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夜空さくら
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箱詰倶楽部の同箱詰め 序

■ 久しぶりの箱詰倶楽部シリーズです。

■ 男の娘・皆月祐樹が、女王様・安延晶江の手で拘束され、箱詰倶楽部のテスター・千城野チカと一緒に同じ箱に詰められてしまう話です。概要だけ書くとカオスですねーw-;

■ 中編くらいの長さの作品になる予定です。まあ例によって長くなったり短くなったりします。予定は未定←コラ


■ この作品には箱詰め、呼吸制御、男の娘、完全拘束などの描写が含まれます。苦手な人は回避をお願いします。

■ なお、箱詰倶楽部でのプレイは謎の技術で安全に配慮が成されています。真似をすると死ぬので真似しないでくださいーw-ペコリ

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 恋人関係にある男女が、箱詰倶楽部を訪れることは珍しいことではない。


 実際会員の中にもカップルで倶楽部を利用している人は多い。

 一人では行えない箱詰めプレイが出来る、というコンセプト上、どうしても個人利用の方が多い傾向にはあるが、面倒な準備などを倶楽部に丸投げ出来、安全に配慮して楽しめるということから、カップルでの利用者も決して少なくはなかった。

 倶楽部の受付嬢である私は、一部の例外を除いて全ての利用者のことを熟知している。同性愛のカップルも含め、色々なパターンのカップルを見てきた。

 だけど、そんな私でも、一時的なゲスト利用者も含めて、このタイプのカップル利用者には初めて応対した。

 受付の前にいる二人を見ながら、二人の伝えてきた要望について確認する。

 初めて倶楽部を訪れた人たちなので、ひとまずゲスト利用者ということになるのだが、二人の求める要望はいままでに例がないことだった。

「ご要望について、もう一度確認いたします。箱詰めプレイを希望なされるのは、お二人の内、皆月祐樹様――おひとりですね」

 名前からもわかるように箱詰めになりたいと望んでいるのはカップルのうち、男性の方だった。

 これだけならそう珍しいタイプではない。カップルの中で男性の方が箱詰めされたいというパターンはいくつか覚えがある。マゾヒストに男性も女性もないため、この要望は特に変わったことではない。

 ただ、少し珍しいのは。

「ひゃ、ひゃい! よろしくお願いひゃまふ!」

 真っ赤になって恥じらうその男性が、一般的に言ってとても『女性らしい』見た目や仕草をしていることだろうか。

 書いてもらった情報によると、とっくに成人している年齢だったけれど、見た目はどう見ても女子高生だった。

 地味なコートを着て隠していたけれど、その下にはセーラー服を着せられていて、それがまた異様に似合っているのだから、ほとんどの人は騙されるだろう。

 よくよく見れば喉仏もあるし、骨格も男性のものではあったのだけど、セミロングの滑らかな髪や、少し気弱そうな線の細い顔立ちもあって、ぱっと見の印象が完全に女性だった。

 年齢確認のために見せてもらった運転免許証でも、普通にスーツを着ていたにも関わらず女性に一瞬見間違えたくらいだから、相当な女顔と言えるだろう。

 正直本当に男性なのか、声を聴いた今でも半信半疑なくらいだ。

 そんな彼の肩に手を回し、パートナーである女性の方――安延晶江様は、楽しそうにその耳元で囁く。

「うふふ……ユウくん、顔が真っ赤よ……? いまからそんな期待しちゃってるの……? いけない子ねぇ」

「すす、すみません……安延さん……」

 小さくなりながらそういう彼の耳を、安延様がぱくりと甘噛みする。

「んひゃあっ!?♡」

「プライベートでは『晶江さん』って何度言ったらわかるのかしら、ユウくんは」

「ごごご、ごめんなさい晶江さん!」

 見た目だけ見ると可愛らしい女の子を、年上のお姉さんが軽くからかって遊んでいるようにしか見えない。

(なるほど、これが『男の娘』というものですか……社長はなんでこういう概念を知っているのでしょうね……?)

 いつだったか社長が『男の娘』という概念について熱弁していたことがあったけれど――業務外の飲み会での話だったので私は真面目に聞いていなかったけれど――皆月祐樹様はそういうタイプの人だった。

 そのパートナーである安延様は、彼よりも遥かに背の高い美人で、見た目的にも端々に見える関係的にも、二人の上下関係はハッキリしている。

「……ええと、続けてもよろしいですか?」

 話が進まないのでそう問いかけると、安延様は「あら、ごめんなさい」と言って続けるように示してくれた。なお、皆月様の方は茹蛸のように真っ赤になって安延様に身を委ねている。完全にいいように振り回されているようだ。

 私は気を取り直して、二人の要望の確認作業を続ける。

「それで、詳しい要望の内容ですが……ええと、これは本気で……?」

 ついそんな風に言ってしまったのも仕方ないだろう。

 それくらい二人の希望というのはとんでもない内容だった。

 だが、二人はそれぞれ――表情や態度に差こそあれ――頷いている。

 本気で間違いないようだ。私としては冗談だと思いたかった内容ではある。

 そんな風に思いつつも、声に出して内容を確認しようとしたとき――エレベーターの扉が開いて、中から箱詰倶楽部の社長が飛び出してきた。

「ものすごく面白いことを考えるお客様が来たと聞いて!」

 いつもなら初めて会うお客様の前では、一応社長という皮を被っているのだけど、今日は最初からフルスロットルだった。

「はぁ……特殊な要望のお客様が来た、と申し上げましたよね。社長」

 溜息交じりにそう訂正しつつ、私は社長を諫める。

 暴走機関車のような社長の勢いに、皆月様の方は目を白黒させて戸惑っていたが、安延様の方はシンパシーでも感じたのか、余裕たっぷりに微笑んでいた。

 そんな二人の様子を見て、社長はますます楽しそうにテンションをあげた。

「あなたたちがそうなのね! あらあら、可愛らしい彼氏さんね! これは箱に入れてしまっちゃいたくなるのもわかるわ!」

「わかってくれちゃうのね!」

「わかるわよ!」

 がしっと握手をする社長と安延様。

 出会って数秒で意気投合する二人に、私は呆れざるを得ない。

 皆月様が置いてけぼりを喰らっていたので、私はすかさず割って入った。

「社長、仕事してください。特殊な要望過ぎて私の手には余ります。応接室でご要望について詳しく聞き取って可否の検討をお願いします」

「もちろんやるわよ! やるに決まってるじゃない!」

 判断が早すぎる。いや、まあ社長なら間違いなく受け入れるだろうなとは思っていたけれど。ええ、思ってはいたけれど。

「……そうなるとは思いますが、それでも一応ちゃんと聞き取りはしてください……なにせ、内容が内容なのですから」

 そう、内容が問題だった。

 男性の皆月様を箱詰めにするだけではない。


「皆月様を、パートナーである安延様以外の――『別の女性と同じ箱に箱詰めにする』なんて要望、前代未聞なんですから」





 安延晶江はサディストな女王様である。

 それは自他ともに認める彼女の特徴で、彼女と付き合っている皆月祐樹はそれを身をもって実感していた。

 彼女と祐樹は会社の先輩後輩の関係にあり、祐樹が新人時代に教育係として晶江が彼を指導した関係だった。

 その時に晶江は祐樹のマゾヒスト的特性を見抜き、時間をかけて彼を篭絡し、見事女王様と性奴隷という関係になった。

 最初はそれだけの関係――いわゆるセフレという関係――だったのだが、共に過ごしている内に人間的にも惹かれ合うようになり、恋人関係にもなった。

 若干歪な関係ではあったものの、周りから見える以上に二人は幸せだったし、互いを唯一無二の存在として見て、信頼し合っている。

 ただ、サディストである晶江はただ普通に愛し合うだけでは満足しなかった。

 彼女に出会うまでは、男性にしては小柄で華奢なだけだった祐樹を徹底的に虐め抜き、メス堕ちさせることに快感を覚えてしまう難儀な性癖を抱えていたのである。

 そして祐樹もまた、自身の性別としての男性を否定されることに快感を覚えてしまうようになったのだ。

 元々マゾヒストとして自身の尊厳や人格を蹂躙されることに喜びを見出すタイプだった彼がそうなるのも無理はないことだった。

 そんな日々がしばらく続いて、祐樹を女性として扱うことにも慣れ始めてきた頃、晶江は箱詰倶楽部の存在を知った。

 人を物のように扱うポゼッションプレイ自体は、以前から二人も興味を持っていたプレイだった。

 しかし、箱詰めのような厳重な拘束をするには、晶江に大きな問題があった。

 晶江はプレイ中、興奮しすぎるきらいがあったのだ。

 だから鞭も勢いがつき過ぎてしまう一本鞭の使用は避け、威力が分散するバラ鞭を必ず使うようにしているくらいである。

 ゆえに箱詰めプレイなどをしたら、やり過ぎてしまうのは目に見えていた。だから晶江は命に関わるプレイは自重するようにしていた。お互いに納得してSMプレイをしているものの、死ぬまでは望んでいなかった。

 とはいえ、やってみたい、という純粋な憧れはあった。

 その点、危険な拘束を代行してくれる箱詰倶楽部の存在は、晶江にとってまさに理想的なシステムの倶楽部だった。

 早速倶楽部を利用することを考えた晶江は、どうせなら単純に祐樹を箱に詰めてもらうだけなく、もっと祐樹を厳しく責め、苦しめ、その上で絶頂させたいと考えたのだ。

 最初は自分自身が祐樹と一緒に箱に入ることを考えた。

 隔絶された二人だけの世界で、祐樹を責める――それ自体はいいアイデアだと思った。

 しかし、残念ながら晶江自身はマゾヒストではなく、女性にしては長身であることもあって、狭苦しいのが非常に苦手だった。

 遠隔操作可能な器具を取り付けて、箱の外から操作することも考えたが、遠隔操作で虐めることはやったことがあり、新鮮味に欠ける。

 そうして考えているうちに、彼女はとんでもない発想に至った。

 自分が一緒に入れないのであれば、別の女性を一緒に箱の中に詰め込んで、その女性に祐樹を責めてもらおうじゃないか、と。

 責められて苦しむ祐樹と、苦しみながら責める女性。

 その二人を、自分は箱の外から悠々と眺める。征服感と全能感を味わえ、極上のプレイとなると彼女は確信した。

 なんとも倒錯した思い付きであったが、そういった面白いことに目がない箱詰倶楽部の社長が、それに飛びつかないわけがなかった。



 応接室で晶江と祐樹の要望を詳しく聞き取った社長は、実に楽しそうに呟く。

「ふむふむ……! 概要はしずなちゃんから聞いていたけれど、とってもとっても面白そうね……! 二人を同じ箱に入れるってこともあまりないプレイだけど、お互いのことを全然知らない者同士をあえて詰め込む……! これは非常に倒錯的で刺激的で……いいプレイだわ! 問題は一緒に箱に詰める女性をどう確保するかだけど……」

 嬉々として計画を練り始める倶楽部の社長。

 その社長の呟きを聞いた祐樹が、恐る恐る手を挙げる。

「す、すみません……お聞きしたいんですけど、二人一緒に箱に入ることって、あまりないんですか?」

 彼の質問に答えたのは、部屋の隅で待機している受付嬢だ。

 社長はどう実現するかの検討の段階に入っており、ぶつぶつと独り言ちている。

「皆無とまでは言いませんが珍しいですね。実際、お二人がそうであるように、片方が片方を責める、というパターンがカップルでの利用者様で多いですし、両方箱の中に入ってしまうと基本的な管理をこちらに一存していただくことになり、責めのバリエーションがあまり作れませんから」

 持ち運ぶこともできなくなりますし、と受付嬢は告げる。

 そういうものかと納得する祐樹。そんな祐樹の頭をよしよしと撫でながら、晶江は粘つく愛情の籠った眼で彼を見ていた。

「出来れば、家まで持って帰れれば嬉しいわ。うふふ。ユウくんをインテリアに出来るなんて、とっても素敵だもの♡」

 完全に人形か何かの扱いだったが、祐樹は不満そうな気配を微塵も滲ませなかった。むしろそう扱われることが嬉しいと言わんばかりに、もじもじとするばかりだ。

 そんな二人の様子を見ていた受付嬢――しずなは、気になっていたことを尋ねる。

「愚問かもしれませんが……安延様は、ご自身以外の女性が皆月様と絡むことになるのに抵抗はないのでしょうか?」

 しずなは元々箱詰めプレイに特に興味関心があったわけではなく、いまでも利用者が引っ切り無しに来る倶楽部の人気度合いを不思議に思っている。

 こんな倶楽部で働いてはいるが、極めて一般人に近いメンタルや嗜好をしている人間だった。

 ゆえに、恋人以外の者と積極的に絡もうとするのは、恋人に対して不誠実ではないかという思いがあった。

 その疑問に対して、晶江と祐樹の二人は、揃って首を傾げた。

「そういうことは……特に気にしないわね」

「僕も……人として好きなのは晶江さんだけですし……」

「うふふ。あたしもユウくんが大好きよ♡」

 いちゃいちゃし始める二人に、しずなはなんといっていいのかわからなくなってしまう。

(まあ、本人たちが納得してるのならいいか……)

 そう納得しようとしたところで、晶江が声のトーンを変えた。

「ああ、でも……あたし以外の子と絡み合って、射精しちゃったらおしおき案件よねぇ?」

 晶江は片手で祐樹の顎を掴み、圧をかけるように目を覗き込む晶江。

 そんな理不尽な、と傍で聞いているしずなは思ったが、当の祐樹は「ひどいですぅ……」と言いながらも、お仕置きを期待してか、とろんとした顔をしていた。

 しずなは少し遠い目をした。乱暴に彼女の気持ちを表現するなら、もう勝手にしてくれ、という感じである。

 そこでようやく、計画を練っていた社長が膝をポンと打った。

「よし! これで行きましょ! しずなちゃん!」

「お断りします」

 ばっさりと言い切るしずなに対し、社長はがくりと肩を落とす。

「聞いてくれてもいいじゃない」

「大体この手の、倶楽部にとって都合のいい人員が欲しい時には毎回言われてますからね。今回は私は嫌です」

 利用者の希望のプレイを叶えようとしたとき、人数が必要になった場合など、しずなは度々ピンチヒッターとして箱詰めにされていた。

 そういった要請を受ければその分特別ボーナスも出るため、しずなも受け入れていることが多いのだが、今回は本気で断っていた。

 いくら女性にしか見えないとはいえ、祐樹は男性であり、それと同じ箱に詰められるなど断固拒否したいことだったからだ。もっとも、仮に女性だったとしても難色は示していただろう。人との距離をある程度取っておきたいしずなにとって――お互いに厳重に拘束された状態であったとしても――何時間も他人と密着するのは耐えがたいことだった。

 社長にもその本気度合いは伝わったのか、残念そうにしながらも重ねてお願いするようなことはしなかった。

「じゃあちぃちゃんを呼び出してもらえる?」

「……まあ、そうなるでしょうね」

 箱詰倶楽部専属テスターの千城野チカ。

 こういう時にしずなの次に白羽の矢が立つ倶楽部の構成員である。

 彼女の場合、箱詰めプレイに高い適正があることに加え、立場上社長の要請を基本的には拒否できない。

 ゆえにしずながダメならチカになるのは必然だった。

 内心チカに謝りながらも、業務の一貫として割り切ってしずなは彼女に連絡を取る。

 その間に、社長は晶江と祐樹の二人と、話を進めていた。

「ふふふ。それではご要望通りのプレイを楽しんでいただきましょうか。皆月さんの器具の装着に関しては、安延さんが主体で行い、私どもが手伝わせていただきます」

「ええ。よろしくお願いするわ。あたしがやり過ぎてしまわないように……♡」

「よ、よろしくお願いします! 僕も死にたいわけじゃないので……」

 顔を赤くしながら、祐樹も言うべきことは告げる。

 そんな二人の様子を見ながら、社長は満足げに頷いた。


「それでは始めましょうか――二人同箱詰めプレイを」



つづく



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