思い出残す、全裸の夏 〜思いがけない来訪者〜
Added 2024-08-26 12:51:40 +0000 UTC■ 最初にネタバレすると、この人は二人の関係を進める起爆剤になりますーw-ウム
■ 一昨年書いた『キミと過ごした、全裸の夏』、去年書いた『二人で過ごす、全裸の夏』の続編シリーズです!
■ なっちゃんが手に入れたデジカメを使って、最高の露出写真を撮りに色んな場所に訪れるお話です。卒業を来年に控えた、青春の思い出作りも含んでいます。……青春が全裸撮影っていうのもどうなんでしょうねーw-; この二人らしいといえばらしいかもですけれど。
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なっちゃんと一緒に暮らしていたお祖母さんが旅に出て、なっちゃんの家は彼女の一人暮らしになっているはず。
近所の人が尋ねて来たと言う可能性は一応あったけれど、もしそうだとしても無言で入ってくるのはありえない。
田舎特有のガバガバセキリュティで、鍵をかけることはほとんどないけれど、田舎の人は声が大きいので、何かしら挨拶をしながらーーなんなら開けた瞬間から話し始めながらーー入ってくる。
近所の人たちなら大抵はそういう感じだから、今家に入って来ている人はそうじゃないと言うことだ。
(だ、だれ? 誰が、入って……!)
泥棒か、あるいはそれに類する何かか。
思わず硬直してしまっていた私は、今更ながらいま見つかるのはまずいと言う当たり前のことを思い出した。
二人ともに全裸で、しかも大型犬用のケージの中に入っている。誰がどうみても怪しげな状況で、こんなところをみられたら、きっと色々変な噂が立つ。
「な、なっちゃん、出なきゃ……!」
とりあえずケージから出てさえいれば、家の中だから裸で過ごしていたと言う体は成り立つ。
裸をみられて恥ずかしいことに違いはないけれど、それでも噂が立つほどではない。
焦って体を動かそうとしたら、なっちゃんも動こうとしたところだったようで、かえって体が絡まってしまう。
「はぅっ! ちょ、れいっ」
その際、私の手が変なところに当たってしまったらしく、なっちゃんが妙な声をあげて体を跳ねさせる。
「ご、ごめ、わざとじゃーーんひゃ!?」
今度はなっちゃんの手が私の胸を鷲掴みにしてきた。
「あわわっ、ごめんっ」
お互いに混乱し、うまく動けない。もつれて体勢が揺らぎ、ケージの柵に体が当たって大きな音を立ててしまう。
がしゃん、という音は、私たちの想像以上に大きく響いた。
家に上がり込んで来ていた足音が、ピタリと止んで、こっちに向かって来る。
また音を立てるのが怖くて、私は動けなかった。
それはなっちゃんの方も同じだったようで、二人して体を硬くして廊下に繋がる扉を見つめてしまう。
そして、誰かがその扉の前に立つ。
特に何か言うこともなく、無言のまま扉が開かれた。
現れたのは、なっちゃんによく似た女の人だった。雰囲気はかなり違うけれど、顔立ちはそっくりだ。
また、二年前からすると女の子らしくなってきたとはいえ、まだまだ子供っぽいところも多いなっちゃんに比べ、その女の人は背も高いし、スタイルもかなり大人っぽい。
日に焼けて褐色の肌であることはなっちゃんと同じで健康的だけど、ちょっと色っぽくも感じる。
なっちゃんが成長すればこんな感じになりそうな、そんな印象を受けた。
(もしかして、なっちゃんのお母さん……!? ……あれ? でも、確かなっちゃんのご両親は病気で亡くなったって言ってたような……?)
そう思ってなっちゃんの方を見ると、なっちゃんはなんとも複雑な表情を浮かべていた。
安心半分、焦り半分。どう判断したらいいのかわからない表情だ。
(まさか、なっちゃんのお母さんの幽霊、とか?)
お盆の時期だけにそんな妄想まで思考が飛んでしまう。だとすればなっちゃんの表情もなんとなく納得できるのだけど。
果たして、なっちゃん似のその女の人は、部屋の中を見まわし――そして、私たちに気づいた。その目が少し見開かれる。
「……何やってんの? なぎさ」
大型犬ケージの中で絡み合っている裸の女子二人という、とんでもない現場をみた直後にしてはすごく冷静な言葉が飛んできた。
なぎさ、と呼ばれたなっちゃんは、なんとも居心地が悪そうな様子で、その人に言葉を返す。
「友達と戯れとっただけじゃけぇ。……こよみ姉こそ、なんで来たんじゃ?」
どうやら知り合いらしい。姉ということは、姉妹なのだろうか。
でも兄弟姉妹がいたなんて話は今まで一度も聞いたことがないけれど。
「……とりあえず、出てきて、服を着たら?」
もっともな言葉に促され、私たちはケージから出て、とりあえず服を着たのだった。
「私は鈴木こよみ。五月雨塚なぎさの母親の姉の子供……つまりは従姉妹だね。年は二十歳」
私たちはリビングの机を挟んで向かい合っていた。私の隣にはなっちゃんがいる。
「ええと……綿部鈴です。なっちゃん……なぎささんとは、二年前に私がこっちに越してきた時から、同級生として仲良くしていただいていて……」
私がそうこよみさんに挨拶すると、彼女は面倒くさそうに手を振った。
「堅苦しい挨拶はしなくていいよ。別に私は二人の関係のことをとやかくいうつもりはないし、っていうか別に私にそういう権限があるわけじゃないし、好きにしたらいいよ」
「そ、そうですか……」
どういうスタンスなのかわからなくて不安だったけれど、ひとまず騒ぎにしないでいてくれるみたいでホッとした。
若干、なっちゃんとの関係を誤解されているような気もしたけれど、あの状況でただの友達ですといってもかえっておかしいだろう。
余計なことは言わずに、黙っておこうと思う。
「こよみ姉とは、ここ数年会っとらんかったけど、昔はよく遊んでもろてたんじゃ。年賀状のやり取りは続けとったけども」
曰く、その当時はこよみさんもなっちゃんと同じく裸族で、色々悪いこと――と言っても子供のイタズラの範疇で非行ではないこと――も彼女から教えてもらったらしい。
「ほら、れいを案内したお堂あるじゃろ。あそこへの侵入の仕方をうちに教えてくれたんもこよみ姉じゃ」
「ああ、あの……」
「川で裸で遊ぶのを覚えたんも、こよみ姉と一緒に裸で遊んどったからじゃ」
「そ、そうなんだ……」
思ったよりなっちゃんの行動にかなり影響を与えていた人のようだ。
ただ、そのこよみさん本人は苦い顔をしている。彼女の中では黒歴史なのだろうか。
「……私も年上の子供から教えてもらっただけだからね」
なるほど、あの辺りの知識は、いわゆる村の子供の伝統のようなものらしい。
その話はあまり堀下げたくなかったのか、こよみさんはこほんと咳払いをして、話を変えた。
「私が来た理由だけど、この前お婆ちゃんと会って話をしたからなの。家の仏壇にコレを供えてきてほしいって」
そういってこよみさんが取り出したのは、どこぞの銘菓っぽかった。
全国津々浦々を旅しているお婆さんは今もどこか遠く離れた地を散歩しているようだ。
「その様子だと、なぎさも聞いてなかったみたいね?」
「お婆、そういうとこ雑じゃけぇね……それにしても、そんなんよく引き受けたのぉ?」
なっちゃんが疑問に思うのも無理はなかった。
こよみさんが今暮らしているのは、このあたりから車で八時間はかかるような場所だった。
行けなくはない距離だけど、相当気合を入れなければ移動しないような距離だし、お婆さんのいうお供えをする目的だって、この家が無人ならともかく、郵送でもしてなっちゃんに受け取って貰えばいいだけの話だ。
なっちゃんの様子を見るにしても、近所の人にでも頼めばいい話であって、わざわざこよみさんに頼む理由にはならない。
なんとなく違和感を覚えてこよみさんの様子を伺っていると、こよみさんはなっちゃんに向けて言った。
「まあ、色々あってね。とりあえず、数日泊めてもらえる? 急で申し訳ないけど……それに」
こよみさんは私となっちゃんを交互に見て、本当に申し訳なさそうな顔をした。
「二人の邪魔をして悪いけど」
どうやら、なぎささん的には私となっちゃんが「そういう関係」にあるように思えたらしい。
確かに、そう思われても仕方ないところを見られてしまった。
私となっちゃんはどう弁明したらいいのかわからず、とりあえず苦笑いで受け流すことにしたのだった。
こうして、今年の夏には思いがけず――こよみさんという存在が加わったのだった。
とりあえず親戚同士積もる話もあるだろうと、私は今日は自宅の方へ帰ることにした。
玄関のところまでなっちゃんが見送りに来てくれる。
「ほな、れい。また明日会おうや」
「ええ。こよみさんとゆっくり話をしておいて」
そう言いながら玄関扉を開ける。見覚えのない車が、以前は御婆さんの軽トラが置かれていた場所に鎮座している。こよみさんの車らしい。
「これで八時間もかけて来たんだ……」
「結構でかいのー。ここにあると目立つし、奥の方に停めてもらおかな……」
「その方がいいかもね。それじゃ、また明日」
私がそう言って去ろうとすると、なっちゃんが私の手を掴んで引き留めて来た。
「なっちゃん?」
「あー……その、なんじゃ。なんか予定外のことはあったけれんど……」
なっちゃんは私に顔を寄せて、囁く。
「思い出作りは、気にせずしよな。こよみ姉なら大丈夫やけぇ」
カメラを使った撮影のことをいっているのだろう。
私はなっちゃんに笑顔を向ける。
「うん。ありがと、なっちゃん」
思いがけない来訪者に振り回されてしまったけれど、なっちゃんとの思い出作りはもちろんするつもりだった。
なっちゃんもちゃんと忘れていないと言ってくれて、私はとても嬉しかった。
止めておいた自転車に乗って、自宅への道を急ぐ。
それにしても暑い。帽子は被っているけれど、直射日光でじりじり焼かれてしまいそうだ。
そんなことを考えながら私は自転車を漕いでいく。
畑の傍を通りかかると、そこで農作業していたお爺さん――近所の北里さんが声をかけてくれた。
「おー。れいちゃん、おでかけかい? 暑いから気をつけてな~」
畑の中から手を振ってくれるお爺さんに手を振り返す。
もう二年もこの村で暮らしているので、結構顔見知りも増えて来た。というか、普通に一度は顔を合わせたことがある人がほとんどだ。さすがに全員記憶するというわけにはいかなかったけれど、大体の人は覚えてるし、向こうも私のことを覚えてくれている。
「はーい、ありがとうございますー」
私はお礼をいいながらそこを通り過ぎていく。
そうしているうちに、自宅へと辿り着いた。
「ふー……ほんと、暑いなぁ……」
自転車を止めながら、何気なく汗を拭う。
その際、私はとんでもないミスをしていることに気付いてしまった。
洗面所に立った私は、心臓が縮みあがるほどに、恥ずかしさを覚えてしまう。
「あ……! し、しまった……忘れて、た……!」
私の首には、まだ首輪が巻かれたままだった。
なっちゃんの家で戯れに着けて、すっかり忘れていた。
「うわああ……やばい……この格好で、帰って来ちゃった……!」
首に巻きつけているものに気付かないなんて、相当うかつだった。
すっかり慣れ過ぎていて、意識していなかったのだ。
北里さんに気付かれただろうか。遠目だったから大丈夫だったかもしれないけれど。
「いや、まあ、目立ってたよねぇ……絶対……」
私は呻きながら、首輪じゃなくてチョーカーだと勘違いしてくれているように祈るのだった。
そして、翌日。
私は首輪を鞄の中に入れ、なっちゃんの家へとやって来ていた。
いつも私が使っているとはいえ、首輪はなっちゃんのだし、返さないといけない。
私はいつものように自転車を止め、なっちゃん家の中へと入る。
「こんにちはー。なっちゃん、来たよー」
声をかけながら家に入ると、ちょうど誰かが部屋の中から出て来るところだった。
なっちゃんか、それともこよみさんか。
私は玄関扉を閉め、再度そちらを見て――目を見開く。
「あ、れいちゃん。こんちわー。今日も暑いねぇ」
廊下に出て来たのはこよみさんだった。なっちゃんによく似た顔で、でも、明らかに違う雰囲気で私に声をかけて来る。
ただし、その格好はパンイチだった。大人っぽいショーツ以外、何も――首からタオルはかけていたけれど――身に着けていない。ぺたぺたと裸足の足音が鳴る。
なっちゃんより大きなお胸は、堂々と晒されていて、思わず目線が吸い寄せられてしまう。
どうやら、こよみさんもなっちゃんと同じ――割と裸族な人なようだった。
ただ、こよみさんの大人びた感じは、なっちゃんとはまた違う魅力というか、艶やかさを持って、私の心臓をドキドキさせてくるのだった。
つづく