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夜空さくら
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人格ゼリーと化しても、抗う勇者 序章

■ 人格排泄もののシリーズです。いつぞや書きたいなー、と言っていたアイデアの作品となります0w0クワッ

■ 人格排泄させられてしまった勇者が、どうにかこうにか自分の体に戻って、魔王に復讐しようというストーリーです。一応ハピエンになる予定ですが、バッドエンドルートとかも書くと思いますーw-ウム

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 その女勇者は、魔王城で卑劣な罠にかかり、敗北してしまった。

 世界を巡って手に入れた伝説の剣や伝説の防具を剥ぎ取られ、従属の首輪という支配者のいうことを強制的に利かされる首輪だけを身に着けられた状態で、地下牢に入れられていた。

「くっ……くそぉ……! こんな、こんな屈辱を……! おのれ魔王……!」

「ふふふ……こうなってしまえば、勇者と言えども所詮はただの女子よなぁ」

 邪悪な姿かたちをしたその魔王は、牢屋の前で勝ち誇っていた。

 女勇者はその体を両手で隠しながらも、魔王を睨みつけている。

 だがその顔は羞恥に赤くなり、目には涙が浮かび、体は震えている。

 とても魔王に対して、威圧感を与えられる姿ではなかった。

「こんな、恥辱を味わうくらいなら……っ、一思いに殺せっ」

 そう告げる勇者だが、魔王は高らかに笑い、そんな彼女を嘲笑う。

「勇者の身体は女神の加護を持っているからな……殺してしまえば人間の町の教会に転移する。そのことを知らぬわけがなかろう」

「く……っ!」

「そして自殺も許さぬ。その従属の首輪を身に着けている間は、自分を傷つけることも出来ない」

「ぐぐっ……!」

 勇者は抵抗の術を悉く封じられてしまっていたのだ。

「このまま生かさず殺さず永遠に飼い殺すのも悪くないんだが……生憎魔王軍は手が足りていなくてな。誰かさんが魔王軍の精鋭たちを片端から切り殺してくれたせいで」

 もちろんそれは勇者の行ったことである。

 だが勇者としても、魔王軍を倒さなければ無辜の民が犠牲になってしまうのだから、そうせざるを得なかったのだ。

「魔物が人に襲い掛かってくるからだろう!」

「お前たちが私欲のために魔族を狩るからだろう? ……どちらが先か、など話すだけ無駄だな」

 そんなことはどうでもいい、と魔王は話を打ち切る。

「お前には我らの精鋭たちを切り刻んだ分の補填をしてもらわなければならない」

「……魔物の子でも孕ませるつもりか? 生憎、私の体は聖なる力で包まれている……お前たちの子種などいくら注がれようと、妊娠することは決してない!」

「それはそれで肉便器として使いようがありそうだが……それは本筋ではない」

「……? それは、どういう……――んっ!?」

 話をしていた勇者の体が、ビクンと痙攣した。

 その細く引き締まった腹部が、ぐるぐると音を立て始める。

 最初勇者は裸で地下牢に放り込まれ、お腹を壊したのかと思ったが、そうではなかった。

 ぐるぐるという音はどんどん大きくなり、その腹部が妙にぽっこりと膨らみ始めたためだ。

「な、なんだ、これっ、あぁっ!?」

 思わず腹部を両手で抑えて悶絶する勇者。そうしている間にも、その腹部の中に『何か』が溜まり、その腹部がどんどん肥大化していっていた。

 そんな勇者の様子を見て、魔王はニヤリとほくそ笑む。

「くっくっく……どうやら、飲ませた薬が効いて来たようだな」

「くす、り……っ!? 何を、飲ませた……っ! 下剤、か……っ!?」

「そんなくだらない薬を飲ませるわけがないだろう。というより、そうだとしてそんな急激に排泄物が溜まるわけがないだろう?」

「じゃあ、何を……ッ! んああっ!?」

 ぼこり、と勇者の腹部がさらに膨らむ。

 そんな勇者の様子を楽し気に眺めつつ、魔王は勇者に命じた。

「その場に立って、ガニ股に足を開け。両手は頭の後ろに、背をまっすぐ伸ばして、顔を隠すな」

 魔王の命令によって、従属の首輪が発動し、勇者は言われた通りの格好をしてしまう。

 その格好は全裸でやるにはあまりにも無残で、恥ずかしいものだった。

 勇者は戦いに挑むに足る年齢であり、少女というわけではないが――ひとりの淑女として、そんな格好を取るのは非常に恥ずかしい思いをさせられてしまう。

「ぐぅ、ぅ……っ!」

 羞恥のあまり顔を赤くする勇者だったが、すぐに恥ずかしがっている余裕はなくなった。

 ごろごろと不穏な音を鳴らす彼女の腹部は、すでに通常の倍近くに膨れ上がっていたためだ。

 内部からの圧迫感で、吐き気を催し、勇者は小さく呻く。

「アゥッ!?」

 その肛門から、茶色い便が押し出される。

 宿敵である魔王の前で排便してしまった勇者は、死ぬほど惨めな思いをしたが、魔王は即座に魔法で勇者の校門から垂れ落ちた便を消去してしまう。

「人間の糞の匂いなど嗅ぎたくはないのでな……ここからが、本番だ。いまの魔法で貴様の腹に溜まっていた弁は全て消した。……では、貴様の腹の中に溜まっているものはなんだと思う?」

「ぐ、ぅ……っ、便、じゃない、なら……なん、だ……っ?」

 そう問答をしている間にも、勇者の肛門には腹部に溜まっている何かが迫ってきていた。

 それを体の感覚で確かに感じつつ、勇者は自分の身体で何が起きているのかさっぱり理解出来なかった。

 勇者に対し、魔王は実に邪悪な笑みを浮かべる。

「くくく……そういえば貴様はあの村のことを、ろくに調べもしないまま放置していたものな……わからずとも当然か」

「あの、村……っ?」

「自我を失った人間どもがいた村を覚えていないか?」

 そう魔王に問いかけられ、勇者は思い出す。

 冒険の旅の途中で立ち寄った村で、不可解な病人が現れていた村があったことを。

 その病人たちはいずれも自我を失い、人に言われるがまま行動することしか出来なくなっていた。

 その状況を解決するために勇者は様々な手を尽くしたが、結局決定的な手段を見つけることは出来ず、魔物の呪いだと判断した。

 魔物を倒していけばいずれ改善すると信じ、結局解決できないまま放置することになってしまった。

「あの、村の人たちは……っ、お前のっ……仕業だったのか……っ!」

「その通り。あの村の者たちはいい実験体になってくれたよ……この薬のな」

 そう言って魔王はその薬を入れた瓶を懐から取り出した。


「この薬の名前は――『人格排泄薬』という」


 想像もしていなかった薬の名前に、勇者は硬直する。

「じんかく、はいせつ……? なん、だ、それ……っ」

「言葉のままの薬さ。人格を固形状にして排泄させ、体から人格を失わせる。魔法薬の一種だが、妖精どもの成分が活用されていてな。例え女神の加護を持つ人間の身体であっても――この効果からは逃れられない」

 ぐるぐるぐる、と勇者の腹部がさらに不穏な音を立てる。

 その意味をようやく理解し、勇者はその顔を青褪めさせた。

「ま、まさかお前……っ、それを、私に……ッ!」

「当たり前だろ。この流れで違う薬を飲ませていたら、そっちの方が驚きだとは思わないか?」

 小馬鹿にした様子の魔王の言葉に怒りを覚え、かっと赤くなる勇者だが、その腹部の盛り上がりはさらにその大きさを増していた。

「うぐううっ!」

「この薬を飲んでしまった以上、もはや逃れられない……くくくっ、崇高なる勇者様の人格が尻穴からひり出されるところをしかと見せてもらおうじゃないか」

「そんっ、なっ……! ふぐううっ!?」

 ひと際強い波が勇者を襲い、その尻の穴から綺麗な青色の塊が零れ落ちる。

 勇者はその瞬間、頭の中の一部がぽっかりと抜け落ちたような、寒々しい感覚を覚えた。

「ひっ……! い、いやっ……! なに、いまの……ッ!」

「ふむ。一部だけ零れ落ちたか。どれ……ふむふむ……どうやら、勇者として培われた時の人格……つまりは、表面上の勇者としての振る舞いが欠落したようだな」

「そ、そんなこと……ッ、ない、わ……ッ!」

「気付いていないのか? 随分と可愛らしい言葉遣いになっているぞ?」

「……え? う、うそ……ッ、そんなっ」

 勇者は魔王に指摘され、自覚してしまった。

 確かに先ほどまでは強く、凛々しい言葉遣いが出来ていたのに、それが出来なくなっていると。

 まるで勇者として活動し始めた時や、する前の時の口調に戻ってしまっていると、自分でも理解出来たのだ。

「なるほどなるほど……そういうパターンもあるのか。いわばお前にとって、勇者としての自分というのは、仮面のようなものだったわけだな。ふむ。興味深い。普通排泄された人格ゼリーは一本糞のように、一つに繋がっているものだが……こういうパターンもあるのか」

 魔王はそう興味深そうに呟きながら、勇者の様子を観察していた。

 人間たちからは魔物たちの王として、粗暴な振る舞いの印象が強い魔王であるが、その実、今代の魔王は研究者気質なところがあった。

 勇者にも影響を与える人格排泄薬を生み出せたのも、その今代魔王の性質があってこそだ。

「ああああっ! いやあああああ!!」

 体をくねらせ、勇者が絶叫する。

 その腹部の動きがさらに強まり、その肛門から人格ゼリーが押し出され始めていた。

「ふぎいいいいっ! んぎいいいっ!」

 勇者は必死にそれをそれ以上出さないように堪えていたが、ムリムリとその肛門を押し広げて、人格ゼリーが這い出していく。

 とても勇者とは思えない情けない顔をして悶絶する彼女は、非常に無様なものだった。

 魔王はそんな風に勇者が苦しむ様を眺め、邪悪に笑っている。

「ふはは! さっさと楽になってしまうがいい、勇者よ! 安心しろ、その空になった体は、我が研究に大いに役立ててやろう! 人間を手当たり次第に殺戮する道具にするか……はたまた魔物たちを慰労する肉便器にするか……色々な使い道を見出すのが、いまから楽しみだよ!」

 その恐ろしい言葉を聞き、勇者は恐怖に目を見開く。

「いやっ、いやああああああっ! ……ンんんんッ! んぎ……ッ! や、やだあああっ! そんなの、やだああああっ!」

 恥も外聞もなく叫ぶ勇者。

 その肛門からは徐々に人格ゼリーが押し出されており、それに伴って彼女の表面に現れている人格は徐々に幼い言葉遣いと態度に変わって行っていた。

 いまは幼児ほどに後退してしまったのか、大粒の涙を流し、顔をくしゃくしゃにしながら泣き喚いている。

 だが、どんな反応をしたところで、その薬の効果は止まらない。

「――あっ」

 小さく声を上げたのを最後に、勇者の顔から全ての感情が抜け落ちた。

 その足元にはとぐろ状になった勇者の人格ゼリーが積み上がっている。

 魔王の哄笑が地下牢に響き渡る。

「くはははっ! くはははっ! これで勇者も終わりだな! さて、体の方は早速実験に使うとして……人格の方は、と……」

 魔王はそう呟きながら勇者の人格を念動力で浮かばせると、それを地下牢の一角に設置されていたトイレへと放り込む。

 勇者の人格は小さく痙攣していたが、あっさりとトイレの中に堕ちていき、そのまま下水を流れ、汚水槽へと運ばれていく。

「人類のため、必死に戦って来たであろうに、肥溜めで腐っていく末路とはな……さすがに同情するぞ、勇者よ」

 そう呟いた魔王は、最初に転がり出ていた勇者の「勇者としての」人格を踏み潰す。

「さあ、勇者よ。我についてこい。そのお前の体を使って、楽しませてもらおう」

 そう促す魔王の後について、表情の抜け落ちた勇者の体が歩いていく。

 こうして人類の希望である勇者は、その心を失い、その体は魔王の手に堕ちたのであった――





 汚水槽にて。

 半透明の女性がその汚水槽から這い出していた。

『……ッ! 私は、まだ……終わっていない……!』

 勇者の人格を有した『それ』は、まだその目に意志の光を宿していた。

『待っていなさいよ、魔王……! 私は……私の身体を取り戻してみせる……!』

 勇者の戦いは、まだ終わっていなかった。


つづく


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