俺は古く曖昧な(あるいは無意識化で捏造したかもしれない)記憶に残る、いつか食べたであろう「天狗のたまご」という銘菓の存在を信じ、いつか買って食べようとしていた。しかし調べてみるとそんなものはどこにも存在しなかった。幼き頃の俺がたいそう気に入った、白餡を包んだ卵型の餅などどこにもないのだ。なんと残酷なことか。しかしないものはない。物思いに耽ること須臾にして、あれは幻想入りしてしまったのだと悟った。(曖昧な記憶だが俺が「覚えている」以上それはおかしいのだが)そういうことなら仕方あるまい、俺が思いを馳せたる「天狗のたまご」は大結界の先で今日も美味しく食べられているのだ。