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夜空さくら
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羽桜ちゃん、不良少女にお仕置きする 前編

■ 異世界から転生してきた元魔王にして覇王である『万江刃羽桜』は前世の力をほぼそのまま振るえます。それを用いて彼女がしているのは――周囲の変態的な願い事を叶えること。人間の性的多様性と限りない欲望を、時にドン引きしながらも叶えてあげているお話しです。

■ 今回は羽桜ちゃんの逆鱗のお話。基本寛大で大らかな羽桜ちゃんですが、怒るときは怒ります。そして一度怒ったら当然ですが誰にも止められませんーwー;オソロシヤ


■ コメントなどで「羽桜ちゃんにシテ欲しいこと」を書き残していただけると、場合によっては羽桜ちゃんが叶えます。緩いリクエスト受付みたいなものですが、必ずしも採用されるわけではないので、そこはご了承ください。羽桜ちゃんに関してはツイッターでも色々呟いていますのでそちらもどうぞ→twitter/yozorasakura

■ このシリーズは支援者様のみの公開になったり、全体向けに公開したり、その時の内容によって変えようと思っていますので、あらかじめご了承くださいーw-ペコリ

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 羽桜ちゃんは基本寛大で、めったなことでは怒らない大きい器の持ち主だ。

 配下の女の子たちが自分のことを人形扱いして撫でくり回しても、シテもらっているときに粗相をして羽桜ちゃんの身体や服を汚してしまっても、うっかりしたミスなどで彼女との約束を破ってしまっても、本人に面と向かって侮辱の言葉を投げかけても――これをしたのは羽桜ちゃんのことを知らない不良少年だった――怒ることはなかった。

 泰然とした態度で受け止め、時に受け流し、見た目とは裏腹の、いわゆる「大人の対応」で済ませてくれる。

 そもそも普段羽桜ちゃんと接している子たちは皆羽桜ちゃんのことが好きだし、彼女が不快になりうることは言わないし、しないのだけど。

 ただ、彼女には『逆鱗』とでもいうべきものが存在する。

 もちろん今の羽桜ちゃんは人間だから、喉の下に物理的に生えているわけではなく、彼女を絶対に怒らせる『あること』があるのだ。


 意図的であれ衝動的であれ、『それ』に触れた者には恐ろしい罰が待っている。


 ある日のこと。

 羽桜ちゃんと、その配下の女の子たちが街にショッピングに出かけた際のことだ。

 派手な格好をしたギャル風の女の子たちに絡まれる事態が起きた。

 羽桜ちゃんの傍にいた仲間のひとりが『あたしたちを睨んできた』とかいう、いちゃもんの類だった。

 あとからわかった話、どうやらその時絡んできた不良少女は、彼氏に振られたばかりで虫の居所がとても悪かったそうだ。

 羽桜ちゃんは最初、そんな手合いに対しても特に声を荒げることなく、穏便にその人を宥めようとしていた。羽桜ちゃんは際限なく人智を超えた力を振るうことが出来るけど、いきなり魔法などを使って物事を解決しようとはしないのだ。

 ここまでは普段通りだった。

 だけど、体格的に小さい羽桜ちゃんが堂々と物を言ってくるのが気に食わなかったのか、その不良少女は言ってはならないことを口にしてしまった。


 それは羽桜ちゃん自身ではなく、両親をバカにするような言葉だった。


 その瞬間、羽桜ちゃんの纏う空気が変わって、その時羽桜ちゃんについていっていた女の子たちは、蜘蛛の子を散らすように全力で羽桜ちゃんから距離を取った。

 羽桜ちゃんを抑えようとする者はひとりもいなかった。それは我が身可愛さの行動ではあったけれど、無理はない。

 誰だって荒れ狂う台風の前に立って止めようとはしないだろう。

 一方、不良少女はいきなり女の子たちが逃げ出したものだから訳がわからなかっただろう。知らないというのはある意味幸せなことだった。

 目の前で怒りを露わにしている存在が、いかに恐ろしい存在かわからないのだから。

 羽桜ちゃんはまるで地の底から響かせているかのような、低音で笑った。彼女の本質をしる女の子たちには、怪獣が唸っているように聞こえたとかなんとか。

「ふは、ふはははっ。余の前で、今世の余の親を侮辱する言葉を吐くか。……ふん。世の中への不平不満はあろうが、口にする時と相手を間違えたな、貴様」

 羽桜ちゃんの放つオーラのようなものが周囲の景色を歪めているように見えた。

 相手がやばいことに気付いたのは、侮辱する言葉を放った不良少女本人ではなく、その少女の仲間たちだった。不良少女の手を引いて「もう行こうよ」と促したのは的確な判断だっただろう。

 だが、それは判断が遅すぎた。せめて言う前に止めていれば良かったのだけど。

 羽桜ちゃんの逆鱗に触れたあとではどうしようもない。


 ラスボスからは逃げられないのだ。


 羽桜ちゃんが掌を不良少女へと向ける。

「そんなに世の中に反発したいのであれば――世の中に反発するようにしてやろう」

 どん、と羽桜ちゃんの掌が空を叩いた。

 その次の瞬間、その正面に立っていた不良少女の着ていた服が、全部弾け飛んだ。

 派手な改造制服や下着だけじゃなく、耳に着けていたピアスや濃い化粧に至るまで、全部が吹き飛んでいた。

 いきなり生まれたままの姿に、全裸になってしまった彼女は、一拍遅れて悲鳴をあげた。

「きゃあああ!? な、なに!? なんなの!?」

 世の中を斜に構えて睨んでいるような彼女でも、いきなり街中で裸にされれば恥ずかしいだろう。大慌てで身体を隠し、その場にしゃがみ込む。

 遊び歩いている割には、若さのためもあってか、非常に綺麗な身体をしていた。胸の大きさは年齢相応という感じだったが、手入れは怠っていないからかムダ毛や腋毛の処理もきちんとされており、日に焼けていない白い肌はそれなりに綺麗に保たれていた。

 ちゃんとしたものを食べていないのか、ちょっと不健康なまでに細身ではあったけれど、概ね男好きするような、若々しい女体と言える。

 大きな声をあげて慌てふためいていた不良少女だったけど、不意にその声が中途半端なところで途切れた。

 ぱくぱくと口は動いて開閉しているので、何かを口にしてはいるようだったけど、声が音として周囲に響いていない。

「――? ……っ!? ――ッ、――、――!」

 恥ずかしさゆえに真っ赤になっていた顔が、みるみるうちに青くなっていく。

 喉を抑え、咳き込むような仕草を見せていたけれど、それでもやはり彼女の口からは咳き込む音すらしなかった。

「余が指定した以外の、ありとあらゆる影響を遮断する魔法をかけた。仮に核弾道が直撃しても、貴様の身体は熱にも放射能にも影響を受けぬ。当然――この魔法は空気すら遮断する」

 それは周囲から空気がなくなったのと同じことだ。いや、恐らく内側から空気が出ていくことも遮断しているので、物理的に口や鼻を塞がれたのとなんら変わりがない。

 本当にすべての影響を遮断しているとすれば彼女は目も見えないし、羽桜ちゃんの言葉も聞こえていないはずなので、そういった影響は通しているようだ。

 理屈はわからなくとも、いま自分が苦しいのは羽桜ちゃんの仕業だと気付いた不良少女は、気丈にも羽桜ちゃんを睨み付け、胸倉を掴もうとしたのか、片手を伸ばした。

 思わず助けに入りかけた私たちだったけれど、そんな必要もなく、不良少女の伸ばした手は羽桜ちゃんに触れる前に見えない壁に弾かれていた。

 掴もうとしても、殴ろうとしても、羽桜ちゃんの身体に届く前に不良少女の手が弾かれる。何かを手に持つことも出来ず、むしろ不良少女の方が弾かれた。

 混乱している様子の不良少女に対し、羽桜ちゃんがいっそにこやかな笑みで告げた。

「安心しろ。貴様がいくら暴れても、ざらついた地面を転がって悶絶しようとも、誰かに当たろうとしても、貴様が傷つくことはない。安心して藻掻き苦しめ」

 そう言いつつ、羽桜ちゃんが不良少女を優しく押しやる。羽桜ちゃんの動き自体は緩慢だったものの、羽桜ちゃんが近付いたことで不良少女は弾かれて吹き飛んだ。

「――っ! っ……!」

 もんどり打って転がる不良少女。いよいよ息が苦しくなってきたのか、彼女は自分の喉を掻き毟った。

 そんなに勢いよく掻き毟ったら、皮膚が破れて血が滲んでしまうか、爪が剥がれてしまうところだったが、そこは羽桜ちゃんが気遣ったのか、彼女の身体は彼女自身でも傷つけられないようになっていた。

「……ッ、っ!」

 空気を求めて口を限界近くまで開きつつ、あられもない格好になるのも構わず足をばたつかせる不良少女。その表情は恐ろしく歪み、見ている方まで苦しくなりそうなものだった。

「あわ……あわわ……」

 不良少女の仲間も、さすがに尋常じゃない様子に震えることしか出来ない。

 仰向けに倒れた不良少女の身体が、ぴん、と伸び、仰け反り、頭と足でブリッジをするように綺麗な弧を描いた。

 ある意味エロティックな光景ではあったし、もしもここにマゾヒストの仲間がいれば若干羨ましく感じたかもしれない。

 けれどそういう性癖でもなければそれを望んだわけでもない不良少女にとっては、地獄でしかなかっただろう。

 その股間から黄色い尿が噴出して、地面に広がったそれがアンモニアの異臭を放ち始める。

 この段階で気付いたが、羽桜ちゃんたちと不良少女たちの存在は周囲に認識されておらず、彼女たち以外は普通に過ごしていた。羽桜ちゃんが認識をずらしているのだ。

 もしそれがなければ、苦しむ藻掻く不良少女を見て誰かが通報して大騒ぎになっていたことだろう。 

 不良少女が失禁し、異臭が漂うようになっても、周りの者はその出所を意識できない。

 元々羽桜ちゃん相手に助けなど入れようもなかったが、『第三者の介入』という不良少女が助かる道は断たれていたのである。

 とうとう、不良少女は脱力し、その場でビクビクと痙攣するだけの肉塊と化した。

 このままさらに放っておけば、冷たい屍になるのは時間の問題だ。


 ぱちん、と羽桜ちゃんが指を鳴らした。


 すると、青紫色に変色していた不良少女の顔と肌の色が元に戻った。

 白目を剥いて途絶えていた意識も元に戻った様子だった。

 何が起きているのかわかっていない様子で、ぱちぱちと瞼を瞬いている。

「身体の状態を呼吸を止める直前まで戻してやった。窒息死を味わった気分はどうだ?」

 臨死体験をさせておいて、まるでジェットコースターの感想を聞くくらいの軽い調子で尋ねる羽桜ちゃん。

 そんな羽桜ちゃんに、不愉快そうに顔を顰めた不調少女は声をあげ――られなかった。

 喉を抑え、虚しく口を開閉し、恐怖に満ちた表情に戻る。

 そんな不良少女を嘲笑うように、羽桜ちゃんが告げる。

「身体の状態を戻しはしたが、空気の遮断は止めていないからな。もう一度窒息する苦しみを味わうといい。何度でも――元に戻してやる」

 残酷なことを告げる。

 不良少女はへたり込み、羽桜ちゃんから後退りながら、仲間の方へと手を伸ばした。

 言葉は出なかったが、口の動きから「助けて!」と言っているのは読唇術の心得がなくてもわかる。

 もっとも、助けを求められてもどうしようもない。羽桜ちゃんという人智を超えた力を振るう相手に、普通の女の子ではどうしようもない。

 そもそも不良少女に対する仕打ちの一部始終を見ていた彼女たちは、羽桜ちゃんへの恐怖でろくに動くことも出来なくなっていた。

 そんな彼女たちに向け、羽桜ちゃんが手をひとつ打つ。

 すると不良少女の仲間たちは急にぽかんと気の抜けた顔になる。

「あれ……? あたしら、なにしてたんだっけ?」

「え? ……なんだっけ? 何か大事なことがあったような……」

 目の前で苦しんで助けを求めている不良少女のことも見えていないかのように、二人で首を傾げ合った後、何事もなかったかのように歩き出してしまう。

 唖然とする不良少女に、羽桜ちゃんが説明する。

「いまあった出来事を貴様の存在ごと忘れてもらった。さらに貴様自身に認識阻害の魔法をかけたゆえ、余と余が選んだ者以外には認識されることもない」

 仲間に見捨てられる形になった不良少女は、泡を食った様子で、這うようにして仲間を引き留めようとその肩に手を伸ばした。

 だが当然、不良少女の手は弾かれ、引き留めることは叶わない。

「……! ……ッ!! ~~~っ!」

 また苦しみが増して来て、心が折れたのか。

 ぼろぼろと大粒の涙を流しながら、不良少女がのたうち回る。

 大股を開いてあられもない姿になることも構わず、ドタバタと暴れ、気が狂ったように頭を地面に打ち付け始める。

 痛みで苦しみを紛らわせようとしたようだけど、羽桜ちゃんの力は当然地面にも作用するので、彼女の頭は全く傷つかなかった。

「~~~~! っ……! ……っ…………!」

 殺虫剤を吹き付けられた虫が死ぬ時のように、ひっくり返った彼女は手足をバタつかせて藻掻いている。

 そして、壮絶な苦しみの表情を浮かべながら、ぱたりと力尽きた。

 小さく痙攣し、断末魔の動きを見せている。

 二度目の窒息死を迎えようとしていた。

 そんな彼女に羽桜ちゃんは近付くと、その首を片手で掴んで、まるで射止めた鴨を持ち上げるように不良少女の身体を持ち上げた。

 体格差があるから、不良少女の膝は地面に突いていたけれど、完全に脱力していて、羽桜ちゃんの手だけで持ち上げられていることがわかる。

 いまにも首を縊りそうな状態だった。鶏の首を締めようとする直前のような、そんな危うい状態にある。

 ただでさえ息が出来ずに変色していた彼女の顔色が、喉を直接掴まれて血流まで止まったせいか、赤黒い奇妙な色に変色していっていた。あまりに痛々しく、羽桜ちゃんの連れていた女の子たちの中には思わず目を逸らした者もいたくらいだ。

 一方、羽桜ちゃんは当然ながら何とも思っていない様子で呟く。

「さて……もう少しお仕置きが必要だな」

 十分では、という突っ込みは誰も出来なかった。

 羽桜ちゃんは関係のない者にまで怒りを向けるようなヒトではない、と頭ではわかっていても目の前で不良少女が嬲られている光景を見てしまう、と本能的に尻込みしてしまうのだ。

 万が一、自分たちもそうされたらどうしよう、と考えてしまうのは、結局我が身が可愛い生き物にとっては仕方のないことだろう。

 だから不良少女を助けるために羽桜ちゃんを止めようとする者はいなかった。

 羽桜ちゃんは朗々と呪文を詠唱し、不良少女に対するさらなるお仕置きを実行する。



中編に続く


Comments

家族への侮辱は羽桜ちゃん逆鱗シリーズの最大にして唯一といってもいいものです^w^ 逆に自分に対する侮辱はどんなものでも結構寛大に許してもらえます(無事で済む保証はないけれども) 次回のお仕置きも結構えぐいものになる予定ですーw-;お楽しみに!(?)

夜空さくら

ひ、ひえ! 言っちゃいけないワードベスト10に入る両親の侮辱を言っちゃったのかこの子。 両親を大事にしている羽桜ちゃんにしてみれば逆鱗になるのも当然か。 しかし、ここまでしてもお仕置きレベルなんですね。 きっと苦しめて懲らしめることが目的で殺すことが目的ではないんでしょうけど…さてどうなることやら?

ミズチェチェ


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