SamSuka
夜空さくら
夜空さくら

fanbox


羽桜ちゃん、不良少女にお仕置きする 中編

■ 異世界から転生してきた元魔王にして覇王である『万江刃羽桜』は前世の力をほぼそのまま振るえます。それを用いて彼女がしているのは――周囲の変態的な願い事を叶えること。人間の性的多様性と限りない欲望を、時にドン引きしながらも叶えてあげているお話しです。

■ いつものことながら書いてたら書きたい内容が増えてしまったので、前・中・後編の三回に分けますーw-ペコリ


■ コメントなどで「羽桜ちゃんにシテ欲しいこと」を書き残していただけると、場合によっては羽桜ちゃんが叶えます。緩いリクエスト受付みたいなものですが、必ずしも採用されるわけではないので、そこはご了承ください。羽桜ちゃんに関してはツイッターでも色々呟いていますのでそちらもどうぞ→twitter/yozorasakura

■ このシリーズは支援者様のみの公開になったり、全体向けに公開したり、その時の内容によって変えようと思っていますので、あらかじめご了承くださいーw-ペコリ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 万江刃羽桜は転生者である。

 それも自然の理や自分勝手な神に導かれてのことではなく、自らの意思で、自らの力を持って、自ら魔法を使って、転生した。

 そこに至るまでの経緯には、彼女自身非常に不本意なこともあったのだが、それでも最終的に転生すると決めたのは彼女自身の意思だ。

 ゆえに彼女は、いくらこの世界の魂が、元々様々な世界を巡るもので、どんな者にも前世や来世があるものだということは理解していた。

 しかし、同時に。

 前世の記憶や力を持ったまま来世を生きることは、来世で生まれて育まれるはずだった存在を殺すことと同義であるということも理解していた。

 それは世の理に反する行いである。

 もしも羽桜が実力のみで君臨していた魔王であったならば、それもまた節理と考えていただろう。自分という存在が力で来世にも存在することの何が悪い、と考えていたはずだ。

 しかし羽桜はそういった魔王ではなく――武によるところは大きかったとはいえ――数多くの多種多様な種族を纏めあげ、長きに渡って統治し続けた覇王であった。

 ゆえに彼女は自分の我のみを通すことを良しとは出来なかった。

 奪うのであれば、その分を補填する。本来生まれて育つはずだった存在の代わりに、彼女は親の期待に応えようと決めていた。

 誰にとっても幸いだったのは、彼女の両親が一般的に言って、非常に善良な人間であったことだろうか。

 彼らが彼女に望んだのは「普通に、健康で幸せに生きること」だったのだ。

 ゆえに羽桜は両親の前では極々一般的な、両親のことを大切に想い慕う娘として振る舞っている。外では配下を作ったり、その彼女らの望みを前世の力を用いて叶えてやったりしていたが、両親のことは別枠で大切な存在として考えていた。

 ゆえに、彼女は自身に対する以上に、自分の親を傷つける者、侮辱する者を許さない。

 父親に不当な残業を押し付けて疲弊させた上司は二週間ほど物理的に首を飛ばして恐怖体験を味合わせたり、母親に事実無根な誹謗中傷を投げつけた近所の主婦は肉玉に変化させて暫く子供たちのボール遊びに使用させたりした。

 普段はバランスを重視してやりすぎないように抑えているのだが、両親への侮辱に関してはその『お仕置き』に際限が設けられていない。


 だから、彼女の両親を侮辱した言葉を吐いた不良少女は――徹底的に『お仕置き』されるのだ。





――苦しい、苦しい、苦しい。

 そんなことしか考えられなくなって、もう何時間が過ぎただろう。

 変に偉そうなチビ女に喧嘩を売っただけなのに、なんでこんなことになっているのかわからない。というか、何をされているのかもよくわからない。

 わかっているのは、いきなり全裸に剥かれたことと、呼吸が出来なくなったということだけ。

 最初は恥ずかしさもあったのだけど、呼吸が出来ない苦しさにそんなことを言ってはいられなくなってしまった。

 散々暴れまわっていた気もするし、すぐに何がなんだかわからなくなって、苦しいという意識しかなくなったような気がする。

 そして気付いたら、あたしは普段通りの意識を取り戻していた。

(あれ……? あたし……、どうなってるの……?)

 目が開けられない。いや、そもそも目が開いているとか開いていないとか、そういうことすらもわからない。

 夜遅くに目が覚めた時みたいに、目は開けたけど周りが真っ暗で何も見えない――というのとも違う。

 身体が動かせないんじゃなくて、身体がなくなってしまったような、そんな感覚。

 何も見えない、何も聞こえない、何も臭わない、何も感じない。

 手も、足も、お腹も、胸も、口も、舌も、眼球すらも――何も動かせない。

 一切合切の身体の感覚全てが消えてしまったかのように、あたしは『考えること』しかできなかった。

(なに、これ、なにこれ……! こわい……!)

 意識はハッキリしているのに、何の感覚もないのがこんなに恐ろしいとは思わなかった。

 何も見えないで体を動かさないという意味では、寝ているときに瞼を閉じているときと変わらないはずなのだけど、体の感覚がしないだけでこんなに恐ろしいとは知らなかった。

 何も感じない状態に、パニックを起こしかけた、その時。

「――よし、聞こえているな?」

 あの変なチビ女の声がした。

 それは耳に聞こえてきたという感じではなく、頭の中に直接響いてきた。

 それでも何も感じない状態よりはずいぶんマシで、思わずほっとする。

「いま、お前の体の感覚をすべて消している。どこも動かせず、何も感じないというのは恐ろしいものだろう?」

 恐ろしくないわけがない。

 早くこの状態から解放してほしかった。

「安心しろ。失われた感覚は、戻そうと思えばすぐ戻せる」

 そういう言葉が聞こえてきたかと思うと、首に――首の感覚が戻ってきた――何か太いものが巻き付けられる。

 首にしか感覚がないから、変な感じではあったけれど、少しだけでも自分の体の感覚が戻って、さらに人心地ついた。

 そう思っていたあたしに、次に戻ってきた感覚は鼻だった。

 ただ、鼻に感じたのは、何かで鼻の穴が上向きに引っ張られるという、痛みを伴うものだった。何か細いものが穴に挿し込まれ、上に向かって引っ張られているようだ。

「んぎぃっ! ……あ、あえっ!?」

 反射的にうめき声をあげてしまってから、喉から声が出るようになっていることに気付いた。さっきまではあげたくても声を出せなかったのに。

 鼻が無理矢理変形させられているから、変な声になってしまってはいるけれど、ちゃんと声は出せる。

「まずは首が司る機能――声と呼吸、それから鼻の機能を戻してやった。匂いも感じるようになっただろう」

 確かに言われた通り、甘い匂いを感じるようになっていた。

 これは何の匂いだろう。チビ女の放つ匂いなのだろうか。

「鼻フック、といってわかるか? それを引っ掛けた上で、頭頂部を通して首輪に繋げてある。ちなみに一定のテンションが常にかかるようにしてあるから、下を向こうが上を向こうが鼻の変形具合は変わらんぞ」

 ゴムとかでもそんな風に柔軟に対応はできないだろう。

 改めてその女が人智を超えた力を持っているのだと理解する。どうしてそんな存在がいるのかはわからないけど、わからないなりにあたしは喧嘩を売ってはいけない相手を怒らせてしまったのだ。

「人間というのは不思議なものよな。人の気が狂うには、必ずしも強烈な刺激や劇物が必要とは限らない。受ける感覚が乏しい状態で何日も過ごすだけで発狂するらしいぞ。貴様の場合は、普通はなくならない体の感覚すら一切感じられなくなっているのだから、気が狂うのはもっと早いかもしれんが」

 ぞっとした。恐ろしいことをさらりと口にする。

 さっきほんの少しの間だったのに、パニックを起こしかけていたのだから、説得力が段違いだった。

「とはいえ、お仕置きで発狂させるのはさすがに酷だと思うのでな。そうならないよう、少しずつ感覚を戻してやる。だが、ただ戻すだけではお仕置きにならんから……」

 鼻を引っ張っている何か――鼻フックを引っ張っている紐のようなものが、ぴんと弾かれた。

「んひぃっ!」

 痛みがダイレクトに襲い掛かってきて呻く。

「こういう趣向を用意したわけだ。体の部位ごとに道具を取りつけていく。その道具が取り付けられた場所の感覚が戻るというわけだ」

 それは首輪や鼻フックのような道具をどんどん取りつけていく、という宣言だった。

 首輪と鼻フックだけでもすでに辛いのに、これ以上色々されるのは耐えられない。

「ヒィっ、も、もうゆるひて……っ」

 本人ではなく、その親をちょっと馬鹿にしただけなのに。

 そんな風に思いつつも、あたしはその女に懇願するしかなかった。

 そんな気持ちを見抜かれてしまったのだろうか。

 懇願は全く通じず、チビ女は次の道具をあたしの体に取り付け始める。

「いちいち口で説明するのも面倒だからな。まずは視界から戻してやる。目隠しを巻いて……と」

 目全体を覆う形で何かが巻き付けられたかと思うと、急に視界が開けた。眼は塞がっているはずなのに周りが見える。それも見ようと思えば本来見えない角度からでも見ることができた。

 それであたしは自分が裸で膝を突き、お尻を浮かせた体勢でいることを知った。

 首には犬につけるみたいな赤くて太い首輪が巻かれ、その後ろ側から伸びている紐があたしの鼻を引っ張っているフックに繋がっている。

 先にそっちがあったはずなのに、鼻フックの紐はなぜか目隠しの上を通っていた。おかしな話だけど、いまさらこの程度の超常現象じゃ驚かない。

(うぅ……ひどい……豚鼻じゃん……鼻の穴が歪んだらどうしてくれるの……)

 どうしてこんな目にあわないといけないのか。

 あたしは泣きたくなった。

 目隠しは分厚い布というか、革みたいな素材で出来ていて、仰々しい金属の金具によってベルトが止められており、普通ならわずかな光も感じられないだろう。

 内張りは柔らかい素材で出来ているから、眼球が圧迫される感じがしないのは救いだったけれど。

「次は耳栓だな」

 耳にヘッドセットみたいなものが被せられた。ヘッドセットの内側は耳の穴にフィットする形に変化していて、音は聞こえるようになったのに穴の奥までしっかり固定される感覚で満たされる。

「次は口だ。大きく口を開け」

 反射的に「嫌だ」と思ったのに、あたしの体は勝手に口を開いていた。

 その口に大きなマウスピースのような、中央に穴が開いた開口具が被せられる。それは口の両端から後頭部にベルトが回せるようになっていて、口の自由が取り戻せても、あたしにそれを吐き出すことは出来なかった。

「うぅ……っ! ふぉれじゃあ、ふぁふれふぁ……!?」(これじゃあ、喋れな……!?)

 奇妙な感覚が生じた。うめき声と同時に、明瞭な声が副音声のように出せたような。

 あたしの戸惑いに気づいたのか、チビ女がいう。

「ああ、口は開きっぱなしになって明瞭に喋れないように感じるかもしれんが、ちゃんと言葉の意味は伝わるようにしてあるから安心しろ」

 そうする意味があるのだろうか。

 あたしがそう疑問に思う間にも、女は次の道具を取り出していた。

 まるでウナギみたいにぬめぬめしていて、細くて長いもの。

 それをそいつはあたしの口の中に――開口具の中に通して挿し込んできた。

「おごっ!? うげぉぉっ!」

 喉の奥まであっさりとそれは入り込んできて、あたしを苦しみに悶えさせる。

「これの先端は胃まで達する。食事を取るときはこの穴に押し付ければ自動的に分解し、吸収しやすいようにして胃まで届けてくれるから、食べ過ぎには注意するのだな。最高率で吸収されるから、下手に暴食すればあっという間に太るぞ」

 ちなみに口の内部を通過するときに、食べたものの味はわかるようになっているらしい。

(……ちょっと、待ってよ……さっきから……なんのための機能なの……?)

 よく考えてみれば、そんな機能が必要なのだろうか、というものを付けられている。

 それはまるで――。

「これで仕上げだ」

 そういって女はあたしの頭に何か黒い液体のようなものをかけてきた。

「んぅっっ!?」

 熱くもなく冷たくもないそれは瞬く間にあたしの頭を覆っていく。拘束具に干渉しないように、しかし隙間なく、ぴっちりとあたしの頭を多い、髪型も何もわからなくしてしまった。

 鼻と口の部分には穴が開いていたけれど、鼻フックと開口具のせいであたしの面影はそこからも感じられない。

 あたしの頭は、のっぺりとした丸い卵のような状態で、拘束具を取り付けられた無残な姿になっていた。

 もし不思議な力で視界などが確保されていなければ、完全拘束と言ってもいいものになっていただろう。

「よし、頭部はこれで終わりだ。どうだ? 感覚はしっかり戻っただろう?」

「んんぅ、ぅうぅ……」(戻ったって言われても……)

 確かに感覚がなくなっていた時に比べると、拘束はされていても、納得できる感覚に満たされているけれど。

 あたしの不満を受けてか、女はいう。

「しばらくはその状態で暮らすことになるんだ。早めに慣れることだな」

「んぅっ!?」(はぁっ!?)

 思わずそう叫んでしまったのも、無理もないだろう。


 女はあたしを、こんな格好のまま日常に戻そうとしていたのだから。


 あたしは慌てて首を横に振って拒否を示す。

「んっ、んんんっ!」(む、無理よ!)

 こんな格好で学校なんて行った日には――というかそれ以前に街中を歩くだけでも――警察か救急車を呼ばれてしまう。

 変態呼ばわりされても何も反論できない。

「安心しろ。認識阻害の魔法をかけてやるから、普通の人間にはお前の状態を認識することは出来ない」

 だからなのか。

 わざわざ拘束具をつけさせたのに、それを無意味にするような、『目が見える』とか『意思は伝わる』とか、そういう機能をつけたのは。

 確かに相手がこちらの格好を認識出来ず、さらにちゃんと普通に『振舞う』ことはできるとなれば、何事もないかのように日常を送ることは出来るかもしれない。

 だけどあたしは、あたしという主観では、とんでもない格好をさせられたまま、いつも通りの日常を過ごさなければならないということだ。

 想像しただけで、羞恥心で死にたくなりたくなる。

 そしてそれはまだ終わっていない。

 チビ女はいっそ清々しいほどの笑顔で、あたしに告げる。


「さあ――首から下の拘束を続けるぞ」



後編につづく


More Creators