
■試合内容 次回作のゲームのラスボスであるちかるさんの登場回であると共に、「堕ちた王者編」の第一話となっております!! JKリーグの王座から陥落してしまった凛香。 妹との約束を守れなかった罪悪感に苛まれつつも、"次こそ勝利して妹との約束を守る"と意気込みつつリングに上がる彼女ですが…… 的な感じで、試合の序...
前回に引き続き、開発中のゲームのラスボスであるちかるVS凛香の試合です!
たったの一撃でダウンを奪われてしまい、早くも苦境に立たされてしまった凛香。
どうやら想像以上の実力差が二人の間には存在しており……
的な感じで、ややドミネーション成分多めな試合の中盤戦をお送りしております!!
挿絵は全6枚、SSは約10100文字です(pixiv換算で読了まで約20分)。
それでは対戦よろしくお願いします~。
■Content of the match
Continuing from the last issue, this is a match between Chikaru vs. Rinka, the last boss of the game under development!
Rinka is already in a difficult situation after being knocked down by just one blow.
Apparently, there is a greater difference in ability between the two than imagined, and ......
We will be sending you the middle game of the match, which has a little bit more domination component!
There are a total of 6 illustrations including standing pictures and differences.
むしきさん(https://x.com/Return_BP)がめちゃんこ素晴らしいファンアートを描いて下さいました!!!
先日行われたあきらVSメイサの試合で描かれなかった部分の補完となっており、二人の魅力をこれでもかと表現して下さっております!!
キャプションにあるむしきさんの妄想設定&ファンアートの解説も素晴らしき名文となっておりますので、まだご覧になってない場合は是非見て下さい!!!
https://www.pixiv.net/artworks/124060940
◯あきらVSメイサの試合
FANBOX
https://hate.fanbox.cc/posts/8554754
Fantia
https://fantia.jp/posts/2993543
■Preface
Mushiki-san(https://x.com/Return_BP) has drawn a wonderful fan art!
This is a complement to what was not depicted in the recent Akira vs. Meisa match, and he has done a great job of expressing the attraction between the two in his fan art!
The captioned description of Mushiki's fantasy setting & fan art is also a wonderful masterpiece, so if you haven't seen it yet, please do!
https://www.pixiv.net/artworks/124060940
◯Akira VS Meisa
FANBOX
https://hate.fanbox.cc/posts/8554754
Fantia
https://fantia.jp/posts/2993543
★最後にアンケートがあります。プラン内容の方針を決める要素になりますので、よければ皆さんのご意見を教えていただけると幸いです。
There is a survey at the end. This will be a factor in deciding the content, so if you would like to give us your opinion, please do so. (Japanese)
★For non-Japanese users★
Please take a moment to translate and read this short story on sites such as https://www.deepl.com/translator m(_ _)m
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The Fallen Champion and the Rigid Silver Princess - Rinka vs. Chikaru Part2
※JK=Jyoshi Kousei=High school girl
「ごっ……お゙っ…………あ゙あ゙っ…………」
完全に開ききった瞳孔は何も無い虚空を見つめており、口からマウスピースが零れそうな程はみ出してしまっている凛香。
数秒ほど不格好な姿勢で固まっていたものの、そのまま膝が折れていき――――――尻を突き出した情けない格好でダウンを喫してしまっていた。
「あぁっと凛香選手、僅か一撃でダウンを奪われてしまったぁ!!
身体が痙攣しておりますが……これは、相当効かされているのかぁ!!?」
「これで元女王って…………JKリーグの質も随分と落ちたものね」
ニュートラルコーナーに歩みを進めながら、銀姫はつまらなそうにそう呟いていく。
地べたに這いつくばる少女の姿など見向きもせず、その顔は試合開始時と同じく色の無い表情を浮かべていた。
「お゙ゔっっ……ん゙っっ…………ん゙あ゙あ゙っ…………」
対してキャンバスを舐めさせられながら、芋虫の様に身を捩らせて悶絶する事しか出来ないでいる凛香。
瞳からは大粒の涙が止めどなく溢れており、ピクピクと震える肉体には既に大量の脂汗が浮き上がっている。
(ボディ、重すぎっ………お腹、イカされちゃったかもっ…………)
受けた拳はたったの一発。
だがその影響は余りにも大きく、対戦相手の女が”剛力銀姫”と呼ばれている意味を、身体で理解させられてしまっていた。
「凛香選手、悶絶したまま動けません!!
剛力の一撃を前にまさかの秒殺KOとなってしまうのかぁ!!?」
ヒクついた腹筋は受けたダメージの深刻さを否応なく少女へと突きつけており、涙でぼやけた視界の中、凛香は淡々と進むカウントを聞くことしか出来ないでいる。
(でも、今日は……絶対に負けないんだからっ!!)
だが少女は瞳からポロポロと涙を零しながらもカウント9で立ち上がり、レフェリーに試合続行の意思を示していった。
「まっ……まだ、まだやれますっ!!」
「ボックスッ!!」
「あわや秒殺KOかと思われましたが、凛香選手何とか立ち上がりました!!
ここから盛り返す事が出来るか!!?」
(ちかるさん、思った以上にパンチが重いけど……私だって!!)
先程は真っ向から力負けしてしまってはいたものの、凛香はJKリーグにおいてトップクラスの打撃力を誇っており、それが自分の強みの一つであると正しく自覚している。
「やぁっっ!!」
故に、相手の土俵であるにも関わらず、真っ向からの殴り合いへと身を投じていった。
「凛香選手のストレートが炸裂~~~……ですが、またしてもノーダメージ!!
ちかる選手、表情すら変えず全く効いておりません!!!」
大木を殴りつけた様な硬い手応えの数秒後、少女の頬肉に漆黒の拳が直撃した。
「そ、そんな…………ぶひゅぅぅぅっっっ!!!」
それを受け、凛香は年頃の乙女にあるまじき情けない声を出しながら顔面を半回転させられてしまう。
艶のある黒髪がふわりと舞ってリングを彩ると共に、口元から吐き出された飛沫が光を反射しキラキラと輝いていた。
「ぅ……ぁっ…………まだまだぁっ!!」
目まぐるしく変化した視界のせいで一瞬だけ対戦相手の姿を見失ってしまったものの、すぐさま気を取り直して再び力を込めた右フックを放っていく凛香。
腰の入ったその一撃は、JKリーグの下位ボクサー相手であれば当たり所によってはダウンすら狙える代物であったのだが―――――
「えっ、そんな…………」
銀姫が誇る鉄壁の肉体を崩すことは叶わず、またしてもまるで効いていない様子の対戦相手の姿がそこにはあった。
「…………元チャンピオンの癖に、その程度なの?」
つまらなそうに無表情で口を開いていくちかる。
そして言葉を発しながらも、凛香の返事を待つことなくその剛力を再び振りかざしていき―――――直後、リングに少女の情けない嗚咽が響いていった。
「んびゅぅぅぅっっっ…………」
「強烈なアッパーがクリーンヒット~~~!!!
凛香選手、千鳥足でリングをふらつき……最早完全にグロッキーです!!」
「んお゙っ……あっ、あぅっ…………」
鋭いアッパーカットで脳を激しく揺らされてしまった結果、既に意識が朦朧としてしまっている状態の凛香。
持ち前の根性でダウンこそしていないものの、その余りにも無防備な姿はいつ殴り倒されてもおかしくない様に見えた。
――――――だが、いつまで経っても追撃の拳は飛んで来ることはなく、やがて少女の意識は鮮明さを取り戻していく。
「んぅ…………ぁっ………………あぇ?」
(あれ? 私……もしかして軽くオチちゃってた?)
「おぉっと、凛香選手意識を取り戻したのか!!?
ちかる選手、圧倒的チャンスを敢えて見逃していきました!!」
そして実況の声で自身の状況を把握すると、凛香は対戦相手へ向けて鋭い眼光を投げかけていった。
「くぅっ…………そうやって舐めてると、後悔しますよ!!」
「御託は良いから……早くかかってくれば?」
気迫の籠もった少女の声にも一切動じず、平坦な声で返していくちかる。
それを見た凛香は拳をぐっと硬く握りしめると同時に、鋭く前へと踏み込んで全力を込めた右ストレートを打ち込んでいった。
「言われなくてもっ…………やぁぁぁっ!!!」
少女が叫んだ直後、激しい衝撃音がリングに響き渡っていく。
だがその衝撃を身体で受け止めた女は、僅かだけ口角を上げると共に至って平坦な声色で言葉を発していった。
「ふふっ……今のは、ちょっと良かったかも」
そして剛力と称される自慢の右腕を大きく引き絞っていき―――――ふたなりリーグ随一の豪打が、うねりをあげて少女の顔面へと叩きつけられていった。
「ぶぴゅっっっ!!!!!」
闘いの場に似つかわしくない奇声と共に、大量の飛沫が少女の口から舞い散っていく。
顔面に叩きつけられた衝撃が少女の許容量を大幅に超えてしまっていたからか、瞳はぐるんと瞬時に上ずり身体は硬直してしまっている。
「剛力銀姫の右が炸裂~~~~~!!
あぁっと凛香、完全に動きが止まってしまいました!!!」
「ぁ…………んぅっ……………………」
ちかるの拳が引き抜かれた後も中途半端にガードを構えた格好のまま固まってしまい、対戦相手の事を視界に捉える事すら出来ないでいる少女。
そんな情けない元女王の姿を見て、銀姫はつまらなそうに口を開いていった。
「あれ、もうおしまい?…………なら、遠慮なくいくよ」
冷めた声とは裏腹に、銀姫は全身の筋肉に力を込めて身体のボルテージを一段引き上げていく。
そして少女が動き出す前に、両腕に宿る剛力を勢いよく解放していった。
「ぶひゅぅっっ、おぶぅっっっ、はぶぅぅぅっ、んべぇぇっっっっ!!!!」
「”銀姫の蹂躙(シルヴァリー・ドミネーション)”が炸裂~~~~!!
凛香選手、完全にサンドバッグになってしまっております!!」
”剛力銀姫”は特別な技を使わない。
何故なら圧倒的なフィジカルがある故に、小細工をせずとも相手を蹂躙出来てしまうから。
気軽に放たれる拳の、その全てが必殺技と言える程の威力を有しており、特にこの容赦のないラッシュは畏怖を込めて”銀姫の蹂躙(シルヴァリー・ドミネーション)”と呼ばれていた。
「がふぅっっ……あびゅっっ…………んべぇっっっ……ぎゅぷぅっっっ!!!」
一撃毎に顔面を回転させられ、穿たれた腹肉は拳の形に歪まされ、気が狂いそうになる程の激痛が絶えず少女の脳内を駆け巡っていく。
(これっ……やばいっ!! 反撃……いやせめてガードしなきゃ…………)
そんな猛烈な連撃の最中にあってもまだ凛香は意識を手放してはおらず、何とか抵抗しようとしていたのだが―――――
「ぐぴゅっっっ!!!!」
少女の身体が一瞬浮き上がる程のアッパーカットで脳を揺らされてしまい、少女の意識は呆気なく消し飛ばされていった。
「凛香選手の腕が落ちてしまったぁ!!
これはもしや……既に失神してしまっているのかぁ!!?」
JKリーグの”元女王対決”と銘打たれたこの試合は、その名から想像される強者同士の一進一退の攻防とは程遠い、一方的なドミネーションと化してしまっている。
「ぶふぅっ…………お゙え゙っ…………がひゅっ……………………ぁぁ…………」
「ちかる選手の勢いが止まりません!!!
凛香選手は意識が無いのか、手も足も出ず滅多打ちだ~~~~!!」
銀姫による理不尽な程の暴力は長時間続けられていき―――――
ラウンド終了10秒前を告げる拍子木の音で、少女は漸くダウンする事を許されていった。
「凛香選手、遂にダウン~~~~!!!
長い事滅多打ちにされてしまいましたが、果たして立つ事は出来るのか!?」
「んぁっ…………ぅぅ……………………」
(床……冷た…………あれ、アタシ……もしかしてダウンしちゃってる?)
キャンバスに倒れ込んだ際の衝撃で意識を取り戻していた凛香。
ここ数十秒程の記憶はないのだが、全身を包む冷たいキャンバスの感覚で自身の置かれた状況を瞬時に把握していく。
(確か、ラッシュで顎に良いアッパー貰っちゃって意識が……って、そんな事はどうでも良いから早く立たないと…………)
急いで立ち上がるべく少女は足に力を込めたのだが、膝立ちになった辺りで体勢を崩し再びキャンバスに倒れ込んでしまった。
「あぇ……なんれっ…………!?」
”銀姫の蹂躙”によって頭を四方八方へと殴り飛ばされ続けた結果、少女の三半規管には少なくないダメージが入ってしまっており、既に平衡感覚は失われてしまっている。
(あっ……これっ…………立てないかも…………)
薄ぼんやりとした思考をしながら当て所なく手足をバタつかせていた凛香だが、そんな少女の耳にセコンドから必死の叫びが届けられていく。
「負けないでおねぇ!!
ここ立てばゴングだから、頑張って立ち上がって!!」
(由乃が呼んでる…………早く立たないとっ…………)
愛する妹の声援を受けた凛香は思い切り歯を食いしばり、ぼやけた思考を強引に動かしていく。
そして手近にあったロープを掴んでそれを頼りに必死に身体を起こすと、背中をロープに預けながらも辛うじて立ち上がっていった。
カーン!!!
「お~っとここでゴング!! 凛香選手、ちかる選手の猛攻を見事に耐え抜きました、が…………”元女王対決”は余りにも一方的な試合展開となってしまいました!! 」
ラウンド終了の鐘の音を聞いて緊張の糸が切れたのか、凛香の膝が折れてぺたんとその場に尻もちをついてしまう。
「りっちゃん!!」
それを見たセコンドのあきらは即座に凛香の元へ駆け寄ると、傷付いた親友を慮るべく優しげな声色で口を開いていった。
「肩貸すわよ凛香……ほら、立てそう?」
「ごめん……悪いんだけど、無理っぽいからこのまま連れてってくれない?」
弱々しくそう宣言した凛香は、ずるずると引きずられながら青コーナーへの帰還を果たしていった。
「ぜぇっ…………はぁっ……………………」
たった1ラウンド闘っただけとは思えない程に、激しく傷つけられてしまった凛香。
徹底的に殴られ続けた顔面は既にKO負けしたボクサーの如く腫れ上がっており、そこかしこに紅い痣を作られてしまった身体には大量の脂汗が浮かび上がっている。
(どうしよう、ちかるさん強すぎる…………今日は絶対に負けたくないのに)
荒い呼吸を繰り返しながら俯き、何も無いキャンバスを黙って見つめている少女。
ラウンドを通して手も足も出ず一方的に蹂躙されてしまった結果、彼女は肉体と共に精神的にも少なくないダメージを負ってしまっていた。
そんな中、セコンドのあきらは向かい側のコーナーを一瞥すると苦々しい表情を浮かべていく。
(考えが甘かった…………あの人、ここまで強かっただなんて)
そこには身体にうっすらと汗を浮かべてはいるものの、息すら乱す事なくセコンドと会話をしている、まさに余裕綽々といった様子の銀姫の姿があった。
(アタシが闘ったメイサさんなんて、比較対象にすらならない力の差があるわね。
一体なんて声をかければ…………)
親友のあきらですら悲観的にならざるを得ないほどの絶望的な試合内容。
事実、会場中の人間が既に勝敗は決したと考えており、後は凛香が”どこまで粘れるか”といった事を考え始めていた。
―――――ただ一人を除いては。
「おねぇ…………?」
耳に届いたのは、か細い声。
だが、それが何よりも大切な人物によるものだと理解した瞬間、凛香は瞬時に顔を上げていった。
「おねぇなら大丈夫だよね……?
いつもみたいに、ここから逆転してくれるよね?」
少し屈んで姉に目線を合わせながら、不安げに由乃は言葉を発していく。
自慢の姉である凛香の強さを心の底から信頼している彼女は、この圧倒的劣勢の中にあってもなお勝利を信じている。
だが、当の本人である凛香の表情が暗い事に対して不安を覚えていた。
「由乃…………」
(この娘にこんな顔させるなんて……全く、情けないわね)
驚きで目を見開いた凛香は、そのまま数秒ほど妹と見つめ合っていく。
そして一度ゆっくりと息を吐き出しながら瞳を閉じて―――――由乃を安心させるべく、自信たっぷりに口を開いていった。
「えぇ……勿論よ!!」
再び開かれた目は優しげな色を浮かべながらも、力強い意思が宿っている。
「ここから本気出してすぐに逆転しちゃうんだから、お姉ちゃんの勇姿をちゃんと目に焼き付けておきなさい!!」
本来スロースターターである凛香だが、肉体的・精神的に追い詰められ、なおかつ闘う理由である妹からの声援を受けた事により、集中力が一気に研ぎ澄まされていく。
(”あの頃”の様にならない為にも……由乃の信頼は絶対に裏切れない!!)
試合が再開されるまで秒読み段階に入りつつある中、凛香の脳裏には、妹が心を壊し自室に引きこもってしまっていた時期の辛い記憶が浮かび上がっていた。
「ボックス!!!」
「さぁ始まりました第2ラウンド!!
ここまで良い所の無い凛香選手ですが、果たしてここから盛り返せるのか!!?」
実況の言葉に反し、観客のほぼ全員が”そんな事はないだろう”と考えている状況。
だが凛香はそんな事は一切気にせず、逆転へ向けて冷静に思考を働かせていった。
(勝機があるとすれば、ちかるさんが油断してる可能性がある今しかない!!)
赤コーナーからゆっくりと歩みを進めている相手の表情には依然として何の感情も映されておらず、油断しているのかどうかさえ分からない。
だが、少なくとも仕掛けるには今が一番良いと判断した凛香は、何の躊躇いもなくインファイトの距離へ鋭く踏み込んでいった。
「…………ッ!!」
(この娘……さっきまでとまるで動きが違う!!)
最高潮までギアが上がった凛香の疾さが1ラウンドのそれとは余りに異なっていた事から、ちかるはこの試合で初めて表情を崩していく。
大きく見開かれた対戦相手の瞳を見て作戦の成功を悟った少女。
その勢いのまま全力で右腕に力を込めると、凛香は洗練されたフォームでアッパーカットを放っていった。
「がひゅっっ…………!!」
相手の虚を突いて不意打ち気味に放たれた一撃は、ちかるの顎をこれ以上ない程綺麗に打ち上げていく。
「凛香選手のアッパーが炸裂~~~~!!!
ここからが本番だと言わんばかりの豪快な一撃が入っていったぁ!!」
「つぅぅっ…………」
(あっ……これはしくった、かも…………)
当たりどころが悪かったのか、一撃で脳を揺らされてしまい動きを止めてしまったちかる。
そしてその姿を視認した次の瞬間、少女は最短の動作で体勢を整え直し、追撃の右ストレートを放っていった。
「ぶひゅぅっっ…………」
「な…………なんと、あのちかる選手がダウンを奪われてしまいました!!」
ふたなりリーグの試合でもほとんど見かける事のない剛力銀姫のダウン姿を見て、会場内にどよめきが広がっていく。
特に、彼女を推している一部の女性ファン達は阿鼻叫喚といった様相を呈していた。
「おねぇ本当に凄い…………アタシ、信じてたよ!!」
目を輝かせながら、興奮を隠せない様子の由乃が姉へエールを送っていく。
そしてその声を聞いた凛香は妹の方へ振り向くと共に、強敵を殴り倒した右拳を突き出すと、右目をパチリと軽く閉じていった。
(ふふっ…………どうやら、元女王ってのは本当みたいね)
カウントが進む中、ちかるはゆっくりと立ち上がり構えを取っていく。
派手に殴り飛ばされはしたものの、身体の動きに乱れは一切なく足取りも普段のそれと何ら変わりない。
「ちょっとやる気……出てきたかも」
ただその顔は普段と異なっており、冷たい無表情ではなく僅かに笑みを浮かべていた。
「ボックスッッ!!!」
「難なく立ち上がったちかる選手、果たしてダメージはどれほど残っているのか!? そして凛香選手はこの好機をモノにする事が出来るか!!?」
(大丈夫……私の拳も通用する!! なら、ガンガン行ってやる!!)
先のダウンで自信をつけた凛香は、再び攻め込もうと踏み込む為の足に力を込めたのだが――――――
雰囲気が一変した銀姫の姿を見た瞬間、本能的に動きを止めてしまっていた。
(ちかるさん、さっきまでとは別人みたい…………これって)
構えも重心も、先程までと何一つ変わらない。
だが、目の前の女は明らかに異様な雰囲気を醸し出しており、そして少女は”それ”に見覚えがあった。
(まるで、レイさんやアンナさんと闘った時みたいな…………)
圧倒的強者のみが醸し出す、特有の圧力。
幸か不幸か少女はそれを過去に何度か味わっており、それ故目の前の対戦相手の強さを本能的に把握出来てしまっていた。
「ダメージが残っている間に攻勢をかけたい所ですが、凛香選手動きません!! 果たして何か考えがあるのでしょうか!!?」
(そう……攻めるなら今しかない!! だけど…………)
少女は知っていた。
この雰囲気を纏うボクサーに自分が立ち向かった所で、呆気なく訪れてしまうであろう悲惨な結末を。
(いや……ここで考えた所で何も分からない!!
とにかく手を出さないと…………)
少女は理解していた。
拳を交えずとも明確に伝わってくる、寒気がする程の相手の実力の高さを。
どれだけ気持ちが強くても埋めることの叶わない、彼我の圧倒的な格の差を。
だが、それでも尚―――――――
(もうあの子の信頼を裏切りたくない……
私は、絶対に……負けるわけにはいかないの!!)
少女に闘う以外の選択肢は残されていなかった。
「やぁぁぁぁぁ!!!」
不安をかき消すかの様に声を張り上げ、全力で右ストレートを打ち込んでいく凛香。
ガードが甘かったちかるの顔面に蒼い拳は真っ直ぐ突き刺さり、リングに乾いた打撃音を響かせていく。
JKリーグの元女王が渾身の力を込めて放った、腰の入った右の強打。
だが―――――凛香には、その一撃が”効いている”とは到底思えなかった。
「……ッ!?」
ちらりと対戦相手の顔を覗き込むと、そこには楽しげな微笑を浮かべてこちらに視線を向けている女の姿が目に入ってくる。
「な、なんと……あの凛香選手の攻撃が全く効いていないのか!? ちかる選手、まるで何事も無かったかのように平然しております!!」
(やっぱり……私の力じゃ…………)
当たってほしくなかった想像通りの展開になってしまった事を少女は悟る。
そして突き出した腕を引き戻し防御に回そうとしたのだが、その寸前で凛香の視界にちかるの拳が映っていった。
これまでよりも数段階迫力を増した漆黒の砲弾は、少女の腫れ上がった顔面目掛けて一直線に射出されている。
(やばっ……これ、間に合わな…………)
それは最早、反応してから防御が間に合う様な代物である筈もなく―――――
「んぶぅぅぅっっっ!!!?」
顔面のド真ん中に着弾したそれは、豪快な炸裂音と無様な悲鳴をリングに生み出していった。
「ちかる選手、お返しと言わんばかりの右ストレート~~~!!
だがこちらは効果覿面!! 凛香選手の身体がふっ飛ばされていきます!!」
被弾した顔面だけでなく身体ごと弾かれてしまった勢いで後ろにたたらを踏み、凛香は呆気なくロープを背負わされてしまう。
(あっ……そういえば……この前の試合もこんな感じだったっけ…………)
至近距離に脅威が迫りくる最中、虚ろな瞳を浮かべた少女の脳内では”この窮地をどう脱出するのか?”ではなく、前回行われたタイトルマッチでの敗戦の事が思い浮かべられている。
(アンナさん、私がどれだけ殴っても平気な顔してたし…………)
それは”鉄の女”が誇る肉体に自身の拳が全く通用しなかったという苦い記憶。
奇しくもその再現になってしまった先程の出来事は、少女の心に深く刻まれてしまった傷を掘り起こすには十分過ぎた。
(あっ…………どうしよう……頭、ぼーっとしてきた)
打つ手が無い事を理解してしまった少女は考える事を辞めてしまい、必然的に身体の動きも止まっていく。
「あれ……もう終わり?
でも、こっちはもう我慢出来ないから……腕、上げといた方が良いと思うよ?」
眼前に迫るのは、ほとんど傷のない綺麗な美貌で微笑みを浮かべている銀姫。
凛香の事を”全力を出して闘うべき相手”と認識した事により、1ラウンドとは比較にならない程の気迫に満ちている。
「あっ……うぁっ…………」
対するは、そんな相手の忠告を受けても目に光が戻らず、既に腫れ上がっている顔面はどこを見ているのかすら定かではない状態の少女。
当然の結果として、第2ラウンドはまだ長い時間が残されているにも関わらず、余りにも絶望的なドミネーション劇が幕を開けていってしまった。
「凛香選手、もはや反応すら出来ずサンドバッグにされてしまっております!! 果たしてまだ意識は残されているのか!!?」
洗練された銀姫の拳が幾度も突き刺さっていき、着弾と共に少女は苦しげな吐息や呻き声を上げ悶絶させられてしまう。
それは見た目上は1ラウンド目の再現かの様に思われたのだが、前回のラウンドと異なる点が一つだけ存在している。
「ぶひゅぅっ……がふぅっ…………おえ゙え゙っっ…………」
本気を出した”剛力銀姫”の拳はそのどれもが先のラウンドを遥かに上回る威力を秘めており、一撃一撃毎に少女の顔面を、腹を、面白い様に変形させていった。
「おねぇ、しっかりして!! ちゃんとガード上げて!!!」
ロープに腕が絡まっているためダウンこそ免れてはいるものの、その余りに一方的な蹂躙劇に会場は大盛り上がりを見せており、由乃の声援もその中に掻き消されてしまっている。
「お゙っ…………がぁっ…………ぶひゅっ………………」
最早声と呼ぶには余りにか細くなってしまった音が、少女の口から奏でられていく。
圧倒的なまでの暴力に晒され過ぎた結果、その顔面は見るも無惨な状態になってしまっており、元女王としての威厳など微塵も残されてはいなかった。
「次、強いの行くから…………ちゃんと腹筋に力込めた方が良いと思うよ?」
大きく右腕を引き絞りながら、銀姫がそう告げていく。
だが、当然ながら既に失神してしまっている凛香には、その忠告を聞き入れるなど到底無理な話であり―――――
次の瞬間、少女の柔らかくなってしまった腹筋に、鋭いボディアッパーが突き刺さっていった。
「ん゙お゙お゙お゙っっっっ!!!!!」
白目を剥き、年頃の少女とは思えない獣の様な咆哮をあげてしまう凛香。
徹底的に痛めつけられてしまった肉体が限界を訴えかけているのか、弛緩しきった股間からはじんわりと失禁による染みが広がっていた。
「お゙っ…………ゔゔぅっ………………」
胃袋を直接殴られた様な強烈な痛みで意識が覚醒したものの、次の瞬間には脳内を駆け巡る激痛のせいで再び意識がブラックアウトしてしまっている。
「痛烈なボディが入ってしまった~~~~~!!
凛香選手、流石にこれは保たないか~~~!!?」
少女の肉体は拳圧で軽く宙に浮き上がってしまっており、脱力しきった身体は受け身を取ることもなくリングへ墜落しようとしている。
あと数秒程待てば、キャンバスに少女の肉体が崩れ落ちるであろう状況。
だが、そんな中であっても―――――銀姫は追撃の手を止めなかった。
「ぐぴゅっ………………」
「無慈悲なアッパーカットが炸裂~~~~~~!!
凛香選手の身体が弾き飛ばされていきます!!」
様々な体液を周囲へと撒き散らしながら、ふわりと宙を舞う少女の肉体。
ある者は歓声を上げ、ある者は悲鳴を叫びながらその光景を見つめていたのだが―――――
カーン!!!
第2ラウンド終了を告げるゴングの音が響いていき、その直後、少女の肉体は足がロープに引っかかり辛うじてリングアウトを免れていく。
「こ……ここでゴングですっ!!
凛香選手、奇跡的なタイミングでゴングに救われました!!!」
「ぅ…………んぅっ………………」
白目を剥いてしまい、身体中ビクビクと痙攣させながら口からうわ言を唱えている少女。
誰がどう見ても完全に失神してしまっており、あと数秒ゴングが遅ければ確実にKO負けとなっていたであろう事は想像に難くなかった。
【堕ちた王者と剛力銀姫~凛香VSちかる~】Part3(Fin)へ続く―――――

■前回 ■試合内容 ちかるVS凛香の決着編です!! 察しの良い方は既にお気づきだと思いますが、ドミネーション要素が多めになっております。 挿絵は全6枚、SSは約9400文字です(pixiv換算で読了まで約19分)。 それでは対戦よろしくお願いします~。 ■Content of the match This is the final story of Chikaru vs. Rinka! A...
ナッツが主食
2024-11-24 14:18:39 +0000 UTCナッツが主食
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