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カゴノヒト 第10話② 「火山龍の目覚め」

■ あらすじ:拘束プレイ愛好者の十和野カゴメは、ある日自縛プレイのミスにより死んでしまう。その寸前、異世界の神によって加護を経て異世界転移を果たした。異世界で冒険しながらも、貰った加護で拘束プレイの追及に余念がないカゴメ。その周りには徐々にその意思に賛同する仲間が集まって行って――ありがちというにはあまりに異質な異世界冒険奇譚。


■ 本編は全体公開で連載していく予定ですが、それ以外で書きたくなった「おまけ」シーンは支援者様向けに公開予定です。そちらも合わせてお楽しみいただければ幸いです。


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 冒険者グループ『三日月』の魔法使いサマンサは、彼女のために用意された特別な『衣服』を前に溜息を吐いた。

「結局着ることになるとはねぇ……まあ、ギルドからの指示じゃ仕方ないね……」

 超級災害・火山龍の目覚めによって起きる、住民の大移動。

 それに伴って、この街にも多くの移民や流民が訪れると予想されている。

 そこで問題になってくるのは、特殊な装備を身に着けて行動しているカゴノヒトの存在だ。

 街ではすでに暗黙の了解になっているが、カゴノヒトのリーダー・カゴメは異世界転移者であり、その身に宿している加護の有用性は計り知れない。

 そんな存在に出来る限り街に所属しておいてもらいたいと考えるのは、上層部からすれば当然で、その彼女が街を離れかねない事態は避けなければならない。

 幸いにして、カゴメという転移者自身は義理堅く誠実な人物で――少々見た目は特異にすぎたが――無暗矢鱈な要求をすることはなかった。特に大きな問題を起こすことも起きることもなく、ここまで街の住民たちと上手くやれて来ている。

 しかし、街の状況が大きく変わってしまえば、いままで通りに彼女が過ごせるかどうかは微妙なところだ。移住者や流民に関しても当然配慮はするとはいえ、彼女が街に居づらさを感じ、パーティの拠点を移そうとする可能性がある。

 ゆえに、ギルドが多少の強権を用いてでも、それを防ぐ手立てを打つ、というのは理屈としてはわかる。わかるのだが。

「ラバースーツ、ねぇ……こいつを着る日が来るとは……はぁ……」

 サマンサはもう一度溜息を吐いた。

 かつてサマンサの所属する冒険者グループ『三日月』は、カゴメを一時的にメンバーに加えていたことがあった。

 その時にも、カゴメからは自分の作り出したラバースーツを着ないかと熱い視線を向けられていた。

 ラバースーツは不思議な素材で出来た特殊な服で、当時カゴメは一種類のラバースーツしか作っていなかった。首から下の身体にぴっちり張り付くそれは、身体のラインを嫌でも強調し、またその乳房や臀部も張りのある形に矯正してくれる優れものであった。

 しかし見た目はほとんど裸に墨でも被ったかのようなもので、はっきり行って相当恥ずかしい装備であることは間違いなかった。

 俗な言い方をするのであれば、『エロ装備』と呼ばれる類のものだったのだ。

 実のところ、カゴメの作るラバースーツ以前から、この世界には『エロ装備』と呼ばれるものが存在している。

 もっとも有名なのは『ビキニアーマー』と呼ばれる魔法の装備だ。かつて滅びた魔法大国で作られたその装備は、極めて強力な防御の魔法を有しているが、同時にそれ以外の装備を身体に身に着けることが出来ないという特徴がある。下手な装備を着るよりはよほど防御力が高くなるため、女戦士の中にはそれを選んで着る者もいる程度には、見た目を除けば極めて優秀な防具だ。

 理由は違えど、そういう見目に少し問題があっても、有用な装備があることは広く知られており、サマンサも自分が着ないのであれば、別にその装備を着ている者に対して何ら隔意を抱くことはない。

 ただ、自分が着るとなると、さすがに話が違ってくるのである。

「わたしゃもう若くないんだけどねぇ……他の子は若いからいいけどね……」

 サマンサはぶつぶつと呟きつつ、服を脱ぐ。

 三十代半ばのサマンサは、最近身体の衰えを如実に感じていた。長命の種族であれば三十歳半ばはまだ赤子のようなものだが、人間である彼女にしてみればもう全盛期は過ぎている。

「無駄な肉がついてきてるような気もするし……ねぇ……」

 そう呟くサマンサは、自分の体をじっと見落とした。

 実の所、彼女が自分で思っているほど、彼女はだらしのない体つきをしてはいなかった。

 若さという意味では、二十代前半と言われているカゴメやナギといった者に適わないのは事実だ。肌の張りや艶に関しては若い彼女たちに勝るものはない。

 しかしサマンサの熟女としての魅力は、それとは全く別の魅力を有していた。特にサマンサ自身は無駄な肉付きだと思っている部分は、人によればムチムチとした良い肉付きであり、実際彼女に恋慕の情を向けている『三日月』のリーダー・リオルは、たまに目のやり場に困るほどの熟成された魅力を彼女から感じている。

 そんなことは全く知らないサマンサは、溜息を吐きつつ、裸の上から直接ラバースーツを身に着けて言った。

「……カゴメと一緒に行動していた時にも思ったけど……本当に不思議な材質だねぇ……これを服にするって発想がおかしいよねぇ……」

 ラバースーツの背中側が空いているため、そこから中に足や手を入れて押し込んでいく。

 あっという間にラバースーツは彼女の両手両足を多い、不思議な光沢を放っていた。

 手足を翳して見ながら、自分の腕ではなくなってしまったかのような感覚に、何とも言えない気分になるサマンサ。

「さっさと着ちまうに限るね……」

 しっかり両手両足を通し、身体の前面にラバースーツがぺたりと接するまで引き上げる。

 ある程度整えた後、サマンサは襟元に手をやりながら、カゴメに教わった通りに魔力を流しながら告げる。

「『閉じろ』」

 そう彼女が呟くと、指先が触れていたラバースーツの襟元が光り、光の筋がラバースーツ全体に走った。

 そして、背中にぱっくりと開いていたラバースーツの隙間が、お尻の方から順番に自動的に閉じていく。魔法が使えない者に提供するラバースーツには普通にジッパーがついているのだが、魔法使いである彼女のそれは特別製だった。

 魔力を流すことで、自動的に割れ目が閉じていくようになっていたのだ。

「ひゃっ、あ、っ!」

 徐々にラバースーツが閉じていくのと同時に、サマンサは全身をラバースーツに擦られる感覚を覚えた。ラバースーツは彼女の体格に併せて伸縮し、よりぴっちりとした状態を生み出していく。

 指先一つ一つまでぴっちりと弛みなく覆われる衝撃に、サマンサは思わず目を白黒させてしまった。

「ん、ぅぅ……っ!」

 きゅっ、と全身が締め上げられる。思わず背筋が伸び、胸を張ってしまった。ラバーに覆われて風船のようになったサマンサの乳房がゆさりと揺れる。ラバースーツは普通の服よりも乳房の大きさをそのまま強調するため、いつもより大きくなったかのようにも見えた。

「はぁ……はぁ……はぁ……」

 ラバースーツを着せられる感覚に、思わずサマンサが息を荒げているうちに、ラバースーツの割れ目は完全に閉じ、完全なラバースーツ姿となったサマンサはその場に思わずへたり込んでしまった。

「……カゴメは、よくこんなの着て、平然としてられる、ね……っ」

 身体を動かす度に生じる奇妙な感覚に、サマンサは顔を顰めつつ、鏡の前でラバースーツが着れたことを確認する。

 鏡の中に映るラバースーツを来た自分の姿が、自分のものなのか、一瞬サマンサは自信が持てなかった。

(こんな格好で出歩くのは、ごめん被りたいねぇ……)

 カゴメはそれ以上の格好で出歩いているのだが、彼女は彼女である。

 サマンサはとてもそのままでは耐えられそうになかったため、カゴメが用意してくれた追加ラバー衣装を急いで着ることにした。

 カゴノヒトのメンバーが着るラバー衣装は、大抵ラバースーツだけなのだが、サマンサがラバー衣装を嫌がったことがあるのを踏まえて、カゴメはちゃんと用意をしてくれたのだ。

 サマンサが手に取ったのは、魔術師のローブを参考に作ったという、ラバー素材で出来たローブだった。

 どちらかというと裾の長いポンチョといった感じのそれは、ラバー素材で出来ている。サマンサが肩にかけると、その身体を覆って、外見を補ってくれる。

 わかりやすく例えるのであれば、テルテル坊主のような状態だった。魔術師らしいフードもついており、デザインにはかなりの拘りが窺える。

「……ちゃんと両手を通すためのスリットも空いてるし……これなら、見た目は普通……ではないねぇ」

 ラバーローブを肩に羽織り、自分の姿を鏡で見た、

 確かにラバースーツの衣服そのままで出るよりは遙かにまともな外見ではある。

 しかしラバーローブがマンとほどの裾の長さがないこともあって、腰の辺りから下はチラチラと見えてしまっている。ローブがあることで上半身が隠れる分、ラバースーツだけよりはまともではあったが、腰から下が丸出しなのは恥ずかしい。

「……ん……でもまてよ……腰にベルトを巻いて……こうすれば……」

 魔法使いとして、様々な道具を持ち歩く必要がある。太めのベルトにポーチやその他のものを吊り下げてしまえば、腰回りはかなりカバーできた。

「……これなら、まぁ大丈夫かねぇ。ラバースーツが黒いからそう目立たないし……」

 ぶつぶつと呟きつつ、鏡の前で見た目を確認するサマンサ。

 その時、彼女が着替えに使っている部屋の扉が、外からノックされた。

「サマンサ、そろそろ準備出来たか?」

 彼女の所属するグループのリーダー・リオルの声だった。

 思わずサマンサはドキリとしたが、この服で会うことを避けられない相手だ。

(へ、平常心、平常心だよ私……)

 下手に気にしてしまうと、相手も困るだろう。

 そう考えたサマンサは、あえて堂々として部屋の扉を開けた。

 部屋の外で待っていたリオルは、一瞬目を泳がしかけたが、彼が考えていた姿と違っていたのか、すぐいつも通りの表情になった。

「おお……サマンサには特注のラバーローブを渡したって話は本当だったのか。うん……魔法使いらしくて、似合ってるぞ」

 彼の想像よりずっと『見れる』姿だったためか、リオルはあからさまな安堵の表情を浮かべていた。

 もっとも、リオルがかすかに残念に感じているような気配も、付き合いの長いサマンサは感じた。そこにツッコミを入れると自爆するような気がしたので、触れなかったが。

 だからサマンサは彼の視線のことは忘れて、むしろ彼女の方からリオルの姿をじろじろと眺めた。

「ふぅん……リオルの方は、街で見かける奴とは、ずいぶん違うんだねぇ」

 カゴノヒトは女性しか所属出来ないパーティとして知られている。それは同性しかいない方が色々捗る、というカゴメの拘りゆえのことだ。

 だが、今回の『木を隠すには森』作戦では、なるべく多くのメンバーにラバー装備を着てもらう必要がある。ゆえに、男性であるリオルも、特別にラバー装備の提供を受けていた。

 リオルは少し恥ずかしそうにしながらも、分厚いラバーグローブに覆われた手をグッと握って見せた。

「なんというか、肌に張り付いてくる感覚に慣れないんだけどな……」

 その姿は見る者がみればすぐに『それ』を参考にしたということが自明の姿だったが、残念ながら今のその世界にそれを意識出来るのはカゴメしかいなかった。

 リオルが前線に立って戦う戦士ということもあるのだろう。

 某改造された強化人間が身に着けているような、一種のライダースーツだった。

 元々逞しいリオルの筋肉を強調するようにぴっちり張り付いているところも多いが、手足の先や股間といった必要な部分は、分厚いプロテクターのようなものに覆われている。

 逞しいリオルの身体が強調されており、あまり普段は意識しない異性としての魅力をサマンサは感じてしまっていた。

 ドキドキする鼓動を誤魔化すように、もう一人のメンバーについて尋ねる。

「く、クルナエルも同じような衣装なのかい?」

「いや、あいつは――」

「ここにいる」

 いきなり響いたクルナエルの声に、サマンサは驚かされた。きょろきょろと周りを探すサマンサを嘲笑うように、リオルの隣の空間が歪み、そこにクルナエルと思われる人物が立っていた。

「ひゃっ、い、いたのかいクルナエル……透明化出来る装備なのかい?」

「完全ではないがな。周りの景色の色に紛れているに過ぎない。だが、動かなければほとんど見抜けないだろう」

 そういって再び透明になるクルナエル。言われて注視してみれば、微かに輪郭が見て取れた。透明な水が人型を取っている、というイメージだ。よくよく見れば微かに景色が歪んで見えている。

「……屋内だから気付けるけど、森の中や遺跡の中でされたら、全然わからなさそうだねぇ」

「ああ。透明化していない時の見た目は、はっきりいってあまり良くないが……有用なのは間違いないな」

 そういってクルナエルが再び透明化を解いて姿を表す。

 その姿は目の周りだけ空いた全身タイツを身に着けているかのようで、お世辞にも見目がいいとは言えない。ラバー素材の前掛けが用意されており、股間の膨らみこそ隠せていたが、目しか見えないことで怪しさも倍増だった。

「正直、まともな見た目のリオルが妬ましい」

「ああ、それはわかるね」

 ラバー素材で目立つとはいえ、そういう特殊な装備だといって一番通用しそうなのは、リオルの装備だ。

 メンバーの二人から妬ましい視線を向けられ、リオルはたじろぐ。

「お、俺に言われても……」

 その装備を作ったのはカゴメであるため、確かにこの場でリオルを責めても何にもならない。

 サマンサは溜息を吐き、話を変えることにした。

「リオルのには、どんな加護が宿っているんだい?」

 その気遣いを受け、リオルはホッとしながら答えた。

「基本的な防御力も高いけど、この装備の目玉は跳躍力増強らしい。あとで試してみるけど、相当高い木でも飛び越えられるくらいにはなってるらしいぞ」

「ふぅん……それでそんなゴツイブーツってわけかい……でもなんで跳躍力増強なんだろうね?」

「さあ……? そこまでは訊かなかったな」

 無論、元ネタ由来のイメージが影響した結果なのだが、カゴメもハッキリと意識しているわけではなかった。

「サマンサの加護は?」

「ああ、そういえばちゃんと聞いてなかったよ……魔法に関することだとは言ってたけど」

 ラバー衣装を着なければならないということが大きすぎて、肝心の得られる加護のことについて確かめるのを忘れてしまっていた。

「魔法を使って確かめてみてもいいけど……ちょうどいいから、カゴメに直接聞きに行こうか」

 普段は用事が済めば早々に拠点に帰ってしまうカゴメだが、今回は加護を付与した装備を大量に配ったこともあり、まだ冒険者ギルドに残っているはずだった。

 サマンサは早速カゴメがいるはずの方向に向かって歩きながら、微かに焦りを滲ませていた。

 彼女にはカゴメに大至急訊かなければならないことがあった。

 サマンサが着ているラバースーツは、首から下を完全に覆ってしまうタイプだ。

 ゆえに催した時にどうすればいいのか、一度全部脱がないとダメなのか。


 催してしまった今――すぐにカゴメに訊かなければならなかった。



第10話③につづく


Comments

確かに、ラバー素材でも出来るかもしれません。 でもカゴメの場合、アーマーというか、貞操帯的なものになりますね^w^(効果はほぼ変わらないと思いますが)

夜空さくら

カゴメもラバーバージョンのビキニアーマーを製作できる気がします

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