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夜空さくら
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ラバーシスター学園(仮)⑦

■ 淫魔に対抗するために作られた、シスターを育成するための学園でのお話です。

■ ラバーシスターは修行のため、奉仕活動も行います。……エッチな奉仕はありませんーw-ウム

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 アリシアが意識を取り戻すと、彼女の傍にはメリッサが立っていた。

「う……ん……っ」

「あら、起きたのね」

 優しくアリシアに声をかけるメリッサ。

「メリッサ、せ――んぅっ!?」

 それに対して何か言おうとしたアリシアは、体から強烈な快感が走って頭が痺れるのを感じた。

 急に走った快感に声を詰まらせるアリシア。

 そんなアリシアを見て、メリッサは少し申し訳なさそうに忠告する。

「あー、まだ動かない方がいいわよ。ずいぶん気持ちよくなってたみたいだから……体が敏感になってしまっているのね」

「ぁ、ぅ……っ、んっ!」

 アリシアは自分の体がそんなにも気持ちよくなっている理由について納得しかけたが、それにしては快感が強すぎるようにも感じていた。

(いくら、なんでも……っ、これは、敏感になりすぎてませんか……!?)

 少し体を動かそうとするだけで、気持ちいい快感が全身を駆け巡っていく。

 体中を走る神経そのものが快感を生み出しているかのようで、アリシアはまともに体も動かせなかった。

 そんなアリシアの元に、メリーベルがやって来た。その手には、マグカップを持っている。

「目を覚ましましたか。アリシアさん。これを飲んでください」

 メリッサがアリシアの体を支え、仰向けに寝ていた状態から半身を起こさせる。

「ひぅっ、あっ、んぁっ……! は、はいぃ……っ!」

 そのメリッサの補助にすら快感を覚えてしまうアリシアだが、どうにかそれを抑え込んで、メリーベルが持って来た飲み物を口にすることが出来た。

 マグカップの中には、無色透明で少しドロリとした液体が入っていた。

 味もほとんどせず、白湯と葛湯の中間といったところだろうか。

 それを飲んだアリシアは、すっと体の火照りが治まっていくのを感じる。

「メリーベル先輩……これは……?」

「性感帯の活性を抑える薬湯です。開発されすぎた神経を鎮静化する効果があります」

「そんな便利な薬があったんですか!?」

 思わずアリシアはそう叫んでしまっていた。そんなものがあるとは聞いていなかったからだ。

 それに対し、メリーベルは特に表情を動かすことなく、ただ頷く。

「ええ。ただしこれは事前に飲んでおくことはできないのです。活性化したものを抑えることは出来ても、活性そのものを抑えることはできません。ゆえに、この薬があったとしても、活性化された快感に耐える必要はあるのです」

 こんな薬があるならサキュバスの対策に使えるのではないかとアリシアは思っていたのだが、あっさり否定されてしまった。

 少しがっかりしつつも、開発されすぎた体を元に戻すことが出来るというのは、ありがたい話ではある。

「……あれ? 先輩……私の体、そんなに開発されちゃったんですか?」

 薬が必要になるほどの修練だったのかとアリシアは二人に尋ねる。

 二人はそれとなくアリシアから目を逸らし、話を変えた。

「そろそろ動いても大丈夫そうね」

「次の修練に行きましょう、アリシアさん」

 そう言ってメリーベルがハーフマスクを取り出す。

「は、はぁ……んぅっ」

 そのハーフマスクによって、文字通り口を塞がれてしまうアリシア。

 まだ少々疑問が残っていたが、メリッサとメリーベルに促され、次の修練の場へと向かうことになった。

 いつものラバーシスターとしての服に改めて身を包み、地下通路を歩き出す。

 修練室から出た三人は、入室を管理している先輩シスターに挨拶した後、別の道を進んでいく。

 そうしてしばらく歩いたところで、上に向かう階段にたどり着いた。

 そして地上に辿り着くと、大きな観音開きの扉を開いて、外へと出る。

 その入り口のすぐ側には守衛室のようなところがあり、控えていた門番がアリシアたちの姿を確認する。

「お疲れ様です。日課の奉仕活動ですね。いってらっしゃい」

 門番は穏やかな男性であった。

 アリシアは相変わらずメリッサとメリーベルに左右を挟まれ、手を握られたままだったため、ラバースーツに包まれた体を隠すことも出来ず、その姿を見られてしまう。

 どうしても羞恥心を覚えてしまうアリシアに対し、メリッサとメリーベルは見られることにも慣れた様子で、門番にお礼を言ってその門を通過した。

「いってきまーす」

「行ってまいります」

 その門を通過すると、そこはもうすでに街の中にだった。

 街では老若男女の人々が生活しており、シスターである彼女達に視線を向ける者もそこそこいた。

 ただしその視線は好奇のものではなく――感謝や尊敬といったものだ。ありがたいものを見たと言わんばかりの笑顔で、街の者はシスターたちに注目している。中には拝んでいる者もいた。

 ますます恥ずかしく感じてしまうアリシアに対し、メリッサとメリーベルは人々に笑顔を返していた。ハーフマスクを身に着けているため、口元は見えていなかったが、見えている目元だけでも、微笑んでいることがわかる。

「ほら、アリシア」

「行きますよ」

 二人に促され、アリシアも頷き、その後に付いて歩いていく。

 三人が向かったのは、高齢の店主が営んでいる雑貨店だった。

「失礼いたします。奉仕活動に参りました」

 そう声かけをするメリッサに、好々爺の店主が店の奥から顔を覗かせ、喜びを顔に浮かべた。

「ありがとう、シスターさんたち。いやぁ、最近は腰が痛くて、片付けもままならなくてねぇ……」

 そう申し訳なさそうにいう店主の指示に従って、店の清掃・商品の整理を手伝い始める三人。

 ラバースーツに覆われ、ハーフマスクを身につけている彼女達の姿は、奇しくもそういった活動に向いていると言えなくもなかった。

 ラバースーツは手の先まで覆っているため、指先などを怪我する心配はなかったし、埃が舞い上がろうと、ラバー製のハーフマスクが完全にそれをシャットアウトしてくれる。

 三人の格好は少々奇抜なものではあったが、それを過度に気にするものはいない。

 せっせと三人は清掃活動に勤しむのだった。

 彼女達ラバーシスターがそのような活動を行っているのは、彼女達の力の源である神聖力に関わりがある。


 神から与えられる力がどの程度強くなるかは、個人個人の徳の高さによるものもあるのだ。

 人のためになることを普段からしていればいるほど、いざという時に借りられる力は大きくなる。

 個人の素養も全くの無関係ではないが、個人でどうにか出来ることといえば、出来るだけ人のためになることをする――つまりは徳を積むことだけだ。

 その結果、ラバーシスター学園では、学外の奉仕活動が日課として義務づけられている。

 街のためになることにラバーシスターが尽力することによって、街中での存在感などを高めることにも繋がり、さらに、退魔の活動もしやすくなる。

 アリシアのような新人のシスターにとっては、多くの一般人に見られてしまう時間でもあるため、なんとも羞恥心を煽られる習慣ではあるが、必要であることは理解しているので、文句は言わないし、言えない。

 ただ無心で務めるだけだ。


 三人の尽力もあり、雑貨店の店内はみるみる内に片付いて綺麗になった。

「おお、ありがとう。とても助かったよ!」

 店内の様子を見た店主は、笑顔で三人に向かってそうお礼をいうのだった。

 心からの感謝に、アリシアたちは胸に温かいものが宿るのを感じる。

(人の役に立てた……その喜びもあるけれど)

 アリシアは自分の内に宿る神聖力の高まりも感じていた。

 神聖力の高まりは、それだけ自身が優れたシスターに近づいているという証拠だ。

 アリシアはその確かな実感を感じ、より一層奉仕活動に力を入れようと決めるのだった。



 奉仕活動は、いくつかの場所で行われる。

 三人が次にやって来たのは、若い男性が多い土木建築の現場だった。

 新しい駅舎の建て替えに多くの人員が集まっており、シスターたちはそんな彼らを慰労しなければならない。

「行きますよー」

「お、おお……」

 メリッサが目の前に座っている男性の膝に向けて手を翳し、回復魔法を用いる。

 淡い光がメリッサの胸から腕、指先まで伝っていき、そして男の膝へと降り注いだ。

「うお……っ!」

 男はびくんと膝を跳ねさせてしまったが、すぐに気づく。

「おお……!? 膝の痛みがなくなった……!」

 男は無理な作業が祟って、慢性的な関節炎を発症してしまっていた。それが回復したのだ。

「ありがとよ、シスターさん!」

「いえいえ。私たちにとっては良い修行ですから。感謝は神にお願いいたします」

 普段は軽い口調であるメリッサだが、目上の存在に対してはおしとやかな言動で接する。

 メリーベルもメリッサと同じように、優しく怪我人に話しかけ、その体を癒していた。

 そして、新人のアリシアといえば。

 とある青年のふくらはぎに生じた切り傷を治療しようと奮闘していた。

 青年は椅子に腰かけており、その前にアリシアは膝をついてふくらはぎに手を翳している。

 さほど深くはない傷で、普通にしていても治るだろうが、アリシアの修行を兼ねて治療してもらうことになっていたのだ。

 基本的に治療は単純な怪我よりも病気の方が難しい。

 うまく神聖力を流すことができれば、治すのに難しい傷ではなかった。

 しかし、アリシアはその傷の治療に苦戦していた。

(こ、こんなに近くから、男の人に見られるなんて、聞いてない……!)

 触れるほどの――というか触れている――距離からまじまじと見られることに、アリシアはまだ慣れていなかった。

 メリッサとメリーベルは淡々と、そして堂々と行動しているため、問題ないのだがアリシアのように恥じらっているところを見せられると、相手側にもその緊張や羞恥が伝播してしまう。

 シスターの少々奇抜な恰好などについては、注目しすぎない、触れない、というのが関係する一般人のマナーではあるのだが、人間完全に徹することができるものでもない。

 その結果、妙な緊張と羞恥が二人の間で発生していた。

「……だ、大丈夫?」

 間が保てなかった青年が、そうアリシアに話しかける。

 アリシアは思わずびくりと体を震わせてしまいながらも、大慌てで首を縦に勢いよく振る。

 その際、勢い余って上半身も揺れてしまい、ラバースーツに覆われている乳房も大きく揺れた。

(ひゃあっ!)

 慌てて抑えたが、そのせいで余計に胸の揺れや柔らかさを強調してしまうことになった。

 顔を真っ赤にしてしまうアリシアと青年。

(は、早く治療しないと……!)

 いたたまれない状況をなんとか脱しようと、アリシアは改めて集中して青年の傷に向かって神聖力を流していく。

 胸から腕、そこから指先――と進めようとするのだが、途中で揺らぎが生じ、また元の場所へと戻って行ってしまう。

(くっ……! あと少し、なのに……! ……待って?)

 アリシアはふと気づいたことがあり、それを実行に移す。

 地面についていた膝を、さらに青年の側に寄せた場所につきなおす。

「えっ」

 青年が声をあげるのにも構わず、アリシアはその体を倒し、青年の足に自分の体の方を寄せた。

 そして、青年の足先を両腕で抱えるようにして、胸の方を傷口に近づけたのだ。

(これなら……っ)

 アリシアは神聖力を胸から直接青年のふくらはぎへと流す。

 距離が近づいたことで、流れた神聖力が傷口へと到達した。

 傷口がみるみる塞がり、跡形もなく消えてしまう。

(やった! 成功――)

 アリシアが喜びに沸いたのも一瞬のことだった。

「あぅっ」

 傷が治った青年が、傷口が消えるときの衝撃に思わず足を動かしてしまい、アリシアの胸に思い切りそのむこうずねが当たってしまったのだ。

 むにゅっ、とアリシアの乳房がその足を受け止め、衝撃としては大したものにならなかったが――そこで初めてアリシアは自分がどういう体勢でいたのか気づいてしまった。

(あっ……!)

「あ、ありがとうございましたっっ!!」

 アリシアが何か反応する前に、青年はお礼を叫んで立ち上がると、微妙に前屈みになった不思議な体勢のまま、迅速にその場を離れて行ってしまった。

 次に並んでいた男は、困ったように自分の鼻を刺す。

「えーと……俺の傷は転んで鼻を擦り剥いたってやつなんだけど……いまの、するの?」

「~~~~~っっっ!!!」

 ぶんぶん、と勢いよく首を横に振るアリシア。

 鼻を擦りむいた男はだよねぇ、と少し残念そうに呟くのだった。


 動揺したアリシアはその後、ちょっとした擦り傷を治すのにも苦労し――大いに落ち込んでしまうのだった。


つづく


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