あけましておめでとうございます。
今年も当サークルをどうぞよろしくお願いします。
Happy New Year!
We hope you enjoy our circle's work again this year.
腐れ縁の親友同士であるアリサとエリカのライバル対決、決着編です!!
圧倒的なパワーを誇る代償として3ラウンドまでしかスタミナが持たない女と、圧倒的な速度で全てを躱していく女の闘いになります。
なおここからはネタバレなのですが、ライバル回と言いつつケンカップル回でもあります。
挿絵は立ち絵や差分など含む全5枚、内2枚はFANBOX用の新規描き下ろしです!!
またSSは約11500文字となります。(pixiv基準で読了まで約23分です)
それでは対戦よろしくお願いします~。
■Content of the match
It's the final chapter of the rivalry between Alisa and Erika, two best friends with a rotten relationship!
It is a battle between a woman whose stamina lasts only up to three rounds at the cost of overwhelming power, and a woman who dodges all attacks with overwhelming speed.
This is a spoiler alert, but while it is called a rivalry episode, it is also a fighting couple episode.
There are a total of 5 illustrations including standing pictures and differences, two of which is newly drawn for this plan!
★最後にアンケートがあります。プラン内容の方針を決める要素になりますので、よければ皆さんのご意見を教えていただけると幸いです。
There is a survey at the end. This will be a factor in deciding the content, so if you would like to give us your opinion, please do so. (Japanese)
★For non-Japanese users★
Please take a moment to translate and read this short story on sites such as https://www.deepl.com/translator m(_ _)m
▼エリカ登場
「2022.11 格上の女への挑戦~エリカVSあきら~」
"2022.11 Challenge to a superior woman - Erika vs. Akira"
https://hate.fanbox.cc/posts/4794373
「2022.12 アイツにだけは負けたくない~アリサVSエリカ~前編」
"2022.12 I don't want to lose to her alone - Arisa vs. Erika - Part 1"
https://hate.fanbox.cc/posts/4931758
▼アリサ登場
「2022.10 地下リングの妖精対JK黒ギャルボクサー~アリサVSルイ~」
"2022.10 Underground ring fairy vs. high school girl gyaru boxer - Arisa vs.Rui"
https://hate.fanbox.cc/posts/4598881
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I don't want to lose to that fellow alone - Arisa vs. Erika - Part 2
スツールに座り荒れた呼吸を整えながら、アリサは水色のグローブを使い自らの唇をふにふにと軽く押し込んでいく。
(アイツの唇……柔らかかったなぁ……)
ふと向かい側のコーナーへ視線を向けると、潤んだ瞳を浮かべているエリカと目が合い、アリサの鼓動が跳ねる。
「……っっ!!」
反射的に顔を背けるアリサ。
向かい側の女も全く同じ動作をとっていたのだが、彼女がそれに気付くことはなかった。
(勝てばあの唇を思う存分堪能出来る訳だし……今は試合に集中しないと)
朱色に染まりきった頬を鎮めるため、アリサは試合へと思考を戻していく。
(大分いい感じにアイツをボコれてるし、そろそろ限界も近いだろうから……スタミナ切れを待たずにKO出来るかもしれないわね)
ここまでは優勢に試合を進めているアリサであったが、次は前回の試合で失神KO負けを喫してしまった魔の3Rである為、彼女はより一層気持ちを引き締めていく。
(流石に結構疲れてきたけど……まだ行けるわよね、私!!
今日は……絶対アイツに勝ってやるんだから!!)
1発でも貰ってしまった瞬間に試合をひっくり返されてしまうプレッシャーに加え、元々運動量が多いファイトスタイルのアリサ。
エリカ程ではないにせよ、彼女もまた心身共に激しく消耗しつつあった。
カーン!!!
「さぁ始まりました第3ラウンド!! これまでエリカ選手の劣勢が続いておりますが、果たしてここで巻き返しなるか!?」
「あらエリカ……アンタ、まだ自分の足で立てたんだ?
さっき情けなくクリンチしてきた位だから、もう限界なんだと思っちゃった」
口角を吊り上げにこやかに語りかけるアリサに対して、エリカはマウスピースを強く噛み締めていく。
「調子に乗りやがって……そのうざいったい口、すぐに黙らせてやるよ!!」
スタミナの限界は徐々に近づいているのだが、それでもまだ攻めるのに十分な余力を残しているエリカ。
一息で宿敵へと詰め寄ると、即座にご自慢の大砲を打ち込んでいく。
「おらぁっ!!」
だが、既に見切られてしまっている拳では未だ動きの衰えない妖精の姿を捉える事は叶わず------
「がびゅっっ!!!」
見慣れたライトブルーの拳が、既に腫れつつある顔面を貫いていった。
「クロスカウンター一閃!!
エリカ選手、開幕早々キツい1発を貰ってしまったぁ!!!」
「ぁう……っがぁ…………」
汗に濡れ、拳の痕で彩られた肉体が崩れ落ちていく。
今の一撃で脳を揺さぶられてしまった事を、焦点の合わない瞳が如実に物語っている。
このままラウンド開始10秒でダウンを喫してしまうかと思われたのだが、
「っぁ……まだっ、まだぁっっ!!!」
崩れ落ちながら、不安定な体勢のままエリカは反撃の一撃を放つ。
ダウン寸前の状態であろうとも、女子リーグ随一の剛腕から放たれるその一撃は目の前の女に十分なダメージを与え得る代物であったのだが--------
「馬鹿ね……それはさっき見たわよ」
アリサはあっさりとその一撃を回避すると、おまけとばかりに強く握りしめた右拳を打ち下ろしていった。
「ぶぎゅっっっ!!!」
重力を味方につけて打ち下ろされたその拳は、エリカの顔を勢いよくキャンバスへと叩きつけていく。
「っがはぁっっ…………」
そして一度軽くバウンドした後に脱力しきった肉体は動きを止め、リングの床に綺麗な大の字を描いていった。
「エリカ選手ダウ~~~~ンッッ!! 同じ作戦は通じないと言わんばかりに、綺麗なカウンターを合わせられてしまったぁ!!!」
「っぷぁ……んぅ、ぅ…………」
口からマウスピースを吐き出すと、ぼやけた意識で天井の照明を見つめるエリカ。
鍛え上げられた自慢の肉体は既にズタボロにされてしまい、弱々しくピクピクと震えていた。
(今のは良いのが入ったわね……
まぁ、あの女の事だからどうせ立ち上がって来るのでしょうけど)
どうみても失神してしまっているライバルの姿を眼下に捉えつつもアリサは一切の油断をする事なく、今後の為に体を休めていった。
「んぁ……ぁ…………ふぇっ?」
(やば……アタシ、一瞬オチちゃってたみたい)
レフェリーのカウントが5を超えた辺りでエリカは意識を取り戻し、はっきりとした視界で周囲を見渡していく。
(あ~~やばっ……まだ頭ガンガンする…………
でも……アリサにだけは負けたくないから、早く立たないと…………)
一瞬痛みで体を硬直させたものの、それでもエリカは気力を振り絞って立ち上がっていき、カウント8で試合が再開されていった。
「ボックス!!!」
「くぅっ……」
(身体、大分キてるわね……これはちょいまずいかも)
度重なる殴打により蓄積されたダメージがエリカの肉体で悲鳴をあげており、試合が再開されても彼女は動き出せないでいる。
「ははっ♪ 随分苦しそうな顔しちゃって……アンタ、もう限界なんじゃない?」
肩で息をしているアリサはそんな満身創痍のライバルを嘲笑うと共に、1ラウンドと全く変わらないハンドスピードのジャブを繰り出していく。
「っぷぁっっ!!」
ガードどころか反応すら出来ず、エリカはその既に腫れ上がった顔面で水色の拳を受け止めてしまう。
「まだ行くわよ、ほらほらっ!!」
間髪入れずに放たれる連撃はその全てが対戦相手の女の顔に命中し、グローブが顔面を弾き飛ばす小気味いい音と共に美しい女の嬌声がリング内に響いていく。
「あうっ、くぅっ、やっ、んぁぁっ!!!」
殴られた衝撃でリング中央から徐々に後退していってしまうエリカ。
堪らず顔の前でガードを構えたのだが、次の瞬間には腹部に鈍い痛みが走る。
「お゙え゙っっ……」
上げたガードを下げて痛みで身体を震わせている彼女には、右腕を大きく振りかぶっている宿敵の姿は目に入ってはいない。
「ほら、次は強いの行くから……歯ぁ食いしばんなよ♪」
「ぐひゅっっっ!!!」
「強烈なストレートが炸裂してしまったぁ~~~!!
エリカ選手の身体が吹き飛ばされていく~~~~~!!!」
「んぁ……ぅ……んぅっ」
ダウンこそ免れたものの、虚ろな瞳を浮かべてロープに背を預けるだけになってしまっているエリカ。
紅蓮の剛腕乙女と呼ばれている自慢の両拳は既にダラリと下がりきってしまっており、誰がどう見ても満身創痍の状態である。
「はぁ……はぁ……それじゃ、仕上げと行きますか♪」
疲労の色を滲ませつつも愉しげな笑みを浮かべ、アリサは己の勝利を確実な物にするべく親友へと容赦ないラッシュを放っていった。
「アリサ選手が止まらない~~~~~!!!
エリカ選手、ライバルに手も足も出ず滅多打ちにされてしまっております!!!」
「あうっ、ぶぐぅっ、っがはぁっっ!!!」
身体を打ち抜かれる度に口元からは力ないうめき声が漏れ、周囲には汗や涙や涎といった雌の体液が飛散していく。
「お゙あ゙っっ……がひゅっ、ぐびゅっ……あべぇっっ…………」
既に彼女の意識が抜け落ちてしまっているのは、誰よりも対戦相手であるアリサが一番理解しているのだが、それでも手を止める事はせず、力の続く限りリングの妖精はその拳を振るっていく。
「あ~っと、エリカ選手の口からマウスピースが飛ばされていくぅ!!
アリサ選手一向に止まる気配を見せません!! 完全なドミネーションになってしまったぁ!!!」
「んぶぅっ……あ゙がぁっ…………んぁっ……あびゅっっっ!!!」
散々痛めつけられ、ボロ雑巾の様になってしまったエリカの肉体。
それを見て頃合いかと判断したアリサはトドメの一撃を放っていった。
「これでっ…………終わりよっ!!!」
「ぶぎゅぅっっっ…………」
「アリサ選手の強烈なアッパーカット~~~~!!!
流石にこれは万事休すかぁ!?」
完全に意識を失い、小刻みに身体を震わせるだけとなってしまっているエリカ。
そんな無様な姿を晒してしまっている宿敵を眺めつつ、アリサは自身の疲れ切った身体をニュートラルコーナーで休ませていた。
「ぜぇっ……はぁっ…………」
(ここまで痛めつけてやれば、流石のエリカも立ち上がれないでしょ)
半ば自身の勝利を確信しつつあるアリサだが、”万が一”に備えて念入りに呼吸を整えていく。
「既に意識を失ってしまっているのか、エリカ選手全く動く気配が見られません!!
このままアリサ選手が前回の雪辱を果たす事になるのかぁ!!?」
「4…………5…………6………………」
「……んぅ…………」
カウントが終盤に差し掛かった頃、女の身体がぴくっと一際大きく跳ねる。
鍛えた肉体の賜物か、それともライバル相手に負けたくないという執念か、エリカはギリギリの所で意識を取り戻していった。
「ぁ……アリサには……負けられ……ない…………」
意識を取り戻すやいなや未だぷるぷると震える腕をリングに突き立て、女は賢明に立ち上がろうとする。
(嘘でしょ……まだ立ってくるの!?)
対戦相手の驚きをよそに、エリカは辛うじてカウント9で起き上がり、弱々しくもファイティングポーズを構えていった。
「エリカ選手、またしても立ち上がったぁ!!
その姿からはライバルには絶対に負けたくないという執念を感じます!!!」
「全く……だからアンタの事は嫌いなのよ」
苛立ちを隠せない声色でアリサはつぶやき、その直後、試合が再開されていった。
「ボックスッ!!!」
「そんなに殴られ足りないなら、また痛めつけてあげるわよ……このマゾ女っ!!」
試合再開直後、腕を軽く上げただけで棒立ち状態の親友へ向けて一気に駆け出していく。そしてその勢いのまま、アリサは力の籠もったストレートを打ち込んでいった。
「がひゅっっっ!!!」
避ける素振りすら見せず、顔面で強打を受け止めてしまうエリカ。
そして拳が顔面から引き抜かれるのと同時、女の肉体は再び脱力していった。
「あ~~~っとまたしてもエリカ選手の身体が崩れ落ちていく~~~!!
流石にこの状態では試合にならないかぁ!!?」
「ぁ……ぅぁ…………」
(流石のアイツも、いくら何でもこれで終わりでしょ)
1発貰ったら致命傷という極限のプレッシャーがアリサの神経を常にすり減らしていた事に加え、これまで絶え間なく相手を攻め立ててきた事から来る肉体的な疲労もあり、アリサはここに来て僅かではあるが気が緩んでしまっていた。
「ぁ……ぅ…………そこっ!!!」
故に、既に何度か見ている筈の、ダウン寸前でのエリカの反撃の事が頭から抜け落ちてしまっており、その拳に対して何の対応策も取る事が出来ない。
「えっ、しまっ…………おぶぅぅっっっっっ!!!!」
「土壇場でエリカ選手のボディが炸裂~~~~~!!
アリサ選手、身体をくの字にして完全に悶絶してしまっております!!!」
「ぅ……がぁ……こひゅっ………………」
(何なのこの威力……アイツ、まだ全然パンチ残ってるじゃないっ!!)
一撃で完全に動きを止められてしまったアリサの体中から一気に嫌な汗が吹き出していき、脳内が痛みで埋め尽くされる。
そして彼女が膝をガクガクと震わせ視線を彷徨わせている間に、エリカは体勢を立て直し、追撃の拳を放っていった。
「ぁ、だめっ…………ぶひゅっっっ!!!」
「豪快な一撃でアリサ選手の身体が吹っ飛ばされていく~~~~!!!
これは形勢逆転してしまったかぁ!!?」
ストレートの威力でたたらを踏んでしまい、気付けばコーナーを背にしてしまったアリサ。
「ぅぁ……こ、コーナー……!?」
(コーナーは駄目!! またあの時と同じ展開になっちゃう!!)
前回の試合の事が脳裏を過ったアリサ。
すぐさまこの死地から脱出するべく足を踏み出すも--------
「がひゅっっっ!!!」
女子リーグ随一の剛腕から放たれる右フックをモロに顔面で受け止めてしまい、その衝撃で再びコーナーへと背中を預けてしまっていた。
「はぁ……はぁ……悪いねアリサ、ここからはアタシの独壇場だよ」
満身創痍といった状態ながらも、笑みを浮かべながらエリカがそう宣言する。
「ぜぇ……はぁ……舐めんな、このっ……脳筋女が」
口では強気な事を言ってはみたものの、先程のフックで脳を揺らされたせいか視界がぼやけてしまっており、アリサは辛うじてガードの構えを取るのがやっとの状態であった。
「おぶぅぅぅっっ!!!」
だがそのなけなしの防御もエリカが腹に一撃入れる事で強制的に下げさせられてしまい、獰猛な笑みを浮かべたライバルの前に無防備な顔面が晒されていく。
「アンタのそういう所……嫌いじゃないよ♪」
愉しげに発せられたその言葉の後、女子リーグ随一の剛腕を誇る女のラッシュが襲いかかっていった。
「ぶひゅっっ……お゙あ゙っっ……んがぁぁっ……ぐひゅぅっっ!!!」
赤い拳が白い肌に突き刺さっていく度、リングに妖精のうめき声が漏れ、その肉体から女の色香を伴った液体が撒き散らされていく。
「あれだけ打たれていたのに、どこにそんなスタミナが残されていたのか!?
エリカ選手のラッシュが止まらない~~~~~~!!!」
一撃一撃がとてつもなく重い強打であり、その尽くがアリサの身体を蹂躙していく。
特に執拗にボディを責められたせいで、自慢のフットワークはもはや使い物にならなくなってしまっていた。
「がひゅっ……んぁ、ぶふっっ…………ごはぁっ、んぶぅぅぅっっっ!!!」
羽をもがれてしまったリングの妖精は舞う事が出来ず、コーナーに釘付けにされたまま、ただひたすらライバルの剛腕で痛めつけられてしまっている。
「もはや腕も上がらないのか、アリサ選手、ガードすらままならず滅多打ちだ~~~!!!」
「ぶふぅぅっ…………お゙あ゙あ゙っ…………ぁ……あびゅっっっ!!!」
右フック、左ボディ、右アッパー。
アリサのラッシュに比べて速度こそ劣るものの、代わりに圧倒的な暴力が込められた拳が女の肉体を殴りつけていく。
「おぉ~っとこれは……アリサ選手、完全に失神してしまっております!!
このまま前回の試合の再現となってしまうのか~~~!!?」
「ぁ…………んぅ……ぅぁ、ぁ………………」
アッパーカットで顎を打ち抜かれ、為す術なく意識を飛ばされてしまったアリサ。
その色の抜け落ちた瞳からは大粒の涙が流されており、口元からは大量の唾液が垂れ流しになってしまっていた。
「……それじゃご期待通り、にっ!!!」
そしてエリカは実況の煽りに乗せられた事もあり、前回の再現をするべく腰の入ったボディアッパーを死に体のライバルへと打ち込んでいく。
「お゙え゙え゙っっっ!!! ……あ゙っ……ぁ…………」
「エリカ選手の強烈なボディでコーナーへ串刺しにされてしまったぁ!!
目を見開いて悶絶しております!! アリサ選手、これは万事休すかぁ!!? 」
痛みで強引に意識を覚醒させられたアリサ。
だが意識を取り戻したものの、舌を突き出し小刻みに身体を震わせる事しか出来ず、既にアッパーの構えに入っているライバルに対して何の対応も取れない。
「これで……終わりっ!!!」
「ごひゅっっっっ!!!」
「グロッキーなアリサ選手に対して容赦ないアッパーカットが炸裂~~~~!!!
闘技場の妖精が宙に舞い散っていった~~~~!!」
剛腕で顎を弾き飛ばされ、女の華奢な肉体が空中に浮かぶ。
取り戻した意識が一瞬にして混濁させられてしまっていた事が、その光の失われた瞳からは明らかだった。
「ぅ、ぁぁ………………」
しなやかな肉体は完全に脱力してしまっており、そのままリングの床に墜落してしまうものかと思われたのだが----------
「あ~~~っとアリサ選手、倒れません!!
ロープに腕を絡めてダウンを拒否していったぁ!!!」
偶然か、それとも負けたくないという想いの賜物か。
半ば失神してしまってはいたものの右腕がトップロープに絡まっており、アリサは何とか自分の足で立ち続ける事が出来ていた。
「ま……まけら……ぃ…………」
焦点の失った瞳は既に対戦相手の姿を捉えてはおらず、生まれたての子鹿の様に弱々しく震える足は今にも崩れ落ちそうである。
「へぇ……やるじゃん」
そんな可愛らしい親友の姿をみて嗜虐心を唆られたエリカは、僅かに残された体力を振り絞りトドメの一撃を放とうと拳を引き絞っていったのだが--------
カーン!!!
アリサにとって救いの鐘が鳴らされていった。
「ここでゴング! アリサ選手、完全にゴングに救われました!! しかしどう見てもグロッキーな状態!! 果たしてまだ闘う力は残されているのかぁ!?」
「んぅっ………………」
ゴングの音を聞いて緊張の糸が切れたのか、アリサの身体から力が抜け、腕がロープからすり抜けていく。
「おっと」
至近距離にいたエリカがそれを抱きとめる形となり、アリサは宿敵の胸の中へ顔を埋めていってしまった。
「………………」
未だに意識が朦朧としているのか、深く呼吸をするだけで動けないでいるアリサの整った顔を眺めていると、エリカの胸中に熱い感情が高まっていく。
--------そして、汗で髪がぴったりと張り付いた親友の額へと、ごく自然に唇を落としていった。
「ふぇっ……って、ちょっ……エリカ!!!」
朦朧としていた意識が一気に覚醒し、満足そうな笑みを浮かべる親友に対して非難の声を浴びせるアリサ。
「おはよアリサ……それじゃ、次のラウンドも楽しみにしてるわね♪」
そんなアリサの抗議など歯牙にかけず、ご機嫌な様子でエリカは赤コーナーへと足を進めていった。
「はぁ……はぁ……ほんとムカつく。 アイツ、何もう勝った気でいるのよ」
先のラウンドでKO寸前まで追い込まれた事も問題だが、それよりも額にキスされた事の方がアリサにとって一大事だった。
(そういうのは、誰もいない所でやりなさいよね……あの馬鹿)
”試合翌日のペナルティ”の事を考えれば、勝者が敗者にキスをする位は至極当然の事ではあるのだが、まだ自分は負けた訳じゃない。
フルボッコにされて一時は失神してしまってたとはいえど、闘う心は折れてないし、体力も殆ど底を尽きているがまだ何とか身体も動かせる。
「アイツにだけは……絶対に負けたくない」
状況は絶望的で満身創痍の状態ながらも、それでもなおアリサは対戦相手へ向けて鋭い眼光を飛ばしていった。
「ぜぇ……はぁ……あれでKO出来ないとか……アリサ、この前より打たれ強くなってるわね」
3ラウンド終盤では一方的な展開を見せ、一気に勝利に近づいたと思われたエリカだったが、既にスタミナは底を尽きてしまっており、気力だけで辛うじて体を動かしている状況だった。
少しでも体力を回復するべく深く息をすると同時に、向かい側にいる女へと目線を向けていくと、そこにはズタボロになりながらも、真っ直ぐこちらを睨みつけている女の姿が目に入った。
「あの状態でまだあんな目が出来るとか……流石はアタシのアリサ。
アンタ、本当に最高の女だよ」
ライバルがまだ十分な闘志を携えてリングにいるのだから、自分もヘバッてる訳にはいかないと、エリカは改めて試合に対するやる気を高めていった。
カーン!!!
「さぁ始まりました第4ラウンド!!
先程はエリカ選手が見事な形勢逆転を果たしましたがお互い既に満身創痍の状態。
果たしてどちらに勝利の女神が微笑むのか!?」
(予想通りとはいえ、ロクに回復出来てないわね……足も完全に殺されちゃってるし、どうしたものかしら)
重い足を引きずってリング中央まで移動したアリサだったが、自身の置かれていた状況に対して苦い表情を浮かべる。
(けど、アイツもどうせもう限界でしょ?
…………なら、小細工抜きで真正面から殴り合ってやるわよ)
思い描いた理想とは程遠い状況とはいえ、何とか3ラウンドを凌ぎエリカのスタミナを枯渇させる事に成功したアリサ。
一度深呼吸をして、至近距離で向かい合う憎き宿敵と打ち合う覚悟を固めていった。
「アンタ、さっきはよくもふざけた真似してくれたわね。
この屈辱は10倍にして返してあげるから……覚悟しなさい!!」
対するエリカは悪びれもせずに朗々と言葉を返していく。
「潤んだ瞳でアタシの胸に飛び込んで来たから、てっきり甘やかして欲しいんだと思ったんだけど……違った?」
その言葉はアリサの神経を逆撫でし、一瞬で限界を迎えてしまった女は強く拳を握りしめた。
「このっ……馬鹿エリカ!!!」
「がひゅっ!!!」
水色の弾丸がエリカの頭を弾き飛ばしていく。
アリサの攻撃は単発では終わらず、そのまま2発3発と続けて拳を放っていった。
「ぼふぅっっ……ごぁっっ!!!」
「先手を取ったのはアリサ選手~~~~!! 先程のダメージは抜けているのか、華麗なコンビネーションを披露していきます!!!」
殴られている方のエリカもただ黙ってやられるのみではなく、アリサの攻撃が止んだ隙を見計らって反撃のボディを打ち込んでいった。
「お゙あ゙あ゙っっっ…………」
目を見開き小さくなった瞳孔からは、エリカの拳の威力が未だ健在だという事が容易に察せられる。
足を殺されてしまっている為回避する事は出来なかったが、それでもまだ手は動かせる。
それ故、痛みに悶絶しつつある中でも、アリサは歯を食いしばって必死に反撃の拳を振るっていった。
「お互いもう足が動かないのか、リング中央での殴り合いが始まっていったぁ!
手数で勝るアリサ選手か、一撃の重みで勝るエリカ選手か、果たしてどちらに軍配が上がるのかぁ!?」
「ぁ……ぅぁ…………ぼひゅぅっっ!!!」
赤いグローブが柔らかな頬を打ち抜き、女の口元から唾液と汗の飛沫が飛散する。
元来あった色白の肌は既に至る所に赤い模様が刻まれてしまっており、彼女の肉体的なダメージの深さを物語っていた。
「く、ぅぅ…………やっ、はぁっ!」
チカチカする視界の中、リングの妖精は必死に手を出し反撃を試みる。
だが既にその拳には力が込められておらず、殴られた対戦相手は微動だにしない。
水色のグローブが柔らかな音を立てて相手の腹筋を叩いた直後、お返しとばかりにエリカの剛腕がアリサの腹を打ち抜いていった。
「お゙あ゙あ゙あ゙っっ!!! …………お゙っ……あ゙ぁ゙っ…………」
内蔵まで衝撃が届く強烈な威力のボディアッパーで、一瞬身体を浮かされてしまったアリサ。
口から情けない嬌声と共に大量の唾液を零し、完全に動きを止めてしまっていた。
「アリサ選手またしても悶絶~~~~!!
リング中央での意地の張り合いはエリカ選手に軍配が上がったかぁ!!?」
「あ゙っ…………ゔぅ゙っ………………」
くの字に折れ曲がった身体を小刻みに震わせ、突き出された舌からは粘度の高い唾液が滴り落ちている。
「おやすみアリサ……アンタとの試合、楽しかったわよ」
そして深くめり込んだお腹から拳が引き抜かれると同時、アリサは糸の切れた人形の様に力なくキャンバスへと崩れ落ちていった。
「アリサ選手ダウ~~~~ンッッ!!!
この試合初のダウンですが……流石にこれは試合続行不可能かぁ!!?」
「お゙っ、あ゙っ…………ごひゅっ…………」
ボディの痛みからか、まるで芋虫の様に地べたで蠢くリングの妖精。
美しい瞳からは絶えず大粒の涙が溢れ出しており、口元から流れ出る唾液と合わさってキャンバスに小さな湖を形成していた。
(いくらアリサでも、流石にもう立てないっしょ)
ニュートラルコーナーで深く息をつくエリカ。
離れた場所で倒れ伏している対戦相手を見る余裕すら残されておらず、瞳を閉じて必死に息を整えていた。
「3…………4…………5………………」
レフェリーによるカウントが進む中、アリサの様子に変化が訪れる。
鈍い嗚咽を漏らし痛みにうち震えながらも、アリサの手はロープを掴んでいき、必死に立ち上がろうとしていた。
「アリサ選手、懸命に立ち上がろうとしております!! なんという根性!!!
その華奢な身体のどこにそんな力が残されているというのか!?」
時折がくんと姿勢を崩しながら、それでもロープを頼りに体勢を整え、アリサはカウント9で立ち上がる事に成功していった。
「あ、アンタにだけは……絶対…………負けな……い…………」
誰がどうみてもグロッキーではあるのだが、それでもアリサは胸の前でグローブを構えていき、試合が再開されていった。
(何とか立てたけど、もう限界……握力も残ってないし、打てて精々あと1発ね)
既に足を動かす事も出来ないアリサに向かってエリカが歩み寄る中、アリサは脳内で最後の作戦を立てていく。
(でも、これで十分……アイツも流石に限界だろうし、ここでカウンターを決めてKOしてやる!!)
「あ……アンタの拳なんて、これっぽっちも効いてないんだから…………」
腫れ上がった顔に加え全身あざだらけの身体で放たれた、微塵も説得力のない台詞に対してエリカが笑みを浮かべながら言葉を返していく。
「へぇ、その割には随分と苦しそうじゃん?」
こちらもアリサ動揺、顔も身体もズタボロになっており、試合前の美貌は見る影もない。
「無駄な口叩いてないで、さっさとかかって来なさいよ」
手の平を上に向け、指先を動かしてあからさまな挑発をしていくアリサ。
「そうね……それじゃ、お言葉に甘えて!!」
カウンター狙いである事など重々承知していたが、他に選択肢もないためエリカは大ぶりの構えを取っていった。
「「はぁぁぁぁっっっ!!!」」
二人の声が共鳴し、同時に拳が振り抜かれていく。
ライバル対決の終着点とも言えるその一撃は----------------
--------互いの顔面に拳がめり込む形で、リング上に豪快な音を響かせていった。
「あ、相打ち~~~~~~!!
残された力でお互いの顔面を潰し合っていくぅ!!! あぁ~っとこれは!!?」
両者ともにダメージを与えた一撃ではあったが、互いの一撃の重さは同じではない。
その結果、リング上でははっきりと明暗が分かれてしまっていた。
「ぁ……ぅ……んがぁっっ…………」
焦点の合わない瞳を上ずらせて口からは言葉にならない嗚咽を漏らし、背中のロープに身体を預けるだけとなってしまっているアリサ。
それに対してエリカの方はまだ意識もはっきりとしており、目の前の愛しい女へ引導を渡すべく追撃の構えを取る。
「今のは効いたっ……けど、アンタにだけはっ……負けないっ!!」
そして最後の力を振り絞り、拳の嵐を降らせていった。
「ぶっ……ぅ…………んぁっ…………」
既に腕もあがらなくなってしまっているアリサには、愛しい親友の拳をその身体で受け止め続ける事しか出来ない。
赤い拳が女の肉体を蹂躙する度、華奢な身体に不釣り合いなたわわに実った果実が激しく揺れ、彼女の雌の魅力を存分に引き立てている。
「がっ…………お゙っ…………ぁぁ………………」
(アタシ、また負けちゃうんだ…………)
虚ろな瞳からは大粒の涙が頬を伝って流れ落ち、エリカの右フックが鋭く頬を弾き飛ばすと、透明な飛沫が儚く飛散する。
「んぶっ…………あ゙ぇ゙っ…………ぶひゅっ………………」
(この女……ほんとムカつく…………)
殴られた衝撃でいつの間にか髪留めが外れてしまっており、鮮やかな空色の髪がエリカの拳に連動して靡いていく。
「……っ…………ぁ……………………」
(でも………………次は、負けな……い…………)
そして辛うじて残されていた意識が闇に呑まれていくと同時、闘技場の妖精はキャンバスへと崩れ堕ちていった。
ピクリとも動かず完全に失神してしまっている状態ではあるが、この地下リングにTKOの概念はないためレフェリーのカウントが始まる。
そして地下リング特有の長い10カウントが数え上げられる中でもアリサの意識が戻る事はなく、試合終了のゴングが鳴らされていった。
カンカンカーン!!!
「4ラウンド2分30秒、エリカ選手のKO勝利です!! ライバル対決を制したのはエリカ選手!! これで対戦成績を8勝7敗と一歩リードしました!!!」
試合終了のゴングと同時、エリカの身体が崩れ落ちる。
(もう指一本動かせない……本当にギリギリだった)
そして白熱した試合の余韻で盛り上がっている観客へアピールする事もせず、本能の赴くまま、リング上で休息を取っていった。
「ふぅ……そろそろ立ちますか」
数分程その場で休んだ後、エリカは鉛の様に重い体にムチを打ち、依然気絶したままのアリサの元へと近づいていく。
「よっと」
そして優しくその上半身を抱えた後、意識の戻らない親友へと唇を落としていった。
強引に舌をねじ込まれてのそれは、アリサの意識を容易に覚醒させていく。
「…………んぅっ!! ……ってエリカ、アンタ何やって……」
状況を認識したアリサが抗議の声を上げていくものの、エリカは強引に言葉を被せる。
「今回もアタシの勝ちね…………明日、楽しみにしてるわよ」
涙目で悔しそうな表情を浮かべるのとは裏腹に、脳内で明日行われる行為に思いを馳せているアリサの下腹部にはじんわりと熱が籠もり始めていた。
細氷
2023-01-25 06:26:39 +0000 UTCナッツが主食
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