着ぐるみ裏日記 不定期便①
Added 2020-05-14 15:36:14 +0000 UTC徒然なるままに、ひぐらし、、、のようなことはしていませんが、私が経験した内容を曝け出しておいても良いと思いましたので、その熱が冷めないうちにまとめておきましょう。いわゆる随筆です。もちろん、規約やコンプラ上書けない内容は記しませんのでご了承ください。 <プロローグ> 着ぐるみに出会ったのは、幼稚園の時。幼稚園の夏祭り。7月の夕方。日本の7月の夕方と言えば、多少の涼しさを感じる程度であるが、蒸し暑さと言えば相当なもの。ボクは、その特異な雰囲気に興奮していたのは言わずもがな。金魚すくいや輪投げ等の縁日に、非日常を感じて子供らしくはしゃいでいた。そんな中、薄暗いところにライトアップされたメインステージに、祭囃子と共に登場したのは可愛らしいトラさんとウシさん。今思えば、首元どころか、手首や足首まで露出してしまうほど、ありふれたチープな汎用型の着ぐるみ。ディ〇ニーのキャラクター着ぐるみと比べれば天と地ほどのクオリティ差のある着ぐるみだ。でも、ボクは、そんなチープなトラさんやウシさんの着ぐるみ、いや、この世界に生き生きと存在しているキャラクターにとても心が躍っていた。とても可愛らしい動き、おどけた動き、心の底から本当に楽しくて仕方なかったと今でもしっかりと覚えている。まるで身近なお友達のように感じた。 楽しい時というのは短いもので、トラさんとウシさんは、どうやらお家に帰ってご飯があるようだ。最後にみんなと握手してバイバイとのこと。心躍っているボクは、当然握手の順番待ちに並んだ。ボクの恐ろしいほどのはしゃぎ方にさんざん付き合わせてしまって、さぞかえってゆっくりしたいであろう母を、無理矢理連れ出して、ボクはトラさんとウシさんの握手の列に並んだ。ドキドキしながらトラさんとウシさんの握手を待つボク。 ついに握手の番だ。まずはトラさんから。あれだけはしゃいでいたのに、人見知りな性格のせいで、いざ握手になると恥ずかしさがこみあげてくる。でも勇気を振り絞って握手に向かったボク。ボクから見たら巨大なトラさん。しゃがむことも無く、結構な前かがみに、幼稚園児のボクに手を伸ばしてきた。緊張と恥ずかしさから固まったボクは、まじまじとトラさんをグイっと見上げて、刮目した。 ・・・ん? 首もとから、人間の喉とアゴが見えるし・・・首元から紐がダラーンと垂れ下がっている。 まさに衝撃映像だった。 トラさんだよね・・・。 呆然としているボクを、後ろからまだまだ並んでいる子供たちに気を使った母がすかさず握手を促し、そしてボクはトラのような生き物と勢いよく握手した。 一瞬、毛布のようなふわふわとしたとても気持ちいい肌触りを感じた。 ・・・だが、その心地よい感じは一瞬で終了した。次の瞬間から随分と異なる世界に急転した気分になった。 ジワっと染み出してくる生ぬるい水のような、何とも気持ちの悪い肌触りを感じた。トラのような生き物の手はぐっしょりと湿っていたのだ。 もう、ボクは盛大に混乱していた。そんな握手を早々に切り上げたボクに、まだ残っている仕事がある。ウシさんとの握手だ。 嫌だ、その場からもう離れたい。 そんな感情をいだきつつも、ここまで来てしまった手前もう後には引けない。トラのような生き物のすぐ隣にウシさんがいるのだからなおのことだ。 ウシさんと対峙した。ウシさんはしゃがんで、小さなボクと同じ目線で握手を求めてきた。ボクと同じ目線でとっても可愛いウシさん。 ・・・あれ?ボクいっぱいウシさんと遊びたいな・・・ボクの大好きなウシさん・・! 先ほどのトラのような生き物との壮絶な邂逅を一瞬で忘れさせてくれる、物凄く嬉しくてワクワクした感情が湧き上がってきた。緊張はしていたけども、さっきのトラとの握手とは異なり、自分から積極的に握手した。 とってもふわふわで温かくて気持ちいい。 本当に気持ち良かったのを今でもしっかりと覚えているほど。さらに、ウシさんはふわふわのおててで、ボクのほっぺをぐりぐりと撫でてきた。緊張でしかめっ面だったボクはたまらず笑ってしまった。さらに、ボクは気分が良くなり、ウシさんに抱き着いた。 モフモフで温かい毛布のようなウシさんは本当に気持ち良かった。 最高に楽しい・・・! そんな夢見心地に抱き着いているときに、、、ボクは衝撃を再び受けることになった。 ウシさんから発せられる女の人の声。「あー、ボクくんのお母さん!担任のみゆこですー!」 ボクはハグをやめた。 ボクの母も、ウシのような生き物に答えていた。「あぁー!いつもお世話になっています・・・!ほんと暑いのにお疲れ様ですねぇー笑」 そんなやりとりをしている間に、ボクはウシのような生き物から距離を取っていた。そんなボクに母は、 「ほらぁ、みゆこ先生だから、あいさつ!」 いや、、、ボクの目の前には・・・ウシさんだよ・・・。え?みゆこ先生・・・?え?ウシさんだよ・・・? 固まるボク。母は軽く会釈して、大混乱中のボクを握手会のステージから降ろさせた。 え・・・トラさんとウシさん・・・違うのかな・・・ボクが握手したのは・・・なんだったんだろ・・・。 帰りの車の中ではっきりと覚えている会話がある。父と母の会話だ。 「祭りの片付け中に、みゆこ先生にさっき挨拶してきたんだけど、あのウシの着ぐるみ、汗びっしょりで大変だったらしいわよ」「へぇー。やっぱり着ぐるみって暑いんだな。」 ウシさん・・・着ぐるみ・・・? 着ぐるみって、暑いの・・・? その一件があってから、ボク、いや、私は着ぐるみが大の苦手になってしまった。どんな顔をしてふれあえばいいのか分からなくなった。何よりも、むちゃくちゃ恥ずかしい。着ぐるみの中の人のことを考えながら接するって・・・自分の感情を素直に出せないし、そんな自分を周囲に見られていると考えると、むちゃくちゃ恥ずかしいと思うようになってしまった。 ただそんな中、間違いなく私の人生の大半をささげることになる、そういう感情をいだいてしまった。 「中に人がいる。しかも大変な思いをして。大変な思いを包み隠して、無理に演じている誰かがいる・・・。そんな切ない生き物に会って、何が楽しいのかな・・・。でも、なんだろ・・・。着ぐるみを見ると、ゾワゾワする。モコモコで気持ちいい生き物の中に、暑くて大変な思いをしている誰かがいる。ボクも、、、中に人生で1度きりでもいいから、どんなのか着てみたいな・・・」 ウルト〇マンや、戦隊系の着ぐるみにはほとんど興味が無かった。幼稚園児の時に経験した、あのふかふかで気持ち良かったあの感触が忘れられない記憶に刻まれているせいか、常にふかもこ着ぐるみが私の中心だった。 小学校に上がっても着ぐるみを着てみたい欲は抑えられなかった。朝の会の1分間スピーチで、親戚のウチでお祭りがあって、その時に竜の着ぐるみを着た、とても暑くて大変だったけど楽しかった、なんて架空のスピーチを繰り広げるくらい、着ぐるみ欲を抑えきれていなかった。特に、幼稚園の時に見ていたN〇K教育番組に出てくる、狐のヒョ〇リくんにはくぎ付けだった。ふかふかで気持ちよさそうなおてて。私には無い尻尾が何とも魅力的に映っていた。 中学校に上がった。家にインターネットなるものが導入された。当然だが、着ぐるみなんていう恥ずかしい物を検索しているなんて、親にバレでもしたら、非常に気まずい。履歴削除、フォーム履歴の削除の方法をマスターしながら、レンタル会社に大量に載っている着ぐるみの写真、海外イベントのFursuitの写真、国内で行われる着ぐるみオフ会の写真等々を大量に漁っていった。とびっきり可愛くてモフモフしている着ぐるみたち。そんな可愛らしい着ぐるみたちの中に私が詰め込まれたら・・・、そう思うだけで物凄く興奮した。特にいかがわしい写真でもないのに、私にとっていつも興奮の的であった。 高校に上がった。バイトもできる。でも進学したのは、県内でそこそこの進学校。やたらと宿題多く、バイトなんてとても出来たモノじゃなかった。未だ人生で一度も着ぐるみは着ていない状態、着ぐるみを何としても着たいという願望・欲望はとうに限界を超えていた。この頃にはネット上で着ぐるみ絡みの、それはそれは沢山のフェチな写真や動画を大量に見ていた。可愛らしい着ぐるみの中に、少しの時間だけでもいいから詰め込まれたい。そういう悶々とした日々を送ってきたある高校3年生の終盤、ようやく受験もひと段落した途端に、私は着ぐるみ欲を抑えきれず、着ぐるみの世界に飛び込んでいった。 ここから、運よく着ぐるみを堪能できる夢のような日々を送ることができた。今思えば、本当に幸運だったと思う。そんな日々を紹介したいと思う。 【1.着ぐるみ初体験】 最初に登録したのはイベント系の派遣会社。縁日やハウジングセンター、家電量販店などでよくいる賑やかし役の着ぐるみに入るという仕事だった。初めての面接、18歳の私は非常におどおどしていて、見ていて危なっかしいというか、なんとも説明下手で香ばしい奴だったと思う。そんな私がアッサリ採用されてしまった当たり、人手不足な分野なのかと当時の私は薄々感づいているところだった。 担当者から説明を受ける。着ぐるみを着ると、とても暑くなるから熱中症に十分気をつけること、視界が狭く周囲が見えないから、子供たちやモノに躓かないようにすること、尻尾があるキャラクターは引っ張られて転ぶことがあるから、注意すること。夢にまで見た着ぐるみの、あまりにも具体的過ぎる、生々しすぎる中の人になるためのマニュアル説明に、とんでもなく興奮していた。初めて袖を通したスーツがテントをしっかりと張っていたのは今でもよく覚えている。担当者は他に、業務終了報告や交通費精算の話等を淡々としていく。シフトの話になったところで、何かを思い出したというような素振りを見せて、私にこんなことを尋ねてきた。 そんな着ぐるみの案件が明日あるんだけど、どうか? ・・・明日は自動車学校の教習日だったことは当然知っていたが、「予定空いているので、シフトに入れます」と即答であった。 そして、次の日。わくわくして十分に眠られなかったのは今となっては良い思い出だ。 生まれて初めてのアルバイトが着ぐるみ。なんて特別なんだろうかと、ワクワクが止まらない気分は、まるで幼稚園の時の夏祭りの時のようだった。 そして翌日。。。 初めての着ぐるみの現場は家電量販店のイベントブースだった。着ぐるみでの賑やかしだ。どんな着ぐるみなんだろう・・・。ふかもこだったら嬉しいなーと思っていたところだったが、見事に夢が叶った。 人生で初めての着ぐるみ。 それは、ふかふかの茶色のライオンくんだった。 全身が毛布のようにモコモコしていて、尻尾があって、たてがみのあるライオン。今となっては何処でも見るような、汎用型の着ぐるみであったのだが、当時の自分にとって、まさに夢のようなアイテム、待ちに待った本物の着ぐるみで、それはもう興奮する以外なかった。私のほかに、イベントブースで働くメンバーとしては女性1人が着ぐるみの中の人として、アテンドは女性2人だった。 あぁ、なるほど、こういうイベント系は女性がメインなのか。。 で、私が着替える場所は・・・? 担当者に聞くと、家電量販店の従業員向けの更衣室は着ぐるみ着替えには使ってほしくないとのことで、トイレしかなかった。まぁいいか。でも女性の方は何処で着替えるんだろう・・・?同じくトイレでの着替えを余儀なくされていた。まだキレイ目のトイレで良かったけども、着ぐるみの扱いってこんなにひどいものなのかと、それでもまぁ割り切った。 それにしても、なぜトイレで着替える必要が・・・?その理由が、着ぐるみの入っている箱を開けて良く分かった。着ぐるみがとても臭くて、更衣室で着替えると、ニオイが部屋中に充満してしまうからだ。 ニオイは手袋と胴体から発せられていた。少しヌルっとしていて黒カビが生えている最悪なモノだった。 その時は、着ぐるみの中に着るマナー等全くの無知。汗がつかないようにインナーを着て、手袋をはめて着ぐるみの中に入るのが通常だ。暑いという情報は当然知っていたのだが、着替えはシャツ1枚だけで、パンツの替えも持ってきていない状況。 さて、どうするか・・・。 人生初の着ぐるみは、、、パンツ1枚で他は何も身に着けずに中に入り込んだ。服を着て入ると、着ぐるみのニオイが服に移ってしまうし、替えもほとんどない状態だから、パンツ1枚で入った。パンツの替えは無いけども・・・まぁ最悪少し汗ばんでいてもいいだろう。生まれて初めてのスーツを少し汚してしまうかもというのには特に何も思わなかった。 そう・・・まだ着ぐるみの本当の猛威を知らぬまま、浅はかな考えで変身しようとしていた。 着付けはもちろん1人。少し広めの大のトイレスペースで着替える私。体はまぁ柔らかくて良かった。背中のファスナーは難なく自分で閉じられた。壊すリスクがあるから自分でファスナーを開け閉めするのはご法度なのはもっと後になってから知った話だ。 しかし、、、着替えた服ってどこに置いておけばいいんだ・・・。着ぐるみの箱の中にとりあえず突っ込んでおいて・・・トイレの出口にとりあえず置いておくことにした。 まずは胴体と足の着用は完了。モフモフで尻尾の生えた自分。 ・・・可愛い。手触りが最高すぎる。毛布以上にふかふかで心地よかった。 ・・んっ・・・ マズイ。。。この状況で自分のイチモツが立ってしまった。。。 どうしよう・・・まぁすこしへっぴり腰気味で歩けば、なんとか誤魔化せるかな。。。 ・・・ってかヤバイ、もうすぐ登場の時間だ。そうそう、動物の着ぐるみさんは10時から19時まで、昼休憩1時間を除き30分ずつ2体の着ぐるみで交代していく。もう一体の着ぐるみというのは、先ほどの女性が犬のキャラになるそうだ。 そう思いつつ、最後に頭と手の着用に移った。 まぁ頭を被るにはトイレの個室じゃなくてもいいか・・・。鏡のあるところで、モノがそそり立ったまま、頭を被ろうとした。 タオルを額に巻いて、後ろで結ぶスタイルで頭を被ろうとした。いかにも着ぐるみ役者が中に入るときにするようなスタイルで、この方法が無難なのかなと思った。が、このスタイル、後々後悔することにもなった・・・。もう二度とこのスタイルはしないだろう。 うぅう・・・ 頭の中も非常に臭かった。汗くさいニオイというより、カビくさいニオイだった。。。うぅ・・・つらい。。アゴひもの留め具を調節し、重い頭がぐらつかない様にキツめに留めた。長時間は結構擦れて痛いな・・・。 最後に臭い手をはめて、、、変身完了。 全身くまなくモコモコ。ニオイは全くなれなくて大変な思いをしているけども、ライオンさんの視界である口から外側を見る世界。足元は見えにくいものの、意外とクリアに見える。。やっぱり少し頭が重いのは難点か。 大事なモノの主張は収まることは無い状況だけども・・・。 さて、ライオン君が男子トイレから出てきた。ヨタヨタと少しへっぴり腰で、店舗内へ通じる扉の前に来た。そこにはアテンドの女の子。この子は私のアテンド兼イベントブースの仕切り役だ。 「わぁー!今回のライオン、でけぇなーw」 茶髪のお姉さんと言った具合で、2つ上の先輩だった。 ライオンの中は半端なくクサイが、外のモフモフはそんなににおわないのか?手を繋いでイベントブースまで誘導してくれた。 さぁ、着ぐるみのお仕事開始だ! ・・・と言ったものの・・・人少ない店舗のせいか、まばらな人。そんな中、ライオンの格好をした私。 ・・・なんか恥ずかしい。そう、着ぐるみは周囲に人が居ないと存在価値が奪われたも同然で、その場から非常に消えたい願望が生まれる(笑) なにやってんだろ、こんな格好して私。そんな感情が支配していた。大事なモノは既に着ぐるみに慣れてしまったのか、萎えていた。 そんな感じが10分くらい続いたところでようやく子供が来た。丁度小学生低学年くらいの男子3人組。 結局、いたずら盛んな男子は着ぐるみの人間だった痕跡をあらさがしするだけして、5分くらいしてどこかへ行ってしまった。 口の中に手を突っ込まれたときに、「うぁ・・・熱っ!口の中むわぁってしてる!」って言葉にグッと来たことは今でも忘れられない。 やっぱり、案の定、予想通り、着ぐるみは・・・暑い。暑すぎる・・・。モフモフの毛布に、暖房の利いた店内。汗はしたたり、目に入り染みる。鼻の頭にツーーっと伝わった汗が何ともくすぐったい。当然、1枚しかないパンツはビショビショ。着ぐるみの裏地がびしょびしょになって肌に張り付いて気持ち悪い。不快指数MAXだ。 着ぐるみ・・・ツライ。。 それでも、たまにやってくる純粋なお子様(3~5歳くらい)に何度も癒してもらった。 泣きじゃくる子供もいるが、着ぐるみと思わず、動物のお友達といった具合に、むちゃくちゃ可愛く接してくれる。 「わぁーおててふあふあー♪気持ちいい!」 「らいおんさん可愛い」 「わたし、ライオンさん大好き!」 「らいおんさん、写真とってください♪」 ・・・お人形さんとして扱われている感じ、暑くて苦しくて大変な思いが吹っ飛ぶくらい本当に最高だった。まさに非日常。こんなにも人気者になれるなんて、着ぐるみの沼にハマっていく理由が物凄く分かった気がした。 ライオンとして、お人形さんとして接して扱われることに、自然とグッとくるものを感じた。中で物凄く興奮してしまい、再びモノがそそり立ってしまった。 マズいなぁ・・・。 そんな調子で動物さんとして扱われるたびに興奮し、そそり立ち、再び収まるを繰り返し、初めての着ぐるみ30分コースは終了した。 アテンドの先輩がバックヤードまで手を引いて案内してくれた。バックヤードについたと同時に、犬に扮したもう一人の中の人が、もう一人のアテンドの子に連れられてイベントブースに向かっていった。あの犬の着ぐるみは・・・臭くないんだろうか・・・。少し気になった。結果として、私のライオンだけが強烈ににおうものだったらしい。 私についていたアテンドの先輩は、早々に休憩室に上がっていった。私も着ぐるみから着替えたら休憩室で休憩してもOKと言われた。ただ、流石に汗だくの姿を見られるのは恥ずかしいし、何よりも体に染みついた着ぐるみのクサさが休憩室に充満してしまうんじゃないかって懸念で、躊躇した。 結局着替えはトイレで行うことにした。 トイレに入り、鏡の前で手袋を取って、アゴひもを外した。 ・・・ふうぅ!暑かったぁ。 頭に巻いたタオルは時折目の部分までズリ落ちてきて、視界をふさぎそうになっていた。あぶねぇ。。。次回からこの巻き方は止めよう。 うわぁ・・・体中が物凄くムレていた。実際に、自分のカラダは汗臭さと着ぐるみのクサさで、自分でも分かるくらいに強烈にニオっていた。胴体を脱ぐと確実にニオイが出てしまう。 ・・・流石にこれはマズイと思い、胴体を着っぱなしにして、周囲にニオイが漏れないようにした。このまま過ごすしかないか・・・。 ・・・。 ・・・やっぱり抑えきれない!! 私はトイレの個室に入るや否や、手に持っていたライオンの頭を被り、モフモフした着ぐるみの上からイチモツをしごきだした。 ・・・んぁっ・・・ 着ぐるみの楽しさと着ぐるみの興奮を一身に、幼稚園の時から夢見ていた着ぐるみの夢がかなった瞬間をかみしめていた。着ぐるみの実体験を成し遂げ、実際に涙が出るほど嬉しい状況だった。 汗くさいニオイを嗅ぎながら、自分の喘ぎ声を必死に押し殺した声が着ぐるみの頭の中にこだましていた。暑くても拭うことのできない汗。モフモフとした手触りの良い胴体。 ・・・気持ち良すぎる・・・。 モフモフしたモノがそそり立ち、優しく撫で上げたり、激しく擦ったり・・・。 時間にして5分くらい。いとも簡単に果ててしまった。。もちろん、着ぐるみを汚すわけには行かず、最後出すときは着ぐるみを脱いで処理した。脱ぐとむあっと汗のにおいと着ぐるみのニオイでいっぱいになった。 すっきりした後、休憩は休憩室に戻らず、トイレのすぐ脇にあった非常階段兼物置場所でひっそりと休憩をとることにした。ここなら人目、ニオイを気にせず休憩できる。それに、、、モフモフしたカラダを、人目を気にせず堪能できる。最高の場所だった。もちろん、監視カメラが無いことは確認済みだ。 果てたお蔭で、演技中に立ってしまう回数は減った。さらに、そのお蔭かは不明だが、“着ぐるみ”でお金をもらうということについて、着ぐるみを演技しつつも真剣に考えるようになった。 どういう動きをすれば子供たちや大人の人たちも喜んでくれるのか。どういう仕草、動きがライオン君らしいのか、色々考えさせられる。 着ぐるみを着て、店頭に立って適当ににぎやかしをしてくれ。 担当者からの、初めての着ぐるみ着用者へのアドバイスがコレであったためか、着ぐるみはどう動くべきかさっぱり分からなかった。いや、ある程度ネットで予備知識はあった。某テーマパークのグリの様子を見て、子供へのアプローチの方法を考えたことがあった。 しかし、実践してみると意外と難しい。 大泣きしてしまった子供にはどうすればいいのか。着ぐるみの正体が気になって仕方ない子供達にはどうすれば位良いのか。タチの悪いイタズラをしかけてくる大人にはどう対処すればいいのか。。。深く追究すると結構奥が深い着ぐるみ。 そんな“着ぐるみ学”を10時~19時のヘビーローテーション気味な着ぐるみシフトで学んだ。 そんな着ぐるみ初体験を終えた。 トイレでもう一度処理したことを一応追記しておく。 ただ、買える時は非常に苦労した。びしょびしょになったパンツは当然履けるはずもなく、新品のスーツにノーパンで、しかも体中から着ぐるみのニオイがする状態で帰った。電車の中の人たちごめんなさい。 結局、この1日のアルバイトで完全に着ぐるみの虜になった。 この着ぐるみの仕事は、実際は月に1~2回程度、他はイベントブースの取り仕切りや、イベント設営等がメインであった、求人の時に“着ぐるみ”と書かれていたから、ずっと着ぐるみの仕事が出来ると思っていたけど、実際はそうじゃないというのは、バイト登録して2か月ぐらいたった後だった。 ・・・もっと着ぐるみの仕事がしたい。着ぐるみの中に入りたい。。。 幼稚園から思い続けていた夢はかなったけども、その夢は収まるどころか、どんどん広がっていった。 【2.着ぐるみ頻度を上げる】 着ぐるみの求人はごく限られている。着ぐるみ着られるという文句の求人はあるが、いざシフトに入ろうとしても、着ぐるみではないイベント系の仕事がほとんどだ。 5社くらい派遣の会社に登録した。いずれも着ぐるみ関連のところだが、最終的に着ぐるみの仕事を効率よく経験できたのは、初めに登録した派遣会社のみ。他はイベント設営色が強くて着ぐるみなんて仕事は極少だった。 ・・・そういえば。。。着ぐるみのショーチームってどうやって入るんだろ・・・。 着ぐるみの初体験から3か月くらいたった時、そんな考えが浮かび、登録実行に移した。キャラショーを経験することになる2週間くらい前の話だ。 つづく