■試合内容
前回に引き続き初登場である紅蓮の剛腕乙女ことエリカと、
凛香の親友であるあきらが地下女子ボクシングの試合をする回になります。
なおここからはネタバレなのですが、前回を読んで頂いた紳士ならお察しの通り初登場キャラには活躍して欲しい的な考えもあったりするので、つまりはそういう回になります。
挿絵は立ち絵や差分など含む全6枚、内1枚はFANBOX用の新規描き下ろしです!!
SSは約13000文字となります。
(pixiv基準で読了まで約26分です)
それでは対戦よろしくお願いします~。
■Content of the match
Continuing from the previous episode, we have the first appearance of Erika, aka the hard-armed maiden of the red lotus, and Akira, Rinka's best friend, will have an underground women's boxing match.
As you may have guessed from the previous episode, I want the characters who appear for the first time to play an active role in the story, so that's what this episode will be about.
There are a total of 6 illustrations including standing pictures and differences, one of which is newly drawn for this plan!
★最後にアンケートがあります。プラン内容の方針を決める要素になりますので、よければ皆さんのご意見を教えていただけると幸いです。
There is a survey at the end. This will be a factor in deciding the content, so if you would like to give us your opinion, please do so. (Japanese)
★For non-Japanese users★
Please take a moment to translate and read this short story on sites such as https://www.deepl.com/translator m(_ _)m
---
▼あきら登場の「JKボクサー凜香と復讐の地下リング」
▼"High School Girl Boxer Rinka and the Underground Ring of Revenge" with Akira's appearance (trial version available).
https://www.dlsite.com/maniax/announce/=/product_id/RJ325990.html
Challenge to the higher rank girl - Erika vs. Akira
※JK=Jyoshi Kousei=High school girl
凛香達の通う私立シャルム女学園。
その体育館に設置されたリング上では、シューズがキャンバスを踏みしめる甲高い音と、グローブが肉を穿つ鈍い音が絶え間なく響き渡っていた。
「ごひゅっ……あ゙あ゙っ…………」
縦筋の入った腹筋に剛腕を捻り込まれ、あきらは口からマウスピースを覗かせてしまう。その瞳は大量の涙を湛えており、口の端からは絶え間なく唾液が滴り落ちていた。
「甘いわよあきら!!
そんなんじゃ次の試合、2ラウンドと持たないんじゃない!?」
頬を紅潮させ、健康的な色香を醸し出しているエリザベスがスパーリング相手を煽っていく。
そして動きの止まったあきらにとどめを刺すべく、その鍛え上げられた腕を大きく振りかぶっていった。
「これで……フィニッシュ!!」
振り下ろされていく剛腕。
元JKリーグ王者はその一撃で少女の顔面を弾き飛ばす事を確信していたのだが--------
「がひゅぅぅぅっっっ!!!!」
次の瞬間、あきらのカウンターがエリザベスの横顎を貫いていた。
「ダウンッ!! あーちゃん、ニュートラルコーナーへ!!」
「はぁっ……はぁっ…………」
肩で息をしつつも、あきらはレフェリーの指示に従いコーナーへ足を踏み出そうとしたのだが、
カーン!!!
スパーリングの終了を告げるゴングの鐘が鳴り響いていった。
「強くなったじゃない、あきら。 前地下で闘った時はアタシに1RでKOされてたのに……最後のは特に効いたわよ」
3分後、あきらとエリザベスの2人はベンチに座り先程のスパーの反省会をしていた。
「ありがと、でもエリザベスも相変わらずやるわね。 最後のアレ……手応え的にはKO出来るかなと思ったんだけど、普通に立ってきちゃうなんて」
「まぁアタシも鍛えてるからね! いつか凛香にリベンジしなくちゃいけないし」
笑顔を浮かべていたエリザベスだったが次の瞬間には真面目な表情に切り替えると、友人の事に話題を移していった。
「それよりも、今は貴女の事でしょあきら。
今度の試合相手、相当強い人だけど……大丈夫?」
「エリカさんね。 確かにかなり強そうだけど、あの人には明確な弱点があるし……ま、なんとかなるでしょ」
飄々とした様子で言葉を返すあきらだが、内心では強い不安を感じていた。
(強がってはみたものの……正直、今のアタシには荷が重い相手かもしれない。
でも……りっちゃんの隣にいる為には、もっと強くならないと)
そして不安に押し潰されない様に自らを鼓舞しつつ、試合当日を迎えていったのだった。
---------------地下格闘技団体UBC特設会場---------------
「それでは只今より、UBC女子ボクシング、本日の特別エキシビジョンマッチを執り行いたいと思います!!」
とある週末の夜。
都内某所に存在する地下リングでは、見目麗しい二人の女がスポットライトの光で照らされて試合開始のゴングを待っていた。
「まずは青コーナー……JKリーグ随一のカウンターの名手。
圧倒的格上の相手を前に一体どこまで食い下がる事が出来るのか!?
JKボクシングリーグ現3位…………あきら~~~~~~~!!!!」
先日行われたアリサとルイの試合。
女子リーグとJKリーグの4位同士の闘いであったそれは、下馬評以上にアリサが一方的な勝利を収めた為、それぞれのリーグ間の実力差は相当な開きがあるという認識が観客達の中で醸成されている。
更に今回の試合はJKリーグの3位と女子リーグの2位の試合となっており、前回以上の一方的な蹂躙劇が繰り広げられるのではないか、といった予想が賭けのオッズにも現れていた。
「続きまして赤コーナー……UBC女子ボクシングリーグ現在2位。
果たして今日の相手は彼女の前に何ラウンド立っている事が出来るのか!!?
紅蓮の剛腕乙女こと、エリカ~~~~~~!!!」
歓声が一段と大きくなる中、エリカは気軽な様子で観客に手を振りファンの声援に応えている。
一見すると鍛えられた肉体に目が行きがちではあるのだが、髪を編み込みメイクも欠かさず、彼女はギャルとしての矜持も欠かしてはいなかった。
試合前の諸注意を受け終えた両者がリング中央で向かい合っている。
緊迫した空気が張り詰める中、エリカは街で偶然友人にあった時の如く、軽い調子でこれから殴り合いを演じる女へと声をかけていった。
「ハロハロ~。 あきらちゃんだっけ?
アタシの好みとは違うけど、中々可愛い顔してんね」
一瞬驚いたものの、あきらも笑顔で言葉を返していく。
「えっ、そうですか?
いや~エリカさんみたいな美人な人にそう言われると照れますね」
ありがと、と微笑みを浮かべながら返事をするエリカだが、”可愛い顔”という言葉を発した直後、彼女の脳裏にはライバルであるアリサの顔が浮かび上がっていた。
(癪だけど、顔面の良さで言ったら”アイツ”が一番なんだよね……)
喧嘩の絶えない腐れ縁の友人に想いを馳せていたエリカだが、目の前の試合に集中するべく気持ちを切り替えていく。
「今日はいい試合にしよーね、あきらちゃん♪」
「はい、よろしくお願いします!」
(りっちゃんは何度も格上相手に勝利してきたんだ。 アタシだって…………)
スポーツマンらしい爽やかな笑顔の裏で、あきらは人知れず情熱を燃やしつつあった。
カーン!!!
「試合開始と同時にエリカ選手駆け出した!!
いつもの様に速攻を仕掛けていくのかぁ!!?」
自らの攻撃力に絶対の自信を持っているエリカ。
ペース配分や相手の思惑など一切考えず、愚直に真っ直ぐ拳を繰り出していった。
(予想通りね……まずは一発受けてみてエリカさんの拳を肌で感じてみますか)
女子リーグの中でもトップクラスの打撃力を誇るエリカの攻撃が迫って来ていたが、あきらは冷静に防御の構えを取っていき、その思惑通りエリカの拳を腕で受け止める事に成功していく。
「っっ……くぅっ!!」
想定外だったのはその威力。
完全に防いだにも関わらず、あきらは身体ごと少し後退させられてしまっていた。
(ブロックの上からなのに……なんて衝撃!!
これは……パンチ力だけならりっちゃん以上かも?)
「へぇ……正面から受け止めるなんて、根性入ってんじゃん」
圧倒的な攻撃力の高さから、エリカは勝った試合のほぼ全てで3ラウンド以内でのKO勝利を収めている。
勝つにしても負けるにしても派手なKO劇になる事が多く、またその明るいキャラクターも相まって、エリカは女子リーグの中でもかなりの人気を博していた。
(まともに打ち合うのは避けた方が良さそうね。
アウトレンジで様子を見つつカウンターの隙を伺って……)
あきらが今後の方針を脳内で練り上げている中、エリカは薄く笑みを浮かべていく。
(まともに打ち合いたくない、って顔してるわねぇ。
表情でバレバレよあきらちゃん。 それじゃ、追いかけっこを始めましょうか)
そして、圧倒的強者は愉しげな様子で鬼ごっこに興じていった。
「次はこっち!!」
激しい風切り音を鳴らしながら、赤い弾丸があきらの眼前に迫っていく。
「くぅっ……!!」
皮一枚でそれを躱すあきら。
まだ試合が始まって90秒程しか経っていないにも関わらずその瑞々しい肌には大量の汗が浮かび上がり、彼女の体力と精神が急速に消耗していっている事が読み取れた。
「あきら選手見事なヘッドスリップ~~~~!! ここまで華麗なディフェンスでエリカ選手の猛攻を完全に捌き切っております!!」
(辛うじて防げてるけど……この人、パワーだけじゃなくてテクニックも凄い!!)
全力で守りに徹しているお陰で何とか直接の被弾は回避出来ているが、それも時間の問題だとあきらは感じていた。
そして、無情にもその時が訪れてしまう。
「つ~かまえた♪」
「えっ? ……しまった!!」
「あ~~っとあきら選手、コーナーに追い詰められてしまったぁ!!
もう逃げ場がないぞ~~~!!?」
この展開を避けるべく当然注意はしていたのだが、エリカの技術が一枚上手だった事もあり、あきらはコーナーを背負わされてしまった。
「それじゃ一発……いっとこーか」
そしてあきらが動揺した隙を見逃さずに、エリカは勢いよく右ストレートを打ち込んでいく。
「あきら選手危ない!!
これは万事休すかぁ~~~~!!?」
だが次の瞬間、観客の予想は裏切られる事になる。
バキィッッ!!!
「んがぁっっ…………」
「あ~~っと、ここでクロスカウンターが炸裂~~~!!
エリカ選手に強烈な一撃を叩き込んでいったぁ!!」
(あっぶな……ギリギリ間に合った)
凛香が王者の座について以降、あきらは自らの親友と対等であり続ける為に努力を重ねてきた。
特に力を入れたのは自らの武器であるカウンターの技術。
その結果、追い詰められた状況下でも焦ることなく起死回生の一打を放つ事に成功していた。
「ぁっ……ぐっ…………」
「エリカ選手、完全に目が泳いでしまっている!!
テンプルを打ち抜かれて意識が朦朧としてしまっているのか~~~!!?」
側頭部を正確に貫いた一撃で激しく脳を揺らされてしまったエリカ。
口からうめき声を漏らしながらリング上で隙だらけの姿を晒してしまっていた。
「やぁぁぁっっ!!!」
そんな格好の獲物を見逃すはずもなく、あきらは容赦なく追撃の拳を振り抜いていく。
「がひゅっっっっ!!!」
アッパーカットが女の顎を弾き飛ばすと同時に、エリカのボリュームのある胸部が勢いよく跳ねていく。
テンプルへの打撃で横に脳を揺らされていた所に縦へ脳を揺さぶるアッパー。
三半規管を激しく揺らされてしまったエリカの身体は、浮遊感に包まれながらキャンバスへ大の字を描いて崩れ落ちていった。
「だ……ダウーーン!!!
なんと……下馬評を覆し、あきら選手見事ダウンを奪いとりました!!」
「ぅ……ぁ…………」
鍛え上げられた肉体が力なくピクピクと震えており、口からはマウスピースが今にも零れ落ちそうになっている。
「エリカ選手中々起き上がらない!!
ダメージは甚大かぁ!!?」
「はぁ……はぁ…………」
(これで決まってくれると嬉しいんだけど…………)
リングに沈んでいる格上の女の姿を眺めながら呼吸整えていたあきらだったが、その僅かな期待はすぐに裏切られる事になった。
(……ま、そりゃそうよね)
「エリカ選手立ち上がりました!!
若干足元が怪しいですが、まだダメージが回復出来ていないのか!?」
「たはは……今のはっ、効いたぁ………
あそこからカウンター合わせて来るとか、ヤバすぎっしょ……」
試合開始前と同じ様に軽い調子で言葉を発してはいるものの、それとは裏腹に少し足取りが覚束ないでいる様子のエリカ。
(エリカさんはブラフとか仕掛けるタイプじゃないし……多分、本当に効いてると思って良さそうね)
試合前にしっかりとエリカの研究と対策を練ってきているあきらはそう結論付け、攻勢に打って出る事を決意する。
「それはどうも。
これからもっとボコボコにしてあげますから……覚悟して下さいね!!」
その言葉と同時に、あきらはこのチャンスを物にするべく全力のラッシュを繰り出していった。
「がひゅっ、あぶぅっ、ごはぁっっ!!!」
「エリカ選手防戦一方!!
格下相手にまさかのサンドバッグ状態だ~~~~~!!!」
エリカの鍛えられつつも女らしさを残した肉体へと紅いグローブが打ち込まれる度、雌のうめき声と拳が肉を穿つ鈍い音がリングに響き渡る。
「ぐひゅっっ……あぶっ…………んぶぅっっっ!!!」
(いける!! この調子で押し切れば……)
女子リーグ2位の強者を自らの手で滅多打ちにしているという事実があきらに自信を与え、拳は更に勢いを増していく。
だが攻めるのに意識を集中し過ぎたせいで、エリカから反撃の拳が飛んできている事に気づくのが一瞬遅れてしまう。
「あっ、やばっ……」
(まずった! このタイミングは流石に避けられない……)
そして、女子リーグの中でも最高峰の火力を誇る一撃が、あきらの顔面へと打ち込まれていった。
「ぶっひゅぅぅぅっっっ!!!!!」
「ついにエリカ選手の反撃がクリーンヒットぉ!!!!
あきら選手の身体が軽々しく吹き飛ばされてしまった~~~!!!」
たったの一撃。
それだけで今まで必死になって打ち込んだラッシュを凌駕する程のダメージがあきらの身体へと与えられ、豪快にリングの宙を舞ってしまった少女の肉体はキャンバスへと力なく沈んでいく。
「強~~~烈な一撃を貰ってしまったぁ!!
あきら選手、果たして立ち上がれるのかぁ!!?」
「お゙っ……あ゙っ…………」
大の字を描いてピクピクと小刻みに痙攣してしまっているあきら。
身体が震える度に、形の良い二つの膨らみがぷるぷると柔らかく揺れ、観客の目を楽しませていた。
「いや~あきらちゃん、アンタ強いね♪
やっと一発返せたけど、正直予想以上だわ」
(やばっ……き、効いたぁ…………)
幸いにも意識こそ失われてはいないが、あきらは身体のダメージが深く未だ動き出せないでいる。
「あーちゃん!! 立ってあーちゃん!!!」
そしてカウントが進む中、親友の叫び声があきらの耳に届く。
(りっちゃん…………いつまでも情けない姿を晒してる訳にもいかないし、そろそろ立たなきゃ)
その言葉を聞いたあきらは痛みに震える身体を強引に動かし、カウント8で立ち上がる事に成功していった。
「ボックスッ!!」
(うぅ、まだ頭クラクラする……ゴングまで何とか耐えないと)
この状態でエリカと打ち合うのは自殺行為に等しいと考えたあきらは、逃げの一手を打とうと考えていたのだが--------
カーン!!!
「お~っとここでゴング!! 第一ラウンド終了です!!!」
その鐘の音にホッとした表情を見せたあきらは、凛香の待つ青コーナーへと足を進めていった。
「お疲れ様あーちゃん!
中々良い滑り出しだったけど……エリカさん、想像以上のパンチ力ね」
セコンドに付いている凛香に手当をして貰いつつ、あきらはスツールで身体を休めていた。
「ありがとりっちゃん。 全く……”紅蓮の剛腕乙女”なんてダサい二つ名なのに、洒落にならない威力してるんだから」
たった一発で試合をひっくり返されてしまったあきらだが、その顔に悲壮感はなく、瞳は未だ闘志に満ち溢れていた。
「でも前半はいい感じに試合を進められた……あと残り2ラウンド、どうにかして凌げれば…………」
「えぇ、そこからはあーちゃんのターンよ。
それまで苦しい展開が続くだろうけど、頑張ってね!!」
あきらと凛香の頭にあるのはエリカの弱点。
彼女は自身のリソースを瞬発力に全振りしている為、圧倒的なパワーの代償として、持久力が極端に劣ってしまっていた。
今まで勝った試合のほぼ全てが3ラウンド以内のKO勝利であり、4ラウンド目以降はスタミナ切れのため目に見えて動きが悪くなってしまうのは、女子リーグでは有名な話であった。
「ありがとりっちゃん、それじゃ行ってくるね!!」
親友の声援を背に受け、少女は致死の弾丸が飛び交う危険地帯へと再び足を踏み出していった。
カーン!!
「さぁ始まりました第2ラウンド!!
あきら選手、先程のダメージはまだ残っているのかぁ!!?」
(ダメージもほぼ抜けてるし、身体は問題なく動く。 まずは……っ!?)
真っ向からの打ち合いを避けるべくアウトボクシングに徹しようとしていたあきら。
だがエリカはゴングと同時に勢いよく駆け出し既に自身の間合いまで近づいて来ており、打ち出された拳に対して防御を強制させられてしまう。
「ぐっ……!!」
(流石に距離は取らせてくれないか……なら、このままインファイトで闘うしかない!!)
殴り合いでは勝負にならないのが分かりきっているため、あきらはカウンターの隙を伺いつつも、エリカの猛攻を必死に防いでいった。
「ほらほらどうしたの? 亀みたく丸まっちゃってさぁ!!
得意のカウンター、早く見せてよ!!!」
「うっ、んんっ……くぅっ!!」
2ラウンドも中盤に差し掛かって来た頃、未だリング上ではエリカの拳がその猛威を振るっており、あきらは避ける事すら出来ず必死に守りを固めていた。
剛腕を防ぎ続けているその腕には既に至る所に紅い模様が刻まれてしまっており、エリカの拳の威力の高さをわかりやすく証明していた。
「あきら選手防戦一方だ~~~~!!
まだゴングまで時間はあるが、果たして凌ぎ切れるのかぁ!!?」
(やばいっ……腕がっ……キツくなってきた)
「んぁっっ……!!」
やがて蓄積された腕の痛みに耐えかねて、あきらの動きが一瞬止まってしまう。
「隙だらけだよあきらちゃん♪ それじゃ……いただきっ!!!」
動きの止まった獲物に対して容赦なく追撃を放つエリカ。
タイミング的に必中を確信していたその右ストレートは--------
「こふっ…………」
またしてもカウンターの餌食となってしまった。
「カウンター一閃~~~~~!!!
あきら選手、あの体勢から見事にカウンターを合わせて来ました!!」
(本当にギリギリだった……こんな綱渡り、出来れば何度もしたくはないわね)
「ぇ……マ…………??」
横顎を打ち抜かれ脳を揺らされてしまっているエリカには、目の前の事態を正確に把握する事は叶わず------
それ故、あきらが全力を振り絞って放つ拳の嵐に微塵も反応する事が出来ない。
「あぶっ、がふっ、んべぇっ……ぼひゅぅっっ!!!」
「エリカ選手、ロープ際で滅多打ちぃ~~~~~!!!
格下相手に為す術もなくフルボッコだぁ!!!」
少女の全力の拳が女の肉体に何度も何度も打ち付けられる。
「がぁっ……お゙あ゙っ……ごっ……ぶふぅっっ!!!」
(相手のスタミナ切れとか悠長な事言ってないで……ここで決めるっ!!)
目の前で喘いでいる格上の女をKOするために、あきらは後の事は考えず必死に拳を打ち込んでいく。
その一撃一撃は確かにエリカにダメージを与えていっており、彼女の身体の動きが少しずつ鈍って来ていた。
「ぶひゅっ、あべぇっ…………調子に……乗るなぁっっ!!!」
体中に連打を打ち込まれている中、エリカは強引に反撃の拳を放っていく。
だがそんな分かりやすい反撃があきらに通じる筈もなく、
「んがぁっっ…………」
「またしてもカウンターが炸裂してしまったぁ~~~~!!
エリカ選手の身体が崩れ落ちていく~~~~!!!」
カウンターでアッパーカットを貰ってしまったエリカの肉体は、そのままリングに崩れ落ちていってしまった。
「エリカ選手ダウ~~~~ンッッ!!
あきら選手強い!! これはまさかの大金星なるかぁ!!?」
「はぁっ……はぁっ……」
(手応え的にはKO出来ててもおかしくはないと思うんだけど……)
ニュートラルコーナーで身体を休めながら、あきらは対戦相手の様子を伺う。
「ぐっ……ぁっ…………」
あきらの見込み通りかなりのダメージを負っているのか、エリカはピクピクと身体を痙攣させている。
だがその意識は未だ健在であった為、ゆっくりとした動きながらも自力で立ち上がり、カウント9でファイティングポーズを構えると試合が再開されていった。
「ボックス!!」
(駄目……か。 アタシの体力も少し厳しいし、当初の予定通りスタミナ切れを狙って……)
あきらが今後の作戦を脳内で組み立てていると、これまでより一層眼光が鋭くなったエリカから声がかけられる。
「ねぇあきらちゃん。
まだまだアタシはやれっから……あんま調子乗んないでよね」
そしてその言葉が終わると同時にエリカが鋭いステップであきらのすぐそばまで迫り、力強いボディブローを放つ。
(ガードしなきゃっ……っつ!? 腕、が…………)
すぐさま守りを固めようとするあきら。
だがエリカの猛攻をひたすら防ぎ、これまで酷使され続けてきた彼女の腕が悲鳴をあげており、それにつられてあきらの動きが止まってしまう。
そして反撃の狼煙となる紅い一撃が、少女の腹の奥深くまで突き刺さっていった。
「お゙え゙え゙え゙っ…………」
苦悶の声と同時に口からはマウスピースが吐き出され、目元には大量の涙が浮かび上がる。
あれだけ打たれたにも関わらず、エリカが誇る大砲の威力は些かも衰えてはいなかった。
「あきら選手悶絶~~~~~~!!
エリカ選手のボディで完全に動きが止まってしまったぁ!!!!」
「お゙っ、あ゙っ……あ゙あ゙っ…………」
身体を震わせ口元をパクパクとさせるばかりで、微塵も動く気配のないあきら。
そんな格好の獲物を前に、エリカは追撃のボディを放っていく。
「ごひゅっ……お゙……んぶっ…………」
再び炸裂する紅い弾丸はあきらの腹筋を完全に貫き、身体の内側まで大きなダメージを与えている。
「あ゙っ……あ゙ぁ゙っ………………」
そして虚ろな表情を浮かべた直後、あきらの身体から力がなくなり膝が崩れ腰が落ちていった。
「あきら選手、たまらず沈んでしまったぁ~~~~!!
このままダウンしてしまうのかぁ!!?」
「これはオマケ……よっ!!」
その言葉と同時に、試合の興奮で頬を染めたエリカが崩れ落ちていくあきらの顎目掛けて大ぶりのアッパーカットを放っていく。
既に意識が朦朧としてしまっているあきらには追撃が迫っている事すら認識できない為、紅い弾丸は派手な音を奏でながら少女の頭を弾き飛ばしていった。
「こひゅっっ…………」
「エリカ選手の容赦ないアッパーが炸裂してしまったぁ~~~~~~!!
あきら選手の身体が空中へと打ち上げられいく~~~~~!!!」
そして完全に脱力してしまった肉体は大きな弧を描き、派手な音を立ててリングへと叩きつけられていった。
「あきら選手ダウ~~~~ン!!
エリカ選手の剛腕がまたしても火を吹いたぁ!!!」
「おっ……ぁ…………」
レフェリーによるダウンカウントが数えられ始める中、リング上で大の字になり微動だにしないあきら。
色の抜け落ちた表情と脱力しきってしまっている汗まみれの肉体が、少女の意識は既に失われている事を如実に表していた。
「あきら選手ピクリとも動かない~~~~~~!!
完全に失神してしまっております!!!」
「んっ……んぁ………………」
カウントが進んでも意識が戻らないあきらだったが、その耳に聞き慣れた声が届けられる。
「あーちゃん起きて!! まだ試合は終わってないわよ!!!」
普段クールに振る舞っている親友の必死の声援。
その叫び声は、少女の意識を強引に覚醒させる事に成功した。
「んぁっ……りっちゃ……ん…………」
(りっちゃんが応援してくれてる……まだっ……負けられない!!!)
そして弱々しく全身を震わせながらもあきらはカウント9で立ち上がり、痛む腕を強引に持ち上げファイティングポーズを構えていった。
「あ~っとあきら選手、あの状態から見事立ち上がりました!!
素晴らしいガッツです!!!」
「ボックス!!」
「はぁっ……はぁっ…………」
意識を取り戻したものの、膝はガクガクと震え完全に足が殺されてしまっている状態のあきら。
(このままじゃまずい……取り敢えずクリンチで時間を稼がないと)
格好悪くても今は無事にこのラウンドを終える事が大切だと考えたあきらは、エリカが迫ってくると同時に、強引に抱きついてクリンチに持ち込もうとするが------
「えっ……?」
「そんなミエミエのクリンチに応じてあげる程、アタシ甘くないんだよね」
必死に伸ばした両腕はエリカに軽く払われてしまい、あきらは対戦相手の前に無防備な姿を晒してしまう。
「あっ、だめっ……」
少女のか細い声をよそに、地下リングの強者は再び強烈な拳を打ち出していった。
「おびゅぅっっっ!!!」
「またしてもボディが炸裂~~~~!!
あきら選手の身体が浮いてしまったぁ!!!」
「お゙っ……ん゙あ゙っ…………」
そして再び動きを止めてしまったあきらに対し、エリカは連続してボディブローをお見舞いしていく。
「んぶっ!ぶほぉっっ!!ごひゅっっ……あ゙ゔぅっっっ!!!」
「ボディ!! ボディ!! ボディーー!! エリカ選手、ここに来てあきら選手への徹底したボディ責めを敢行してしくぅ!!!!」
腹部へ連続して打ち込まれる重い衝撃を受け止める度に、あきらは苦しげな声を漏らし、口からは大量の唾液が振り撒かれていく。
「ぶひゅっ……ん゙あ゙っ…………がひゅぅっっ!!」
(あっ、だめっ……意識っ……トびそ…………)
拷問の様なエリカの腹責めで、再び失神しそうになってしまうあきら。
だが次の瞬間、
カーン!!!
「お~~っとここでゴング!!
あきら選手、完全にゴングに救われましたぁ!!!」
「マ!? こっからが良い所なのに……めっちゃ萎えるんですケド……」
不満気な様子を見せながらもエリカは攻撃の手を止めていき、それと同時にあきらはお腹を抑えてキャンバスへと蹲っていく。
「まぁいっか♪ ……そんじゃあきらちゃん、次のラウンドもヨロ~」
ヒラヒラと手を振りながら赤コーナーへ戻っていく対戦相手に対して、あきらは言葉を返す事が出来ずただ嗚咽を漏らすのみであった。
「はぁっ……あ゙っ……はぁっ…………」
(お腹のダメージがキツい……けど、腕も相当やばい。
もう叩かれすぎて感覚がなくなってきた)
満身創痍の状態で必死に呼吸を整えるあきら。
試合で奪ったダウンの数こそ変わらないものの、もはや完全に明暗が分かれてしまっていた。
「あーちゃん、大丈夫? ……まだやれる?」
心配そうな瞳を向ける親友を前に、あきらはそれでも気丈に振る舞っていく。
「え、えぇ……もちろん。 あと1ラウンドでエリカさんのスタミナが切れるんだし……まだ試合はここからよ」
あきらの予想通り、赤コーナーでは肩で息を切らし始めている強者の姿があった。
(りっちゃんの前で情けない試合は出来ない!!
……次のラウンド、絶対に凌ぎ切ってやる!!)
既に体力は底を付き、腕も腹筋も痛みで痙攣している有様ではあるが、依然としてあきらの瞳には闘志の炎が灯されていた。
カーン!!!
「さぁ始まりました第3ラウンド!! 前のラウンドではボコボコにされてしまっていたあきら選手ですが、果たしてまだ勝ち目は残されているのかぁ!!?」
(このまま固まっててもなぶり殺しにされるだけ……なら、反撃しないと!!)
このラウンドを凌ぎ切る為に、守るだけではなく攻める事が必要だと判断したあきら。
お誂え向きに繰り出されたエリカのフックにカウンターを合わせようとするが、
「ぶひゅぅぅぅぅ!!!」
散々痛めつけられた腕はもはや精密な動作が出来なくなってしまっており、あっさりとカウンターに失敗して顔面を吹き飛ばされてしまう。
「あ~~っとあきら選手カウンター失敗!!
前のラウンドのダメージが抜けきってないのかぁ!!?」
(腕っ、動かな……)
あきらが自らの状況に絶望している中、エリカから楽しげな声がかけられる。
「あはっ♪……その腕、もしかしてもうおシャカになっちゃった?」
そして棒立ちになっているあきらへと、この試合何度目か分からないボディブローを打ち込んでいく。
「ごひゅぅぅぅ…………」
「全く、情けないわね……鍛え方が足りないんじゃない?」
呆れた声を出しつつも身体の動きは止めず、エリカは力の込められたアッパーカットを繰り出していった。
「あびゅっ…………」
「エリカ選手のコンビネーションが炸裂~~~~~!! あきら選手、焦点の合わない瞳を浮かべながら身体が宙に浮いてしまったぁ!!!」
「あ゙っ……ぅ…………」
アッパーで脳を高速で揺さぶられ、またしても失神してしまったあきら。
宙へ浮かぶ体から汗や涙や涎といった雌のフェロモンが飛散していき、脳からの指示が失われた肉体がリングへと崩れ落ちていく中、
「ほら、まだ終わりじゃないわよ!!」
エリカは追撃のボディを突き刺していった。
「がひゅっっっ!!! ……あ゙っ……がっ…………」
腹部に奔った激痛で幸いにも意識を取り戻したあきら。
だが拳が引き抜かれると同時、再びリングに沈んでいってしまう。
「あきら選手再びダウ~~~~ン!!
懸命に粘りましたが、これは流石にもう限界かぁ!!?」
「お゙っ……あ゙っ…………」
痛みを少しでも和らげるべくお腹を抑え、涙目で浅い呼吸を繰り返すあきら。
「あはっ♪ JK相手に流石にやり過ぎちゃったかな?」
ニュートラルコーナーでは肩で息をしながらも、まだ余裕のありそうなエリカの姿があった。
(体中痛いし……体力ももう残ってないっ……それに、エリカさん……強すぎる…………もう、このまま…………)
絶望的なまでの実力差や自らの置かれた状況に思いを馳せ、暗い感情が頭を過る。
「あーちゃん!! 立ってあーちゃん!! まだ闘えるでしょ!?」
だがリング下で必死に声を上げている親友の姿が目に止まり、あきらの心は辛うじて踏みとどまった。
(でもっ……りっちゃんなら、絶対に立ち上がる……なら、アタシだって!!)
そして僅かに残された力を必死にかき集め、あきらは何とか立ち上がっていく。
「ま、まだ……アタシはっ……まけてない…………やらせて、ください…………」
既に闘う為の力など残されていない、本当に形だけのファイティングポーズではあるが、それでもあきらは試合続行の意思をレフェリーへと伝えていった。
「な……なんと!! あきら選手、またしても立ち上がったぁ~~~~!!
親友である凛香選手にも引けを取らない素晴らしい根性です!!!」
「へぇ……もう勝ち目はないって解ってるだろうに、健気じゃん」
試合再開後、目の前の死に体である少女へとエリカは語りかけていく。
「それじゃ、望み通り引導を渡してやるよ!!」
そしてフェイントも仕掛けも何もない、ただ純粋に力だけが込められた大ぶりの右フックを繰り出していった。
(あ……フックがくる……カウンター、合わせない……と…………)
虚ろな目を浮かべているあきらは迎撃体勢を取ろうとするものの、既に身体は言うことを聞いてくれず、分かり切った攻撃を何の抵抗も出来ずにその顔面で受け入れてしまう。
「ぶっふぇぇぇっっ…………」
口から大量の飛沫が飛散し、マウスピースはもこっと口元から顔を覗かせる。
そして一撃で泳いでしまった少女の身体へと、容赦ないラッシュが繰り出されていった。
「ぶべっ……ごひゅぅ……がふっ……んばぁっ…………」
「これは……容赦ない滅多打ち~~~~~!!!
あきら選手、何とか立ち上がったものの何も出来ずフルボッコにされてしまっております!! まるでボコボコにされる為だけに立ち上がって来たかの様な展開になってしまったぁ!!!」
最初のフックで既に失神してしまっているあきらには、エリカの無慈悲なラッシュを止める手立ては残されておらず、ただ打たれるがままになってしまっている。
「あーちゃん起きて!! 反撃して、あーちゃん!!!」
涙声で叫ぶ親友の声も、もはやあきらの耳には届いておらず、殴られる度に左右へと身体を揺らし情けない声をあげる事しか彼女には許されていない。
「ぶべっ……お゙あ゙っ……ごひゅっ……ぶふぅぅぅっっ…………」
完全に意思が抜け落ちた瞳にダラリと垂れ下がったグローブ。
そこにいるのはもはやボクサーではなく、一人の哀れな少女だった。
「これでっ……終わりっ!!!」
「ぶひゅっ…………」
上から打ち下ろされた右ストレートがあきらの頬を撃ち抜くと、少女の肉体は激しくキャンバスへと叩きつけられ、一度バウンドした後にリングに大の字を描いていく。
「あ゙っ…………ぁ……………………」
そしてレフェリーによってあっさりと10カウントが数え上げられ、試合が終了していった。
カンカンカーン!!!
「試合終了~~~~~!! 序盤は苦戦するシーンもあったもののエリカ選手、圧倒的な強さを見せつけました!!」
試合の興奮が冷めやらぬ中、敗者である少女は担架に乗せられて医務室へと運ばれていく。
そして医務室にあるメディカルポットへ身体を入れられるまであきらの意識は目覚める事はなく、その間、親友は心配そうな目で少女の事を見つめ続けていた。
「あきら選手を打ち破り見事勝利を掴み取ったエリカ選手!!
来月は彼女のライバルであるアリサ選手との試合が予定されております!!」
「実力も戦績もほぼ互角である両者の試合!!
果たして今度はどちらに勝利の女神が微笑むのか!?」
(次はアンタをズタボロにしてやるから……覚悟しなさい、アリサ)
勝利の充実感を噛み締めつつも、エリカはVIP席で観戦していた腐れ縁の親友である女へと鋭い眼光を飛ばしていった。
■あとがき
来月はみんな大好きケンカップル百合回です!!
希望のシチュなどあれば気軽にコメント下さいませ~。
あと宜しければいいねとアンケートもよろしくお願いします!!
■Postscript
Next month is everyone's favorite yuri couples who are close enough to fight episode!
Please feel free to comment if there are any situations you would like to see.
Also, if you like this episode, please like it and fill out the survey!
ナッツが主食
2022-11-21 14:03:40 +0000 UTCMarcacis
2022-11-21 03:57:26 +0000 UTC