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風船化実験に参加した話(前編)

いつものように学園に私は向かっていた。 「あー、疲れた」 昨日は結局夜までゲームをしてしまったからか、眠くて仕方がない。 今日も朝早くから起こされたし……。 でもまぁ、おかげでレベルは上がったけどね。 学園に着き、 校門をくぐる。 「さてと、そろそろ教室に向かうとするかな」 そう思いながら廊下を歩いていると、 後ろから誰かが走ってくる音が聞こえてきた。 「どいてください!危ないですよ!」 その声とともに私の背中に何かがぶつかった。 私は前に倒れそうになるのを必死でこらえ、後ろを振り返る。 するとそこには…………、 私の胸の中に飛び込んでくる女性の姿があった。 持っていた箱が散らばる。 私と同じくらいだろうか? 身長は150cmあるかないかくらいだな。 それにしてもこの子かわいいなぁ。 なんかこう守ってあげたくなるような雰囲気があるっていうか……。 そんなことを考えていると、その子は私から離れた。 そして私に向かってお辞儀をした。 「すみません。怪我とかしていませんか?」 「は、はい。大丈夫です……」 なんだろう。 なぜか少し緊張する…… 「よかったです」 そう言って微笑む女性。 やばい。かわいすぎる。 「ではこれで・・・」 彼女は荷物を拾うとその場を離れようとした。 「あ、あのあなたの名前 を教えてもらえますか?私は2年の伊藤早苗と言います。」 「えっと、私は佐藤亜紀といいます。1年生です」 そう言うと彼女は教室へと走って行った。 「名前聞けた~!」 それから私は亜紀さんのことをずっと考えていた。 放課後になり帰る 準備をしていると、 また亜紀さんが近づいてきた。 どうしたんだろう? 「あの……、今日の朝のことなんですけど、大丈夫でしたか?」 心配そうな顔をしながら聞いてくる亜紀さん。 「うん。ちょっとびっくりしたけど平気だよ」 「なら良かったです・・・ちょっとお話したいことがあるのですが、いいですか?」 なんだろ?同性だけど告白されるのか!? それともまさか……デートのお誘い!! 「いいよ。どこかに行く?」 「あの科学部の実験に協力してほしいのですが・・・」 「実験!?・・・まぁいいよ」 少しがっかりしたが、亜紀さんともっと仲良くなるチャンスだと思い承諾した。 「ありがとうございます。では行きましょうか」 こうして私たちは科学部に向かった。 「失礼します。先輩方いますか?」 扉を開けるなりそう言い放つ亜紀さん。 すると奥の方から部長らしき人がやってきた。 背の高い女性だった。 170cmはあるんじゃないかな? 髪は肩にかかるくらいの長さで色は黒だ。 「あら、新入生さんかしら?」 「はい。今日はお願いがあってきました」 「どんな用件かしら?」 「この方に実験に協力してもらいたいんです」 そう言って亜紀さんは私の手を引いて前に出した。 「へぇー、なかなか可愛い子じゃない。名前はなんていうの?」 「えっと、2年A組の伊藤早苗です」 「よろしくね。私は3年の佐藤百合よ」 「はい、よろしくお願いします」 「じゃあ早速始めましょうか。準備するから少し待っててね。あっ、それと私の事は先輩でいいわよ。敬語とかいらないからね」 「そもそも実験ってなんなんですか?」 私は内容を聞いていなかったので聞いてみた。 「ちょっと変わった実験よ・・・落ち着いて聞いてね」 「は、はい・・・」 私は緊張しながら返事をした。 「あなたを膨らませます」 「は?」 私は思わず聞き返してしまった。 「だからあなたを膨らませるの」 「え?いや、ちょっと意味がわからないんですけど・・・」 「大丈夫よ。痛くはないから」 いやそういう問題じゃないんだけど・・・ でもまぁ、この人も悪い人ではなさそうだし・・・ とりあえず従うことにした。 「わかりました。それで私は何をすればいいんですか?」 「まずは服を着替えてもらいましょうか」 「え?なんでですか?」 「実験に必要なのよ」 ・・・まぁいいか。 私は先輩に連れられて更衣室に行き、渡された服に着替えた。 服は黒いラバースーツだった。 艶があり、とても触り心地が良い。 そして、体型が強調されるデザインになっていた。 恥ずかしすぎる・・・ 正直、自分の貧相な体型には合っていないように見えた。 あまり大きくない胸、 ぎりぎりくびれてるウエスト、 小さなお尻・・・ でも、今更やめるのもどうかと思ったので言われた通りにすることにした。 着替え終わり外に出る。 「あら可愛いわよ」と笑顔で言ってくる先輩。 うぅ……恥ずかしい・・・。 「似合ってますよ」 亜紀さんが褒めてくれる。 でも私は複雑な気持ちだった。 「じゃあ早速始めましょうか」と先輩が言い、さらに奥の部屋へと案内された。 そこは実験室になっていて、 机や椅子は部屋の隅に寄せられていた。 モニターまである。 教室と広さは変わらないようだ。 「あの・・・さっき言っていた膨らますってどういうことですか?」 「あれね・・・そのまんまよ。あなたを風船みたいに膨らますの」 「え・・・?」 意味が分からない。 「ねぇ・・・空を飛んでみたいと思ったことってない?」 「まぁ・・・ないわけじゃないですが・・・ でも無理ですよ。人間は飛べません」 「そうよね・・・普通はそう思うわよね。でもね、この科学部にはそれを可能にする技術があるのよ」 そう言うと先輩はポケットから錠剤を取り出した。 「この薬を飲むと体内に軽い気体を発生させて、一定時間の間だけ体重を軽くすることができるの」 「えっと・・・つまり?」 「つまりね、あなたが飲めば空を飛べるようになるってことよ。しかもすごく高くまで昇れるようになるわよ」 私は一瞬だけ興味を持った。 「・・・ところで安全性は・・・?」 「それをこれから 実験するんでしょ」 「そ、そうですよね・・・」 私は迷ったが結局飲むことにした。 錠剤を手渡され、 それを口に入れ水で流し込む。 「・・・何も変わりませんが・・・?」 「すぐに効果が出るわけじゃないの。しばらく待つしかないわ」 1分ほどすると身体が熱くなってきたような気がした。 息苦しさを感じる・・・。 そして、まるで空気を入れているかのように全身にどんどん空気が入ってくる感じがした。 お腹を見ると、 まるで妊婦のように膨れ上がっている。 「な、なにこれ!?」 「どうやら始まったみたいね」と先輩が言う。 「風船みたいですね~」 亜紀さんに至っては笑いながら私のお腹を触ってくる。 「ちょ、ちょっとやめてよ」 「だって面白いじゃないですか~」 それから10分ほど経つと、全身に空気が満ちてきた感じがした。 小さかった胸が膨らみ、 バレーボールくらいの大きさになった。 お尻も大きくなり、 安産型のお尻になっている。 「そろそろね・・・」と先輩が言う。 そして次の瞬間、私のお腹がさらに膨れ上がった。 まるでバランスボールが入っているかのように大きくなっていくお腹・・・ 。 「・・・すごい」 足元が見えなくなっている。 少し体が軽くなった気がするが浮かぶ気配はまだない。 「いつになったら空を飛べるんですか?」 私は先輩に聞いた。 「まだまだかかる予定よ。でも安心して。ちゃんと飛べるようになっているから」 「そうですか・・・」 それからさらに10分ほど経っただろうか? 私のお腹はまるで巨大な気球のように膨れていた。 胸も相応に膨れ上がり、 足元も見えないほどになっていた。 手は膨れ上がった胴体に埋もれてしまった。 もう現実では考えられないほどの大きさだ・・・ 全身が巨大な球体のようになってしまった。 そんなことを考えていると突然浮遊感を感じた。 体が宙に浮いているようだ。 「えっ浮いてる!?」 「成功みたいね」と先輩が言う。 だが、浮かんでいるだけで自由に動けるわけではないようだ。 「先輩・・・どうやって移動すればいいんですか?」 「ちょっと待っててね」と先輩が言い、スマホを操作をしている。 すると目の前のモニターの電源が入った。 そこには私が映っている。 「これが今のあなたよ」 そう言われても実感がわかない・・・。 「あの、これって本当に私なんですか?」 私は自分の変わり果てた姿を見て驚いた。 全身が丸く膨れ上がり、手足は短くなり球体のようになっている。 その状態でも胸はバランスボールのように大きかった。 そんな状態で宙に浮いているのだ。 まるで巨大な風船のようだと思った。 「すごいでしょ。これが今のあなたなのよ」 先輩は嬉しそうに言う。 私は自分の体を見て、改めて自分が風船になったことを実感した。 「さて・・・外に出るわよ・・・ねぇ、ロープを足に結びつけて」 「はい。分かりました!」 先ほどまで黙っていた亜紀さんが私の足にロープを結びつけてゆく。 「え、外って・・・それになんでロープを・・・」 私は困惑しながら聞いた。 「今から外で浮かぶか試すのよ。 ロープなかったら風船みたいにどこまでも飛んでいくかもしれないじゃない」 「あ・・・しっかり結んでください!お願いします!」 私は慌てて頼んだ。 「大丈夫ですよ~ちゃんと結びましたから」と亜紀さんが言う。


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