SamSuka
夜空さくら
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ジャイアント・キャット・クラブへようこそ 前半

■ 都内某所にある、とあるお店『GCC』。そこを同僚に紹介された男は、『めちゃくちゃすっきり出来る』という話を聞き、その店を訪れていた。受付嬢に「ここでは巨大な『猫』と触れ合うことが出来る」と説明された男が、そこで味わうことになる不思議な体験とは――

■ ほんとは猫の日に出したかった作品です。猫の日には間に合いませんでしたが……こういう店があったらいいなぁ、という願望を詰め込みましたーw-ペコリ

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 GCCと書かれた看板は、地下に続く階段の上にあった。

「……いや、ほんとにここか……?」

 メモの住所は確かにここを示している様子だが、果たして本当にここであっているのだろうか。

「あいつ、適当なこと言ったんじゃないだろうな……」

 溜息を吐きながらも、俺はその階段を慎重に降りていく。きちんと掃除はされており、管理はされている様子だったので、全く使われていないということはなさそうだ。

「だけど本当にここで癒されるのか……?」

 俺は同僚から眉唾ものの話が本当なのか、半信半疑のままその店を訪れていた。

 同僚曰く『すごくスッキリする店』とのことだった。

(猫……猫かぁ……別に嫌いじゃないけど、そんな癒されるとかそういうレベルかというと……)

 微妙なラインだった。同僚は結構な金額を溶かしていると言っていたが、それならいっそデリヘルでも呼んで一発抜いてもらった方がいい気もする。

 自分で言うのもなんだが、俺は性欲が人一倍強いのだ。

(だからこそだ、とか言ってた気もするが……まさか獣姦出来るとかいうわけじゃあるまいし……)

 そこまで特別な性癖を持っているつもりはない。

 同僚がどういうつもりで俺にその店を紹介したのか――その理由はすぐに判明することになる。



 木で出来た年代物の扉を開くと、カランカランというドアベルの音が響いた。

 受付に座っていた可愛らしい女性が――いやほんとに可愛いな。実はアイドルと言われても納得する――こちらを見てニコッと笑顔を浮かべる。

「いらっしゃいませ! 当店のご利用は初めてですか?」

 あまりに可愛らしすぎて、思わず怯んでしまいつつ、俺は頷いた。

「は、はい。ええと、常連だっていう奴に紹介して貰ってて……これです」

 俺は同僚から預かった名刺サイズのカードを取り出す。

 常連がこの店を紹介する時に渡す決まりになっているのだという。

 それを丁寧に受け取った受付の人は、そのカードを機械に通して何かを確認している様子だった。

「ああ、奥寺様のご紹介ですね。承知いたしました。それでは当店のシステムについて、ご説明させていただきますね」

 いい笑顔を浮かべたまま、受付の人は説明に入る。

 あまりに理想的な笑顔すぎて、勘違いしてしまいそうだ。

 さすがにそういうことはないと思ってはいるけれど、まるで愛する彼氏に向けるみたいな、最高の笑顔をされたらさすがにヤバい。

(営業スマイルを勘違いするとか、そんな迷惑客になりたくないからな……)

 俺はそう考え、受付の人の説明に集中するのだった。

「当店では、あちらの遊技場にて、猫のスタッフと触れ合っていただけます。そこで相性のいい猫ちゃんを見つけられましたら、奥のプレイルームに移動してさらに深く『遊べます』」

「へぇ……?」

 なんだか意味深な気もするが、どういうことだろうか。

 普通の猫カフェと何が違うのだろう。

(特定の猫と個室で遊べるのが違うのか……? 普段猫カフェいかねえから、よくわからねぇ……)

 とりあえず試してみればいいのだろう。

 俺はそう考え、深く考えないことにした。

「通常はオプションになるのですが……こちらの玩具をご自由にお使いください」


 そういって受付の人が薦めてくれたのは――ピンクローターやバイブなどの、いわゆる大人の玩具だった。


 俺はそれを見て、目を瞬かせる。

「……これ、玩具……ですよね?」

 変な聞き方なような気がしたが、そうとしか言いようがなかった。

 受付の人は相変わらず素敵な笑顔のまま続ける。

「はい。玩具によって猫ちゃんの好き好きもありますので、途中で変更しても構いません」

 それはまああり得ることだと思うので、俺は頷いた。

 とりあえずピンクローターを手に取る。一番丸いと思うし。

(…………何が丸いんだ? 形か?)

 俺は自分の思考に妙な違和感を覚える。おかしいことを認識できていないような――そんな不思議な感覚があった。

 連日の残業で疲れているせいなのだろうか。

 首を捻りつつ、選んだ玩具を手に、遊技場へと向かう。

 受付の人が扉に手をかけ、最後の説明をしてくれた。

「なお、当店の猫ちゃんは皆少し大きいですが……とっても人懐っこいので、安心してお楽しみください」

 大きい猫というと、メークインとかそういう種類だろうか。

(最大一メートルくらいになるんだっけ? ちょっと憧れはあったんだよなぁ)

 さすがに飼うとかそういうことは考えていなかったが、でかいぬいぐるみのような体をモフモフしてみたくなかったかといえば、そんなことはない。普通に触ってはみたかった。

 逸れに触れられるとすれば、丁度いい機会かもしれない。

 受付の人が扉を開き、俺を遊技場に通してくれる。

 その扉の向こう側には――俺が想像もしていなかった桃源郷が広がっていた。



 遊技場は、広い寝室みたいな場所だった。

 全体的に明るくはあるのだけど、クッションやベッドが置かれていて、至るところで休めるようになっていた。

 清潔感のあるその広い部屋の中に――数匹の『猫』がいた。

 ジャイアント、というのは比喩ではなかった。

 まるで人間並みの大きさの『猫』たちがのんびりと寛いでいる。

 俺が部屋の中に入って来たのを見ると、まるでこちらの出方を窺っているかのように、その大きな目でこちらを見つめて来る。

「にゃぁ……」

 可愛らしい声でねこが啼く。

 俺はそのあまりの可愛らしさに、心臓がドキリと跳ねるのを感じた。

(うぉお……猫って、こんなにも可愛いものだったのか……!)

 どうしてだか、無性にドキドキさせられてしまう。

 俺がそう思いながらその『猫』を見つめていると、その『猫』は俺の足下まで四つん這いでやってくると――猫なら四つん這いなのは当たり前だが――そのキラキラした目で俺の顔を見上げて来た。

「うっ……!」

 猫はそんなに好きじゃないと言った。それ自体はいまも変わっていないつもりなのだが。

 どうしてだか、その『猫』から視線が離せない。

(しかしでけえな……! マジで人間サイズあるじゃねえか……! すげえ、毛艶もよくて……なんつうか……エロい、ような?)

 その『猫』がメスであることは、その膨らんだ乳房や、雄ならあるべきものが何もない股間を見ればわかる。

 普通の猫なら毛皮に覆われてそれらがよくわからないこともあるはずだが、この『猫』はそれが妙にはっきりしていて、意識してしまう。

(すごいタイプの猫だな……やばいだろ、これ……)

 まるで裸の女性を前にしているかのような、そんなもどかしい感覚が襲い掛かって来ている。

 俺が思わずまじまじとそいつを見つめていると、その『猫』はどこか気恥ずかしそうに体を捩り、俺から離れて行ってしまう。

(しまった、見つめ過ぎたか)

 確か猫を懐かせるには、あまり目線を向けない方がいいらしい。

 あんまりマジマジと見つめていると、喧嘩を売っていることになるのだとかなんとか。

 聞きかじりの知識だが、あの反応を見せたということは、間違っていないのだろう。

(まあいい。他にも『猫』はいるみたいだし……)

 また寄って来てくれるのを待つことにしよう。

 俺はそう考えつつ、遊技場に置かれたベッドに近付き、その上に腰掛けた。

 するともぞもぞと布団が動き出し――その中から、別の『猫』が這い出して来た。

 今度の『猫』も、さっきの『猫』と同じか、それ以上に可愛らしい姿だった。

 その猫は、さっきの『猫』より、乳房がデカい。柔らかく膨らんだそれを揺らしながら布団から這い出して来たかと思うと、大きな欠伸をしながら、その体を逸らして伸びをする。

 突き出したお尻もぷるっと張りが良く、なんとも蠱惑的な姿をしていた。

 そんな自由気まま、解き放たれた『猫』の姿を見た俺は――股間に血が集中するのを感じる。

(うぉ!? な、なんでだ!?)

 いきなり勃起してしまった自分の体に驚いてしまう。

 だが、これは無理もなかった。


 なにせこの時の俺は目の前にいるのが『猫』だと思っていて――それが本当は猫に扮した裸の女の子・ヒトネコだということに、気付いていなかったのだから。


 GCCは、猫カフェではなく、『猫』も客も催眠状態に陥り、女の子を『猫』として、存分に可愛がることが出来る場所だったのだ。


後半につづく


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