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夜空さくら
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遺された『もの』を継ぐ者 ~継がれるヒトイヌ視点 おわり~

■ 『叔父からヒトイヌ編』のヒトイヌ視点のお話です。時間軸は本編からかなり前となります。

■ というわけで、ヒトイヌ視点と言いつつ、過去話になってしまいました。彼女から見た昌宗との話は、またいずれ。ここまでお付き合いくださり、ありがとうございました!ーw-ペコリ

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 ご主人様が患った病は、命に関わる大病でした。

 詳しいことはわかりませんでしたが、脳の近くに腫瘍が出来、早急に対処しなければそれが脳に影響を及ぼすようになってしまうそうなのです。

「手術で取り除けば、問題ないらしいけれど……この手術の成功率は、八割くらいだそうだ」

 八割。

 椅子に座っているご主人様の前で、『お座り』の姿勢を取って話を聞いていた私は、その成功率に愕然としてしまいました。

 八割という言葉だけを聞けば、そう低くないと思うかもしれません。成功する可能性の方が高いのは確かです。

 しかし――二割の確率で命を落とすと考えると、かなり危うい話ではありました。

「このままギリギリまで経過を見ていく道もあるけれど……そうなると、いつ亡くなるかわからない。三十年後かもしれないし、ひょっとしたら明日かもしれない」

 ご主人様は深く息を吐きます。

 いままでご主人様は、私の前でそんな風に弱音を吐くことはありませんでした。

 私はそんなご主人様を見て、不安になってしまいます。

 本当にご主人様がいなくなってしまうような、そんな焦燥感が胸を焦がしました。

 項垂れたご主人様に近づいて、私は頭を擦り付けます。

 少しでもご主人様に寄り添いたいと感じていました。

 ご主人様はそんな私の行動を受け、微かに微笑んでくださいます。

 その手が優しく私の頭を撫でてくれました。

「……医者にこの話をされて、正直ショックではあったけれど……うん、覚悟は決まってるんだ。手術は受けるよ」

 だからこそ、ご主人様は私に包み隠さず全てを話してくださっているのです。

「死ぬ気は毛頭ないけれど、二割の確率は無視できないからね……ラッキー。万が一の時のために、キミの意志を確認しておきたい」

 ヒトイヌのままでいたいか、とご主人様は私に問いかけてくれました。

 私はその問いに、どう答えるべきか、迷います。

 ヒトイヌとして暮らして来たここ数年、私はとても幸せでした。

 このままご主人様に飼われて一生を終えようと、何の疑いもなく思っていたのです。

 なのに、ご主人様が先にいなくなる可能性を提示され、私は酷く迷っていました。

 私がヒトイヌになったのは、ご主人様に飼われたかったからです。

 ですから、最初の頃は、ご主人様がもし不慮の事故や突然の病気でいなくなってしまったら、ヒトイヌから普通の人間に戻ろうと考えていました。そして残りの人生は人として生き、ご主人様を偲んで生きようと思っていたのです。

 しかし、実際にヒトイヌとして長く暮らした今――私は自分がヒトイヌ以外の生き方をしている想像が出来なくなってしまっていました。

 普通の人間のように仕事をして、生活費を稼いで、料理して、寝て、誰かと一緒になって、子供を産んで、その子を育てて……といった想像が全く出来ません。

 いまさら、自分が人間に戻れるとは思えないのです。

(でも……ご主人様がいなくなるなら……)

 私を飼ってくれる人などいるのでしょうか。

 ご主人様のおかげで随分マシな外見になったとはいえ、私の容姿はあくまで人並み程度でしかありません。

 犬でいえば、そこらの原っぱで産み落とされた雑種のようなものです。

 血統書付きの、幼い頃から手厚いケアを受けて来たような、美しい犬ではないのです。

 ご主人様のように人を飼うことが出来る人なら、より可愛く美しいヒトイヌを飼いたいと思う人がほとんどでしょう。

 酔狂にも私を飼ってくれる人がいるとは思えませんでした。

 そんな風に私はあくまで「自分の価値が低い」ことを気にしていましたが、ご主人様はあくまで私を飼うのであれば、私自身を大事にしてくれる人でなければダメだと思っているようです。

「いくら金持ちでも、ラッキーだけを愛してくれる者じゃなければ、絶対にダメだ。そういう意味じゃ、私の知るヒトイヌ愛好家仲間のほとんどは、各々すでにヒトイヌを飼ってるからな……彼らには頼れない」

 普通の犬であれば多頭飼いもよくあることではありますが、ご主人様ヒトイヌに関しては一対一の関係が好ましいと思っているようです。

 実際、ご主人様が私以外にヒトイヌを飼おうとしたことは一度もありませんでした。

 ただそうなると、よりハードルが上がってしまうことになります。

 そこでだ、とご主人様は本題に入りました。

「実は、私の甥が私と同じ性癖を持っているようなんだ」

 ご主人様はそう言うと、ご主人様と少し面立ちが似た男性の資料を見せてくださいました。

 どうやらその方がご主人様の甥っ子さんのようです。

 まだ若いように見えます。私と年齢はそう変わらないでしょう。

「ラッキーが受け入れてくれるのであれば……私は彼にラッキーを継ごうかと思っている」

 そうご主人様は言って判断はあくまで私に委ねてくださいました。

「かつてのラッキーほどじゃないが……甥も甥で色々と苦労しているようだからね。気は合うんじゃないかと思う」

「ンぅ……っ」

 私はなんと言っていいのかわからず、唸ってしまいました。

 どちらにせよ全く見ず知らずの人に受け継がれるのであれば、ご主人様と血縁関係がある人の方が多少はマシかもしれません。

 ご主人様がここまでいうくらいですし、気質もご主人様に近しいものがあることは間違いないでしょう。

 私はかなり悩みはしましたが、ご主人様の提案を受け入れることにしました。

 もし互いに互いを受け入れられることが出来れば、私はヒトイヌであり続けることが出来ます。

 その思いを持って継がれることを承諾すると、ご主人様は笑顔で頷いてくださいました。

「ありがとう、ラッキー。ふぅ。これで万が一が起きても未練なく逝けるよ」

「……ウーッ」

 縁起でもないことを言うご主人様のお腹に、少し強めに頭を押し付け、ぐりぐりと刺激します。

 最悪の場合はご主人様の交代も受け入れると決めましたが、そうならないに越したことはないのですから。

 その抗議の意志が伝わったのか、ご主人様は私を撫でながら、「ごめんごめん」と謝ってくださいました。

「さて、それじゃあ……万が一の時の手続きは進めるから……いまは一緒に、楽しもうか」

 ご主人様の手が私の顔を挟み込み、正面を向くように導いてくださいました。

 そして、私の唇に、ご主人様の唇が重ねられます。

 柔らかく、暖かな、ご主人様の唇の感触を覚え、私は愛されている幸せを噛みしめます。

 ご主人様がズボンを脱いでペニスを晒しました。

 私はすぐにそれに反応し、ご主人様のペニスの前に顔を持っていくと、そのペニスをじっと見つめます。

 大きく勃起しているご主人様のペニスは逞しく、とても強い性欲を感じます。

 濃い男性の匂いが漂って来て、思わずごくりと生唾を呑み込んでしまいました。

 ヒトイヌである私は、ご主人様によって性的な奉仕の経験も積んでいます。

 そのため、ペニスを見ているだけで、十分な唾液が分泌されるようになっていました。

 いますぐにでも吸い付きたくなりますが、ご主人様がそれを制してきます。

「待て」

 私がご主人様のペニスを前に、お預けの状態でじっと待っていると、ご主人様は手を伸ばして私の胸に触れてきました。

「んっ……んぅ……っ」

 私の乳房はご主人様の手によって揉まれ、じわじわとした快感を生み出していきます。

 感じている私の様子を見ていたご主人様は、楽しそうに笑いながら、さらに私の胸を責め立ててきました。

 すっかり固くなった乳首を、人差し指の先端でカリカリと引っ掻いてきます。強い刺激が走り、反射的に体を捩ってしまいました。

「ンッ……!」

 続いて今度は人差し指と親指で乳首を挟み込んで来ます。

「ンぅウウッ……!」

 胸の先端から電流が走ったように感じました。

 強烈な快感が私を襲い、頭を痺れさせて来ます。

 呼吸が自然と荒くなり、口を開けて熱い息を吐いてしまいました。

「ハァッ、ハァッ……ッ、んぁっ、あっ……!」

 涎が口の端から零れ落ちます。

 ご主人様が触れている胸の上にも落ち、それが筋になって流れて行きます。

 唾液が乳首の先端に達し、それまでの刺激が少し変わった刺激になります。

 背筋を逸らして快感に耐える私を、ご主人様はじっと観察していました。

 恥ずかしいのですが、顔を手で覆うことはしません。真っ赤な顔を自覚しつつ、ただご主人様に与えられる快感に震えていました。

 そうやって私を十分以上に焦らした後、ご主人様は私の胸から手を離しました。

 火照る体を抱え、熱の籠った呼吸を繰り返す私に、ご主人様がようやく許可をくださいました。

「よし」

 私はすぐさま、ご主人様のペニスに飛びつきました。

 自分の口の中にそのペニスを受け入れ、口内全体を使ってご主人様のペニスに刺激を与えて行きます。

 ご主人様によって鍛え上げられた舌技をフルに発揮します。

 まずはペニスの先端を舌で包み込み、しっかりと唾液を塗していきます。

 先走り液らしき味を感じ、興奮が高まります。

 じっくりと亀頭に唾液を塗した後、一気にそのペニスを喉奥まで受け入れます。

「ングッ……ンッ」

 ご主人様のペニスが喉を押し広げ、かなり苦しい状態になりましたが、気にせず奉仕を続けます。

 かつてはこうして喉奥に受け入れるだけでかなり苦しかったのですが、いまでは当たり前に行えます。

 舌を使って唾液をペニス全体に塗しつつ、喉奥で亀頭を締め付けて刺激を与えます。

 喉奥という柔らかい場所で亀頭を刺激すると、ご主人様はとても気持ちよさそうに声をあげてくださいました。

「んぅ……いいね……さすがだ、ラッキー」

 よしよし、と頭を撫でてくれました。

 私は喜びのあまり、犬耳と尻尾をパタパタと動かしつつ、さらにペニスへの奉仕を続けます。

 喉奥から口内までを使ってペニスを扱きあげ、射精を促していきました。

 ご主人様のペニスはストロークを重ねるごとにガチガチになっていき、いますぐにでも射精しておかしくない状態になっています。

「んっ……!」

 ぴくっ、とご主人様のペニスが反応し、私の喉を刺激しました。

 私はその刺激に堪えつつ、射精される瞬間を待っていましたが――ご主人様は、私の頭をぽんぽんと叩いて、ペニスから口を離すように指示します。

 射精してもらえると思っていた私は少し意外に思いましたが、指示された通りに口を離します。

 ご主人様は私に体を反転するように指示を出します。意図を理解出来た私はすぐに後ろを向き、お尻を突き出し、尻尾を持ち上げて性器を晒しました。

 そんな私の真後ろに、ご主人様が近づいてきます。

「いい子だ。そのまま突き出していなさい」

 私が突き出したお尻を、ご主人様は軽く撫で、そして、私の性器にペニスを挿入してくれました。

 ぬるっとした確かな感触を産み出しながら、ご主人様のペニスが私の中に入り込んで来ます。

「んぁぅ……っ!」

 玩具で遊んでもらったことは多々ありましたが、こうして生でご主人様のペニスを挿入してもらえたのは久しぶりでした。

 ペニスの感触は熱いくらいで、生々しい快感が生み出されています。

 私のあそこは愛液が滴るほどに濡れていましたから、挿入に何の障害もありませんでした。

 私の生理周期はご主人様がきっちり把握されているはずですが、私には危険日なのか安全日なのかわかりません。

 ただ、ひたすらに気持ちいい感覚だけが、下半身を中心に広がっていました。

 ご主人様は激しく腰を前後に振り、すでに感じ過ぎている私を、強く責め立てて来ます。

「アゥッ、アッ、んぁっ、アあっ!」

 私は責め立てられるがまま、ひたすら感じることしか出来ません。

 きゅうきゅうと膣が締まり、ご主人様のペニスを締め付けてしまいます。

 そしてついに、その時は訪れました。

「……ッ!」

 ご主人様がひと際大きく腰を突き出すと同時に、体の中で熱い感触が弾けました。

 大量の精液が体の中に沁み込んでくるようだです。

 私はその感触にトドメを刺され、激しく絶頂してしまいました。

 お尻を突き出した情けない格好のまま、ぐったりと脱力してしまいます。

 ペニスを抜き取ったご主人様は、そんな私のお尻を、掌で優しく叩き、撫でてくれました。

「はぁ……はぁ……全く、本当にラッキーのここは最高だな……ほんと、よくここまで理想のヒトイヌになってくれたよ」

 やっぱり死んでなんかいられないな、とご主人様は笑みを浮かべました。

「私はラッキーの飼い主だからね……ちゃんと最後まで責任を持って飼うよ」

 そう約束してくれたのがとても嬉しくて、私はご主人様の胸に飛び込みながら、少し泣いてしまいました。


 そしてその数か月後――結局、ご主人様は帰って来れませんでした。

 ご主人様が私についた、唯一の嘘になってしまいました。





 そしてそれから。

 どこかご主人様と血の繋がりを感じる、新しいご主人様――昌宗さんが屋敷にやって来ました。

 昌宗さんはご主人様と比べるとかなり若く、どこか頼りない印象もありましたが、ご主人様と同じ――あるいは、もしかしたらそれ以上に――真摯な方でした。

 私のことを第一に考えてくださる様子は、まさにご主人様と同じ思考です。

 私はこの人なら、飼われてもいいと思いました。

「こっちにおいで、キララ」

 ご主人様と似た声音で、昌宗さんが私を新しい名前で呼んでくれます。

 前の『ラッキー』という名をどこか彷彿とさせる新しい名前は、私も気に入っています。

 私は昌宗さんの傍に近付き、その足に体を擦り付かせて甘えました。

 昌宗さんが優しく私の頭を撫でてくれます。


 その手つきに、ご主人様と同じ優しさを私は感じたのでした。


おわり


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