなたが今日戻ってくるのは知ってたから、私が用意しておいたのよ」
さらりとルナールの行動を把握していたと告げるシャーティ。
情報屋として活動しているシャーティは、当然ながら街の様々な機関に情報源を持っていた。ルナールが商人として籍を置いている商会の情報も、当然確保しているのだ。
絶対に外部に漏らせない極秘情報というほどではないにせよ、各商人の行動計画は積極的に開示される情報ではない。それを当たり前のように知っているシャーティの情報屋としての実力が窺える話だった。
「それはどうもありがとう。……で、口以外の拘束も解いてくれてもいいんじゃないかしら?」
そういうルナールに対し、シャーティはにこやかな笑みを浮かべた。
「あら。せっかくカゴメさんが気を利かしてくれたのだから……優位な状況を楽しまないと損じゃないの」
シャーティの笑みはとても――楽し気な笑みだった。
「『そのままベッドに仰向けに寝転がって、両手で膝腕を抱えなさい』」
「あっ、ちょっ、ズルい――!」
思わずルナールがそう叫んだが、拘束具による命令は実行される。
ルナールは言われるまま、ベッドに仰向けに寝転がり、そして両手で膝の裏を掴んで抱える体勢になる。
それは、必然的にラバードレスの裾が大きく捲れ上がり、両足を開いて股間を晒す体勢になってしまうということだった。
ラバードレスの裾に隠されていた、ルナールの股間がシャーティの前に晒される。
ドレスの内側、ルナールの体は薄いラバーによって覆われており、全身タイツのように微妙な凹凸の陰影を露にしていた。
掻いた汗は吸収されるとはいえ、汗を掻くような状態であることに変わりはなくーーラバーが肌に張り付いて蒸れている様子は、非常にエロチックなものだった。
第九話②につづく