先輩とアンドロイドの『先輩』
Added 2024-02-09 14:55:37 +0000 UTC■ あらすじ:コミュ障をこじらせた私は、思いを寄せる先輩に告白するため、先輩に慣れるためにアンドロイドを『先輩』に似せ、それを使って告白の練習をしていた。先輩に少しでも近付けるため、日々様々なシチュエーションを行う日々。そんなある日、急な睡魔に襲われた私が気付いた時には、私は全裸でベッドに縛り付けられていて――。
■ X(旧:Twitter)にて某氏と交わした会話が元になった作品ですーw-ペコリ 一応単発のつもりですが、続きが書きたくなったら書くと思います。
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目の前で、憧れの先輩が制服を脱いでいく。
そんな先輩の姿を、私は心臓が張り裂けそうになりながら見つめていた。
肩から服を滑り落とすと、先輩の華奢な上半身が晒される。
スレンダーな先輩はスポブラを身に着けていた。
思わずそこに集中して見つめていると、先輩はその甘いマスクに微笑みを浮かべて、私に近付いて来たかと思うと、手を伸ばして私の背後にある壁に手を着いた。
先輩の体と、背後にある壁に挟まれる。
いわゆる、壁ドン、という奴だ。
心臓が余計に張り裂けそうになる。
「……私の胸がそんなにも気になるのかい?」
いつもと変わらない、優しい声音で、けれどどこか甘い響きの籠った声で、先輩が私を追い詰めて来る。
「ひあっ、あのっ、そのぉ……っ」
先輩はこんなにも格好いいのに、しどろもどろになってしまう自分が情けない。
そんな私の様子を見つめていた先輩は、おもむろに私の胸元に手を伸ばし、そこにあったスカーフを抜き取って来た。
胸元が大きく着崩されてしまい、私は慌てて両手を使って胸を庇う。
「きゃっ……! せ、先輩……っ!」
「キミの胸は本当に大きいよね。――少し、羨ましいな」
先輩が至近距離で私を見つめながら、そう囁いて来る。
私はその言葉を聞いて、顔を真っ赤にして――告げた。
「コード・0923」
その言葉を告げた瞬間、私に熱い視線を向けていた先輩の目が、急に無機質なガラス玉へと変わる。
私は溜息を吐きながら、『先輩の姿をしているもの』に話しかける。
「はぁ……そうじゃないの。先輩は自分に絶対の自信を持ってる人なの! 人の体と自分の体を見比べて、羨ましいなんて絶対言わないの! そういうのはNG!」
それは私の中の先輩像との決定的な食い違いだった。
顔を真っ赤にして憤慨して当然だ。
私の指摘に、先輩の形をした彼女は静かに頷く。
「――承知しました。マスター。自尊心のパラメーターを調整いたします。他に修正点はありますか?」
先頬までの甘ったるい声とは違う、どこまでも無機質で事務的な言葉で、先輩は確認してくる。
私は少し考えて、さらに要求を突き付けた。
「あとは……自信満々なのはいいけれど、こういうことを日常的にするような人じゃないから、手つきに関してはもっと不慣れな感じにしてちょうだい。遊び慣れてるみたいなのはダメ!」
「承知しました。マスター。そのように行動を修正いたします」
そう呟く先輩の目が、妖しく光る。
機械で出来た脳に、私が告げた条件が刻み込まれているのだ。
「さあ、続けるわよ! 理想の先輩になってもらうんだから!」
そしてこの先輩で先輩に慣れてから、いよいよ本当の先輩に会いに行き、告白するのだ。
私はその目標を達成するために、今日も『先輩』とのやりとりを繰り返していた。
『先輩』は、私が作ったシミュレーション用のアンドロイドである。
アンドロイドの技術自体は、一般にも普及しているけれど、ここまで特定の人物をトレースしたアンドロイドはいない。
『先輩』は私が無機質な人形でしかないアンドロイドを、出来る限り実在の『先輩』に似せた改造を施したものだった。
なんでそんなことをしているのかといえば、答えは単純。
私が『先輩』に告白するための、練習台になってもらうためだ。
その為にも、出来る限り先輩に似せなければならない。
だから様々なシチュエーションを通じて、電脳AIに先輩の動きや考え方を学習させ、身も心も実際の先輩そっくりになるようにしている。
幾百、幾千もの試行錯誤を繰り返して、いまではすっかり先輩らしい『先輩』になっていた。
少なくとも見た目に関しては、そこらへんにいる普通の機械的なアンドロイドと違って、ほぼ先輩を完全にトレース出来ていると言っていい。
私ならともかく、道行く人に先輩と『先輩』を並べて示しても、どっちがどっちなのか全く判断が出来ないことだろう。
双子と言っても通用するに違いない。
まあ私は一目で判別が出来てしまうので、まだまだ改良の余地があるのだけど。
それはさておき、私はドのつくコミュ障なので、実際の先輩を前にすると確実に不審な動きをしてしまう。
先輩にそんな姿を見せるわけにもいかず、どうにかして慣れることを考えた時、思いついたのが、アンドロイドを先輩型にして、その姿に慣れるということだった。
この前は少しどもる程度でちゃんと挨拶できたし、着実に効果は出ているはずだった。
『先輩』とは様々なシチュエーションをこなしているけれど、中にはさっきみたいな誘われてしまうシチュエーションもあった。
挨拶くらいしか出来ない今の状況ではとても意味があるものではないけれど、いつか先輩とそうなれたときに、きっとそのシチュエーションに慣れていることは役に立つはずだ。
先輩といつかそういう関係になることを夢見て、私は努力を続けるのみである。
先輩と両想いになるべく、私は『先輩』のアンドロイドと練習を続けていた。
そのはずだった。
なのに、なぜ。
私が全裸でベッドに縛り付けられているのだろうか?
意味がわからない。
いつも通り『先輩』のアンドロイドと訓練を続けていたら。
急に眠気が襲い掛かって来たので、数十分仮眠するつもりでベッドで眠りについたはずだ。
自室のベッド。一人暮らしだから戸締りはしっかりしているし、もし泥棒や強盗なんかが入ってきたら、『先輩』が反応して警報を鳴らすなり通報するなりしているはずだ。
(その、はずなのに……っ!)
なのに、なぜか私はベッドに縛り付けられている。それも生まれたままの姿で。
確かに私は寝つきがいいけれど、寝ている時に誰かに触れられて起きないわけがない。
だとすると何かしら薬を盛られたということになるのだけど。
そんなことが出来るのは、私がマスターである『先輩』のアンドロイドだけ。
自我を持ったAIの反乱というのは、創作物に溢れかえっている定番のネタだけど、それが起きたとでもいうのだろうか。
(ううん、そんなわけがない……そんなことが起きるなら、もうとっくに起きてておかしくないはずだし……! 人に危害を加えることは、絶対に出来ないはず……!)
アンドロイドの存在は、昨日今日人間社会に溶け込んだものじゃない。
すでに何十年も人間とアンドロイドは一緒に生活をしていて、いまさらそんな反乱をするわけがない。
私は縛り付けられた体を自由に出来ないか、どうにかして縄抜けできないかと確かめる。
私の体は、大の字になるように、ベッドに縄で縛りつけられていた。
縄の結び目はとてもがっちりしていて、暴れた程度で緩むとは思えない。
縄自体とても太くて、私が暴れた程度では千切れもしない。
「……ンーッ」
口には何かがたっぷり詰め込まれ、さらにそれを渡された縄が食い込んで抑え込んでいる。
少し油断するとその詰め込まれたものが喉の奥に触れてしまいそうで、下手に動けなかった。
(んぅ……全然、声出せない……)
最悪叫んで近所の人に助けて貰おうと思ったけれど、外どころか、部屋の中にすら声を響かせられるか怪しい。
口の中に詰め込まれた詰め物が、全ての声を吸収してしまっている。
(むぅぅ……っ、どうしよう……どうすれば……)
体を揺する度に胸が揺れて振り回され、若干痛いというか、変な気分になってしまう。
ブラジャーも外されているから、抑えるものがない。
どうすればいいのか悩んでいると、不意に部屋の扉が開いた。
その方向を見ると――思いがけない人が立っていた。
「モガッ!?」
(せ、先輩……!?)
私がアンドロイドで複製を作ってまで、自分の気持ちを伝えたいと思っている先輩がそこにいた。
いつもと変わらない――変わらないからこそおかしい――クールな表情を浮かべている先輩が、私の傍に近付いて来る。
私のすぐ傍で立ち止まった先輩は、ベッドの上に縛り付けられている私の体を、じろじろと見つめていた。
「ムガッ、モガガッ!」
(せ、先輩っ、みないでっ、こんな、格好……っ)
いきなり過ぎて恥ずかしい。
もちろんそういうのを曝け出せる関係になりたいと思っていたのは事実なのだけど、いまは時期が悪い。
そんな覚悟も出来ていないのに。
私は必死に首を横に振って、先輩の視線から逃れようとした。
そんな私の抵抗も虚しく、先輩はずっと私に視線を向け続けている。
「……うーん、すごいねぇ。私じゃこうはならないから、なんだか新鮮だよ」
先輩はそんなことを呟いたかと思うと、抑えるものがなくて揺れに揺れまくっていた私の乳房を手で掴んで来た。
しかもただ掴んだだけではなく、揉みしだいてくる。
「ンゥウウウッ!?」
(い、いやぁ……! 揉ま、ないで……ッ、くださいぃ……ッ)
私が必死にそう念じていると、嫌がっているのが伝わったのか、先輩は呆れながら手を放してくれた。
「そんなに私に触れられたくないのか? ショックだな……」
ぽつりと呟く先輩。
私はそんな先輩を、精一杯の力で睨みつけた。
(早く、この口枷を外しなさい……! アンドロイドは、マスターの命令を利かなきゃ、いけないでしょ……!)
そう。この先輩は先輩ではないはずだ。
私が先輩そっくりにつくった『先輩』でしかないはず。
どういうわけだか勝手に動いて私をこんな目に遭わせているみたいだけど、私は誤魔化されない。
一目でわかるはずなのに、なぜか本物の先輩としか思えないけれど、本物の先輩がいきなりこんなことをしてくるはずがない。
しかし、その先輩――やっぱり本物としか思えない――は、決して私の口枷を外そうとはしなかった。
それどころか、一度はやめた胸の愛撫を再開してしまう。
「ふぐうっ!?」
「気持ちよさそうじゃないか。ほら、こっちもかなり興奮していることを示しているよ」
先輩がそう指摘したのは、私の股間についてだった。
確かに私のそこは、本物にしか見えない先輩に襲われていることで、激しく濡れてしまっていた。
こんな風に強引にリードされたいという願望があったかどうかと言われれば――ないわけではないというしかない。
先輩とこういうことが出来る関係になれたら、ぐいぐいリードして欲しいとは思っていた。
けれどもまさか、こんな形でそれが叶う時がくるなんて。
私はどうしもなく興奮し、先輩の前で股間を激しく濡らしてしまうのだった。
「んぃいいいっ……!」
体を逸らし、痙攣してしまう私。
そんな私の様子を見ていた先輩は、不意に楽しそうに笑みを浮かべ、私の性器に指を指し込んだ。
「んぎぃっ!?」
「まだ処女なんだろう? なら、その処女、私が貰うね」
妄想の中では何度も想像していた言葉。
実際、『先輩』との特訓で経験したシチュエーションにも、それは頻繁にあった。
けれど、本当に処女を捧げたわけじゃない。いつかは本当の先輩と、と思って大事にとっておいたからだ。
だからそこに指が挿入されたら、その処女は失われてしまうだろう。
(だ、だめぇ……っ! やめてぇ……っ!)
そう必死に念じるけれど、先輩はそれを一切受け入れてくれなかった。
ぐちゅぐちゅと指で私の性器を掻き混ぜて来る。
「ふぎいいっ……!」
まだギリギリ処女は破られていなかったようだけど、時間の問題だろう。
「んひいいいっ!! あひぃいいっ!」
必死に抵抗しようとしたけれど、無駄な行い過ぎた。
先輩は私が想像したままの、不敵な笑みを浮かべたまま、その指を更に奥に捻じ込んで来る。
――ぶちっ、ぶちゅつ、ぐちゅっ……!
そして遂に、そんな感触が私の膣から広がった。
「~~~~っっっ!!!」
私は処女を喪失した痛みに悶絶しながら、先輩に処女を奪われた悦びを覚えつつ、先輩ではないものに奪われたショックも同時に感じていた。
(ああ……なんで、こんなことに……っ)
本人の許諾も得ずに先輩の姿を複製した罰が当たったのだろうか。
満たされる喜びと、同じくらいの悲しみに包まれかけた時――予想外のことが起きた。
「――そろそろいいかな?」
「ああ、いいよ。『私』。入って来な」
部屋の外から声が聞こえたかと思うと、開いていたドアの影から、『先輩』が顔を覗かせた。
間違いない。アンドロイドの『先輩』だ。
「……ぅ?」
私が予想もしていなかった状況に困惑していると、私の処女を奪った先輩が笑いながら告げる。
「少し前に『私』から連絡があってね……君が私に思いを寄せている告白をしてくれたんだよ」
「マスターの望みを叶えるために、この行動がベストだと判断しました」
アンドロイドの『先輩』は、しれっとそんなことを言ってのける。
「ふふっ……最初は驚いたけれどね。『私』と話をしている内に、私もすっかり君のことが好きになってしまってねぇ」
「一緒にマスターを愛そうという結論に達しました」
訳が分からない。
私はそんな思いを込めて、先輩と『先輩』を見上げる。
二人はとても良く似た顔で、ニッコリと妖しい笑みを浮かべていた。
「「二人がかりで、たっぷり愛してあげるから――覚悟してね?」」
先輩は私の想像を遥かに超えたドSだった。
そんな先輩を学んだ『先輩』も、私の想像を超えて完成されていく。
こうして私は――先輩と『先輩』に、悲鳴をあげるほどに愛されることになったのだった。
おわり