挿絵は立ち絵や過去絵の差分含む全6枚(内1枚はFANBOX用の新規描き下ろし)、SSは約10700文字です。
前編までなのですが、それなりにボリュームはありますので是非楽しんでいって下さいませ~。
★For non-Japanese users★
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Heroine Match - Misa VS Rinka - [Part 1]
※JK=Jyoshi Kousei=High school girl
---------------私立シャルム女学園ボクシング部練習場---------------
「ダウーン!!
1…………2…………3……………………」
「がっ、あ゙゙っ……ゔ゙あ゙゙っ…………」
放課後の体育館。
4本のロープが張られたリングの中央で、一人の少女が惨めに蹲り小刻みに身体を震わせていた。
「またダウン?……この前私を倒した時の貴女はこんなものじゃなかったわよ…………早く立ちなさい」
ボディの痛みに耐えかねてダウンを喫してしまった由乃(よしの)を見下ろすのは実の姉である凛香(りんか)。
姉妹同士のスパーリングはまだ2R目ではあるものの、顔に傷一つ負っていない凛香に対して既に由乃は3回目のダウンを数えるまでになっており、スパーは一方的な様相を呈していた。
(おねぇ……やっぱり強すぎる…………
真っ向勝負じゃマトモな試合にすらならないなんて…………)
キャンバスに滴り落ちる自分の涎をみながら彼我の戦力差に絶望する由乃。
(でも、あたしだって一度はおねぇに勝ってるんだ…………)
しかしその瞳には未だ闘志の炎が灯っており、転がっているマウスピースを咥えると、震える膝で懸命に立ち上がろうとする。
(……だから、このままやられてばかりじゃいられないよねっ!!)
「8…………9……………………!!」
カウント9で立ち上がる事に成功した由乃を見て、まだ続けても問題ないと判断したレフェリーがスパーを再開させていった。
「偉いわよ由乃…………それじゃ、まだまだ行くからね!!」
攻撃的な笑みを浮かべた凛香が妹の元へと歩みを進めていく。
(立ったは良いものの、さっきのボディで完全に足を殺されちゃってる…………
このまま正面から打ち合うしかない!!)
有利ではない間合いだと分かってはいるものの、他に選択肢の残されていない由乃は正面からの打ち合いを決意する。
「やぁっ!!」
至近距離まで迫ってきた姉へと向けて右ストレートを放っていく由乃。
ガードする事も出来た凛香であったのだが、敢えてその拳を顔面で受け止めていく。
「んあっ!!…………中々やるじゃない。
それじゃ…………これはお返し、よっ!!!」
少しばかり表情を歪めた凛香が反撃の右フックを放つ。
「ぶぎゃっっ!!!」
首がぐるんと90度回転する程の衝撃。
余りの威力に一瞬動きが止まってしまった由乃だったがその目は死んでおらず、再び反撃の拳を放っていく!!
「くぅっ!!…………それじゃ今度は私の番ね、行くわよ由乃!!」
次の瞬間、凛香の放ったリバーブローが由乃の身体を深く突き上げていった!!
「ぼひゅぅぅっっっ!!!」
由乃が正面から打ち合うと決心してからの10秒にも満たない僅かな時間。
その間に受けた、たった2発の攻撃で由乃は甚大なダメージを与えられてしまっていた。
「ぁ…………ぅ……………………」
既にガードを上げる事すら叶わず、虚ろな瞳で姉の事を見つめるだけの由乃。
口元からは唾液に塗れたマウスピースがこんもりとはみ出してしまっていた。
「これで…………終わりっ!!」
意識が朦朧としている妹へ向けて、無慈悲なアッパーを放っていく凛香。
「がひゅっっっ!!!」
愛しい姉からのアッパーで頭を弾き飛ばされてしまい、力を失った肢体はそのまま仰向けにキャンバスへと叩きつけられてしまう。
「んっ…………ぁ……………………」
まるでバンザイをするかの様に腕を上げ、両足はピンと伸ばされている。
力なくピクピクと震えているその少女は完全に失神してしまっていた。
その姿を一目見て試合続行が不可能だと判断したレフェリーが、スパーの終わりを告げるゴングを要請していった。
カンカンカーン!!
「良いスパーだったわ。
またやりましょ、由乃…………って、聞こえてないか」
汗ばんで頬が上気している凛香は健康的な色気を醸し出しながら、スポーツマンらしい爽やかな笑顔でそう告げた。
姉妹同士のスパーリングが終了してから10分後、リング下のベンチでは姉に膝枕をされて未だ意識を失っている由乃の姿があった。
優しい瞳でその寝顔を見つめていた凛香に対して、隣に座っていた友人のあきらが話しかけていく。
「流石りっちゃん。 今度のエキシビションマッチに向けてちゃんと仕上げてきたわね」
地下格闘技団体UBCにおいてJKボクシングリーグの王者である凛香。
彼女には数日後にとある試合が控えていた。
「えぇ、折角大人の人と闘える機会なんだから、精一杯楽しまなくちゃね!
今回の相手はJKリーグじゃない女子ランカーの人で、確か名前は…………ミサさん、だったかしら?」
「あっ、そうだ! さっき運営からそのミサさんの試合動画が送られて来たんだけど、一緒に見てみる?」
タブレットを操作しながら凛香にそう提案するあきら。
「折角だしそうさせて貰おうかな。 ありがとね、あーちゃん!!」
そして、画面は薄暗くも熱気のあるリングを映し出し、二人の男女の殴り合いを記録した動画が再生されていった--------
---------------地下格闘技団体UBC特設会場---------------
「あぅっ、ぐふっ、お゙゙え゙゙っ……っぷぁっっ!!」
邪な男どもの情欲に満ちた会場の中心部にあるボクシングリングの中で、一人の女が屈強な男に蹂躙されていた。
「おーっとミサ選手、ユウト選手の豪腕の前に手も足も出な~~い!!
果たして逆転の術はまだ残されているのでしょうか!!?」
ボシュゥゥゥッッ!!!
「お゙゙え゙゙え゙゙っっ…………」
男の拳が女の程よく鍛えられた腹筋にめり込んでいくと、ミサはその痛みに耐えきれず腰を曲げて頭を下げてしまう。
丁度殴りやすい位置に顎を差し出された事によって、ユウトの次の一手は必然的に定まり--------
「がひゅっっ!!!!」
腰を入れたアッパーカットが女の整った顔を真上に弾き飛ばしていった。
「強烈なアッパーが炸裂してしまった~~~!! お~っとこれは……ダウン、ダウンです!!
ユウト選手の猛攻の前にミサ選手、敢え無く撃沈してしまったぁ!!!」
このラウンド2度目のダウンを喫してしまったミサ。
二つの胸の膨らみを大きく上下させながら、虚ろな瞳で天井を見つめていた。
「UBC女子ボクシングリーグ3位のミサ選手でも、流石にユウト選手は荷が重たかったかぁ!!?」
もごもごと口を動かした次の瞬間、むにゅっと口内からマウスピースが吐き出されていく。
少しでも酸素を取り入れようと、女はその豊満な乳房を揺らしながら必死に呼吸を繰り返していた。
(やっぱりパンチ力が違いすぎる…………)
彼女は投資で作ってしまった借金返済の為、好んでファイトマネーが高いミックスファイトに身を投じていた。
(普通に殴り合っても勝ち目はなさそうね…………なら、やっぱり”アレ”しかないか)
それ故このような展開も慣れっこになりつつあり、圧倒的劣勢にも関わらず落ち着いて立ち上がりファイティングポーズを構えていく。
「ミサ選手、カウント9で立ち上がりました!!
しかし疲労の色が隠せない様子!! 果たしてラウンド終了まで凌ぎ切る事は出来るのかぁ!!?」
「安心しなミサちゃん……キッチリこのラウンドでKOしてやるからな!!」
試合再開後、若干足元が覚束ないミサに対してユウトは猛ラッシュを打ち込んでいった!!
「がっ……くっ…………ぶはぁっっ!!!」
ユウトの豪腕により痛めつけられてしまった今のミサの身体では全てを防ぐ事は叶わず、ラッシュが長引くにつれて徐々に被弾が増えていってしまう。
そして、渾身の力が込められたボディアッパーがミサの腹を打ち抜いた。
ボシュゥゥゥ!!!
「お゙゙ぼっ……あ゙゙っ………………」
「ユウト選手のボディがミサ選手を捉えた~~!
ミサ選手、完全に動きが止まってしまった~~~!!!」
完全に開かれきった瞳孔はもはや試合相手の事すらその視界には捉えておらず、大きく開かれた口の端からは大量の唾液が溢れ落ちている。
そんな絶好の獲物を目の前にしたユウトは、大きく腕を引き絞りながら目の前の弱った女に語りかけていく。
「愉しかったぜミサちゃん♪…………これで、終わりだぁ!!!」
そして、致命的な威力を伴った右ストレートがミサの顔面へと襲いかかる。
「ミサ選手危ない!!
これは試合が決まってしまったか~~~!!?」
会場中の人間がミサの敗北を確信していたが、次の瞬間、それは間違った考えだと悟る事になる。
「がふっっ…………」
「こ、これはなんと!! ミサ選手のカウンター一閃!!!
フィニッシュブローを放ったユウト選手の顎を綺麗に打ち抜いたぁ~~~!!!」
ミサの十八番であるクロスカウンター。
正確に顎の先端を捉えたその拳はユウトの脳を激しく揺らし、一撃で男を脳震盪へ至らせる事に成功していた。
そして脳からの司令を失い完全に脱力しきってしまった肉体がキャンバスに叩きつけられる。
「ダウ~~~~ン!!
ユウト選手、完全に失神している様に見られますが、果たして立ち上がる事は出来るのかぁ!!?」
鍛え上げられた肉体は時折小刻みに震えるのみで、意識を取り戻す様子を見せない。
そしてそのまま10カウントが数え上げられ、試合の決着を告げるゴングの鐘が鳴り響いていく。
カンカンカーン!!!
「試合終了~~~~ミサ選手、まさかの逆転勝利!!
圧倒的劣勢の中ユウト選手を見事下しました!! カウンタークイーンの面目躍如です!!!」
見事男を下した女は脳内でファイトマネーの計算をしつつも、金銭だけでは得られない確かな充足感に満ちた表情をしていた。
---------------私立シャルム女学園ボクシング部練習場---------------
動画の視聴を終えた二人の間には、重たい空気が流れていた。
「”あの”ユウト選手に勝っちゃうなんて……ミサさん、強い…………」
凛香には、ミサに倒されたユウトとのスパーリング経験があった。
その時は本気を出したユウトを前に手も足も出ず滅多打ちにされた末、僅か2Rで失神してしまい、タオルを投げ込まれてのTKO負けを喫してしまっていたのだった。
「えぇ……あのカウンター、厄介ってレベルじゃないわね。
正直アタシよりも数段上手よ」
カウンターの名手である親友にそう断言され、凛香の表情は一段と強ばる。
「大人と闘える貴重なチャンスだと思ってこの話を受けたものの、想像以上の強敵ね……
私、勝てるのかしら…………?」
少し自信を無くしている様子の凛香を励ますべく、あきらは少し考えた末に語りかけていく。
「確かに今のりっちゃんじゃ勝ち目が薄い試合かもしれないわね…………でもまぁ、所詮エキシビションマッチなんだから、胸を借りるつもりで気軽に闘う位で丁度いいんじゃない?」
友人言葉に対して一理あるかもしれないと感じた凛香は、その言葉に対して努めて明るく返事を返していく。
「えぇ……そうかもね。
勝つにしろ負けるにしろ、折角の試合なんだから精一杯楽しまなくちゃね!!」
そしていつもと変わらない練習をこなしながら、試合前日の夜を迎えていった----------------
---------------試合前日、凛香の部屋---------------
凛香は明日の試合の事について思いを馳せていたのだが、不意にドアノックの音が耳に届いた。
「おねぇ、入っていい?」
「えぇ、良いわよ」
笑顔で妹を部屋に迎え入れると、パジャマ姿の由乃が凛香に語りかけていく。
「明日の試合……あたしも観に行っていいかな?」
「えっ、もちろん良いけど……その日は予定があるんじゃなかったっけ?」
「そうだったんだけど、おねぇの試合の方がどう考えても大切だしね!
その予定は日程を変えてもらったの」
「そうなの……なら、これ使って」
凛香はそう言うと、関係者に配られるVIP席のチケットを手渡していった。
「ありがと、おねぇ! …………試合、頑張ってね!!」
心底嬉しそうにお礼を述べた愛しい妹が、笑顔で言葉を続けていく。
「おねぇのカッコいい所、楽しみにしてるからね!!」
「…………えぇ、任せて由乃。 お姉ちゃんの勇姿、その目でしっかり見ておきなさい!!」
(由乃が観に来てくれるんだ…………明日は絶対に負けられないわね)
愛する妹が自分の試合を観に来てくれる。
そう考えた瞬間、今までの「胸を借りる」などといった甘い考えは一気に吹き飛び、凛香の心の中に熱い闘志が湧き上がってきていた。
---------------試合当日、地下格闘技団体UBC特設会場---------------
都心の一等地にそびえ立つ某巨大施設の地下深く、
最新鋭の設備が整えられたその地下闘技場では、美女同士による熾烈な殴り合いが幕を開けようとしていた。
「さぁお待たせしました!!
それでは只今より、本日のスペシャルエキシビションマッチを開始致します!!!」
「青コーナー…………163cm 109ポンド。
UBC女子ボクシングリーグJKの部、現チャンピオン…………凛香~~~~~~~~!!!」
凛香のリングインと同時、会場内に設置された巨大スクリーンにとある映像が表示されていく。
「先日の姉妹対決では妹相手に無様なKO負けを喫してしまった彼女……
果たして本日は大人相手にどこまで食い下がる事が出来るのか!!?」
先日地下リングにて行われた凛香と由乃の姉妹対決。
地下リングに参戦してから女子同士の試合では負けなしであった凛香の敗北姿は観客にすこぶるウケが良く、配信での売上は今年一番の物となっていた。
その為、運営的には再度彼女の敗北姿を拝めるマッチングを組みたい所であったが、前回の様なごく一部の特例を除いて、生憎と凛香に勝てる選手は今のJKリーグには存在しない。
故に、今回は年齢制限のない女子ボクシングリーグでの上位ランカーであるミサとのエキシビジョンマッチが組まれたのであった。
「続きまして赤コーナー…………164cm 108ポンド。
今まで幾多の逆境を乗り越え、気づけば女子ボクシングリーグ3位にまで登り詰めたこの女…………
我がUBCが誇るカウンタークイーン…………ミ~~~サ~~~~~~!!!!」
大歓声に迎え入れられながら、両名が入場しリング中央で向かい合う。
先に言葉を発したのはミサの方だった。
「貴女が凛香ちゃんね。 今回の試合、ファイトマネーがめちゃくちゃ良いんだけど…………」
品定めをするような目つきで凛香の事を上から下まで眺めたミサは、若干苦笑いしつつも言葉を続けていく。
「まぁ、それだけ可愛くてスタイルが良いなら納得ね」
その言葉を聞いた凛香は、頬を朱色に染めつつも懸命に言葉を返していく。
「みっ……ミサさんだって、美人な上にスタイルも良いですし、人の事は言えないんじゃないですか?」
「ふふっ、ありがと。 ……ま、アタシ的には助かる事この上ないから、なんだって良いんだけどね。
というのも、この前イケると思った草コインを天井で掴まされちゃってさぁ……」
唐突に始まった大人の愚痴に対し、凛香はあははと愛想笑いを返す事しか出来ない。
「ってな訳で、アタシは借金を返さなきゃだから……悪いけど今日は勝たせてもらうわよ」
真面目な表情に切り替わったミサの宣戦布告に対し、凛香は一歩も臆する事無く言葉を返していく。
「ミサさん……悪いですけど、私も負ける訳にはいかないので……覚悟してくださいね」
「へぇ……言ってくれるわね。 それじゃ、お互いベストを尽くしましょう?」
そして、闘いの火蓋が切って落とされた。
カーン!!
「くっ、あんっ……ぐひゅっっ!!!」
「またしても凛香選手の右がクリーンヒット~~~!!!
ミサ選手の顔が醜く歪んでいくぅ!!!!」
下馬評に反して、序盤の攻防は凛香が試合の主導権を握る形になっていた。
激戦区であるJKリーグのチャンピオンの肩書は伊達ではなく、彼女の猛攻の前にミサは防戦一方になってしまっている。
「おねぇ~~頑張れ~~~~~!!!」
(由乃が応援してくれてるんだ…………情けない姿は絶対に見せられない!!)
リングサイドのVIP席から声を張り上げて応援する妹のお陰でいつも以上に士気が昂ぶっている凛香。
「ふっ、やぁっ……そこぉっ!!!」
お手本の様なワンツーからのボディのコンビネーションがミサの程よく鍛えられた肉体に突き刺さっていく!!
「あふっ、ぶほっ……んぶふぅぅっ!!!」
(パンチっ、重っっ……これがJKの打つパンチだなんて、悪い冗談だわ!!)
「凛香選手強い強い!!
ミサ選手が滅多打ちにされてしまっているぞ~~~!!!」
「がっ……ん゙゙ぁ゙゙っ…………」
涙目でお腹を抑え後退するミサ。
既にその身体には至る所に紅いあざが出来てしまっており、凛香の拳の威力の高さを証明していた。
(チャンス!!)
それを見て必殺の一撃を打ち込むべく、溜めを取り大きく腕を引き絞る凛香。
「これでも……くらえぇぇ!!!」
そして渾身の威力を乗せたストレートを放っていくのだが--------
高い威力が込められた分、溜めも大きいその拳は、ミサのカウンターの格好の的になってしまった。
「んがっっっ………………」
顎先をグローブで貫かれた瞬間、凛香の視界はぶれ、身体全体が浮遊感に包まれる。
高速で脳を何度も揺さぶられた結果、彼女の意識は一発で”オチて”しまっていた。
全身の筋肉から力が抜け落ち、蠱惑的な色香を漂わせるJKボクサーの肉体は、膝から崩れ落ちて前のめりに倒れ込んでしまう。
「ミサ選手のカウンターが火を吹いた~~~~~!!
凛香選手、これにはたまらずダウンッッ!!!」
「んっ…………ぁ…………ぅぁ……………………」
完全に脳震盪を起こしてしまったうら若き乙女の肉体は小刻みに痙攣を続けており、表情には焦点の失った瞳を浮かべていた。
「しかしこの表情は……どう見ても意識があるようには見えません!!
なんと凛香選手、一撃で失神させられてしまったぁ~~~~~~!!!」
(凛香ちゃん、かなり思いパンチ打つじゃない…………
今のも何とかカウンターが間に合ったけど、この試合、一筋縄じゃいきそうにもないわね…………)
ニュートラルコーナーで息を整えながら未だリングに突っ伏している凛香を見下ろすミサ。
良いカウンターを入れたつもりではあるが、今までの凛香の闘いぶりを考えるとこのまま試合が終わるとは到底思えなかった。
「4…………5…………6………………」
「…………ふぇっ?……あぅ……しあ……ぃ………………」
そしてミサの予想通り、凛香は意識を取り戻し、カウント8で立ち上がって来た。
「凛香選手立ち上がったぁ~~~~!!
ミサ選手のカウンターを貰っても立ち上がるとは、この打たれ強さは流石と言った所でしょうか!!」
(あぅぅ……まだ頭クラクラする…………
あれだけカウンターを警戒してたのに、あっさり貰っちゃうなんて…………)
少し覚束ない足元ではあるもの意識を取り戻し思考もクリアになった凛香は、しっかりとファイティングポーズを構えて試合続行の意をレフェリーに示していく。
「ボックスッッ!!!」
(さっきのダウンでかなり足に来ちゃってるみたいね……
おねーさんは甘くないから、容赦なく攻めさせて貰おうかな!!)
ダウンのダメージから回復しきっていない凛香に対して、ミサは容赦なくラッシュを浴びせかけていく!!!
「んっ……くっ……あっ…………ぶへぇっっ!!!」
防御に徹していた凛香ではあったが、それでも全てをガードする事は出来ずに何発か拳をその身体で受け入れてしまっていた。
「ミサ選手猛ラッ~~~~シュ!!
1R終盤、ここで試合を決めにかかったか~~~~!!?」
「ほらほらどうしたの凛香ちゃん!?
このまま試合、決めちゃうわよ!!!」
愉しげに連撃を放つミサを前に、凛香は反撃の機会を伺っていた。
(カウンターは貴女の専売特許じゃないって事、教えてあげるわ!!)
そしてミサのストレートに合わせてカウンターをお見舞いしようと拳を振るっていく!!
--------が、
「がふぅぅっっっ!!!」
「凛香選手、決死のカウンターを試みるも逆に拳を合わされてしまったぁ!!」
カウンターの技量はミサが遥かに凛香を上回っており、彼女のカウンターは完全に失敗に終わってしまった。
そしてこの試合2度目のカウンターを浴びてしまった凛香は、ダウンこそ拒んだものの、リング中央でグロッキー状態に陥ってしまっている。
「あら……アレでダウンしないなんて中々やるわね。 流石JKリーグのチャンピオンといった所かしら?」
「ぁ…………ぅぁ…………ぅ………………」
ミサの台詞に言葉を返す事さえできず、リング中央でフラフラとよろめくだけの凛香。
「……でも、アタシにカウンターで勝負を挑んだのは完全に悪手よ。
そんな悪い娘には罰を与えなくちゃ……ね!!」
その言葉と同時に、ミサは勢いをつけた右アッパーを放っていき------
「あびゅっっ!!!」
凛香の頭を後方へと弾き飛ばしていった。
そして再び完全に脱力しきった肉体は吸い寄せられる様にキャンバスへと叩きつけられていき、凛香はこのラウンド2度目のダウンを喫してしまう。
「ダウ~~ンッッ!! 1…………2…………3……………………」
「お~~っと凛香選手、再びダウン、といいますか
…………これはもしや、またしても失神してしまっているのかぁ!!?」
「う……ぁ……あっ……あっあぁ…………」
焦点の合わない瞳は上ずっており、マウスピースを覗かせる口元はもごもごと蠢いている。
彼女の意識が失われてしまっているのは誰の目にも明らかだった。
「なんと凛香選手、1ラウンドで2回も失神させられてしまったぁ!!
恐るべきミサ選手のカウンター!! 果たして彼女は立ち上がる事が出来るのかぁ!!?」
身体中を汗まみれにし、呼吸の度にその豊かな胸を大きく上下させていく凛香。
ダウンした衝撃でこの日の為に新調したコスチュームの一部がずれてしまい、彼女の大事な部分が露わになってしまっていた。
「4…………5……………………」
「りっちゃん、なに気持ち良さそうにノビちゃってんの!!
由乃ちゃんも見てるのよ、早く起きなさい!!!」
セコンドについているあきらがマットを叩きながら懸命に声をかけていく。
「ぅ…………ょし……の……………………」
その声に反応したのか、少しではあるが凛香の意識が戻っていく。
「うぅ…………まけ……ら、ぃ……………………」
激しく揺れる視界の中、朦朧とした意識の凛香はそれでも懸命に立ち上がり、
カウント9で辛うじてファイティングポーズを構える事に成功していく。
「お~~~~っと凛香選手、またしても立ち上がったぁ!!!
JKリーグの試合で見せたタフネスは健在だぁ!!!」
「驚いたわね、まだ立ってくるなんて…………
でも、そういう事ならアタシは容赦しないわよ!!」
試合が再開されガクガクに全身を震わせながらも構えを取る凛香へ向けて、ミサが追撃の拳を振るおうとしたその瞬間--------
カーン!!
「ここで第1ラウンド終了です!! 凛香選手、序盤は優勢に試合を進めるものの、
ラウンド後半では2度も失神させられる非常に苦しい立ち上がりとなってしまいました!!」
そしてこのラウンドの終了を告げられた二人のボクサーは、各々の親友が待ち構えているコーナーへと歩みを進めていくのだった。
「良く戻ってきたわりっちゃん、偉いわよ!!
身体のダメージはどう?」
青コーナーではあきらが懸命に凛香の介抱をしていたが、あきらの心配に反して凛香の意識ははっきりとしていた。
「ありがとあーちゃん。 何回か失神させられちゃったけど、打ち込まれたパンチの数はそこまででもないし、ダメージはそれほど酷くはないわ」
「なら良かった。 それにしても、思った以上にあのカウンターは厄介だね。
…………何か打つ手はありそう?」
「えぇ……通用するかはわからないけど、
一応攻略法を思いついたから、次のラウンドで試してみるつもり」
「やるわねりっちゃん! ちなみに聞かせてもらってもいい?」
「えぇ、私の考えなんだけど……………………」
手ひどくやられたラウンドではあったものの、まだ十分逆転出来ると考えている凛香達は、それからカウンター対策の作戦を練っていくのだった。
カーン!!
「さぁ始まりました第2ラウンド!!
先程はミサ選手のカウンター無双とも言えるラウンドでしたが、果たして凛香選手に打つ手はあるのか!?」
「さぁ凛香ちゃん、どこからでもかかってきて良いわよ♪」
余裕の笑みを浮かべてリング中央に堂々と歩みを進めるミサに対して凛香が取った選択は------
(ミサさんの一番の脅威はミドルレンジでのクロスカウンター、なら…………)
(接近戦で打ち合うしかない!!)
一気にステップを踏み込んでいき、至近距離でボディを叩き込んでいった!!
「っ、疾っ……って、ごぶぅっっ!!!」
「凛香選手、カウンター対策か、ミサ選手に強引に近づいていったぁ!!」
一発だけではなく、二発、三発と間を開ける事無く強引にボディを叩いていく凛香。
「うっ……ぶっ……おげぇっ!!!」
(この距離はマズいっ……一旦離れないと!!)
クロスレンジでの打ち合いは分が悪いと判断し、この場を逃れようとするものの、この手の攻防は凛香の方が上手であり、ミサは距離を取らせて貰えない。
「あ゙゙っ……がふっ……んぶぅっ!!!」
「凛香選手のボディが次々に突き刺さっていく~~~!!
ミサ選手、苦悶の表情を浮かべてしまっているぞ~~!!!」
「くぅっ、いい加減……離れなさいっ……よぉっ!!」
執拗な至近距離でのボディ打ちに業を煮やしたミサは、距離を取るべく大ぶりのストレートを放っていく、が------
「んなっ……躱され…………ごぷぅぅっっっ!!!!」
その攻撃はあっさりと躱されてしまい、逆に凛香のボディアッパーをお見舞いされてしまう。
「これは強烈なボディアッパーが炸裂してしまった~~~!!
ミサ選手の動きが完全に止まってしまいました!!」
「っが……ご、ぁ…………」
大きく開けた口からはマウスピースがこぼれ落ちてしまい、身体中に脂汗を浮かべてしまっているミサ。
凛香が深くめり込んだ拳を引き抜くと同時に、ミサは糸の切れた人形の様にリングに崩れ落ちてしまっていった。
「ミサ選手ダウ~~~ン!!
第2ラウンド、先にダウンを奪ったのは凛香選手です!!!」
「はぁ……はぁ……私だって、やられてばっかりじゃないんだからねっ!!」
大人のランカー相手にも一歩も引けを取らずに闘う、可憐なJKボクサーの姿がそこにはあった。
To Be Continued...
ここまでお読み下さりありがとうございます!!
後編は3ヶ月プランで閲覧出来る様にしてありますので、もし良ければ是非~。

ナッツが主食
2021-11-19 09:11:57 +0000 UTCモジャール
2021-11-19 08:00:39 +0000 UTC